ジーティス君は現地人   作:ミミヤヤ

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原作アニメ化→作画についての声が多数→一年後に延期→私がこれを書く
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                            今ここ!

 見切り発車というの名のノリを皆さんに見せたいと思う所存です。


ジーティス君はハイリヒ王国へ

 トータスというこの世界の、ハイリヒ王国において勇者召喚があったという知らせは瞬く間に世界中へと広がった。魔族の侵攻を何としても防ぐための策だ。世界中の人々はこれで大丈夫、そう安心していた。

 

「皆は呑気なのですね。我々、トータスの問題だというのに……」

 

 中立商業都市フューレンのギルドにおいて、二人の男が水を片手に机についていた。

 

「確かにそうだよな……。まあ、実際に手詰まりだったのは確かだけど」

 

 一人の男が虚空に向けてそう呟くと、同席していた男――ギルド支部長のイルワ・チャング――が怪訝そうにした。

 

「ジーティス君、急にどうしたんだい?」

 

 ジーティスと呼ばれた男は自身の紺色の頭髪は少し弄りながら、

 

「あ、いや、何でも無いですよ。ただの一人言です」

 

 そう咄嗟に誤魔化すように煙に巻いた。イルワはまだ納得のいっていない様子だったが、それよりも優先すべきことがあったのか話を進めた。

 

「それで依頼の話だが、約三週間前ハイリヒ王国にて勇者、神の使徒が召喚されたというのは知っているよね?」

「はい、何でも大勢の若い人達が召喚されたとか」

「そう。これより勇者関連の問題が世界中で何か発生することは間違いないだろう。そして、我々フューレンは常に中立でなければならない。だから、少しでも先に情報が欲しいんだ」

「……俺にそのハイリヒ王国まで行き、情報を入手してこいってことですか?」

 

 話が早い、とばかりにイルワは頷いた。ジーティスはそんなイルワを見て苦笑いが抑えられない。

 フューレンからハイリヒ王国まで、空でも飛べれば早いのだが、何分かなりの時間がかかる。当然、そんな長い道程では危険は計り知れないだろう。はっきり言って、あまり受けたい依頼ではない。

 

「まぁ、渋い顔をするだろうとは思っていたよ。しかし、よく考えてみてくれ。神の使徒たちはとんでもない力を持っているそうだよ。もしかしたら、君の望んでいるモノもあるかもしれないよ」

「……」

 

 ジーティスは思わず黙りこむ。顔を下に向けていて、考え事をしているように見えるそれは、何かを聞いている姿にも見えた。

 その後、彼は一度虚空に視線を投げかけたかと思うと、目をイルワに向けた。

 

「分かりました。ただし、報酬は弾んでくださいね」

「それは君次第さ、“白”の冒険者。さっそくだけど、調べてきて欲しいのはまず神の使徒の人数と大まかな人格。そして、平均でどれほどの力を持っているか、リーダー格は誰でどんな人格であるのか。この五つだよ」

 

 注文が多いなぁ、そう思わず零さないようにとジーティスは水を口に含む。それを承諾の意と思ったのか、イルワは笑顔で立ち上がった。

 

「じゃあ、期間は決めていないけどなるべく早く頼むよ! それではよろしく!」

 

 イルワは快活に笑むと去っていった。

 

「……報酬について聞いてない」

 

 ジーティスは虚空から感じるじっとりとした視線に冷や汗を流した。

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 場所は変わって、ハイリヒ王国へと向かう道中。ジーティスはまたも虚空に向かって言葉を投げかけた。

 

「アマリア、人が居る時に勝手に話かけないでくれって言ったろ? 俺にしかお前は見えないんだからさ」

 

 ジーティスはそう右隣を向くと、長い美麗な金髪を後ろで一つに纏めた凛とした美人がいる。齢18であり、身長も高いジーティスと比べて頭二つ低い背は可愛らしさを見せるが、彼女の雰囲気はそれだけでなく自然と背筋が伸びるものだ。

 

「わかっていますが、反応するジーティスも悪いですよ」

「俺にはお前が見えるのは当たり前だからつい反応しちゃうんだよ」

 

 要するに、アマリアは幽霊のようなものなのだ。何故か、ジーティスには見える、幽霊。かと言って、別に脚が透けているとか宙に浮いているとかではない。ただ、普通の人間のように動いているが、他人から視認されないというだけ。

 

「報酬は情報次第とかイルワさんは言ったけどさ、人使い荒いよなぁ。大体、ハイリヒ王国まで徒歩でどれだけかかると思ってるんだよ」

「急いでも一月ですから、往復で二月以上はかかるでしょう」

「それで報酬は情報次第っていうんだから堪らない……」

 

 こうして会話している内も、二人は走っていた。丸一日、というのは不可能であるが、約半日程であれば走り続けることは可能である。二人はその人間としては遙かに上位であろうステータスを駆使して強行軍を進めていた。

 

「であれば、受けなければよかったのでは? 別に、受けなければいけない事情はなかった筈です」

「そうは言うけどな、あんな意味深なことを言われたら気になるし、期待せざるを得ないだろ? ……俺も神の使徒は気になるし」

 

 ……どっちが本音なのだろう、とアマリアは首を傾げる。彼女からすれば、前者が本音であれば嬉しいのだが、ジーティスは中々素直になってはくれないのだ。

 

 そうこうしている内に、二人、いやジーティスは二つの馬車を見つけた。おそらくフューレンから出た行商人であろう。

 ここまで走っては来たが、出来るのなら走らず馬車などで移動したい。しかし、アマリアは勿論のこと、ジーティスも手持ちが少なかった。出発前にハイリヒ王国行きの馬車を探してはみたが、不運にも無く、泣く泣く自分たちの足で行こうとしていたそんな時に、同じ方向へと進んでいる馬車を見つけたとなれば、考えることは同じだろう。

 

 二人は顔を見合わせると、走行速度を上げて馬車に近づく。

 

「すいません! 少し話をさせてくれませんか!!」

 

 馬車と並走しながら声を張り上げると、中から武闘派な男が姿を現した。

 

「……なんだ、食料も金もやる気はないぞ」

「違います。馬車に同乗させてくれないか、そちらの主人と交渉させてくれませんか? 相応の対価は出します」

「……ちょっと待ってろ」

 

 男は中に引っ込み、少ししたと思えば別の人物が顔をだした。やや白髪の混じった金髪をなでおろした清潔感のある細身の男だ。

 

「話は聞きました。食料などをそちらが自給しているのであればこちらとしても同乗者が増えるのは構いません。ただ相応の対価無しに、というのはこちらに利益がない」

「あなた達は今ハイリヒ王国に向かっている、これは間違いないですか?」

「ええ、フューレンから出てこの街道を通るのはハイリヒ行きの者のみでしょう」

「ここから進めば、魔物が多く出る地帯を通らないとならない。どうでしょう、馬車に乗せるだけで護衛が一人増えるというのは。何だったら御者もこちらがやります」

 

 少し考えた後、男は笑みを作り頷いた。

 

「良いでしょう。私はカーマイン・クラッド。しがない旅商人です」

「ありがとうございます。俺はジーティス・シェロ。白の冒険者です」

 

 早速、荷車に飛び乗り、二人は握手を交わした。

 

「ジーティス殿は何用でハイリヒへ?」

 

 軽い雑談程度のノリでカーマインは尋ねる。荷車の中にはフューレンで仕入れたのだろう各地方の特産品が積まれていた。やはり、旅商人にとってフューレンで特産品を仕入れ、それを他国で売るというのはテンプレのようだ。積まれた商品の数はそれぞれ大きな差があることから、カーマインがこの道長いことを教えてくれる。ジーティスのような者も初めてではないのだろう。

 

「依頼ですね。ハイリヒ王国では勇者召喚がありましたから、その情報収集を頼まれまして」

「それは……、何というか大変でしょうね。馬車の一つも用意してくれない依頼人とは、一体どこの暴君なので?」

 

 冗談めかして言うカーマインだが、その暴君がまさか冒険者ギルド支部長であるとは夢にも思わないだろう。ジーティスは『これ、イルワさんだって教えたら面白そうだな』とか考えるが、そこは常識的な幽霊であるアマリアが横から口を挟む。

 

『意地悪は信用を失いますよ』と。

 

 ジーティスは密かにその言葉に返す。

 

「何で心が読めるんだよ」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はプロローグもプロローグ。キャラの特徴は次回以降から出していこうと思う。

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