バーチャルyoutuberIFストーリー 作:ゆう12906
「ウバビを倒せたのでここを聖地と呼びたい♪」
「そ、それはなによりなのじゃ……」
(勢いで倒してしまったけど、あそこまでやる必要あったのじゃろうか……)
首を可動域ギリギリまで傾けるのじゃおじだったが、歩を止めるわけにもいかずさらに奥へ進んでいた。
相変わらず数寸先は真っ暗で右足を出すだけでも恐ろしい。普通の狐なら夜目が効くのかもしれないが、狐のおじさんでは当然不可能だった。
「それにしても、どうしてばあちゃるさんがいたんだろうねー?」
「そこなのじゃ。もしや、この異変にはバーチャルyoutuberが絡んでいる可能性も……」
「私たち以外の、ってこと?」
「最近は戦国時代じゃし……アカリちゃんは思い当たる人おらんのか? 例えば……そうだ、友達のエイレーンさんとか」
「エイレーン? あの子ならモエ美と異世界転生してるよ? 百合の世界を作るんだってさ」
素敵な響きの花の名に長い耳がピクンッ、と跳ねた。
「どしたの?」
「へっ? ――いやいや! 気にして無くていいのじゃ」
(そんな世界があるならすぐにトラックに轢かれて飛びたいのじゃあ……というか、ここも異世界のようなものだけど……)
緩んでしまいそうな頬をぐっとこらえ、ミライアカリに顔を見られないよう先導すること5分、
「のじゃおじさん! 扉が!」
始めに気が付いたのは索敵能力抜群のシロだ。
真っ赤に塗られてところどころキズで汚れていて、どこからどう見てもボス戦の合図だった。
「おお、味があるのじゃ……。これを開けたらいよいよボス、ということじゃろうか」
「きっとそうだよ! ほら、あそこにセーブポイントと回復ブロックがあるし!」
「のじゃあ⁉」
確かにSと書かれた手帳といかにもおいしそうなジュースが描かれている箱が置いてあった。
「せっかくだし使わせてもらお♪」
ゲームとかのこれって誰かがこっそりと用意していたのか、頭で理解するのじゃおじを横目に躊躇なくブロックを叩く。
「うおー、元気いっぱい!」
「やった、弾が全部補充されました!」
「どういう原理なのじゃー」
そもそも自分達がバーチャルだからたぶん大丈夫と強引に結論づけて再び扉を見据える。
「みんな、準備はよろしいじゃろうか。正直これから先の展開が全く予想できない。心してかかってほしい」
「任せてよ! どんな敵が来ても和解して見せるから!」
「みんなパイーン☆ってやっちゃえば解決ですよね!」
「正反対なのじゃあ……」
再び頭痛がひどくなるが、ここできびすを返すわけにはいかない。拳に力を籠め、覚悟を決めた。
「さあ、突入じゃ!」
第三話、お待たせしました~。少しネタを補充してました。
サボってた間にどんどんバーチャルyoutuberが増えていく……PUPGのガチ勢とかポケモンのガチ勢とか。あれリアルタイムで実況してるんですかね?
東方のシリーズも今日更新したのでそちらもよかったらぜひぜひ。今回短いのは二本を同時進行してたからなのだぜ。
では!