王国が反転した。さぁ、控えろ人類(仮) 作:銀髪!銀髪!
やっぱり正体不明だったボスキャラの最後ってだけあって新設定とか新要素、新能力詰め込みすぎ。この作品のアイザックにも設定付け加えなきゃストーリー改変しなきゃでこっちはもうオーバーロード寸前だわ。
それにアイザックがいなくなったら急速に、デート・ア・ライブの終わりを感じてしまう・・・。良くも悪くも、最後までほとんど正体を明かさなかった魅力的なキャラだったからな・・・。
その他にも出版社違うけど俺ガイルの次巻で最終巻宣言。慣れしんだ作品が終わりを告げようとすると胸が痛む・・・。
それと最近十香さんのヒロイン力無くなってませんか?気の所為ですか?
大西洋にはクレタ海、と呼ばれる場所がある。北緯36度東経25度。キクラデス諸島の南、クレタ島の北に位置する東西300km、南北150kmにある。
そんなクレタ海に浮かぶ島。12年前に建造が開始され、2年前にようやく完成したDEMが保有する人工島。
その人工島に、要人を乗せたジェット機が着陸した。
ハッチが開き、出てきたのはDEMの若き社長であるアイザック、そして秘書のエレン。
二人は職員達に出迎えられながら、アイザックを先頭にして歩き出した。
人の道をそれなりの距離歩くと、右手で杖をついた初老の男性が立っていた。男性は気兼ねなく、アイザックに近づき、アイザックもまた近づいた。
「なんだ。今日のお披露目会に来たのはお主だけか」
「ええ。どうやら、そのようですね。エイドリン卿」
「全く。これだから上部の役員連中って奴らは、自分達が使う兵器のお披露目会くらい、ちゃんと参加すればいいものを」
「彼らにとって、あくまで自分の指示通りに動く手駒。兵器として運用するのは自分ではなく自分の部下。要は、そういうことでしょう」
全くもってその通りだ、と大声で言うエイドリン卿と呼ばれた男性。彼はDEMの幹部役員の一人であり、DEMの役員にしては珍しい、自分の利益よりも会社の利益を優先する人間である。
DEMの役員となれば、月に入る金額は莫大なモノとなり、人生ギャンブルをし続けない限りは遊んで暮らせる金が手に入る。だが人は欲深い生き物だ。段々と欲しがり、必要でない分不相応なものにまで手を伸ばす。
DEMの役員はほとんどがコレを実行し、破滅していった。アイザックがこれに関して何も言わないのは、そんな破滅していく彼らを見るのがらそれなりに面白いからという悪趣味な理由からである。
だがエイドリン卿は違う。エイドリン卿は金になどほとんど興味を示さない。
「最近、趣味の調子はどうかな?」
「結構いい調子でやらせてもらっているよ。いやぁ、やはりISを叩き潰すのは気持ちがいい!南アジアの紛争はISの加入が多いからな。遊びに困ることがなくて毎日が楽しいよ」
そう。このエイドリン卿という男は戦争狂である。それも自分が戦うのではなく、部隊を指揮することに楽しみを持った人間なのだ。彼は戦争を楽しむ。指揮を執って撃墜させ、捕らえた捕虜の戦後処理まで。徹頭徹尾、楽しんでいく。
DEMが育てば、より武器は捌かれ、敵は強くなり、エイドリン卿の楽しみも増す。
特にISが出てからその傾向は酷くなっている。まるでシューティングゲームをするかのように、部隊を展開、迎撃してISを潰していく。結果、ISコアはDEMに運ばれ、その元々の所有国に多額の金額を払わせて返却する。
「お待ちしていました。ウエストコットMD、エイドリン卿」
研究所に入ると、まず出迎えたのはカレン。本来IS学園にいるはずのカレンは白衣を着て、DEMの社員証を胸に付けている。
「ああ。わざわざIS学園からご苦労。それで———」
「展示品でしたら、既にシミュレートを終え、実戦に配備させています。こちらです」
カレンに促されて研究所の奥に進んでいく。たどり着いた場所はモニタールーム。巨大なモニターに、複数の小型ディスプレイが展開されている。
アイザックとエイドリン卿は置かれていた二つの椅子に腰掛け、エレンはアイザックの後ろに立つ。
「それでは、これよりフランス製IS『ラファール・リヴァイブ』と、無人魔術師『バンダースナッチ』の実戦を始めさせていただきます。モニターを」
「おお、これが!?」
業務的な口調でカレンの説明が始まると同時に、モニターに映し出された人間大の機械を見て、エイドリン卿は椅子から立ちあがって両腕を広げ、歓喜の声を漏らす。人間と同じ頭部と手脚。弾丸が当たれば滑ってしまいそうな滑らかなフォルム。そして不気味に光る赤い一つ目。完成されたバンダースナッチがそこにいた。
「バンダースナッチの操作は単純です。コマンドを率いて、戦闘。味方がいる場合は連携まで」
カレンが手元のパッドを操作すると、バンダースナッチとリヴァイブの戦闘が始まる。飛び出たリヴァイブが手元のマシンガンでバンダースナッチを乱れ撃つ。対するバンダースナッチは自分の周りに球形の不健康な緑の膜を展開する。
発射された銃弾はバンダースナッチにあたる前に、展開されている膜に当たり、その全てが弾かれる。
「へぇ、
「当然だろう。元々この玩具は限りのある優秀な
ようやくバンダースナッチが動き出す。両腕が変形し、右腕は突撃銃、左腕がレーザーブレードのようになる。内部に武装を隠し持てる。有人ではなく無人であり、頭から爪先まで、完璧な機械であるが故の機構。
恐ろしいのは幾多の武器が内蔵されていることではない。むしろ、脅威とするのは各々の武器の威力。通常の
「ハハハハハ!!!素晴らしい!銃はまるで戦車の砲のように!剣はまるでかの
「それは喜ばしいね」
隣で狂喜乱舞するエイドリン卿を横目に、アイザックは再びモニターに目を向ける。モニターにはバンダースナッチの稼働状況と、ISの残りシールドエネルギーが表示されている。バンダースナッチの稼働率は64%、ISの残りシールドエネルギーは当初の五分の一にも満たない127。これに加え、IS側は更に武器が破壊され、『weapon lost』と表示されている。
「まだ・・・足りないね」
アイザックのその呟きを聴けたのは後ろに立つエレンのみ。他の者達はエイドリン卿の余りの喜びっぷりに少しだけ引いている。
稼働率64%。それだけでISを圧倒できるのなら、素晴らしい数字だろう。だがアイザックが求めるのは64%などという、中途半端な数字で示していいものでは決してない。
「ああ、そういえば近々、
どうしようか悩んだら、すぐに名案が思い浮かぶ。かつて、己の天使の力で見た
丁度いい、と思う。
どの道、いつかは介入する予定だったのだ。ならば今でも構うまい。どちらが優秀か、確かめる必要もある。
「諸君、聞いてくれたまえ」
アイザックがその言葉を告げるのと丁度ISのシールドエネルギーが0になるのは同時だった。研究員達はアイザックの方に身体を向ける。
興奮が冷めないエイドリン卿は、口荒くアイザックに話しかける。
「どうしたどうした!?これから二回目の実戦訓練だぞ!?」
「落ち着いてくれ、エイドリン卿。さて、バンダースナッチの稼働率は64%で合っていたね?」
「は、はい」
アイザックが近くにいた研究員に話しかける。話しかけられた研究員は焦りながらも、手元の端末を確認する。アイザックは研究主任であるカレンを見る。
「64%。つまりはまだ完璧じゃない。成長させる余地はある。より成功度の高い方が、貴方のご趣味も盛んになるでしょう?」
「ふむ、今のままでも充分楽しめるが、確かに数はあった方がいい」
「だから、数を増やす為にもより実用的に、より有効な相手を選ぶ必要がある」
「ですから、こうしてラファールを率いての———」
「何故第二世代を選んだんだい?現代のISは、着々と第三世代への切り替えが始まっている、何時途切れるか分からない旧型の第二世代ではなく、まだ発展の余地がある第三世代と戦うべきだと、僕は思うんだけどね」
「ですが第三世代はそれぞれの国の重要機密事項。本国での稼働実験がようやく始まったばかりですし、ほとんどの国の第三世代は未だに第二世代よりも少し上。どこも演習なんて行ってくれませんし、バンダースナッチの相手が出来るほど完成度の高い第三世代なんて———」
「あるじゃないか。君のすぐ近くに」
アイザックの真っ黒な、闇を孕んだ瞳がカレンを射抜く。カレンは竦むが、飲み込まれないように虚勢を貼ろうとするが、それも直ぐに崩れ落ちる。
まるで生物としての格が違う相手を前にしているように、本能が警鐘を鳴らしている。
「ま、まさか・・・IS学園を・・・?」
「そう。あそこには昨日、中国から専用機持ちが転校したらしいからね。それにイギリスのVTを詰んだISと、ロシアの代表、それに篠ノ之束が自分で作り上げた可能性が高い白式がいる。運が良ければ追加で予備機のISとも戦闘データを獲ることが出来る」
「ふむ、IS学園か。確かに今年は例年以上に盛況だと聞く。成程、それは盲点だったわ。面白そうだ。で、いつ行う?バンダースナッチはどうやって運んでいく?」
アイザックの提案に嬉嬉として乗ってくるエイドリン卿。もうこの戦争狂が絡んだ時点で、襲撃は確定してしまった。
「近々、クラス対抗戦というのが行われる。そこで第三世代同士の戦いが起こる。その時に、僕達が介入すればいい。破壊されても、最悪回収してくれる駒がいる」
「例の極秘の特別扱いかね?」
そうだ、というようにアイザックは微笑む。その頭の裏にはどれだけ悍ましい考えが詰め込まれているのか、カレンには見当もつかない。
エレンは知っている。アイザックは本当は何も考えていないと。いや、何も考えていない訳では無く、深く考えていない。
壊れれば残念、壊れなければそれで良し。結果がどうあれ、傷つく要因が一つもない故の余裕。
「まぁ、なんでもいい。今回はコマンドだけなのだろう?なら運ぶことだけやらせてもらおう」
エイドリン卿はそう言うと、バンダースナッチの戦闘を再開するように命令する。アイザックはエイドリン卿の返答に満足し、踵を返して出て行く。短い話し合いだったが、十分だ。エイドリン卿ならばちゃんとアイザックの意図を組んで数も考えてくれるはず。回収に関してはアイザックには彼女がいる。
「
「任せるよ」
任務で世界中を放浪させている時崎狂三を呼び戻す。それがどういうことなのか、本当に理解しているのはアイザックとエレンだけ。
十分に時間を喰らってくるだろう。十分楽しんできただろう。少々詰まらない仕事でも、やってもらわなければ困る。
「ああ、それと」
アイザックが足を止め、思い出したように言い出す。
「近々、アデプタス3の所に行くように、手配してくれないかな?」
「アデプタス3・・・?まさか彼女を・・・!?」
アイザックの言った言葉に、流石のエレンも驚愕する。
アデプタス———アデプタスナンバーと呼ばれるDEM最強の戦力にして、アイザックの子飼い。エレンを筆頭としてアデプタス1からアデプタス10まで。専用のCRユニットを装備した一人一人はブリュンヒルデには届かずとも、歴代モンド・グロッソの優勝者達であるバルキリーにさえも匹敵する。
そんな最強の10人のうち、とある事情から最も秘匿されていたNO.3の所に行くというのだ。
「時代の転換期に入ろうとしているんだ。ただ指を加えて見ているだけなんて、彼女も退屈だろう?それに彼女には幸い、大きい
「・・・」
エレンは何も言わない。アイザックの言う通り、アデプタス3を動かすことは得策といえるだろう。そしてアイザックの事をよく知るエレンだからこそ、アデプタス3の使い道がすぐに分かってしまった。
「・・・あの子は、用済みですか?」
「さぁね」
アイザックは笑みを浮かべながら歩き出す。
「自分の未来を決めるのは、自分自身さ」
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「自分の未来を決めるのは、自分自身ですか・・・」
普段ならアイザックについて行くはずだが、エレンは立ち止まってしまう。アイザックの姿は先程角を曲がったため、見えない。残ったのは通路にいるエレン一人。皆、VIPの歓迎で忙しいのだ。
アイザックの言ったことを反復する。それは今ここにいない彼女に言ったものなのに、エレンの胸に深く突き刺さっている。
思い出すのは自らの半生。汚泥に塗れ、スラムで唯一の身寄りである妹を庇いながら、冷たい路地裏で生きていた日々。道行く人の目は無関心どころか面白がる様子を見せ、まるで見世物のようにニヤニヤとゲスな笑を浮かべて自分達を見て通っていく。
もはや屈辱とさえ思えないほどに疲弊していた時に、彼と出会ったのだ。
仄かに雪が舞う世界に、死んだように倒れているスーツを着た男達の中心に立つ一人の若い男。彼は男に囲まれたと思うと、手を振るい、どうやって起こしたのか分からない衝撃波だけで彼らを倒したのだ。
周りの人間が全て恐怖の対象だった当時、彼を見た時には大変恐怖した。大の大人たちを虫けらのように見下ろす彼に。
彼の目がコチラへ向けられると、エレンは闇を見た。自分が見てきた全てが温いと言わんばかりの暗黒。
怖かった。精神が自壊しそうな程悍ましいソレは、並の子供なら失禁してしまう程のものだ。事実、カレンは後ろで怯えている。
だがエレンは違った。
エレン・ミラ・メイザースは強かった。
自分一人だけでも生き残るのが精一杯なのに、妹を守り続け、毎日の様に襲いくる魔の手から逃れ出れる程に。常人よりも頑丈だった精神は、アイザックを見た瞬間にねじ曲がったのかもしれない。
アイザックの闇を宿す瞳を、この世の何よりも美しいと思った。アイザックの美貌が、かつて見た絵画やモデルなどの写真よりもかっこよく見えた。
アイザックの印象が塗りつぶされる。無意識のうちに恐怖の対象から畏敬、信仰の領域まで持ち上げられる。
「私と共に地獄の先まで来ないかね?」
こちらに気付いた彼がエレンに近づき、見下ろしながらその手を伸ばす。信仰するべき存在から伸ばされた手を、エレンが振り払えるはずがない。
きっとこの人の手を掴んだら、本当に地獄の先まで進むのだろう。それこそ、この世界全てを敵に回すことになるだろう。幼いながらもエレンは理解した。
本当ならば、手を掴むべきではなかったのだろう。振り払い、引き返すべきだったのだ。だがアイザックの声はエレンの脳に浸透し、エレンは躊躇いを見せずにその手を取った。
それは間違いなくエレンの人生を決定づけた瞬間だった。あの時手を取ったから、現在アイザックから最強の名を与えられ、彼の右腕という栄誉を受け取れた。逆に、手を取らなかったら今頃は、スラムで慰め者となっていただろう。
後悔など、あるはずがない。
「いつまでも、お慕いしています。アイク・・・」
いつか、いつかこの恋慕が届けばいいと思い、エレンはアイザックの背中を追った。