王国が反転した。さぁ、控えろ人類(仮) 作:銀髪!銀髪!
「——ン——カレ——カレン!」
「ん・・・」
誰かに———織斑君の声で目を覚ます。どうやら私は眠っていたらしい。寝る前は・・・確かISのスラスターについての授業だったはず。担任の先生は山田先生。そして副担任は・・・。
「私の前で堂々と居眠りとは、甘く見られたものだな」
SHULAがいた。腕を組み、仁王立ちしている織斑先生が私の席の前で仁王立ちしていた。背後に筋肉ムキムキで、鉄のように硬そうな黒髪が獣の鬣のように靡いている巌のような狂戦士が雄叫びを上げているような錯覚を感じる。
織斑先生の手に緑の皮で覆われたタブレット型の出席簿、その出席簿がまるで、巨大な斧のように恐ろしい武具に思えてしまう。
「も、申し訳ありません!すこし考え込んでいたらつい・・・」
「そうか。普段の生活を鑑みて今回は見逃してやる。次はないぞ」
「は、はい・・・」
流石はIS乗り最強。ギロりと向けられる視線だけで、背中に冷たい鉄棒を入れられた感じがする。織斑先生は呆れたようにため息をついて、山田先生に授業を再開するように言った。
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「珍しいですわね。カレンさんが授業中に睡眠を取られるだなんて」
休み時間。私と織斑君の席にオルコットさんがやってくる。ちなみに篠ノ之さんは私が休んでいる間に、恐らくだが織斑君と喧嘩したらしい。
「休んでいる間に何かあった?もし手伝えることがあるなら言ってくれ。出来る限りは協力するから」
「そうですわ。悩みは隠さず、ルームメイトである私にも教えてくださいまし」
こう言ってくれる二人はとても優しい人達だ。だが、私の悩みなんて言えるはずがない。
「ありがとうございます。ですが、今抱えている問題は企業代表としてのものです。あまり安易に、他人に漏らすことも出来ませんから。その優しさだけで十分です」
言えるはずがないだろう。所属しているDEMが近々、兵器実験のためにIS学園を襲撃しに来るなど。どんな顔をしてそれをいえばいいと言うのだ。冷徹に?高圧的に?友好的に?業務的に?
無理だ。私には言えない。
「そっか。でも本当に困っている時はなんでも言ってくれよな」
眩しいくらいの笑顔。いつもはカッコイイと思い、注視してしまうその顔を正面から見ることが出来ない。もし、私達DEMが襲撃することを知ったら、それを私が止めようとしていないことを知ったら・・・。考えるだけで怖くなってくる。
私はそう思ってしまうほど、彼らを信用し、信頼しているのだ。それは私が成長したのか、若しくは脆くなったのか。
姉さんは間違いなく弱くなったと断言するだろう。ウエストコットMDに心酔しているあの人のことだ。私なんて唯一血が繋がっている存在で、DEM屈指の技術者としか見ていないだろう。
私はどうしようもなく弱い。自分で何一つ決めず、大事な選択は第三者に任せ、流されるままに生きてきたせいで、自分では何一つ行動を起こすことが出来ない。
今私を支配しているのは恐怖だ。DEMから、ウエストコットMDから見捨てられれば、私の生涯は幕を閉じたといってもいい。あの人は捨てた者を追い潰すなんてことはしないが、忠臣である姉さんは裏で手を回し、あらゆる手で潰しに来る。そうなれば、私の未来は光を一切失ってしまう。
結末がバッドエンドだと分かっている道を進む勇気が私には無い。あの頃の地獄のような生活が、脳裏に染み付き、心を今でも蝕んでいるからこそ。
「はい、ありがとうございます」
作り物の笑みを浮かべる。自分の顔を見なくても分かる。気持ち悪くて吐きそうだ。
結局。私が出来るのは罪の意識に苛まれながら、織斑君を観察し、報告することだけ。
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私の前に中学生が立っている。まるで猫を思わせる瞳、それに動作、私のことを下からジロジロと覗き込んでくる。IS学園の制服を改造して着ていることから高校生だと理解できるが・・・。
「へぇ、アンタがDEMの企業代表?なんか鈍臭そうな感じね。こう、どこか抜けてるっていうか」
ムッ、どこか抜けているのは私ではなく姉さんだ。姉さんは常に
その日から会社内での姉さんのあだ名は『もやしっこー部長』。私のいる研究班にまでその名前は伝わってきた。
でも私は違います。普段から週に二回、会社に常備されているトレーニング施設を利用して計画的に体作りとストレス発散をしています。間違っても姉さんみたいなもやしではありません。
「中国代表候補生の凰鈴音よ」
「・・・カレン・N・メイザースです」
なんだろうか。私は凰さんが苦手だ。性格の相性?というものでしょうか。
「鈴は俺のセカンド幼なじみなんだ」
幼なじみなのは分かります。セカンド?幼なじみにセカンドもサードもあるのでしょうか?
「セカンド・・・?ではファーストは?」
「私だ」
ああ。出会った順ですか。確かに少しだけどこか抜けている所がある織斑君が考えそうなネーミングですね。もっとこう、オシャレ感が欲しいです。
「それで何故凰さんは日本に?こんな中途半端時期に転校してくるなんて、よっぽどの事があったんでしょう?」
「そんなの、私の専用機が完成したからに決まってるじゃない。データ取りよ、データ取り。それに今年は、世界唯一の男性操縦者の一夏もいるのよ。むしろ来ない方が可笑しいでしょ」
元々中国は今年は消極的な活動を見せる予定でしたが、急な織斑君の出現で動く必要が出てきたのでしょう。ロールアウトしたばかりの第三世代、そして織斑君と
「あ、そうそう。ねぇ一夏。その・・・今度のクラス対抗戦でさ、私が勝ったら・・・その・・・付き合ってよ」
「「「は?」」」
凰さんの言葉に私と篠ノ之さん、オルコットさんの口からドスの効いた声が出てしまう。今凰さんは何を言った?クラス対抗戦で勝ったら付き合って?なんでこの子は突然そんな告白してるんですか?
「おう、いいぜ」
「「「は?」」」
また漏れてしまった。同時に私達の中で何かが瓦解する音が聞こえる。それは学園に入学し、織斑君と触れ合い始めた時からコツコツと積み上げてきた何か。それが一瞬で灰となって消えていく。
「買い物にだろ」
「え?」
凰さんの間抜けな声。そして落胆、それに対して私達は心底安堵している。そうだ、たった一ヶ月でも織斑君の鈍感さには何度も思い知らされている。そんな簡単に城壁のように聳え立つ鈍感という壁を崩せるはずもない。
なにせファースト幼馴染である篠ノ之さんでさえ超えられないのだ。いや、決して越えてほしい訳では無いが。
「い、一夏のバカー!」
凰さんは顔を真っ赤にして猫のようにキシャー!と声を上げてどこかへ行ってしまう。恐らく自分のクラスの2組に戻ったのだろう。
「鈴の奴どうしたんだ?」
一人、織斑君が凰さんの行動の意図に気づけず、いつも通りの呆れるほどの鈍感さを発揮する。もうクラスの皆は慣れてしまったようで、遠目に苦笑している。きっと私の知らないところで、誰もが織斑君の鈍感さの餌食になっていたのでしょう。
「?みんなどうしたんだ」
「いえ、やはり織斑君は織斑君だったと」
何が言いたいのかイマイチ理解出来ていない織斑君の顔。そんな織斑君を苦笑するクラスメイト達。今まで知らなかった場所で、一人の少女として生きている私。
この日常が、永遠に続けばいいと思った。穏やかで何も変わらない平穏が。自分がただの人間でいられる時間が愛おしい。
でもそれは不可能だ。ここに
いないはずのあの人の笑い声が、私の耳に聞こえてくる。なんて酷い幻聴だ。
「すみません・・・」
漏れ出た私の言葉は、誰の耳にも届くことなく皆の喧騒に消えていった。
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DEMインダストリー———支部。
ここにある支部は地上に立つビルは他の支部よりも少しだけ小さいが、周辺を警護している
他の支部よりも取り分け重要度が高いこの国の支部は、今現在最高の警備体制が敷かれていた。警備体制を最高にする理由など、考えれば直ぐに思いつく。すなわち最重要の要人が訪れているということ。
事実、現在クレタ島で行われたバンダースナッチの実験から、途中で休息を置き、更には行先を悟られにくくするために無駄に進路を取り続け、ほぼ世界一周をしていさきていた、アイザックとエレンが訪れていた。
目的は支部の地下に監禁されている人物と話すこと。それのみである。
支部の地下は蟻の巣の様な構造になっている。違うとすれば無駄も不備もない設計であること。計算されて建設された地下は、音が漏れることも、掘り当てることも出来ない。無論、安全面も最大限に考慮されている。
監禁されている者達がいる場所のへ入口は一つしかない。その一つも、常に隊長クラスの
警備の
彼らが目指すのは施設の最奥。この場所で最も危険な人物が監禁されている場所。
監禁されている部屋、と聞けば薄暗い鉄の壁に囲まれているイメージだったが、そこは違った。木製の床や壁に、地中深くのはずの部屋に差し込む陽光。置かれている家具や娯楽品などは、とても監禁のために率いている部屋には見えない。
そんな部屋を、
透明な壁の向こう側、アイザックの対面に座っている一人の少女にして、この部屋の主。
「久しぶりだね、——。少し退屈そうだけど、元気そうで良かったよ」
「———」
アイザックの言葉に、嬉しそうにする少女。その様子にアイザックは満足そうに頷き、本題へ話を促す。
「早速で悪いんだけど、君にはIS学園に行ってもらうよ」
「———」
「知っていたのかい?なら話が早い。遠からず
「———?」
「いや、違うんだ。君は、何もしなくてい。文字通り、指示があるまで何も」
「———?」
「幸いにも、誰も君のことなんて知らない。当たり前だ。君が
「安心するといい。今回はただ便乗するだけさ。ちょうどいい所に動こうとしている国があったからね。そこに君を乗っけたのさ」
「———」
「君も彼女のように楽しんでくるといい。遊ぶも壊すも君の自由さ。ああ、でも織斑一夏君は壊さないで置いてくれないかな?アレは私が遊ぶ予定だからね」
「———?」
「心配してくれるのかい?大丈夫だよ。所詮、数ある手札の一枚を切っただけだからね。それに今回切る予定の手札なんて、私からしてみればあってないようなものさ」
アイザックは立ち上がってガラスに向かって右手を伸ばす。まるでこちらへ来るように誘うように、魔王は忠実な下僕に手を差し伸べる。
「さぁ、この狭い檻から出る時だ。君という暴力が、今の私に必要だ」
アイザックの言葉に、頬を赤らめさせては飛び跳ねるように動きながら準備し始める少女。彼女もまた、エレン、狂三といったように、アイザック・ウエストコットに魅了された人間の一人だった。
お か し い。
IS学園———カレン側が全然書けなくなった・・・。グダグダしたものしか書けなくて、仕方なく字数稼ぎで数話先に出す最後の話を出したけど、完全に駄作への道へ一直線じゃないか。
ごめんなさい読者様方。どうかこの卑しい作者を見捨てないでくださいませ。