幻想世界に誘われて【完結】   作:鷹崎亜魅夜

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 裏の章とリンク。
 この章最後の妖夢視点。
 では本編どうぞ。


五話 『人里での話【表の場合】』

 大まかな買い物を終え、人里の中を歩いている私達。両手に荷物を持って侠さんは話しかけてきます。

 

「これで買う物は全部?」

 

「はい。そうですね。これで終わりです」

 

 ……先ほどのような胸の痛みはもうありません。気のせいだったのでしょうか? 

 

 侠さんは辺りを見渡しながら言います。

 

「お店やらが多いと知り合いもいそうだけど──お? あれは……?」

 

 侠さんの止まった視線の先を見てみると……布の専門店でしょうか? そこに一組の男女がいました。何やら話しているみたいです。

 

 

 

『外界の人形は中には変形したりするんだぞ? そういうのは男受けが良いんだ。ロボットにはロマンが詰まっているからな。でも、ここにはプラスチックとかブリキとか外界特有の素材がないからなぁ……』

 

『変形する人形……アイデアとしてはいいわね。でも、今までの人形の技術で出来るかしら……?』

 

『そこは人形使いとして頑張れ。オレは茶でも飲みながら応援するから』

 

『手先が器用なんだからそこは手伝いなさいよ……』

 

 

 

 どうやら人形について話しているらしい。それにしてもあの女性……もしかしてアリスさんじゃないでしょうか?

 

 侠さんも気づいたようで呟きながら言いました。

 

「マーガトロイドと……静雅じゃないか!」

 

「……えっ!? あの人が静雅さんなのですか!?」

 

 どうやら男の方が静雅さんらしい。私はその人を観察してみる。

 

 背丈は目測でおそらく侠さんより少し高い。顔つきは侠さんと比べるとずいぶん男らしく整っている。前髪をおそらくヘアピンか何かで止めている。服装は……あれは侠さんと同じ【がくせいふく】じゃないですか!? でも侠さんと比べると袖まくりをしており、上着のボタンが付けられていなくて全開(侠さんはボタン一つはしている)、ネクタイはしていなくて、胸元が見えている。

 

 ……侠さんとは正反対で、だらしなく見えてきます……。

 

 私は侠さんにこう話しかけました。

 

「侠さん……友人は考えて作りましょうよ……」

 

「魂魄から見るとだらしない服装に見えるか。でもあの服装は静雅の基本スタイルだし、外界の女子受けは良いんだよ?」

 

「……同じ服装でも全く雰囲気は違うんですね」

 

「同じ服装だからこそ、自分独自の個性を出す。静雅はその表れだと思うよ」

 

 侠さんは静雅さんを擁護する。話している内容でもあまり気が合いそうにありません……。

 

 ですが……侠さんはアリスさん達に近づいていったので私も着いていく。そして侠さんは声をかけた。

 

「静雅、マーガトロイド。奇遇だね」

 

「おっ? その聞いた覚えがある声……侠じゃないか! 確かお前さんはオレとの戦いで冥界に召されたはず!」

 

「召されてないよ(怒)」

 

 侠さんの親友の言葉にアリスさんは呆れたように言う。

 

「何勝手に友人を殺しているのよ……? むしろ負けたのはあなたの方じゃない?」

 

「いや、実際に侠が死人が逝く冥界の白玉楼に行ったというから。言っておくべきと思ってな。他意はない」

 

「ま、いつも通りの運転で安心したよ。静雅」

 

「この静雅を舐めちゃいかんぞ?」

 

「ペロペロ飴みたいなことは絶対しないから安心すると良いよ」

 

「おっと、これは一本取られた」

 

 アリスさんのツッコミを交えて独特な挨拶をすると……何故かお二人ともハイタッチをした。

 

 ……何処にハイタッチする要素があったんでしょう? それと何故か侠さんが今まで見たことのないような楽しそうな表情をしています。

 

 そして静雅さんが私に気づき──こう言いました。

 

「お前さん……侠の彼女か?」

 

「かかか彼女っ!? いえその私は──」

 

「てっきりその荷物とか見ているとどこぞの新婚夫婦かと思ってな。で? どうなんだ?」

 

 侠さんの目の前で何て事を言うんですかこの人はっ!? そして侠さんはというと──

 

「いや、違うよ」

 

 ……はっきりと断言しました。

 

 何故でしょうか……とても複雑な気持ちです。

 

 侠さんはそのまま話を続けます。

 

「この娘は魂魄妖夢。種族は半身半霊で、白玉楼の庭師兼剣術指南だよ。静雅が思っているようなことはない」

 

「半身半霊……その人魂もどきは何だ?」

 

「魂魄曰く、自分の半霊。感覚を共有しているんだって」

 

「ふ〜ん……そうか。知っているかと思うがオレは本堂静雅だ。侠の事をよく知りたいならオレに聞くと良い」

 

「人の情報を売るな」

 

 侠さんは静雅さんに軽く手刀をする。ですが、その行動には優しさがあるように感じました。

 

 ……一応、私も自己紹介しておきましょう。

 

「侠さんが説明してくれた通りですが、魂魄妖夢です。以後よろしくお願いします」

 

「おう。いろいろお前さんのことを弄るだろうがよろしく」

 

 ……今自然に『弄る』って聞こえたような……気のせいですよね?

 

 私はとりあえず気にしないことにして、アリスさんに話しかける。

 

「アリスさんは静雅さんと一緒にどうしたんですか?」

 

「……ちょっとね。外界の人形のことを聞きつつ、他に材料がないか探しているのよ」

 

「え〜? アリス〜オレ達デートの真っ最中じゃん? デートって言おうぜデートって」

 

「……もうツッコムのに疲れたわ……」

 

「だが本来突っ込むのはオレのジャベリ──」

 

「はい、禁則事項ー」

 

 デートという言葉に私は動揺しましたが、アリスさんは疲れたように言うと静雅さんは何か言おうとしていましたが──侠さんに殴り飛ばされました。

 

 ……え? 静雅さんって親友なんですよね……? 躊躇なく殴ったような気がするんですが……?

 

 侠さんはアリスさんに労るように話しかける。

 

「とりあえず……お疲れ様。静雅の相手」

 

「……あなたじゃないと静雅は押さえられないのよ……何とかならない?」

 

「残念ですが、それは不可能だと。頑張ってツッコミ役か、静雅を上回るボケをしてください」

 

「せめてあの男の取扱説明書はないの?」

 

「作っても良いけど、面倒くさい。とりあえずこれで少しは落ち着くと思うから。頑張って」

 

「あなた達の力関係が気になるわ……」

 

 そうアリスさんと話しながら侠さんは静雅さんの手を取る。自分で殴り飛ばして、自分がフォローするんですか……?

 

 侠さんは静雅さんを注意するように話しかける。

 

「静雅。羽目を外しすぎ。もう少し自重して」

 

「オレも言ってて思った。気をつける」

 

「よろしい」

 

 侠さんの言葉に静雅さんは頷いた後、話題を変えて話しかけます。

 

「……一応、侠は人里にいるわけだが霊夢に会わなくて良いのか?」

 

「博麗に?」

 

「そ。何だかんだ霊夢はお前さんがいなくて寂しがっていたぞ?」

 

「う〜ん……自分がいないぐらいで寂しがるとは思わないんだけど……」

 

「某亀の大魔王にお前さんが攫われたとして、霊夢は某赤の配管工の様に侠を取り返そうとしてたんだぞ?」

 

「……自分、桃姫扱い?」

 

「そんぐらい心配かけているんだ。一言でも声をかけてやったらどうだ?」

 

 時折何を言っているのか分かりませんが、分かることは──霊夢さんに会いに言った方が良いと言われている。

 

 ですが……私は事前に紫様からこう言われていました。

 

 

 

 

 

『良い? 妖夢? 明日の買い出しの時、侠を博麗神社に行かせてはダメよ?』

 

『? それは何故ですか?』

 

『侠を借りていられるのは一週間。明日はまだ大丈夫だけど、最終日には白玉楼に霊夢は乗り込んでくるでしょうね。でも、本人は予想しないで明日、侠が博麗神社に行って霊夢に会ったらどうすると思う? 間違いなく霊夢は侠をそばに置くわ。そうなると侠を取り返すことはほぼ不可能と言っても良いでしょう。何だかんだ霊夢は被害者なんだし』

 

『そ、そうなのですか……』

 

『せっかく侠と過ごせる日が一日少なくなるのは嫌でしょ?』

 

『そうですね……もっと彼から色々なことを教わりたいです!』

 

『……フフ。その気持ちを大事にするのよ。いつかはその気持ちが大事になってくるんだから』

 

『……? どういうことですか?』

 

『もしも霊夢が自覚できなかった場合はあなたが重要になってくるの。幽々子がどう思っているかはともかく』

 

『???』

 

『今は分からなくても良いわ。あなたは侠といろいろ触れ合いなさい』

 

『は、はぁ……』

 

『それで侠が博麗神社に行こうとしたとき、あなたはこう言いなさい──』

 

 

 

 

 

 ……今、その時でしょうか……でも、少し恥ずかしいです……。

 

 でも、そんな私に構わずに侠さんは静雅さんと話を続ける。

 

「じゃあとりあえず博麗神社に行ってみようかな?」

 

「良いんじゃないか? オレの能力で送り迎えをしてやろう」

 

「ん。ども」

 

「侠は静雅の能力に疑問を思わないわけ?」

 

「気になるよ。本当に静雅の能力って何?」

 

 アリスさんは会話の中で疑問に思ったことを侠さんに問いかけたが本人は知らないらしく、静雅さんが答える。

 

「トップシークレット……と言いたいところだが、侠には特別に教えてあげよう。オレ達親友だしな! アリスは関係が発展したら教えると言うことでおけ?」

 

「これ以上関係が発展するとは思えないんだけど……?」

 

 私が迷っている中、静雅さんは侠さんに耳打ちをする。

 

「……うん。使われたら絶対勝てないね」

 

「そうは言っても奇襲以外は常にチートオンじゃないけどな。じゃあ早速博麗神社に──」

 

 おそらく静雅さんの能力が発動する前に──私は……侠さんの服の裾を掴みました。

 

 その事に侠さんは疑問に思ったのか、話しかけてきます。

 

「? どうしたの?」

 

「(……いてください)」

 

「? 何て?」

 

「今日は……白玉楼で……ず、ずっと私と一緒にいてください……」

 

「え……? どうして?」

 

「だ、ダメ……ですか……?」

 

 侠さんは私の言葉に疑問を抱いている。

 

 紫様は服の裾を掴んで、上目遣い──というより私と侠さんでは身長差があるので必然的にそうなり……紫様に指示されている言葉を言った。

 

 うぅ……慣れない行動なので恥ずかしいです……。

 

 私の行動にアリスさんは何かを言おうとしましたが──

 

「妖夢……あなたもしかして──」

 

「──いやはやこれは申し訳ない! 侠と妖夢はデート中だったな! それで他の女の話を出してしまうとはすまんな! 気が回らなかった!」

 

「いや、静雅……デートじゃないんだけど……」

 

 静雅さんが申し訳なさそうに私に謝り、一部の言葉を否定する侠さん。

 

 ……デートという言葉で私はさらに恥ずかしく感じました……。

 

 そんな私に構わずに静雅さんは話を続ける。

 

「よくよく考えてみれば白玉楼で過ごすのは実質今日で最後みたいなもんだろ? 霊夢とは明日会えるしな。まぁ、その際にオレと霊夢で白玉楼にお邪魔する予定だからそん時に会えるだろ。だから侠、最後に親睦に付き合うという意味合いでその娘のワガママに付き合ってあげとけ」

 

「…………それもそっか。じゃあ白玉楼に戻るよ」

 

「それがいい。じゃ、アリス。オレ達もデートの続きだ!」

 

「はっきり言わして貰うわ。これはデートじゃない」

 

「おう、厳しい」

 

 アリスさんと話しながら静雅さんは私達から離れていきとき、思い出したように静雅さんは振り返って言いました。

 

「明日の宴会楽しもうなっ!」

 

 そう告げた後アリスさんと会話を再開しました。静雅さんも宴会のことを知っているんですね。

 

 侠さんは二人を見送った後、私に話しかけてきます。

 

「じゃ、戻ろっか」

 

「は、はい!」

 

 再び隣へ並んで私達は歩き出す。

 

 ……侠さんが離れなかったのか、安心感が広がっていきました……。

 

 

 




 裏の章が終わったら共通・第九章に入ります。ようやく宴会だ。

 ではまた。
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