彼らのルネサンス【完結】   作:ノイラーテム

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外伝:タブラさんの伝言2

●現地の独自性

 モモンガ達はゴーレム購入手続きの間、試合を観戦する事に成った。

 当然片方は今まで手伝っていた新型であり、相手方はライバル工房のモノだ。おそらくはコンペの予選みたいなものだろう。

 

「シズ。この戦いどう見る?」

「……高い確率でドワーフ蟹サウルスの優勢勝ちです」

 相手方のゴーレムをシズは奇妙な呼称で呼んだ。

 手は長く寸胴で足は短い。バランスの悪いのが見て取れるが、ソレを尻尾状の装備で補っている。言われてみれば、確かにドワーフ蟹サウルスでも良いかと思えた。

「あの個体は明らかに打撃戦を企図した設計です。第一戦のレギュレーションはゴーレムのみですので、結果を見るまでもありません」

「ふむ。では第二戦……人形遣いが関わった場合はどうだ?」

 NPCの顔を強く見せる時、シズは感情を排除して極端に冷徹になる。

 元から表情の変わらない娘だが、そこから更に淡い感情が取り除かれて希望論を寄せ付けない。

 

 シズは軽く目を伏せて再演算すると、同じ調子で返答を寄こした。

 

「機動戦に持ち込んでも全く勝機は見い出せません。むしろ互いに装甲や移動力を強化し合えば、少々の戦術差では補いが付かなくなるでしょう。しかし……」

「態勢は揺るがない。しかし本来は第二位階でしかないはずの、連中の奥義に当たる魔法が大きな影響を及ぼすと?」

 コクリとシズは頷いた。

 第二戦、人形遣いと呼ばれる指示者という要素が加わっても、辛口の評は変わらない。ならば優勢勝ちにまで推論が低下するのは、彼ら人形遣いが独自開発した魔法の影響が、それだけ大きいからだ。適性さえあれば誰でも覚えられる魔法と違って、それらは劇的な事がある。

「仮に跳躍して上方から攻撃すれば、威力はケタ違いに底上げされます。あるいは武器耐久度を犠牲に、威力を底上げする様な魔法があるかもしれません。そうなれば計算は根底から変わってくるでしょう」

「Vの字斬りやファイナルアタックは強烈だからな……ゴホン。創意工夫と言う物は面白いな」

 シズの眼がジト目に変わった。

 彼女もモモンガのノリに慣れて来て、データを問われた場合はプレアデスのシズとして。そしてネタを言われた時は年下の相棒として対応を変えるだけの余裕を手に入れている。

 

 NPCとしては余計で余分なのかもしれない。

 だがモモンガとしてはただのNPCではなく、友人の娘として扱っている。むしろ、その成長を好ましいと感じていた。

 

「名残惜しいがタブラさんの伝言を優先したい。今は勝率を覆す程の開発力を期待しておこうか」

「はい」

 モモンガは誰にも見られない場所まで移動し、シズやゴーレムごとあの『塔』へ転移する。

 そしてシズの記憶を一度写し、手に入れたタブラからの伝言を読み込ませることにした。

「これまで判ったのは、ここの連中が自由に……ではないにしろ、独自に魔法とかを開発できることだよな。その確認と、あとは造物主とやらの続報か」

「……」

 シズは黙ってモモンガの思考を邪魔しないように……いや、タブラの記憶が混在し始めていた。

 徐々に性格やデータの汚染が始まり、僅かな間、タブラ・スマラグディナに成り果てるだろう。その間に、少しでも情報を聞き出したいものだ。

 

●進化の形

 やがて眼差しも態度も変化したシズが、タブラとして思考し始める。

 そして手に入れた情報を元に、何を話せば良いのか迷う……ことはない。

 タブラはあくまで、自分の話したいことだけを一方的に伝えて来るのだ。そこから有益な情報を引き出すのは、なんとかして誘導するしかない。

 

「やあ、モモンガさん」

「タブラさん。次の依頼があるから時間が無いんで、用件をお願いします」

 ウンウンと愉しむように頷く姿は、明らかにシズの物ではない。

 指先をタクトの様に振りつつ、近くにあったゴーレム模型用の粘土へと向かった。

「モモンガさんは現地民が、独自の魔法や武技を覚えて行くことに気が付いたと想う」

「ええ。レベル的には大したものはありませんが、メリット・デメリットを組み合わせて、面白い使い方しますね」

 例えば先ほどシズが例に挙げた、跳躍の魔法。

 あれは第三位階にある<フライ/飛行>の魔法からみれば劣化互換だが、ゴーレムという重量物が行うことで、武技の初歩技であるスマッシュ以上の効果を発揮する。

 

 他の流派と言える名人の元には、それぞれ独自の魔法があるらしい。

 僅か一瞬ながら高速走行を行いランスチャージするとか、モモンガが奪った様な火力UPの魔法など。

 それらは一子相伝的な魔法であり、自身が覚えていないがゆえに奪い易いモノであった。

 

「儀式が確実に発動する様になってたんで、独自の魔法を編みださせるとか、独自系統の職種とかやらせてみたいんですけど……」

「おや。『黒の叡智』が機能したのか。それはおめでとう。心強い限りだね」

 不思議なことにタブラは、その情報を持ち帰れない事を残念に思っていなかった。

 もしかしたら使えることは規定事実だったのだろうか? そう思っていると、サラリと爆弾発言が追加される。

「どこかの国に弟子が学校を造って居ると思うから、探して伝えておいてほしい。急ぎの用事は彼を伝言板にしてくれ」

「へっ!? ということはある程度まで話してるんですか? っていうか、生きてるのその人?」

 いきなり弟子に伝えてくれとか、驚きが強過ぎる。

 ナザリックの事とかどこまで放して居るのかとか、色々聞きたいことができてしまった。

 

 だが前述した通り、タブラは自分の話したいことしか話さない。

 さっさと自分の用件に思考を切り替えたようだ。

 

「その辺は調べれば判るよ。『アインズによろしく』と言えば通じるんで。時間も無いし、ここの連中の事を話そうか」

「……くっ。この人は相変わらずだなぁ」

 言いようのないガックリ感と、懐かしさがモモンガに込みあげて来る。

 その間もタブラ in シズは粘土を半分こねくり回し、残り半分は器に入れて水を足すと柔らかくしていく。

「タレントの有無はまあ最初のリソースが多いか次第。竜王や上位巨人とかはちゃんと成形して、魔力と魂を吹きこまれた生命体だと思って欲しい」

「あーなるほど。リソースが魔力だか何だか知りませんが、言われてみれば判ります」

 並んで行くトカゲもどきや、呪いの人形もどき。

 バルバロッサを思い出すなあ……と訳のわからないセリフに取り合えず頷いておいた。おそらくは三本指の時代と違って、上手く扱えないのだろう。あるいはシズの趣味が影響しているのかもしれない。

 

「これに対して人間は、この縄に魔法を掛けて、一定量のリソースをランダムに型押しするようなものなんだ」

「スタンプというか、コピー? なんか随分と適当な……」

 柔らかくした粘土を縄に付けると、グルグルと振り回してあちこちにバラまいていく。

 そこに型でガンガン人型を押しつけて行くのが、大量に生まれる人間を示しているのだろう。

「でも時々ですけど、妙に強力なタレントとか居ますよね? それもリソースの分量ですか?」

「半分はね。残り半分はリソースそのものが増えた事と、人口が増えてそもそもの作例が増えたのが影響かもしれないね」

 そういってタブラは普通の粘土の残りを手に取ると、柔らかい方に全部加えてしまった。

 そして余った材料も放り込み、縄を何度も何度も振り回す。シズの姿に相応しいが、その目は決して笑って居ない。

 

「リソースが増えた? そんな事が簡単に起きるんですか?」

「竜王や巨人が減った事もあるし、何より実例が目の前にあるじゃないか。この世界に竜王が不用になったなら、消費の大きいあの連中はもう要らない。そして新しい客人共々、何時かリソースに還るかもしれない」

 転生とか還元とかいうのがあればね。

 そう言って笑うシズの表情は、随分と酷薄なものだった。タブラの表情には似つかわしくないので、推論を得るまでの過程で何かあったのだろうか?

「俺たちもリソースですか。いよいよもって造物主の存在説が強まって来ましたね」

「……その話をする前に、先に彼らの成長について終わらせておこう。モモンガさんも、これからの予定が立ち易いだろう?」

 確かにその通りだ。

 現地民の成長パターンが理解できれば、モモンガ自身タブラの様に色んな職種や魔法の萌芽を促し、いつか収穫できるかもしれない。現地の連中にも良い影響があるので、迷惑なのは気にしないでおこう。

 

 しかし……思い付いたことを後回しにする。

 それはとても、タブラらしくないことだった。言いようのない不安を感じて、無い筈の胃がキリキリと痛む。

 

「彼らは本来、我々ユグドラシル棲人と違ってレベルUP性じゃない可能性があるんだ。元の成長パターンに加えて、『二十』による方向性でレベルが付け加わった」

「ハア!? 何ソレ、ズルイなんてもんじゃないっすよ!」

 不安さを押しのけるほど腹が立つ。

 もちろん八当たりでしかないが、弱い段階から頑張ってレベルを積み上げてきたモモンガにとって、見逃せない情報だからだ。

「じゃあ連中は元の能力に加えて、レベル分の強さが追加されるって事ですか!?」

「使いこなして居る連中にとってはね。ただ忘れないで欲しいんだけど、ネットで『二種類分』の成長ルールを知ることができないんだ。しかも間違った場合、容易に取り直す事はできない」

 ここで重要なのは、成長を止める制限が二つあることだった。

 最初から強い竜王あたりならともかく、人間達はむしろ誓約ばかりが大きいだろう。いや、新しく成長する個体にしかレベル性が発揮されないならば、竜王にすら制限が大きくなってしまう。

 

「ルール制限……」

「そう。適正レベルの試練が必要だとすら彼らは知らない。そして最初のリソースは限られているから、人間なんてあっという間にカンストだよ」

 死に戻りが出来ない以上、それは致命的だ。

 間違った状態でカンストしてしまうと、もう二度と成長ある未来には戻れない。レベル性が本来のシステムであるモモンガと違って、二種類分のルール制限が彼らには課されているのだから。

「彼ら本来の成長は常備化ポイント性……。元の能力に付け足して行くことで、新しいけれど良く似た存在に進化・変態するんだと思う」

「変態……ってペロロンチーノのことじゃなくて。ブループラネットさん達が言ってた、昆虫の変化でしたっけ?」

 タブラは頷くと既に造って居たトカゲ人形に、翼や爪のパーツを付け加える。

 ただそれだけのことだが、モモンガ達のリアルではそんな事は不可能だ。もしかしたら、ここの現地民は人間に見えても別の生命体なのかもしれない。

 

「もしかして、参考例があればリソースの消費や安く。無ければ多く消費してしまう?」

「その通り! そして早い段階で『必要な能力』を得られなければ、次の試練(カンスト)には間に合わない。ネットで調べれば簡単なことでも、手探りではちょっと面倒だよね」

 ちょっとどころではない。

 仮に10レベルが最初のカンストだったとしよう。そこまでの成長段階で何かしらの能力を手に入れなければ、その壁を突破できない。仮に手に入れても、次の壁までに新しい能力が手に入らなければ? 15か20か知らないが、やはりそこで成長は終わるのだ。しかも自分の分野に役立たねば、成長しない可能性すらある。

「まあ最初は良いんだ。筋肉とか、魔力とか、そういうので構わないからね。タレントによっては効率が凄く変わってくるし」

「というかタレント次第ですよね。戦闘に有利な能力とかだと、最初の幾つかの壁はアッサリ越えそうです」

 モモンガはそう言いながら、ふと首を傾げた。

 ではレベル性の良さとかは、どこに関わってくるのだろう?

「あれ? レベルがあって何か得するんですか? そりゃ目安はできるだろうけど……」

「それこそさっきの参考例だよ。アーキタイプの系統があれば成長し易いと思わない? あとクラスなんてモノがあるなら、それ用のタレントも出来て来るだろうしね」

 タレントで特殊能力を得る場合に、クラス関連の能力を得るかもしれない。

 それは筋力や魔力が強化されることよりもレアだろうが、それでも戦況を変化させるような能力よりは出現し易いかもしれない。もちろん一定以上の能力ばかりの可能性もあるし、完全ランダムなだけでハズレ籤も存在し得るだろうが。

 

「もしろん正解かは判らない。だけれども、そう考えると凄く納得が行くんだ。レベル性は効率の良い型枠であると同時に、新しい制限でもある」

「納得は難しいですが、理解はしました。ということは新しい職種に関しても、意図的に情報を与えればいいんですね?」

 参考例がある方が、そっち方面の能力を得て進化する可能性が高い。

 そう考えれば色々読めて来ることもある。先ほどタブラが言った弟子に付いてだ。

「だから弟子に学校を造らせたんですね? じゃあ俺も欲しい職種があったら、そのお弟子さんに頼めば良いと」

「その通り。じゃあこの件は終わりにしておこう。……時間的にもそろそろアレについて話すか」

 そういってタブラは苦笑を浮かべると最後の話題に付いて述べ始める。

 

 それは彼をして怒りや絶望に叩き込み、そしてモモンガにも同様の思いをさせる物であった。

 

●造物主の可能性論

 湧き上がる感情を押し殺すためタブラは息を吸い込んだ。

 今回のことでシズにどんな影響が出るかも判らない。シズ・ベースで再統合される筈だが、場合によっては記憶の一部を弄る必要があるだろうか。

 

「造物主の可能性に関して、前は竜王やタレント持ちについて言及してましたよね?」

「うん。だからそこは削っておこう。そのレベルならば凄い智慧があっても、死んでる可能性が強いし」

 ユグドラシルからプレイヤーを呼ぶ必要性。

 そのキッカケが大事件である可能性や、そうでなかったとしても八欲王の狼藉もある。人間の場合はタレントがあっても死んでるだろうし、竜王であってもとっくの昔に召喚の代償を合わせて死んでる可能性は高い。

「それらを除くと可能性は三つ。こういう都合の良い能力を持った世界を造ることができるとして……一つ目は、最初から出来る存在が自分の能力を分割する、避難所というか隔離空間」

「あー。イベントボスが自分の腕を千切って、悪魔の将軍を造るみたいな感じですね」

 イベントボスで偶にあるパターンで、神に落とされた邪神が魔王になるパターンだ。

 自分の能力を分割して、似たような能力を持つ部下を造る。特化する場合は剣を持つ右手から攻撃能力を持つ魔将が、盾を持つ左手から防御能力や復活能力を持つ魔将が……など。

 

 これらはイベントを通して一貫した特性を持っている。

 魂や血を原料(リソース)に更なる部下を造ったりするのだが、やはり似たような能力に成ることが多い。

 

「それが一番ありえるというか、そうであって欲しい穏健なタイプで、この場合は無視していい。我々が収穫されない限りね」

「まあ俺達がその立場に成るのはゾっとしませんね。呼び寄せられて殺されたんじゃたまらない」

 言いながらモモンガは現地民に対して冷淡なことを思い出した。

 ガブリエッラ達のように関わり合った人間はともかく、関連性も相互利益も無い相手はどうでも良いと感じてしまう。それこそ黒の叡智で生贄にすることも躊躇わない様に。

「次に許せる限界範囲なのが、神々の宮廷があるパターン。我々の努力を何処かで見守って笑って見てる場合だ」

「それ許せるんですか? まあイベントで偶に見ますけどね」

 大抵は叩き潰してきた。

 当時を思い出しながら、上位巨人の連中はウザかったなあと思い出しムカ付きに陥る。おそらく中の人は運営なのだろうが、場合によってはNPCを通して交渉もできた。タブラが許せる限界だと言っているのはその事だろう。

 

 そんな事を考えながら、先ほどからタブラが何度もらしくないことを口にしたりしているのを思い出した。言いようのない不安がモモンガの元に蘇る。もしかしたら一部NPCの様に……。

 

「最後に……。この世界のリソース全て、あるいは我々の体がコンピューター制御のデータ。または性能の高いドローンでしかない場合」

「……えっ」

 今、タブラは何と言ったのだろう。

 シズには相応しくない怒りの顔で、何を言っていたのだろう。モモンガは思わずもう一度聞き返した。

「タブラさん? そんな筈は無いでしょう? だって幾らクソ運営だって……」

「ああ勘違いさせてしまったね。ユグドラシル2という意味じゃない。可能性はゼロじゃないけれど、ちょっと違う」

 否定の言葉に安心する自分を感じると共に、背中に流れる汗の感覚は消えない。

 ありもしない冷汗が中々消えてくれないし、こんな時に限って心の平穏化が起きないのだ。まあこれだけ静かで不気味な不安では、徐々に流されていくのだろうけど。

 

「私もこの考えに至った時、真っ先にソレを疑って、色々試したとも。MPの無駄使いと知ってもなお、記憶を探ったりね。安心して欲しいのは、ゲームにしては思考が複雑過ぎる」

「流石にそんな訳ありませんよね。そうか記憶を探るか……そりゃ弄れるんだからできるよな」

 プログラムだとすると、多様性が豊富過ぎる。

 それぞれパターンで造られてして居るとしても、思考ルーチンでは収まらないレベルなのだ。幾らなんでもこれだけのパターンがあり、更に複雑さを持って発展・継続。時には妙な方向に思考が飛ぶのはありえないだろう。

 

 そんな事が可能なのは、あくまで矛盾を抱える人間くらいのものだ。

 

「ではなんでタブラさんは不満があるんです? というかゲームじゃないならデータとかあり得ないでしょう」

「あるさ。例えば見知らぬ惑星のテラ・フォーミングに送り込まれ、企業の代わりに適当に宇宙人達の生活に介入させられているとかね。……でも私が不満なのは、そんなことじゃない」

 愕然とする話だが、タブラ成りに根拠があると言う。

 その理由が『そういうゲームやアニメがある』というのだから笑えない。ちっとも笑えない理由だが、理屈としては可能性がそれなりにあり過ぎるから、なお笑えなかった。

「もしそうであるならば、何故ひとこと声を掛けてくれなかった! もしそうならば最初から協力しただろうに!」

「それかよ!」

 思わずツッコミを入れてしまったが、ある意味タブラらしいとも言えた。

 同時にドン引きするほどの熱の入れようは、もしかしたら彼もまた人間を止めつつあるのだろうか。他人を操ることが愉しくなってしまっている?

 

「おっとすまない。思わず熱を入れてしまったようだね。ともあれ我々は警戒しつつ、造物主が居た場合に備えるという路線には変わりないと思う」

「切り替え早いですね。……まあ何時もの事ですけど」

 時間が来たのだろうか、タブラは再び神妙な話し方に戻った。

 おそらくは自分で辿りついた推論に白熱し、可能性論に激怒して居たのだろう。とりあえず話半分に聞くことにして、残り半分で真面目に取り合うことにする。

「まずは分担して記憶を探り、行動パターンを見守っていこう。それでユグドラシル2でないかは簡単に把握できる。その上で今まで通り戦力拡充かな」

「調べるのは百や二百の例じゃ駄目だろうなぁ……。でも問題なのは神々の宮廷なり、企業の手先のレベルを越えられるかってことですよね」

 レイドボスは120~140とか普通に居たし、造物主の軍勢がそれを下回ることは無いだろう。

 操られるのは良い、まだ我慢できる。

 しかしそれもまた、自分達が創生計画を乗っ取ることができればの話だ。教授から聞いた汎例調査の話を思い出しながらモモンガはタブラの最後の言葉を待つ。

 

「と言う訳で私は活動圏を広げる為に海を渡ろうと思う。モモンガさんが何番目にこの記憶を受け取ったのかは判らないが、連絡は弟子を通した方が良いだろうね」

「……これが二つ目じゃないのかよ。まあいいや、できれば弟子の名前だけでも教えてください」

 随分と順番を飛ばしてしまったようだと思いながら、先ほどの推論が飛躍したモノであろうと当たりを付けた。

 つまり自分は途中の理論をすっ飛ばして結論を聞いたということであり、同時に過程が違って居れば別の推論が聞けたという事もである。

「言って無かったっけ? 彼の名前はフル……」

「をーい! 最後まで言いたいことだけ言っていったなぁ。お疲れ、シズ」

 疲れたのか最後まで名前を口にする事は無く、クタリとシズが眠り始めた。

 前はこんなことは無かったので、暴走するタブラのテンションに付いていけなかったのだろう。

 

 モモンガは少女に毛布を掛けてやりながら、聞いた情報を元に、どう文明へ介入をしようかと途方に暮れるのであった。

 良くも悪くも、これが彼らのルネサンスである。

 




 と言う訳で、シリーズ第二期のラストになります。
一応はこれで終了になるでしょうか?
まあゴントを使ったネタみたいに、思い付いたら外伝とか増やしても良いのですが。

 このシリーズは異世界について、原作から流用しつついろいろありえる話を考えて来ました。
TRPGはレベル式と常備化ポイントを消費する二パターンあるのですが、
「魂を汚した」発言から、レベル方式に変更されているのではないか?とか推論を付けて見たり、他にも色んな魔法やなんかを開発できることから、特殊性とか考えて見たりですね。
逆にポイント消費型なので、ともすればアッサリ死ぬとか、レベル性とダブルで制限が掛るので
本来は15レベルとか行く場合でも、ルートを間違えたら10レベルを越えれないのではないか? とか思って見たりしました。

●ドワーフ蟹サウルス
 聖刻シリーズに出て来る従兵機だとか、バーチャロンに出て来る重量級の機体をイメージしてくだされば判り易いかと。
単純な戦闘向きで地道な打撃戦をやったら勝率が高く、戦場を張りし回るには向いていないみたいな感じです。
実際にはそんな開発をするとバランス壊れるので、尻尾を付けて帳尻を合わせて居ます。

●弟子
 何ルーダなんだ。
この世界では無事に師匠に出逢えた模様。
タレント付きの学生を増やすべく、自身も子孫を増やしたり能力持ちを調べる魔法も取得して居るでしょう。

●成長ルール
 かなり捏造です。
まがりなりにも説ができているのは、TRPGの成長ルールを参照して居るからでしょう。
タブラさんはそっちの知識があるので、引きずられているのかもしれません。
造物主の時の話も、知識に引きずられて居ます。

●小タレント
 全てのアイテムを利用できるみたいな強力な能力ではなく
特定のクラスにおける成長が早い、半分の経験で済む、上限が高いなど
原作で出てきた、天才と言う表記から持って来て居ます。
こちらは強力な能力と違って、複数持って居る可能性もあったり
タレントが無いのではないか? と言われている人も気が付かないけれどあるかもしれません。
流石に描写の無い……クライム君に王者の才能があったりなどはしないでしょうが。

●世界と、造物主の可能性論
 異世界の中には避難所的な世界が存在し、そこでは特殊能力が進化し易い傾向にあります。
古くはルナヴァルガーに十二国記、新しくはデスマーチなどです。
これがパターン1で、パターン2は普通にギリシアのオリュンポス十二神見たいな感じ。
パターン3は運営黒幕説ではなく、都市を支配する企業黒幕説です。
映画のマトリックスより古いアニメのメガゾーン23や、ゲームのバーチャロンなどを参考にして居ます。
 ただ、タブラさん視点で語って居ますが、データが複雑過ぎ多様性があり過ぎるので
ユグドラシル2の試験用ではないのではないかと思います。
まあ少数ならば未来のコンピューターならばSAOみたいなことができるのかもしれませんが、それでも人口が多過ぎるので。
(PC召喚イベントの起きる百年が、限界に納める為の人口調整だったら話は別ですが)
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