悪魔は彼の中に住む 作:正体不明.
プレゼントは貰ったし、手紙も何枚も送り合っていたが実際に会うのは久しぶりだ。
リューゲは彼らの帰りを待ち望んでいた。
クリスマス休暇は楽しかったが彼らがいる方が数倍楽しい。
リューゲはまだ早いと分かっていながらも、城の玄関のホールの様子を忍びの地図で眺めずにはいられなかった。今年最後の一人ぼっちの談話室には、暖炉の薪が爆ぜる音だけが響く。
休暇は終わり、生徒達は帰ってきた。ホグワーツに。
ホグワーツは多くの生徒にとっては第二の家だ。思春期の大事な時期を過ごす場所であり、生涯の友をつくり、多くの事を学び、生徒の人生を決める場所。それがホグワーツ。
故に…
「「「ただいま、リューゲ!!」」」
「……お帰り」
帰って来た生徒は皆居残りの生徒に言う。ただいま、と。
そして残っていた生徒は言う。お帰り、と。
そしてまた、彼らの日常が始まる
休暇明けの朝、久し振りの早起きに生徒達は半分寝ながら朝食を食べていた。
そんな中、グリフィンドール生が座る長テーブルの一角では物凄いスピードで朝食を口に運びながら、早口で喋る四人がいた。
フレッドはトーストを呑み込みながら言う。
「 んで、リューゲの プレゼントは あれ 何だった んだ?」
食べながらのせいでフレッドの言葉は途切れ途切れになってしまう。
すると、リューゲがトースト三枚目に手を伸ばしながら言う。
「口に入れながら喋るなよ。で、俺のプレゼントだっけ?あれはなぁヤバイぞ」
「何がやばいんだよ」
「魔女の裏市で買った」
「「ブフッ、え…マジ!?」」
「おいフレジョ、汚ねぇ。トースト吹き出すな」
「「あ、ごめn…って略すなよ!!」」
リューゲの答えにフレッドとジョージ、いや フレジョは思わずトーストを吹き出してしまう。
何故彼らがそんなにも驚いているか。それは買った場所が原因だった。
魔女の裏市、それは闇の代物も売っているという噂まである大手フクロウ通販で、元は魔女の市の派生だったのに僅か三ヶ月で大きな商談すらも交わされる程になった事で有名だ。
そして、昔は誰でも利用できたのに今では魔女の市で年間50ガリオン使用し、厳しい選抜試験に合格した上で会員からの招待がないと入れない、という魔女の市の会員にならないとパンフレットすら送られてこない、という事でも有名だ。
そのためここ数年では裏市で買い物できる=名家、という図式まで出来ている。
フレジョがトーストを吹くのも当然だ。家計が火の車のウィーズリー家では50ガリオンすら物凄い大金だ。
さて、ここで問題になるのが名家どころかスラム住みのリューゲが何故裏市を利用できるのかということなのだが、その答えは至極簡単だ。
「な、なんで」
「リューゲが」
「「利用できるんだ!?」」
「この間まで付き合ってたハッフルパフの女の子が会員だったからパンフレットくれた」
「「……」」
「リューゲお前酷い男だな。しかもこの間までって…」
リューゲのあまりにも簡単で、そしてどうしようもなく酷い答えに思わずフレジョは黙ってしまう。するとこれまで聞き役に徹していたリーも参戦する。
「いやーだって相手がストーカー気質で面倒くさかったからさ」
「まぁお前が身内以外には普通に酷いの知ってたけど…ちょっと引くわ」
「うん、ドン引きだな」
「男として酷い」
リューゲ以外の三人の意見が一致したところでリューゲは旗色が悪くなってきたのを感じたのか、少し慌てた様子で弁解する。
「ホントにそれが目的で付き合ったんじゃなくて、向こうがくれたんだって!」
「っていうか前までいつも断ってたじゃん」
「付きまとってきて嫌だったから一週間だけ限定っていうことでやっただけだって!」
「うわーその子可哀想ー ぜってぇファンクラブの奴らに襲撃されてるぞ」
「だな」
三人が一斉に責め立てる中、リューゲはフレッドの言葉の中の謎の単語に気付く。
「ファンクラブ?」
瞬間、フレッドの顔が青褪める。
「い、いや、何でもないぞ。取り敢えず談話室いこう。いいな?」
「あ、あぁそうだな」
「ふざけんなフレッド。俺がやられたらお前のせいだからな」
「悪いとは思ってる。けど謝んねぇ」
「??」
突然慌て出したと思ったら、選択肢はないと言わんばかりの睨み顔でリューゲを脅した挙句、何やら物騒な会話を始める三人にリューゲは訝しげな顔をする。
が、結局リューゲは食事の途中で大広間を強制退出することとなった。
結局リューゲがファンクラブの意味を教えて貰えないまま、日は沈み夜を迎えた。
そして四人は談話室の隅で、朝できなかったリューゲのプレゼントの話の続きをしていた。
「それでさっきの続きだがあのネックレス出してくれるか?」
リューゲの言葉に三人は頷くとリーはポケットから、フレジョは制服の下からリューゲが贈った黒紐に銀のリングが付いたネックレスを取り出す。リューゲは三人が取り出したことを確認してから口を開く。
「そのリングあるだろ? そのリングの中に鏡、というかガラスみたいなのがあるの分かるか?」
「鏡? あ、あった。あった」
「これかー 気付かなかったな」
「お、発見。っていうかよくコレ紐通すぶんの穴開けれたな」
「結構難しかった。それで、だ。それは一般的に両面鏡と呼ばれているものを俺が独自に加工した鏡だ」
リューゲは自分のネックレスを使って説明する。
「ガラスみたいに透明なのになんで鏡ってことなんだが…やってみるのが早いな。その鏡の部分を二回軽く触ってみろ」
リューゲの言葉を聞いた三人は早速やってみる。すると…
「「光った!?っていうか俺らの顔が出てる!?」」
「三分割されてんな。自分以外の顔が映ってる感じか」
透明だった鏡は青い光で三分割され、そのそれぞれに自分以外の三人が映し出された。
「離れた所からでも連絡出来るように、声も伝わるようになってる。両面鏡を三枚買ってそれをいろいろ加工した結果こうなった。あ、高かったから絶対壊すなよ」
「なんかもう…」
「流石リューゲというか…」
「改めてお前天才だわ…」
呆然とした顔でリューゲへの驚きを表す三人にリューゲはニヤッと笑う。
「いいプレゼントだろ?」
三人は満面の笑みを浮かべて声を揃えて言った。
「「「お前最高!!」」」
「そういえば…リーのアレはどうしたんだ?」
フレッドはリューゲのプレゼントの説明が終わると、今度はリーに透明マントのことを訊ねる。
するとリーは嬉しそうな顔で話し出す。
「あぁ、あれな。あれはな____親父がくれたんだ」
「リーの家って実はお金持ち?」
ジョージのかなり無遠慮な質問にリーは苦笑して首を横にふる。
「違う、違う」
「じゃあ何でそんな高価なもん持ってんだ?普通使い所もないから買わないだろ」
「簡単に説明するぞ。親父も昔ホグワーツ居たらしいんだがその頃悪戯がブームだったらしい。で、親父とその仲間達も夜間徘徊にハマったらしく全員のお小遣いフルで使って透明マント四枚買って使ってたんだ。そんでもって、俺が休暇で帰った時にハロウィンの悪戯の話したらお前らの事気に入ったらしくコレやる、つってくれたんだよ。以上説明終了。理解できたか?」
「……親父さんにアザッスって伝えといてくれ。あれのお陰で休暇を退屈しないで過ごせたし、お前らへのもう一つのプレゼントも見つけられた」
「「俺らからもヨロシク♪」」
「手紙出した時に伝えとくよ。そういえばその例の地図もまだ見せて貰ってないから早く見せろよ」
透明マントの経緯を話し終わったリューゲ達四人は部屋にある地図を見るために立ち上がり、歩きながら喋る。忍びの地図についてはリューゲは既に妖精の呪文の授業の時に三人に話していた。
忍びの地図を見たリーの第一声は
「悪戯仕掛け人いい仕事するなぁ」
だった。
一方フレッドとジョ……フレジョは驚きのあまり声も出ないようでぱっくり口を開けたまま固まっている。
流石にもう数十秒経ったのでリューゲが頭を叩くと今度は二人で手を繋いで踊り始める。
リューゲはため息を吐いて言う。
「テレビは叩けば直ると聞いたが…こいつらにやると余計おかしくなるだけなのか」
「魔法使って岩でぶん殴ってみれば?」
リーの物騒な提案にフレジョは踊りを止め冷や汗を流す。
「じょ、冗談」
「だよな…?」
「実際にやろうと思ってたんだが」
「「死ぬからやめてくれ」」
「冗談だ」
そのコントのような掛け合いにリューゲはボソッと呟く。
「お前らマジで芸人なれよ」
どうしてフレジョ呼びになったかって?作者の右手が限界だからです(笑)
それと、春休み入ったので更新ペースは三日に一度くらいにしたいなぁーと思ってます。ついでにいうと文字数も五千字くらいに増やしたいんですよね。まぁ途中でダウンしちゃうんですが。
リューゲのファンクラブの会長視点の話を書いて見たい今日この頃。