りっく☆じあ~す×リトルアーモリー ~誰の為に引き金を引く~ 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
太平洋・鹿児島県沖に展開中、国連多国籍軍 第13機動艦隊旗艦・ワスプ級強襲揚陸艦〈サラトガ〉へと、1機のMV-22J輸送ヘリが着艦する。
そして、開いた後部ランプドアから、18人の少女達が2体の捕虜を抱えて降りてきた。
「よぉし、空いている部屋にぶち込んどけ!」
30代辺りの、2型迷彩服を着た男性が指示を出し、少女達は捕虜を連れていく。
その横で、20代後半の男性が見ていた。
「マグマ軍将校か……」
「今までは、下っ端が投降してくるくらいだったからな。一気に情報戦では有利に立てたな」
そう言って、30代の男性自衛官は艦橋へと向かった。20代の男性自衛官――坂城 大翔2等陸尉――は、〈サラトガ〉の艦橋を一瞥し、30代の男性自衛官の後に続いた。
彼、坂城2尉がこの第18旅団 即応機械化中隊 第1小銃小隊小隊長に任命され、早6日。自分と直属の上官――中隊長の須恵原 久路1等陸尉――以外が女性であるというイレギュラーには、まだ慣れそうも無かった。下手な事を言えば、すぐに孤立するのは目に見えている。普通の職場なら、空気が悪くなるだけ――それもそれで地獄だが――だが、命の奪い合いをする自衛官という職種において、それは部隊全体の命取りになる。
せめて全員成人しているか、もしくは自衛隊学校上がりなら良かったのに、と坂城2尉は思う。何故なら、第2小銃小隊の殆どが現役女子高生――予備自衛官特別教育法により、即応予備自衛官扱いされているが――だからである。別隊とはいえ、戦場では強力しあう関係であるし、何より自分の部下だって高校卒業したての叩き上げが殆どである。
先任の土居内1佐は、一体どういう心境だったのか。元空挺レンジャー故、メンタルは強かったのだろうか。
先程からそう思慮する坂城2尉は、彼女いない歴=年齢であった。
やがて、〈サラトガ〉へと1機の真っ青なヘリコプター――TH-480練習ヘリ――とUH-1J汎用ヘリが着艦した。
『司令かーん!』
〈サラトガ〉の艦橋から、即応機械化中隊の隊員達が飛び出していく。
そして、TH-480練習ヘリから降りてきた自衛官――土居内 佳樹1等陸佐――の周りに集まった。
「さすが旅団長殿。人望が違う」
〈サラトガ〉艦橋から、須恵原1尉が飛行甲板を見下ろしながら言った。
「よほど慕われてたんだなぁ……」
〈サラトガ〉飛行甲板にて、坂城2尉がぼそっと呟いた。すると、隣にいた女性――第2小銃小隊 本部班 小隊陸曹代行、クレア=F=プレストン――が口を開いた。
「まだ来たばかりのあなたには、羨ましく見えるでしょうね」
「別にそんなんじゃ――」
「日本ではああいうのを、ハーレムって言うんだっけ?」
「まぁそうですが、俺はそういうの好きじゃないんです」
「現役ピチピチのJKに囲まれるのが?」
「色々突っ込みたい所ですが、高校教師の発言として問題になりますよ」
「若い女に囲まれるのが、男の願望だって聞いたわよ?」
「それがそのまま全員に通用すると思わないでください」
「Ah, gay?」
「違います」
すると、クレアは察した。
「Virgin boy……日本では、Cherry boyだったかしら?」
思わず、坂城2尉は口を噤む。
「……ええ、まぁ」
「Yesと取っていいのかしら?」
「そうですよ……」
「別に責めるつもりは無いわ。ただ、くれぐれも変な事はしないようにね」
「警務隊のお世話になるつもりはありませんよ」
その後、土居内1佐と須恵原1尉、坂城2尉、富士の4人は、カテリーナ少将が監禁されている部屋の前にやってきた。
「土居内1佐、お久しぶりです」
M870ブリーチャー手動散弾銃を手にした白根 凛と朝戸 未世が敬礼、土居内1佐も返す。
「さて、マグマ軍将校とご対面だな」
扉が開き、4人は中に入る。そこには、鎖に繋がられたカテリーナ少将の姿があった。
「お前ら! 一体何をしているか分かっているのか!? 日本南西軍団司令官の大将姉様の手に掛かれば、こんな船は一瞬で海底行きだ! 私を解放すれば、見逃してやる!」
「まーだ威勢がいい」
吠えるカテリーナ少将を見ながら、富士が一言。
そして土居内1佐が口を開く。
「あんたに聞きたい事はただ1つ。全国にある原子力発電所の燃料棒、38本の行方だ」
その言葉に、坂城2尉と富士が驚くが、カテリーナ少将は土居内1佐に唾を飛ばした。
「そんな事、知る訳が無い。大将姉様なら知ってるかもしんないけどね」
土居内1佐はハンカチで顔を拭きながら、カテリーナ少将を見る。
「へぇそうかい。だったら……身体に訊くしかないな」
その言葉に、カテリーナ少将はビクッとなり、富士が土居内1佐をジト目で見た。
「市ヶ谷元3佐に言いつけるわよ?」
「冗談です教官。ただ、別の人間に訊いてもらう」
そう言って、土居内1佐は手を叩いた。