「おはようございます、先輩」
目が覚めるなり、隣からマシュの声がした。
体を起こして見回してみれば、金色の花畑に囲まれていた。
「綺麗な、場所ですね」
上を見上げると、空が見えた。
僅かに開いた隙間から差し込む光が、花畑だけを照らしている。
「…先輩」
何かな。
「カルデアとの通信が途絶えました」
やっぱりか。
「先輩が目覚める少し前まで、問題は無かったのですが…」
大丈夫、慣れっこさ。
「…それもそうですね」
「これから、どうしますか?」
いつも通り、また復旧するまで、自分達で頑張ろう。
そう言って、立ち上がった。
マシュに向かって手を差し出す。
「分かりました」
それじゃあ、行こっか。
そこからは、彼の話の通りだった。
トリエルさんと出会って。
「優しそうな人ですね」
パズルの歴史とレクチャーを受けながら、遺跡を進んだ。
「とても分かりやすいです」
マネキンとの3人での会話はどうしようかと思ったけど。
「あなたの名前を教えてください」
マシュとマネキンが繰り広げる吃驚する様なピュア空間は正直、助かった。
「先輩って、人見知りだったんですね」
そういえば、あの子も生きているのだった、ごめんよ。
「この先の会話もどうぞ、わたしに任せて下さい!」
それから、通信の復旧待ちついでに、マシュと話しながら留守番をしたり。
「皆さん、心配しているでしょうか」
犬から電話が掛かってきたり。
「せ、先輩!トリエルさんがワンちゃんに!」
待ち切れなくて結局、先に進んだ。
「勝手に進んでしまって、良いのでしょうか…」
キャンディを一つずつ貰って。
「お一つずつ、ですね!」
落ち葉を踏み鳴らして遊んだり。
「こうしてみると、なんだか楽しいですね」
仲良く落とし穴に落っこちたりした。
「ひゃああー!先輩ー!」
あっ、因みに自分はバタースコッチが好きだ。
「私はシナモンが好きです!」
進んだ先で、二人で喋る岩に必死に頼み込んだり。
「どうか、お願いします!」
例のネズミとチーズシリーズを初めて見つけた時は感動した。
「…くっ付いてますね」
お化けのナプスタブルーク、彼を励ますのは大変だった。
「ヒヤリハット…?冷たいのですか?」
マシュがいなかったら、励まし切れる自信が無い。
「元気が出たみたいで良かったですね」
モンスター達との和解は順調だった。
「わたし達はあなたを揶揄ったりしません!」
モンスター達の好きなことは予習済みだったから。
「分かって頂けたようですね」
…好奇心とは斯くも恐ろしいもので、スパイダースイーツを一つずつ買ってしまった。
「ドーナツですね…えっ、蜘蛛で出来てるんですか…?」
4匹目の蛙を探してみたり。
「わ、小さいですね」
本当に欲しいもの、か。
「何の為にここに来たのか忘れない様にしましょう、先輩」
スイッチの部屋を越えて。
「不思議な部屋でしたね」
そして、とうとう。
「あれは、枯れ木でしょうか」
プルルルル…
バタースコッチシナモンパイを2切れ貰った。
「とても美味しいです!先輩!」
蝸牛の雑学も聞けるだけ、聞いた。
「蝸牛の知識が一つ増えましたね!」
それでも、避けては通れないことがある。
「先輩…?」
外に出たい。
「トリエルさん…?」
時間稼ぎもここまでだ。
「どうされたんでしょうか…」
「どうしても出て行くと言うのね…」
「そう…」
「貴方達も他の人間達と同じなのね」
「なら残る手段は1つしかない…」
「私を納得させて御覧なさい」
「貴方達の強さを証明するのよ」
「…待って」
「…どうして、そんな目で私を見るの?」
「そんな今にも泣いてしまいそうな顔をして…」
「貴方まさか…私の知らないことを知っているの…?」
「いいえ…」
「そんなことはあり得ない…」
さぁ行くよ、マシュ…!
「はい、先輩…!」
来たか
ご注文は?
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SAVE
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RESTORE
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FICTION