王国が反転した。さぁ、控えろ人類(仮)   作:銀髪!銀髪!

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カレンスクール

「ISコアの総数は467個。そのうち187個が・・・・・」

 

1年1組の副担任である山田真耶の懇切丁寧な授業。内容はISに関しての基礎の基礎。専門がISではなくとも研究者の私が手こずることはありませんね。そもそも、IS学園の偏差値からすればこの程度の問題、知っていて当然のことでしょう。

 

「・・・・・・」

 

・・・どうやら織斑一夏は例外のようですね。無理もないでしょう。備えていたわけでもなく突然のIS学園への入学。ISについての知識、小学校6年分と中学校3年分、合わせて9年分を発見されてから1ヶ月以内に覚えるなど不可能でしょう。ですが織斑一夏の成績は中の中から上の下。ISに関して初歩の初歩のこの授業なら手こずることはないと思うのですが・・・。

 

「ええっと・・・ここまでで何か分からない所は・・・」

 

一夏の様子を見かねて山田先生が助け舟を出そうとする。彼の様子からして山田先生も彼がほとんど理解していないと分かったのだろう。

さらに見かねて織斑先生が助け舟を出す。

 

「織斑、入学前に届けられた資料はどうした?」

 

「それってあの電話帳みたいなもの?電話帳と間違えて捨てちゃいました」

 

予想外の結論に織斑先生が黙ってしまう。せめて中身、表紙などは確認しなかったのだろうか?というかそんな大切なものをそんな簡単に捨てるだろうか?

 

「全く・・・。新しく発行してやるから一週間以内に全て覚えてこい。それまでは・・・メイザースから見せてもらえ」

 

一瞬こちらを見て躊躇った・・・ということは私については既に知られているということですか。今までIS世界に無関心を貫き通していたDEMから強制的に送り込まれてきたIS乗り。警戒しないはずがありませんね。

 

「えっと・・・」

 

これは願ってもないチャンスですね。観察対象について知り、上層部へ報告することが私の任務。あちらから近付いてくるのなら便利なことこの上ない。

 

「いいですよ。それと、ここからでは見えにくいのでもう少し近くによった方が見やすくなるかと」

 

「あ、そうか。ありがとう、メイザースさん」

 

「カレンと呼んでください。メイザースと呼ばれるのはあまり好きではないので」

 

「分かった、カレンさん」

 

「〜〜〜〜〜!!」

 

これはかなり強烈ですね。このイケメンスマイル、かなり危険ですよ!恐らくこれを無意識に撃っているとなると・・・一体どれだけの女性が撃たれてきたのか・・・。

そう言った会話をしていると、クラスほぼ全体から私に対して殺気が送られてくる。特に大きいのは正面の織斑先生と左隣の特級警戒人物である篠ノ之束の妹で、二級警戒人物である篠ノ之箒。

確か織斑一夏とは幼馴染という話ですが・・・。

 

「ゴホン!そういえば先にクラス委員を、決めなければならないことがあったな。その件で遅れてきたんだ」

 

わざとらしく介入してくる織斑先生。恐らくは弟を取られたくない一心だろう。弟愛(ブラコン)ですか。報告書にあった通りですね。

 

クラス委員ですか・・・。本来なら誰もがやりたがる役職でしょう。私は観察任務に支障が出るのでやることはありませんが。当然人気も高いですが・・・今年は織斑一夏になりそうですね。

 

織斑先生が推薦で決めるというと一斉に織斑一夏を押す声が上がった。本人は織斑と呼ばれても自分という自覚はなかったようだが。流石にクラスほぼ全員から言われれば自分ということもわかるだろう。

さて、このまま織斑一夏がクラス委員になると思っていたのですが・・・そういえばこのクラスには面倒なのがいましたね。

 

イギリスの代表候補生であるセシリア・オルコット。名家オルコット家の当主であり。IS適正Aという高い数値を出し、更にはイギリスご自慢のBT兵器を乗せた最新型の第三世代の専用機を預けられた天才。

報告では女尊男卑思想を持っているとされていましたが、どうやら事実だったようですね。

 

オルコットさんはまずは織斑一夏から罵倒し、更には日本までも罵倒してきた。曰く極東のド田舎。曰くサーカスだとか。全く、頭に血が登りすぎてますね。

IS代表候補生が他国を蔑むということは間接的な宣戦布告。こんなことがもし本国へと報告されれば代表候補生から除外され、もちろん専用機など没収。恐らくはオルコット家の財産さえも奪われることになるでしょう。

そう思った矢先に今度は織斑一夏が罵倒を始めた。曰くイギリスの食事は不味いと。

そう返されたオルコットさんは今度は周りの方々を罵り始める。このクラスは織斑一夏が日本人ということを配慮したのか、オルコットさんと私を除いて日本人で構成されている。このまま日本の悪口を言い続ければオルコットさんはクラス中から目の敵にされてしまう。

はぁ・・・これではどっちもどっちですね。

 

「二人とも、そこまでにしておいて下さい。特にオルコットさん。貴方はご自身の立場について理解されてないのですか?これは最悪、国際問題にまで発展するかもしれないんですよ。

それと、織斑君もです。イギリスにだって日本に劣らないものはあります。自分の知ることことだけが世界の全てというわけではありません」

 

一通り、思っていたことを喋るとみんな黙ってしまった。視線は丸くなり、私へ向けられている。何か変なことでも話したのだろうか?

 

「メイザースの言う通りだ。そうだな・・・クラス代表は一週間後、決闘で決めることにする。織斑には専用機が国から支給される。時間も丁度いいな。山田先生、あとは任せます」

 

そう言うと織斑先生は下がっていく。指名された山田先生は未だに困惑している。こういった空気に弱いのだろう。

 

「えーっと・・・それでは授業を再開しますね」

 

そう言った山田先生の顔は、疲れながも笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

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はぁ・・・疲れました。やはり小学校以来の学校は少しだけキツイですね。周りの方々の趣味嗜好が何を言っているのかさっぱりです。今まで開発者として生きてきた私ではほとんどついていけません。

織斑君との接触は上々ですね。あちら側にかなりいい印象を与えられたようですし、この調子なら任務にもなんら問題は出ないでしょう。

 

さて、私の部屋はここですか。しかし寮となると少し困りましたね。本社への報告のタイミングを図らなければ。ただでさえDEM所属ということで色々と監視されているのですから、せめて部屋ではゆっくりしたいです。

 

扉を開けて部屋に入る。とりあえず部屋を見渡していく。どうやらシャワーに同室の人がいるようだ。二つある備え付けのデスクの上には荷物が乗っている。

はて、どういうことでしょうか?資料で見たIS学園の寮部屋のベッドはシングルベッドが2つのはずですが・・・1つだけ明らかに貴族嗜好の豪奢なベッドがあるのですが・・・。

 

「あら?貴方が同室の方ですか?」

 

背後から声がする。とても聞き覚えのある声だ。案の定、振り向いてみるとそこには瑞々しい金髪の髪、大きめの2つの双房をバスローブで隠しているセシリア・オルコットがいた。

 

 

「確か・・・メイザースさんでしたね。改めて、私はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生をしております」

 

「よろしくお願いします。私のことは・・・どうやら知っているようですね」

 

苦笑しながら答える。恐らくイギリス政府からも自分のことは伝わっているだろう。なにせDEM本社があるのはイギリスだ。カレンのことは公にされていないが、オルコットさんは代表候補生であることから雑誌のモデルなどにも抜擢されこともあるため、イギリスでの認知度は高い。

 

「えっと・・・このベッドは?」

 

「これですか?本国から持ち込んできた特殊なものです。夜に寝る前に私とブルーティアーズとの適合係数を測ったりするものなので・・・あと外見が無骨でしたので少々手を加えたらこのような大きさに・・・」

 

どうやら少なからず悪いと思っているようだ。なるほど。オルコットさんの専用機である『ブルーティアーズ』にはBT兵器という遠隔で操作ができる特殊な装備が付いている。だがその性質上、ISの適合値と同時にBT兵器の適合値も必要とされるので、両方への高い適性を持つ人は少ない。

恐らくオルコットさんは双方で高い適合値を出しているのだろう。だからこそ、常に適合値を測れるようにしたのか。それとオルコットさんとBT兵器の適合値を更に高め、またIS学園での戦闘データを元に新たなBT兵器の開発。それくらいの理由でなければイギリスがブルーティアーズを外に持ち出すはずがない。

 

「いえ、特に邪魔というわけでもありません。気を使わなくて結構です」

 

「そう言ってくれると助かります・・・」

 

幸運なことにベッドとベッドの合間には簡易的な壁がある。問題になることはないだろう。

 

「それと私のことはセシリアで構いませんわ」

 

「それなら私もカレンと呼んでください」

 

しかし、BT兵器の専用機持ちが同室ですか・・・。このことは上に報告を・・・いや、あの人(アイザック)がこの程度のことに興味を持つとは思えない。恐らく適当に流されて終わるだろう。

 

無線兵器・・・私の新しい開発のテーマにするのもいいですが、生憎今は『アレ』の開発を進めなければ。全く、監視任務に開発。それを学校生活の合間に行なえとは・・・相変わらず無茶な注文ですね。

 

 

 

 

 

 

 

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「ふんふふ〜んふ〜ん!」

 

薄暗い、機械に囲まれ機会が散乱している部屋で、一人の女性が楽しそうに鼻歌を歌いながら何かを弄り、組み上げていく。設計図などどこにもない。あるとすれば女性の頭の中のみ。理不尽なまでの頭脳を駆使して、女性は何かを組み上げる。

 

「束様。お茶が入りました」

 

扉が開き、外気と光が部屋に入り込む。扉から入ってきたのは目を瞑った車椅子の少女。少女の手にはお盆とその上に紅茶が入っているであろうティーカップがある。

 

「ありがと〜クーちゃん!」

 

束と呼ばれた女性は軽い足取りで少女の元までステップを踏む。彼女こそが篠ノ之束。この女尊男卑の時代を作った原因であるISを開発した人物であり、世界が探し求める天災の天才。例え機械のウサミミを生やして不思議の国のアリスのような格好をしていても、彼女は当然のようにあと数百年は教科書に乗るほどの天才なのだ。

 

「うーん!今日も美味しいよ、クーちゃん!」

 

「ありがとうございます、束様。それで、そちらは?」

 

クーちゃんと呼ばれた少女が光の差し込む奥を見る。そこにあるのは巨大な鋼の塊。白で塗装された最強の兵器。

 

「あ、これ?これはね〜いっくんへのプレゼントなんだ〜!束さんが直々に完成させた第四世代型ISの試作機なんだよ!」

 

第四世代型と言われ、驚きを露わにするもすぐに当然だと思うクーちゃん。目の前にいるのは本物の天才。世界が第三世代型で止まっていても、この人だけは止まることはありえない。

 

盲信しているのだ。篠ノ之束を。

 

「では束様、私は戻らせて頂きます」

 

「うん!ありがとうね、クーちゃん」

 

ペコりと一礼して静かに去っていくクーちゃん。その姿が完全に消えると、束は先程まで浮かべていた笑を消して、1つのモニターを映し出す。

そのモニターに映っているのは白い黒スーツの男。束がハッキングして手に入れた映像を流しているのだ。

 

「チッ、なんなんだよこのゴミは。凡人の分際で、細胞レベルでオーバースペックの束さんのISに手を加えようなんて思ってるんじゃねぇよ」

 

それは数日前、束の元に一つのISコアから異常が知らせられた。曰く、ISに全く違う用途のパーツと機能が搭載されようとしていると。ISは束にとっては己の子供だ。その子供が自分が凡人だと罵る男に改造されようとしているのを見ていてもたってもいられなかった。

まずはハッキングから始め、ウイルスを流そうとしたが失敗。何故か先読みされたように数百人体制でファイアウォールを張られて断念した。凡人共の足掻きに苛立ちながら、ミサイルをハッキングしてぶち込んでやろうと思ったが、発射した4分後、海上で何者かに破壊された。

それ以外にもあまたの手を打ってきた。篠ノ之束が打てる限りほぼ全てだ。だがそのどれもが予定調和のように失敗し、束の苛立ちをためていった。

 

束は自他共に認める天才だ。だからこそ、己が認めたもの以外に劣っているとは思いたくないのだ。

 

「徹底的に潰してやるよ、この束さんが」

 

憎悪を瞳に込めて、束はアイザックが映っている画面を睨んだ。




アイク「優秀な人材ってたくさん転がってるよね」
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