ダンジョンに人修羅がいるのは間違っているだろうか 作:巴里と鬼神
あなたがヘスティア・ファミリアに加入してから4日目。ギルドに冒険者登録をした翌日に、あなたは朝からダンジョンへと挑んでいる。
現状のマガタマの性能は
ヘスティアは予想外の収入に喜びを隠せない様子だったが、あまり無茶はしてくれるなよとあなたに忠告するのも忘れなかった。
今回の目的は下の階層に進むとどの程度モンスターが強くなっていくのか……あなたがどこまで進めるのかを確認する為だ。
エイナには
上層のモンスターはあなたの敵ではなかった。
唯一厄介というより面倒だったのは集団で現れて【
13階層を越え中層に入ると敵は少し手強くなったが、
マガタマを火炎無効の
普通の冒険者から見れば1レベルのソロで中層に降りるあなたは異常に見える。事実を知ったエイナからは説教されるかもしれない。
しかしあなたの
あなたは自身の現在の実力を測る為に獲物を探していたが、今の所あなたが満足するような敵は現れていなかった。
仲魔探しも芳しい結果とは言えない。モンスター自体も知恵は持っているようだが、意思疎通を上手く行えていなかった。
中層に入り心持ち広くなった洞窟の中をあなたは進んでいく。
現在励起中のマガタマは、ヘルハウンドの奇襲にも耐えられるように
火炎属性の攻撃を遮断できる代わりに
あなたは少なくともヘルハウンドの奇襲よりも確率は低いだろうと判断した。
ダンジョンは先に進めば進むほどモンスターとの
だから不意を衝いたかのように虎のモンスターが飛び掛ってきたのもある程度は予想できていた。
『ガァッ!』
あなたはモンスターの攻撃を屈むようにかわして距離を取る。
初めて出会うモンスターを相手にやる事はいつも変わらない。
あなたは
万里の望遠鏡による【
妖獣ライガーファング。火炎弱点、氷結・呪殺無効。
都合の良い事に現在使用可能な【
注意すべきは【雄叫び】によるあなたの
あなたは【ファイアブレス】を放つ為、大きく息を吸い込んだ。
『ガァァッ!! ギャン!?』
飛び掛ってくるライガーファングを迎え撃つように放たれた【
大虎は火達磨となって地面に転がった。あなたはその隙を逃さぬよう距離を詰めて長剣を振り下ろす。
『ガッ!?』
致命傷を受けたライガーファングは最後の足掻きとばかりに爪を振り回すが、苦し紛れの攻撃を喰らってやるほどあなたは人間が出来てはいない。いや、人間ですらなかった。
『グッ! ゴボァ……』
反対にあなたの長剣がライガーファングの喉元に突き刺さる。それがトドメとなってライガーファングは息絶えた。
あなたがライガーファングから魔石を抉り出すと、ライガーファングの体が崩れて灰となりマガツヒへと昇華されていく。
マガツヒを吸収しながら残された灰を確認すると毛皮だけは残されたままだった。
ライガーファングのドロップアイテムである『ライガーファングの毛皮』だ。
しかしその状態はお世辞にも良いとは言えなかった。毛皮が焼け焦げているのは明らかにあなたの【ファイアブレス】の所為である。
弱点を衝けば有利に戦えるとはいえ、こうした結果まで考えると手段は考えた方が良いのかもしれない。
考えた所でソロで潜っているうちは命あっての物種だから、手段などを選んではいられないのだが。
周囲を警戒しながら毛皮をバックパックにしまっているあなたの手が止まる。
微かに何者かの足音が聞こえた気がしたからだ。
毛皮はそのまま
『ヴヴォォ』
通路の奥からは獰猛なモンスターの息遣いが聞こえる。あなたは慎重に息遣いの主を確認した。
あなたは物陰に身を潜めながら、魔獣に気付かれないように万里の望遠鏡を取り出して
氷結弱点、電撃・呪殺無効。
注意すべきは【
至近距離で金縛りにあってチャージからの一撃を喰らってはいかに人修羅のあなたといえどもひとたまりもないだろう。
攻撃を受けても構わず反撃してくる可能性も考えれば迂闊な接近戦は避けるに限る。であれば方針は決まったも同然だ。
──適度に距離を取りながら、弱点の【
あなたは精神を集中して海の神霊を想起し、マガタマを
『ヴォッ!?』
この階層の主とばかりにダンジョンを我が物顔で闊歩する
奇襲をかけたあなたの【アイスブレス】だ。
屈強なミノタウロスの身体はみるみる霜に覆われて、動きが緩慢な状態となった。
あなたはすかさず距離を詰めてミノタウロスを袈裟懸けに斬り付ける。
『ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
同時にミノタウロスが聞くものを怯え竦めさせる【
しかし防御体勢を取ったあなたに咆哮は有用な効果を与えず、逆にあなたの攻撃の隙を作り出した。
再びミノタウロスを凍える吐息が襲う。
先程と同様に距離を詰めて追撃を行うあなただったが、先程とは違う点が1つあった。
弱点である氷結属性での攻撃で更に隙を作り出すことに成功はしたが、今度はミノタウロスの
『ヴォヴォッ!!』
自らの体に食い込む長剣をものともせず、ミノタウロスは大石斧を振り回す。
斬りかかった姿勢のあなたは防御もままならずに【猛反撃】を喰らって吹き飛ばされた。
あなたは数Mの距離を飛ばされ、壁に叩きつけられる。しかし、剣は辛うじて手放さずにすんだ。
致命傷ではない。だが全身を打ち付けられてかなりの
あなたも当然油断をしていたつもりはないが、
流石に今まで通りの相手とはいかないと気を引き締めなおして、
魔石を体にあて、力を込めると魔石はあなたの肉体と同化していき、受けていた傷を修復する。
あなたは改めてミノタウロスに向かい合うと、【アイスブレス】を仕掛ける為の予備動作に移った。
あなたとミノタウロスとの戦いは長時間に渡った。
氷結属性での弱点を突きながら隙を見ては追撃を加え、
時折ミノタウロスの突進を受けて浅くはない
この際勿体無いなどとは言っていられない。
とにかく距離を取り続け、【
距離を取る為に移動しながらの戦い、しかし
『キュァッ!』
走るあなたに横合いから
なんとか
アルミラージは二足で直立し片手には今しがた飛んできたものと同様の
あなたにとってアルミラージ単体ではさほど脅威ではないが、ミノタウロスとやり合っている今は同時に相手をしていられない。
アルミラージだけではない。動き回っていれば他のモンスターとも出くわすだろう。最悪ミノタウロスが増える可能性もある。
時間をかければかけるほど、状況は悪くなっていく一方だ。そう判断したあなたはまずアルミラージに向かって駆け出した。
『キュイッ!』
迎え撃つように振るわれたアルミラージの
『ギュッ!?』
全力でアルミラージを蹴り飛ばした。丁度あなたを追って突進してきたミノタウロスに向かって。
目の前に飛んできた
『ッッッ!!』
モンスターも全く知恵を持たない者ばかりではない。事実ミノタウロスも【アイスブレス】による
あなたがミノタウロスの
そしてミノタウロスの目論見通り、
『ヴォオオッ!!』
『ギュァァッ!』
ミノタウロスの【猛反撃】を受け、
ミノタウロスの下手な演技を見破ったあなたが、瀕死で倒れていたアルミラージを拾って投げつけたのだ。
ミノタウロスが全力で振りぬいた腕の脇、至近距離から【アイスブレス】が放たれる。
『ヴォオオオオォォォォ…………』
至近距離からの【
あなたはさらにそれを打ち砕く事でミノタウロスにトドメを刺し、長い戦闘に終止符を打った。
流石に苦戦どころではない。エイナの言う通りこれで引き上げる他ないか、あなたはそう思いながらミノタウロスだった
見る見るうちにミノタウロスの死体は形を崩し、形を持たぬマガツヒへと変わっていく。
あなたがそのマガツヒを集めだした矢先に
今までのモンスターとは比べ物にならない程純度が高く濃厚なマガツヒ。それはあなたの
その結果、あなたの奥底で休眠していた、今まであなたの呼び掛けに応えなかったマガタマの反応を感じるようになったのだ。
【一分の魔脈】、そして【氷結高揚】。あなたの【アイスブレス】はこれまで以上の威力を発揮するようになり、より多くの回数を放てるようになった。
それだけではない。
これが冒険者の
あなたはロキが寝物語で話していたランクアップについての言葉を思い出す。
『ランクアップは単純に力を増すっちゅうのとはちょっと違うんや。人の子が、より
なるほど、と実際にランクアップを体験したあなたはロキの言葉が今更ながらに腑に落ちた。
過去の東京受胎の戦いにおいて、倒した悪魔のマガツヒを吸収し続ける一定の区切りにおいて能力が成長したり、マガタマから引き出すスキルが増える事はあった。
これはオラリオの冒険者における【ステイタス】更新時の基本アビリティ成長に近いものだったのだろう。
しかし冒険者のランクアップは冒険者を種として成長させるのだ。かつてのピクシーが力を付けることでハイピクシーへと成長したように。かつてのあなたが
それならば今日はまだ時間は残されている。
ランクアップした今ならば先程まで手間取っていたミノタウロスも苦戦するほどとは限らないだろう。
新たな力も確認してみなければならない。ならば急いで戻ることもない。
そんな言い訳を考えるほどにあなたの心は新しい玩具を与えられた子供のように高揚している。
とはいえ死と隣り合わせの東京受胎を切り抜けてきたあなたは決して油断することなく、ダンジョンの奥へと足を進めていった。
ミノタウロスは真Ⅳのミノタウロスをベースに色々改変。
・元々は火無効だったのを電撃無効に変更。
火無効だと【ファイアボルト】が通じなくなるのとアステリオス君が電撃使うからね。
・【バインドボイス】を追加。
・R-18なゲームのタイトルだったり、別のR-18なゲームのBGM名だったりする【鬼神楽】は残留。
ただ【鬼神楽】は真Ⅳでは単体攻撃だけれど真Ⅲでは全体攻撃なので全体攻撃。
アステリオス(真Ⅳ)【メガトンプレス】(全体攻撃)を持っているので全体攻撃でいいかなって
当作品では全体攻撃≒範囲攻撃なニュアンスで。
ライガーファングは妖獣ヌエをベースにそれっぽい感じに設定
次回は3/17(土) 23時更新予定