Fate/UNDERTALE   作:Feles

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かつて魔術師はこう言ってキャスパリーグを送り出した。“美しいものに触れてきなさい”と

────そうだ。私は本当に、美しいものを見た

刃を交えずとも倒せる悪はあり、血を流さなかったからこそ、辿り着ける答えがあった

おめでとう、カルデアの善き人々。第四の獣は、君たちによって倒された


番外劇(Extra Play)大冒険ビースト(Beast Adventure Ⅳ)

冷たい感触に目が覚めた。

ここは、洞窟だろうか。

…花の香りがする。

忌々しいアイツを思い出して、少し気分が下がる。

とりあえずは、そちらを目指すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう時間も経たずに、花畑に辿り着いた。

巨大な玉座と、その前で鼻歌交じりに水やりをする、ささやかな王冠を被った巨体が見える。

アイツの姿が過り更に気分が下がる。

…目の前の存在に罪は無い、声を掛けた。

 

「…これは驚いた」

 

「おっと失礼…改めて」

 

「ハロー!私の名前はアズゴア・ドリーマー」

 

「君の名前を教えてくれるかな?」

 

ヤギの様な姿をした巨体はそう言った。

だから、彼女にした様にただ一言、返してあげた。

 

「ありがとう」

 

「それで、私にどんなご用件かな?」

 

人を探している。

ダ…個性的な服装をした、人間の子供だ。

 

「…申し訳ないけれど、見かけていないよ」

 

残念だ、他を当たることにしよう。

 

「少し、良いかな?」

 

何だろうか。

 

「…もしも、その子を見つけたなら、ここに近づかないよう言ってくれないかな」

 

何故。

 

「…いや、何でもないよ、忘れておくれ」

 

…。

 

「探しに行くのなら、そこを出て右に進みなさい」

 

「私がニューホームと呼ぶ都に着くだろう」

 

「そこを道なりに抜けるとエレベーターが見つかるはずだよ」

 

「そこから先は申し訳ないけれど、アルフィーを頼っておくれ」

 

「連絡は入れておくからね」

 

「いってらっしゃい」

 

ありがとう、さようなら。

 


 

 

 

「キミがアルフィーの言っていた子猫ちゃんかな?」

 

エレベーターを降りてみれば、急に自走式マイクスタンド付テレビが話し掛けてきた。

 

「…?誰の話をしているんだい?」

 

「まぁいっか!ようこそ、コアへ!」

 

「ボクの名前はメタトン!この地底世界のスーパースターさ!」

 

なんだこいつ、聞いてもいないことをペラペラと。

 

「…そして、キミも今日からボクのファンというわけだね!」

 

一体何の話をしているのだ!?

 

「それで、何故スーパースターなボクが一ファンのキミに話しかけたのかというと…」

 

このまま放っておいて先に進めないだろうか…

 

「待つんだ子猫ちゃん!せっかちさんなんだから!」

 

抱き上げられた。

 

「ここは迷路みたいに入り組んでいてね、迷い猫ちゃんになっちゃったら大変だよ!」

 

「それで、キミがアルフィーの言っていた新しいモンスターで合っているかな?」

 

アルフィー…?

あぁ、あまりのインパクトに忘れていた。

 

「それは良かった、もう先に進んでしまったのかと心配していたところさ」

 

「これからだけれど、ボクがアルフィーのラボまで案内することになっていてね」

 

「このままでも良いかな?」

 

案内を受けられるのならば、是非も無い。

 

「OH!YES!LET'S GO!」

 


 

 

 

「は、は…初めまして!わ、わたしはアルフィー」

 

「よ、よ、よ、よろしくね!」

 

自動ドアを潜った先に待っていたのは、とても笑顔とは思えない形相の野暮ったい眼鏡をした、カメレオンの様なモンスターだった。

 

「あ、あなたが、アズゴアの言っていたモンスターで合っているわよね…?」

 

自信なさげな様子の彼女にゆっくり頷いてあげた。

 

「良かった!ま、待っていたわ!」

 

「いや、本当はもう少し遅い方が良かったんだけれど…」

 

「あ、あ!いや、じゃなくて、あ、あの、えぇっと」

 

「…」

 

電池の切れたロボットの様に沈黙してしまった。

大量の汗のみが彼女が生物であると証明している。

この機能はメタトンの方に実装して欲しい。

いや、汗じゃなくて沈黙の方を。

 

「………あ、あの」

 

何だろうか。

 

「あなたは…こ、ここに落ちてきた人間を、探しているのよね?」

 

その通りだ。

 

「ご、ごめんなさい…アズゴアから連絡を受けて、急ピッチで貴方専用の地図機能付携帯型人間探知機を作っていたのだけれど…」

 

ここに辿り着くまでの、たった数十分で出来る筈がな…

 

「あと5分も掛からないしってインスタント麺作ってたら」

 

「あなたが来ちゃったの…」

 

さてはお前、変装したダ・ヴィンチだな?

 

「あ、あ、えへへ」

 

うーん、この反応は白。

分からないことは笑って流そうという魂胆が透けて見える。

 

「そ、それより!あ、あぁ、も、申し訳無いのだけれど、もう少しだけ、ま、待ってくれないかな?」

 

出来れば早くして欲しいが、ここで待たなければ、探すのにどれ程時間が掛かるか想像もつかない。

それに、よく考えるまでもなく全て親切のみでここまで来た。

待たない理由は無い、頷いて見せた。

 

「ほ、本当!?ま、待ってて!すぐ出来るから!」

 

インスタント麺を放置して自動階段を駆け抜けるのを見届けた。

 

「きゃあー!!!」

 

物凄い音が聞こえた。

…これは、時間が掛かりそうだ。

 


 

 

 

「お前がアルフィーの言っていたモンスターか?」

 

鉱石の星空を眺めていたら、バーサーカーを彷彿とさせる全身鎧に話し掛けられた。

…寿司の臭いがする。

 

「こんな場所に座り込んで何をしているんだ?探し物はどうしたんだ?」

 

水辺に目を向け、足止めを食らっていることを伝える。

 

「…なるほどな、いつもならあの鳥が居るんだが、運が無かったな」

 

「少し戻った場所に店があっただろう」

 

「そこを右に曲がると船の乗降場がある、行ってみたらどうだ?」

 

これは良いことを聞いた。

 

「…待て、お前は外から来たモンスターらしいな?」

 

そうだ。

 

「外の世界のことを少し聞きたいんだが…」

 

「やはり外には、巨大な剣や魔法使いのプリンセスが、居るのか?」

 

巨大な剣(岩の塊)魔法使いのプリンセス(裏切りの魔女)なら居るな…)居る。

 

「本当か!?なら…猫耳の付いた人間は居るか?」

 

(猫科だし、獅子耳の女(純潔の狩人)も有りか…)居るとも。

 

「そうなのか…」

 

嬉しげな声に、あれらの何が良いのかよく分からないが満足して貰えたようだ。

話し過ぎた、先を急ごう。

 

「これは、次に人間が来るのが待ち遠しくなってきたな!」

 

…どういうことだ?

 

「…ん?あぁ、お前は外から来たから知らないのか」

 

「お前がどうやってここに来たのかは知らないが」

 

「ここ、地底世界の出口は一つしかない」

 

「そして、その出口にはバリアが張ってある」

 

「人間だろうが、モンスターだろうが誰も通り抜けることの叶わぬ強力な壁…」

 

「それを打ち砕く唯一の手段…」

 

「それが、人間の魂だ!」

 

「7つ」

 

「7つの人間の魂…」

 

「それが手に入ればアズゴア王は神となる」

 

「6つ」

 

「我らがこれまでに集めた魂は6つ」

 

「そう…」

 

「あと1つで、7つ目だ」

 

「あと1つ手に入れば、全てが変わる」

 

「それがたとえ…」

 

「お前の大切な人間であったとしてもだ!」

 

「お前より先に見つけ出し、魂を奪い取ってみせる!」

 

「アズゴア王の為に!」

 

「この地底世界の、全てのモンスターの為に!」

 

そう言って、姿を消した。

…次に遭遇する時は、敵同士だろう。

黄色い小鳥の足に掴まりながら、再開することが無いことを願った。

 


 

 

 

「ニャハハハハハー!」

 

雪の降る町を歩んでいると、町の端から高笑いをしながら何かが駆け抜けてくるのが見えた。

 

「おいきさま!そこを動くな!」

 

「とぉおう!」

 

スケルトンが空高く飛び上がった。

空中で華麗に宙返りをして、頭から着地した。

 

「ンーッ!ンンーッ!」

 

臨戦態勢のまま、暫く呆然としてしまった。

頭を掘り返して救出するとしよう。

 

「ブハァッ!」

 

「ニャハハ!助かったよ!ありがとう!」

 

そう言って、スケルトンは素早く立ち上がった。

…頭に雪が乗ったままだ。

 

「…ゴホン、さて」

 

「オレ様はロイヤル・ガードを目指す、偉大なる男…」

 

「パピルス様だ!」

 

「アンダインから話は聞いている!」

 

アンダイン…あの全身鎧のことか。

町のモンスターの話を聞く限り、近衛の長らしい。

ということは、このスケルトンはロイヤル・ガードだろうか。

 

「きさまが、新しいロイヤル・ガード見習いだな!」

 

 

「オレ様が来たからには、安心して欲しい!」

 

「オレ様がきさまを立派な戦士に育ててみせる!」

 

??

 

「教えることは山程あるぞ!」

 

「人間を捕らえるためのトラップ!」

 

「人間を惑わせるパズル!」

 

「スパゲティの作り方!」

 

「ロイヤル・ガードのみんなへの挨拶も忘れずにね!」

 

???

 

「それが終わったら、町を抜けた先にある森に来るが良い!」

 

「森には至るところにパズルが設置されている!」

 

「それを解きながら進むのだ!」

 

「安心しろ!解けなかった時の為に、常に傍に居てやるぞ!」

 

????

 

「オレ様は一足先に、森で待っているぞ!」

 

「きさまのパズルを解く力に期待している!」

 

「ニャハハハハハー!」

 

…?????(宇宙の深淵を見た猫の顔)

 


 

 

 

雪の積った林道を独り歩む。

パピルスとは、見張り小屋で眠る彼の兄に怒鳴り散らしている隙に別れた。

…静かなものだ。

たった一人、居なくなっただけだというのに。

…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉が見えてきた。

探知機が震える。

ここに来て、初めて反応を示した。

自然、駆け足になった。

やっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辿り着いた扉は、何をしようとも開くことは無かった。

ここまで来て、何故。

やっと、見つけたのだ。

諦められるものか。

渾身の力で扉に体を叩きつけた。

…意味は無かった。

雪に体を投げ出し、小さく鳴いた。

 

「あら、珍しいわね」

 

「今日は違う子が来たのね」

 

突然、聞こえた声。

出所を探り、気付いた。

扉の中だ。

 

「貴方、何をしにここまで来たの?」

 

この先に居る筈の人間を探しているのだ。

ここを開けて欲しい。

 

「…ごめんなさい、ここは開けられないの」

 

「でも、人間が落ちてきたのね?」

 

「教えてくれてありがとう、私はその子を探してみるわ」

 

「もし、見つけたら貴方にも教えてあげるから、安心して」

 

「きっと、貴方にとって大切な子なのでしょう?」

 

「どんなことがあっても、決して悪いようにはしないと、約束するわ」

 

何故、そこまでするのか。

モンスターにとって人間とは忌まわしいばかりではないのか。

パピルスでさえ、そうだったのだ。

貴女を信用出来ない。

 

「…6人よ」

 

モンスター達が集めた魂の数だ。

やはり貴女は!

 

「私が信じて送り出した人間の数よ」

 

「地上へ帰りたいと、みんなそう言ったわ」

 

「だから、地底世界のことを出来る限り教えてあげたの」

 

「アズゴアの恐ろしさを」

 

「でも、みんな、出ていった」

 

「そして、死んだ」

 

「次で、7人目だわ」

 

「私は、もう二度とここから人間を出ていかせるつもりは無いわ」

 

「それはつまり、貴方に会わせるつもりは無いということ」

 

「でも、それがその子を救う方法だって、信じているわ」

 

「…ごめんなさい」

 

…。

 

「…もし、もしもよ」

 

「ここから人間が出てくることがあったら」

 

「その子を守ってあげてちょうだい」

 

勿論だとも。

 

「わざわざ、言う必要も無かったわね」

 

「…お願いよ」

 

足音が遠ざかっていく。

少し、疲れた。

暫く眠ろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、こんなところで寝転んでたら、寝込むことになるぜ?」

 

「猫だけに?」

 

さっきまでの気持ちを返して欲しい。




もう一度、奇蹟を望まずにはいられないのだ。

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