りっく☆じあ~す×リトルアーモリー ~誰の為に引き金を引く~ 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
数日後、海上自衛隊 第6護衛隊群旗艦、いずも型ヘリ搭載護衛艦〈ふそう〉、多目的会議室――
「ここに集まってもらったのは、他でも無い。マグマ軍についてだ」
壇上で、防衛省 統合幕僚長の弥勒田海将が口を開いた。
「現在実行中の九州奪還作戦において、直前になってマグマ軍が撤退する事案が発生した。勿論、罠の可能性もあるため、最善の注意を払って上陸を行っている。だが、航空自衛隊のF-35AJの偵察によると、北海道・近畿・中国・四国でも同様な現象が確認されている。土居内1佐、説明を」
そう言われ、土居内1佐が立ち上がり、壇に上がって説明を始めた。
「先日、第18旅団配下の部隊がマグマ軍将校――本人は、マグマ軍 日本南西軍団 副指揮官と言っていますが――を確保する事に成功しました。適切な尋問を行い、情報を聞き出した所、マグマ軍は日本全国にある核燃料棒を略奪し、中東へ運んでいる事が分かりました」
その言葉に、多目的会議室にいた幹部自衛官達がざわついた。
「もしそうであるならば、日本の沽券に関わる重大な問題だ」
安田 晋介内閣総理大臣が言い、他の大臣達も頷く。
「それ以前に、中東アジアは正規軍にテロ組織、おまけにマグマ軍の三つ巴の乱戦の最中、テロ組織・アラブ社会主義連盟(ASF)とマグマ軍が同盟を結び、中東で主権を維持出来ているのはイスラエル程度と最悪な状態です。世界の殆どは、中東から石油を買えず、アメリカやロシアから購入してやっとの現状です。我が国も、先月自家用車の利用禁止令を出すほど、緊迫した状況です」
小野里防衛大臣がそう言うと、安田首相は頷いた。そして、口を開く。
「しかし、何故マグマ軍は地上から物資を略奪するんだ? 地下にはもっとあるだろうに」
すると、経済産業省の職員が手を挙げた。
「これは仮説ですが、マグマ軍には相応の技術力が無いと思われます」
「どういう事だ?」
「マグマ軍が今までに占領した地域には、数多の放射線物質がありました。にもかかわらず、今まで一度も核を使ってこなかった。自衛隊が捕獲したマグマ兵の検体を検査した所、福島第1原子力発電所が爆発した直後の地域を平気で活動出来る耐性が分かっています。使っても問題無いのに、使わなかった。つまり、作る技術力が無いのではないでしょうか?」
今度は、航空自衛隊の幹部自衛官が手を挙げた。
「専門外だからよく分からないのだが、核燃料棒から核兵器を作れるのか?」
「鉱石から作るよりは簡単です。何せ、放射能の濃度が違う。それに、核燃料棒だけでも、『貧者の核兵器』を作る事は楽勝です」
「それは一体?」
「起爆装置の付いた容器に大量の放射能を入れ、起爆すると辺り一面が汚染されるというものです。核爆発は起きませんが、ガイガーカウンター無しに普通の爆弾テロと区別する事は不可能です」
「厄介だな」
安田首相がそう言い、唸る。
「今、国連――というか、米露でだが――では、中東アジアへの武力介入が検討されている。もしここで日本の核燃料棒が見つかれば、国際世論から見放される。何としても、それは避けなければならない」