「母、というのは、ああいった感じなのでしょうか」
トリエルさんに別れを告げ、針葉樹林の雪道を歩む中、マシュがそう言った。
マシュにとって、母の愛は目の当たりにすることはあれど、初めての経験だったみたいだ。
「…」
デザインベビー。
詳しくは知らないけれど、遺伝情報の上での両親は居ても、本当の意味での両親は居なかったのかもしれない。
マシュの手を両手で包んだ。
「先輩…?」
寂しい?
「…いいえ」
「先輩が、カルデアの皆さんが居てくれますから」
そっか、それは良かった。
「ふふ…」
嬉しいことでもあった?
「はい、再確認、出来ました」
「ありがとうございます、先輩」
こちらこそ。
背後で枝が折れる音が聞こえた。
「今、誰か居ませんでしたか…?」
橋を渡る直前に、背後から握手を求める声がした。
「せ、先輩、ここはわたしが…!」
鳴り響くブーブークッション、マシュの悲鳴。
「ひゃあああああーっ!?」
二人で仲良く詰め所に隠れて。
「せ、先輩、もう少しくっ付いてください、食み出てしまいます」
異次元ボックスを見つけて。
「ダ・ヴィンチさんなら、原理が分かるのでしょうか…」
音楽を聴いたり、写真を釣り上げたり。
「一体、誰の写真でしょうか…」
犬を撫でたり。
「ツルツルでした!」
氷の上でスケートをしたり。
「スイーっと!」
雪だるまと約束をしたりした。
「世界を見たい、その気持ちはよく分かります」
透明ビリビリ迷路に挑戦して。
「ぱ、パピルスさんが黒焦げに…」
ナイスクリームを一緒に食べて。
「だ、抱き合う絵…」
スノーボールゲームで遊んだり。
「赤色…フリスクさんによれば“決意”の色、でしたっけ」
サンズの用意した文字探しで遊んだりした。
「すふぎあろてにぺけなも…すふぎあろてにべけなも…?」
手作りスパゲティを食べようと試行錯誤して。
「…凍ってますね」
犬を撫でたり。(2回目)
「な、撫で過ぎました…」
犬を撫でたり。(3回目)
「フワフワでした!」
○×パズルを解いたり。
「踏むと変化するんですね、覚えておきましょう」
パピルスお手製のパズルを解いたり。
「あぁ!2回踏んでしまいました…」
カラータイルパズルを解いたり。
「え、えっと、赤が通行禁止で、黄色が電撃ショック、緑は警報装置、オレンジはピラニアの好きなオレンジの香りのタイル、青はピラニアの池で黄色と隣り合わせだと感電して、紫はピラニアが嫌いなレモンの香りの石鹸タイル…あれ?黄色の床がでしたっけ…?」
前衛芸術を観賞したり。
「素晴らしい雪像ですね!」
犬を撫でたりした。(4回目)
「モフモフでした!」
そして。
「吊り橋ですね、落ちないように気を付けて進みましょう」
スノーフルの町に到着するなり、モンスターが飛び掛かってきた。
「フォーウ!」
「せ、先輩!」
危なげなく受け止めて、いつもの様に肩に乗せてあげる。
「フォウ」
「だ、大丈夫ですか!?…ってフォウさん!?何故こんなところに…」
最近、姿を見ないとは思っていたけれど、先に特異点に到達していたらしい。
「フォウフォ!」
「随分と馴染んでいる様に見えますが、一体いつから、この町で暮らしていたのでしょうか…」
フォウ君、一緒に頑張ろうね。
「フォフォーウ!」
「頑張りましょう!」
「複雑な感情について、語っても良いか…?」
「それは…」
「自分と同じ様に、パスタを愛する者達を見つけた喜び…」
「自分と同じ様に、パズルが得意な者達への憧れ…」
「イケてて、頭も良い奴に、イケてると思われたいという願い…」
「これこそ…」
「きさまが今、抱いている感情だなッ!」
「オレ様には、そんな気持ちはサッパリ分からんがッ!」
「何しろオレ様は偉大なるパピルス様だからッ!」
「友達が沢山居る奴の気持ちなんて、フツーに知ってるし!」
「悲しい人間達よ…きさまらは哀れだ…」
「だが、案ずるな!オレ様がきさまらを悲しませたりしない!」
「この、偉大なるパピルス様が、きさまらの…」
「…」
「ねぇ、なんで人間達と一緒にいるの?」
「え?前からお友達だった…?」
「そっか、それじゃあしょうがないね…」
「…」
「えぇーーーーー!?ズルいぞきさまーーーーーッ!」
来るよ!マシュ!
「行きます!」
「フォーウ!」
カルデア…
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