悪魔は彼の中に住む 作:正体不明.
宿題の量が少し減るこの時期は生徒にとっては一番楽しい時期だ。
例年丁度この頃は、多くの生徒は室内でゲームをしたり、趣味に熱中したりして楽しく過ごす。
よってホグワーツはとても平和になる。
が、今年はそうはならない。
廊下や大広間は生徒が死屍累々と横たわり、物が飛び交う阿鼻叫喚の図となり、医務室では常に怒声が響き日夜ベッドは埋まっている状態となっている。
そんな様子を見てリューゲは一言呟いた。
やり過ぎた…、と。
切っ掛けは簡単な事だった。
休暇が終わってから丁度一週間経った日。
リューゲ達は折角手に入れた忍びの地図を使わないなんて勿体無いと、授業をサボった挙句廊下に「鼠花火」というジョージ考案、リューゲ作成の新悪戯道具をバラ撒いた。
この鼠花火、実は中々に厄介で内部の動力源が大丈夫な限り永遠背中から花火を打ち上げる上に、基本的に魔法が効かないので普通に捕まえて至近距離から魔法を撃つか物理的に壊すほかないのだ。更にいうのならば凄まじく反応速度が速いので一部の効果がある魔法も避ける。そして追加で花火は爆音効果があるため廊下でバンバンやれば教室まで音が届く。
何故そんなのを使ったかというと…要は教師+生徒に対する挑発と挑戦状だった。
教師には捕まえてみせろと、生徒にはお前らもコレくらいやれということだ。
最終的にリューゲ達は忍びの地図と透明マントを最大限活用し、フィルチと教師から逃げ切った。
そして爆音を聞いて、教師の制止を聞かずに教室から出て来た生徒に向かって四人は言った。
俺らを超す悪戯仕掛け人がいるもんなら来てみやがれ、と。
そしてその結果が現在の阿鼻叫喚という言葉が相応しいホグワーツだった。
何があったかを簡単に説明すると
四人の挑発
↓
生徒達がノる
↓
いつでもどこでも悪戯が起こるようになる
↓
いつの間にか廊下を歩けばクソ爆弾が飛んでくる世紀末(?)に
↓
現在
という訳である。当然参加しない生徒もいたが、多くの生徒は暇潰しに丁度良いということもあってか積極的に参加した為、常に周囲を警戒しなくてはならないサバゲー状態となった訳だ。
二週間経った辺りから大広間や廊下でも普通に上空を物が飛び交うようになり、二週間と四日が経った頃には医務室のベッドはおろか床も満杯となり、医務室のマダム・ポンフリーもマジギレしていた。
そしてそんな色々と世紀末なホグワーツだがそのホグワーツを、現状誰よりも楽しんでいたのはリューゲ達四人だった。
「流石にこれはヤバイな」
「とはいえコレ俺らがやったって考えたら俺ら凄くね?」
「少なくともお前は全然すごくない」
余裕綽々な雰囲気で堂々と廊下を歩く四人には次々とクソ爆弾が投げられるが当然そんな物にやられる四人ではく、それぞれ杖で、足で、魔法で投げつけられる物を投げ返していく。
「でも最近談話室でも寝れないからそろそろこれ終わらせよっか」
「だな」
「了解」
「異議なし」
リューゲ達は中庭に向かう。
道中何度も襲撃されるが、全ての攻撃を避けホグワーツで現在唯一の安全地帯となっている中庭に無事辿り着く。何故ここが唯一の安全地帯かというと、この戦いが始まって三日目にダンブルドアがそこに守護の呪文をかけたからだ。まぁそのお陰で校長にも許可を貰えたから、ということで心置きなく暴れまわる者が増えたのも事実だが。
リューゲは中庭の中央で手持ちの最後の花火五本を打ち上げる。五つの花火は分裂したかと思うと、空に「time up!」と大きな文字を映し出し爆音をたてる。
その様子を見て生徒達は一斉に手を止める。そしてリーが予め校内に仕込んでおいたスピーカー擬きを介して全校生徒に宣言する。
『時間切れ、という事で“第一回” 悪戯中 ーin ホグワーツー を終了しまーす。参加者は全員校内清掃するように!それと悪戯中が楽しかったと思う奴らは是非俺ら悪戯仕掛け人に言ってくれ。俺らが卒業するまでにもう一回くらいやる予定だからな。それと今回俺らが無料配布した悪戯グッズは明日からセットで八ガリオンで販売する。では各々自分がした悪戯の片付け作業に入ってくれ』
こうして多くの教員の頭を悩ませた、第一回 悪戯中は無事(?)終了した。
悪戯中の終了から五日。
廊下や大広間での乱闘騒ぎが起こることはなくなった。が、医務室のベッドが満席なことは未だ変わりない。
その原因は…
「クソ爆弾、鼠花火、煙玉、嘘つきボウシ、身代わり案山子……etc etc 全部合わせてたったの八ガリオン!一日限定三十個だから悪戯好きのお前らは急げよー」
「二セットくれ!!」
「俺が先だ、五セット!!」
「はーい、今ので終了ー!」
「十ガリオン出すから一個くれ!!!」
ギャンブル中毒ならぬ悪戯中毒化した生徒達に悪戯グッズを売りつける
連日販売所となっている中庭に押し寄せる生徒達のお陰でリューゲ達はボロ儲け状態だった。
「いやぁ、今日も売れたなー」
「だな。そういえば最近追っ手のレベルが上がってるぞ。さっき裏道使って近道したのにどうやったかしらないけど、フィルチに回り込まれて結構危なかったからお前らも気を付けろよ」
フレッドの言葉にリーは肯定を示した後に、三人に警告する。
実際三人も最近教師がやたらと追いかけ回してくることに気付いていた。
「まぁとはいえ」
「俺らが」
「捕まるわけ」
「「「無いけどな!」」」
「相変わらずなコンビネーションだと思ったらフレジョだけじゃなくてリーも参加すんのか」
「お褒めの言葉ありがとさん!そういえば何でリューゲ俺らのこと略すの?」
「長いから」
「ヒドい!」
リューゲ達は今日の売り上げを数え終わると、何時ものように軽口を叩き合いながら寮へ帰っていった。
リューゲがいるお陰で悪戯グッズもフレジョの実力も原作より大幅アップです。
というか一年生の段階でこんなものを作ってしまっている……原作の二大嫌われ者コンビがどんな目に合うかが作者もわからないです(笑)
お気に入り、栞、感想ありがとうございます。特に感想を頂くと本当にモチベーションになるのでありがたいです(´∀`)