幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 糖分? 何それ食えるの?
 この章は妖夢視点です。
 では本編どうぞ。


三話 『白玉楼での小宴会』②

 小宴会が始まり幽々子様は紫様とお話をして食べ、橙ちゃんは藍さんとじゃれ合っている。侠さんは──隣で静かに食事を食べている。

 

 ……ちなみに侠さんの式神の食事も用意して、食べている。

 

 今の状況を見てか、侠さんは願うように呟く。

 

「……このぐらいの宴会の静けさだと良いんだけどね」

 

「残念ながらこういう静けさはいつもの宴会は皆無なんですよね……」

 

「……割り切るしかないか」

 

 食べるのを中断し、麦茶を喉を通す。そういえば全部飲み物はお茶関係のような……?

 

「侠さんはお酒は飲まれないんですか? ずっとお茶ばかり飲んでいるような気がするんですが……?」

 

「飲めない。というより厳重に止められている」

 

「……もしかして酒乱なんですか?」

 

「聞いた話だと飲んだら二日間眠り続けるらしい」

 

「厄介な酒癖ですね……」

 

 何でお酒を飲むと二日間眠り続けるんですか? どちらにせよ飲ませない方が良さそうですね。

 

「…………」

 

「…………」

 

 侠さんは会話を終えると黙々と食べ続ける。その間、お互いは黙ったまま。

 

 せっかくなんですから……お話ししないと損ですよね。そう思い、私は侠さんに話し掛ける。

 

「…………侠さん? その、お口に合うでしょうか?」

 

「おいしいから大丈夫だよ。この出汁巻き卵」

 

「あ、よかったです。その出汁巻き卵、私が作ったんですよ」

 

「そうなんだ? 出汁巻き卵は自分は作ったことはないから良いよ、これ」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 作った料理を褒められ。少し顔合わせがしづらいですが、返事をします。凄く嬉しいです……!

 

 侠さんは続けて話し掛けてくれます。

 

「魂魄ももっと食べたら? ゆゆさんがいるのにも関わらず結構料理残っているし」

 

「……そうですね。それと、侠さんは料理できるんですか?」

 

「最低限は。でもこんなに作ったことはないからなぁ……。藍さんや魂魄みたいな料理は作ってみたいとは思うんだけどね。レシピを知らないから」

 

「なら、傷が治り次第一緒に作りますか?」

 

「それはお願いしようかな? いろんな料理を作れるようになりたいし。そのときはよろしく」

 

「はい! お任せください!」

 

 侠さんとお話をしていたその時──幽々子様が私達を見て言う。

 

「……良いムード出しちゃって〜。どこの新婚夫婦よ〜」

 

「し、新婚夫婦!?」

 

 きゅ、急に新婚夫婦!? 幽々子様は何をおっしゃっているのですか!?

 

 その中で侠さんは気にしていないのか(そうだったらかなり複雑なんですが……)、落ち着いた風に話しかける。

 

「どこからそう見えるんですか?」

 

「雰囲気よ雰囲気〜! 何か妖夢に対する侠の態度が優しい〜! 私にもその優しさをちょうだい〜!」

 

「ゆゆさんは綺麗だなー(棒読み)」

 

「優しさがこもってない〜!」

 

 侠さんの対応に不満を漏らす幽々子様。それに紫様も会話に加わる。

 

「甘いわね幽々子。普段からちょっかいをかけているからそうなるのよ」

 

「紫さんもスキマで送るとき場所を考えて欲しいです。事前に場所を教えるなり」

 

「説教された!?」

 

 紫様は侠さんの言葉に意外そうに返した。

 

 ……何だかんだ不満はあったんですね……。

 

 その光景を見てか、藍さんは侠さんに話しかける。

 

「言葉遣いは正しいが……何だか霊夢の度胸が移ってないか?」

 

「? そんな事はないと思うんですけど?」

 

「……今まで侠、霊夢に色々不満とか言われなかったか?」

 

「…………言われたことがないような気がします」

 

 い、言われたことがないんですか!? 居候ならばあの人は色々と言ってくると思うんですが……!?

 

 紫様は藍さんの言葉に繋げるように話します。

 

「何だかんだ霊夢は侠の事を評価しているのよ。主に家事が万能的な意味で。まぁ……本人は無自覚だけど私が侠をここに送ったとき、侠を取り返す気満々だったもの」

 

 紫様の言葉に橙ちゃんは質問をする。

 

「え……紫様、ならばどうして霊夢さんはこちらに来ないんですか?」

 

「結界を展開しているのよ。白玉楼から出るのは簡単だけど、そこから入るのが難しくね。認識した者だけ通している。簡単に言えば入り口は他人から見ると見つけにくいのよ」

 

「わざわざ結界を展開しなくてもよかったんじゃないですか? ちゃんと博麗に事情を話せば良いと思うんですけど?」

 

 侠さんのそもそもの疑問を紫様にする。

 

「……多分だけど、あの子はきっと独占欲が強いと思うのよ。侠が利便性が分かった時点で手放さないと思うわ。それにあなた、紅魔館で働かないかと聞かれて霊夢に聞いたら断ったらしいわね。霊夢が」

 

「……まぁ、そうですね」

 

「おそらくちゃんと話したとしても霊夢は却下したと思うわ。だから強制的に」

 

「……自分の拒否権というのはないんですかね?」

 

「結果オーライだから良いんじゃない?」

 

「……過ぎ去ったことは仕方ないですね」

 

 少し不満がありそうですが、割り切る侠さん。侠さんって結構心が広いですよね……。

 

 すると幽々子様は私達に話しかけてくる。

 

「まぁ、それはそれで置いとくとして……妖夢と侠は明日買い出しに行って欲しいのよ。侠達が主役の宴会の材料を」

 

「はぁ……私は構わないのですが……侠さんはまだ怪我を──」

 

 私が言いかけたところで侠さんが話に入り込んできます。

 

「……実はと言うと、もう治りかけているんだ。一応念のため今日は大事に取ったけど。多分明日にはほぼ全快しているんじゃないかな?」

 

「…………えっ? そうなのですか?」

 

「だから大丈夫だよ。傷のことを心配しなくても。まさかほぼ二日で治るだなんて思ってもいなかったけど……」

 

 侠さんは作務衣から左肩を露出し、包帯を取ってみると……薄い切り傷が残っているだけでした。

 

「……切り傷ってこんなに早く治るものでしたっけ?」

 

「永遠亭の薬がよかったんじゃないかな?」

 

「……例えそうだとしても、早く完治しそうでよかったです……」

 

 私は少し目頭に温かいものを感じながら安堵しました。侠さんの傷が早く治りそうで良かったです……!

 

「(……甘いわね)」

 

「(……えぇ、甘いわね)」

 

「(……妖夢があんな表情をしているのは初めて見たな……)」

 

「(……?)」

 

『春ですよー』

 

「……紫さん? 今どこからか春でもないのに『春ですよー』と聞こえたんですが……?」

 

「気のせいよ、侠」

 

 …………何故でしょうか? 橙ちゃん以外の幽々子様達からの視線が生温かく感じるのは? そして私にも侠さんと同じような声が聞こえたような……?

 

 腑に落ちなさそうな侠さんでしたが話を戻し、幽々子様に改めて返事をする。

 

「まぁ、多分明日には傷が完治するんで自分も魂魄に同行します」

 

「じゃあお願いねぇ〜」

 

 ……侠さんと人里、ですか……何故か嬉しいです。

 

 私達はそのまま小宴会を楽しんでいった……。

 

 

 




 どこからの巫女から呪詛が聞こえたのは気のせいに違いない。

 それと修正にあたり……とある妖精を出すならここと思いました。

 ではまた。
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