悪魔は彼の中に住む 作:正体不明.
1 実行に使用する魔法薬を調合 二週間かかるため早めに リューゲ 9月23日済
2 ダンブルドアに接触 許可を取り可能であればお墨付きをもらう 全員 9月28日済
3 大広間の呪文の解析 フレッド ジョージ 10月8日済
4 逃走経路確保の為に秘密の通路の探索 リー 10月15日済
5 フクロウ通販で逃走時に使用する悪戯グッズの購入 リー 10月16日済
6 箒不使用での飛行の為の魔法 指導・習得 全員 10月25日済
7 拡声呪文の習得 全員 10月28日済
8 最終チェック 全員 10月30日済
9 いざ実行!
《メモ》
1 図書室の準禁書レベルにある「夢のような魔法薬大図鑑 ー中級者用ー 」に記載されている性別反転薬を作成。材料は授業中に使うものを少しずつくすねた。効果は少なめ二十四時間の一番簡単なものを作成するので実質一週間と三日。 (性能実験は自分達で)
2 夕食後尾行したが逆にバレ、何の要件か訊ねられた。その際に計画の概要を説明。1の魔法薬に関してはお墨付きを貰った。また、先生方のゴブレットに魔法薬を入れるのはやって貰う事となった。
まさか校長が味方になるとは驚いた。
3 入学当初からの約一ヶ月にも渡る調査の結果のよると、動く階段と同じように壊されない限り後数千年は動くように起動源となるコアと、レイブンクローのものと思われる魔力を発見。天井に埋め込まれている事がわかった。僅かだが魔力の流れを乱すという魔法界の玩具で数分間の妨害に成功した。魔力を貯めて利用するという方法はこれからの悪戯に利用できそうだがどの様に行うかは不明。禁書の棚を探せるようになったら調べてみようと思う。
4 教員にバレかけたり、ポルターガイストのピーブスと遭遇したりと色々とあったが逃走経路の確保は成功。ただホグワーツ内部には相当秘密の通路が存在するようで今後も時間があれば探索を続ける。
5 フクロウ通販「魔女の市」で逃走時に使用する煙玉や注目を集める為に使用する小道具などを購入。費用は四人で同じ額ずつ払った。
6 ホグワーツ入学前にリューゲが杖無しで行っていた浮遊を既存の浮遊呪文や空気の流れを操る魔法で制御することに成功。ただリューゲ以外は自分一人では出来ず、誰かが浮遊させ、誰かが流れを操り、と言うことになってしまう。決行までに精度を高めておきたい。
7 大勢の前で喋る時声が大広間でキレイに響く様、拡声呪文を習得した。箒不使用の飛行の呪文よりは遥かに簡単だったが流石に全員マスターまでは三日かかった。
8 決行前日の夜にそれぞれ分担した仕事が完璧に出来ていたか最終チェックを行った。
9 大成功 逃走まで成功したが最終的には捕まり罰則&減点となった。
変身術の教室の隣にある空き教室、リューゲは今朝届いた手紙の指示通りに手紙の送り主を待っていた。
指定された時間の五分前に来ていたリューゲだがいつまで経っても来ない送り主にいい加減しびれを切らす。右腕に付けた安物の時計を見るともう一時を過ぎていた。十分オーバーだ。
残り十五分で妖精の呪文の授業が始まってしまう。フリックウィッチ教授は厳しくはないが、ハロウィンの悪戯からまだそれ程時間が経っていない今遅刻するのはあまり良く無いだろう。
流石にもう帰っていいだろう、と扉を開けて教室から出ようとした瞬間向こう側から扉が開く。
リューゲは一歩後ろに下がってから、慌てた様子で教室に入ってきた女子生徒に話し掛ける。
「手紙を送ってくれたハッフルパフのアイラ・ログリード?」
「は、はい! 遅れて済みませんでした…」
「いいよ全然、授業には間に合うし大丈夫。で、要件は何?」
「す、す、好きです、お付き合いさせて下さい!!」
「…」
まぁ何というか予想通りの要件にリューゲは溜息を抑える。流石にここで溜息を吐いたらこの女子生徒に失礼だし可哀想だろう、という僅かに残った良心でリューゲは出来る限り彼女が傷付かないように慎重に言葉を選ぶ。
「……理由を聞かせて貰ってもいいか?」
「ハロウィンの時のレイさんの笑顔に一目惚れしました」
女子生徒はキラキラと輝く目でリューゲを見つめる。一方のリューゲは何度目か分からないやり取りに又もや出そうになった溜息を抑えて重い口を開く。
「ごめん、俺はその想いに応えられない」
「ッ!!」
リューゲが拒絶の言葉を言い終わる前に、女子生徒はその両目から溢れ出る涙をローブで拭きながら走り去っていく。女子生徒が乱暴に開けた扉は大きな音をたてて閉じる。
「あーあ、可哀想に。勇気を絞って一世一代の告白をしたってのに冷たいねー」
「全くだ!これだから獅子寮の王子様、なんて言われるんだぞ」
女子生徒が居なくなるとリューゲ一人しかいない部屋に二人の声が響く。すると先程まで誰も居なかった空間にいつの間にやらフレッドとジョージが立っていた。
リューゲは自分の背後に立つ二人を振り返る素振りすら見せずに言う。
「誰がつけたんだよその渾名。それに傷付かない様に言葉は選んだ」
「知らないのか? 所々の黒が混じった真紅の髪に、燃えるような赤の瞳、成績優秀素行不良、スラリとした体型や立ち姿は好青年だが時折見せる笑みが無邪気な少年の様で最高にカッコ可愛いいって恋愛脳な女子達の話題だぜ」
リューゲは内心こっぱずかしい渾名に悶えながら二人に言う。
「ざっけんなと言いたい。獅子寮の王子様とかイタすぎるだろ。っていうかお前らもハロウィン以来モテてんだろ」
「話の変え方が露骨過ぎる件、まぁいいや。何にしろお前ほどじゃねぇよ」
「俺らは二人合わせて五人。リューゲは?」
「今月入ってから八人」
「マジかよ!?二日に一回ペースとか」
「お前男子には相当恨まれてるだろうな」
「色々と巫山戯んな」
そこまで話した所でリューゲは次の授業まで残り三分なことに気付き教室を出る。
今日の授業は浮遊呪文のその先の応用編だ。
三人が妖精の呪文の授業に遅れかけた日の夜。
食事が終わり、皆が談話室や温かい寮の部屋で宿題を終わらせたり雑談やゲームをしているであろう頃。
リューゲ達四人は禁じられた森の近くで森番の大男、ハグリッドの手伝いをしていた。
何故こんな時間に外にいるか、というと罰則だ。流石にあそこまで大騒ぎして何の咎も無し、というのはダメだそうでリューゲ達は30点減点と森番の手伝いを課せられた。
最も点数の方は素晴らしい魔法の腕に、と50点貰ったので結果的には得したし、森番の手伝いは罰則の中では割といい方なので大したことは無かった。
そして何よりもリューゲは森番に興味があった。
「なぁハグリッド、俺らの悪戯どうだった?」
ハグリッドの家の裏に置いてあった薪を魔法で割りながらリューゲは訊ねる。
「アレは傑作だったなぁ、お前さん達の悪戯は面白かった。正しく二代目悪戯仕掛け人だな」
「悪戯仕掛け人? 二代目ってことは俺らの前にそんな凄い悪戯をやった先輩がいたのか?」
昔を懐かしむ様な表情をしながらハグリッドが話した内容にリューゲは思わず薪を割る斧を休めて再び訊ねる。
「そうか、お前さんらの代はアイツらのことを知らないのか。今から十年程前にお前さん達みたいに大掛かりな悪戯をしてホグワーツを盛り上げていた四人組がいたんだ。そんでもってそいつらが悪戯仕掛け人、って名乗ってたんだ。アイツらもグリフィンドールで罰則を食らっては俺んトコの手伝いに来とった」
「わぉ!マジの先輩じゃんか!!」
そんな事を話していると薪を取りに行っていた三人が戻って来る。
「何サボってハグリッドと話してんだ。これ結構重いんだぞ、俺の代わりに持てよ」
「「俺らの代わりもヨロシク♪」」
「ジャンケンで負けたお前らが悪い」
「何たる理不尽!」
相当重かったのか地面に薪を置いた三人はフラフラしながら文句を言う。しかし物の見事にリューゲに論破され三人はぐうのねも出ずに地面にへたり込む。
その様子を見てハグリッドは胸ポケットから薄汚れた懐中時計を出す。
「お、もう時間だ。もう罰則食らうような羽目するんじゃねぇぞ」
その言葉を聞いてリューゲ達はそれぞれ挨拶をし、温かい寮に早く戻ろうと校舎に向かって走り去って行く。
ハグリッドはその後ろ姿が見えなくなるまで見送ると、斧と薪を片付けて自らの家の扉を開けた。
十一月も終わりに近付いていたある日、ホグワーツの三階の廊下では多くの人が集まり、大行列が出来ていた。行列の最後尾には一個の看板が置いてある。
『95%当たる占い! 今なら特別一回 2クヌート、今から並べば後三十分!!』
グリフィンドールやハッフルパフで広がった、ホグワーツにはほぼ百パー当たる占い師が格安で占ってくれる場所がある、という噂は口コミで他寮にも広がっていきいつの間にか占い待ちの生徒は大行列をなしていた。
そして肝心の占い師は…
「君クリスマス休暇明けは気を付けた方が良いよ。多分君の家族から吠えメールが来ると思うから」
「ちょ、え、何で!?」
「そこまでは分からないなぁ」
黒のローブを羽織ったリューゲだった。
ハッフルパフの男子生徒に不吉な予言を告げると彼は慌てて理由を問う。するとリューゲは分からないと言った後、彼の耳元に口を近付けて言う。
「知りたいならもう一回並び直して2クヌート」
「……」
次の客がいる、と追い出された男子生徒は暫くの沈黙の後、渋々列の後ろに戻っていった。
それから三十分後、ほぼ全ての客を占い終わったリューゲは置いてあった椅子と机、占いに使っていた水晶玉と古臭いタロットカードを片付ていた。
すると廊下の向こう側からマクゴナガルが歩いて来る。片付けをしているリューゲは気付かないがマクゴナガルは怪しい動きをするリューゲに気付き近寄ってくる。
普通は生徒が廊下で何かしていてもわざわざ近寄ったりはしないが、この間してやられたマクゴナガルとしては人気の無い廊下で何かガサゴソしているリューゲを見逃すわけにはいかない。
「何をしているのですか?Mr.レイ」
「ん?…… マクゴナガル先生じゃないですか。別に仕事道具を片付けてただけですよ」
マクゴナガルの声を聞き、驚いた様にリューゲは振り返った。マクゴナガルはリューゲの仕事道具という言葉に眉を顰める。ふと視線をずらしたマクゴナガルは近くに置いてあった看板に目をつけた。
「占い、2クヌート……。Mr.レイ! ホグワーツでこの様なことをしてお金を集めるのは褒められたことではないですよ」
「別に嘘ついている訳じゃないですし外ではもっと法外な値段取ってました。後これはクリスマスプレゼント用のお金なんで見逃して欲しいです」
顔をしかめて叱るマクゴナガルだが、叱られているリューゲは涼しげな顔で言い放った言葉に更に顔をしかめる。しかしクリスマスプレゼント用、と聞いたマクゴナガルは仕方ない、とでも言うように溜息を吐いた。
「分かりました、今回は見逃します。ですが今後はこの様なことをしないように」
「あざっす!あ、先生今年のクリスマスのガリオン金貨くじ買うといい事ありますよ」
言い終わるとリューゲは一礼して去っていく。その姿を見ながらマクゴナガルはリューゲの背中に彼の父親と思われるある人物の姿を重ねていた。昔彼を教えていた時もあんな風に占いをしてこづかいを稼いでいた。
「にしても…いい事とは何でしょう…?」
マクゴナガルの口から溢れた疑問は答えるべき彼はもうそこには居なかった。
結局マクゴナガルはその日の授業が全て終わった後ガリオン金貨くじを二枚買ったが一体いい事とは何なのだろうか……?