え、ひな祭り?な、何のことかな〜(メソラシ-
あのバレンタインデーから1ヶ月、ホワイトデーを間近に控えた俺は頭を悩ませていた。
「あーちゃんに何を渡せばいいんだろうか…」
あーちゃんはお手製のチョココロネをくれたわけだが俺は何を渡せば良いのか迷っていた。
あーちゃんの好物はパンということは分かっているのだがいかんせんおれにはパンを作るノウハウもなければパンメーカーを持っているわけでもなかったので頭を悩ませた。
さらに1番の問題は時間とお金だ。一人暮らしの大学生はバイトに最後の単位取りなど兎に角時間がない上にバイトの稼ぎは生活費に当てる為に自由に使えるお金が殆どない。これらの理由の為に何をすればいいのか迷っていた。
結局迷いに迷った挙句マカロンにすることにした。何故かといえば単純に女の子が好きそうな感じが来たからという如何にもな理由であるが。ただ調べて店に買いに行くのは少し勇気が必要だった。女性の多い店に男1人が入って品物を吟味するというのはどうしても注目を集めるもので何とも恥ずかしかった。
そしてホワイトデー当日の昼過ぎ、あーちゃんにマカロンの詰め合わせを渡した。
「あーちゃん、これ。」
最終的に店で悩みに悩んだ結果、店員さんオススメのにしてもらうことで事なきを得たがぶっちゃけマカロンがどういうものでどんな味がするのか全くわからない俺にとってはある意味賭けだった。
「開けてもいい?」
「いいよ。」
あーちゃんは包みを丁寧に剥がして箱の中のマカロンを見ると少しだけあーちゃんの目が見開いた。
「しーくん、しーくん。」
「ん?何、あーちゃん。」
「ありがと〜。」
あーちゃんはにぱーっと朗らかな笑顔を向ける。
「どういたしまして。」
悩んだり苦労したりしたがこの笑顔のおかげで報われた気がした。因みにその後ホワイトデーのお返しの意味を偶然知り合いが教えてくれたがマカロンの意味は『特別な人』らしい。あーちゃんがあの後やけに機嫌が良かった理由が分かった。
余談ではあるが隣のクラスのハーレム野郎×2は無駄な主夫力を発揮したお返しのクッキーをバレンタインに贈り物をしてくれた女子全員に配り、女子達のプライドを悉く砕いていたらしい。因みにクッキーの意味は『友達』だそうだ。義理は兎も角として本命として渡していた彼女達には、当人達が無自覚とはいえそれにした原因でもあるクッキーを提案した俺は何だか謝りたい気分になった。
__________________________
今日はホワイトデーという事で1ヶ月前のお返しをするべく俺は頑張って料理を作っていた。大学を卒業後、就職をした俺だが趣味で料理をすることも少なくはなく休日は嫁さんによく作っていた。
メニューは嫁さんの大好きなパンに合うようなメニューを中心にしたコース料理モドキ。あまり知識は無いのでそれっぽく並べた感じだ。前菜はオーソドックスにサラダ、スープには自家製のコーンポタージュ、魚料理はムニエルで一旦口直しのオレンジシャーベットを挟んで肉料理は前日から作っていたビーフシチュー。当然パンは嫁さんの地元のあのパン屋のものだ。
嫁さんはとても嬉しそうにしながら食べていた。
「あとは…はいこれ。」
食後に俺は嫁さんに初めてのホワイトデーの時と同じマカロンを渡す。と言っても中身はあの頃より幾分かいいものではあるが。そしてこれはあの時から変わらない気持ちの証だ。
「なに〜?」
「あの日から変わらない俺の気持ちさ、モカ。」
包みの中のマカロンを見た嫁さんの笑顔は、あの日と同じだった。
時間のためか最後は少し駆け足になりました。後日修正するかも?