『ゴットイーター2・レイジバースト』~神々の二重奏~   作:平崎

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第5話 極東支部の騎士

 極致化技術開発局 ロビー

 

 

「最近元気良いよね、雪奈ちゃん」

「そうかな?」

「そうですよ、雪奈さん」

 

 ロビーの一角でいつもの様に集まるブラッドの女性陣達、今日も任務終わりにガールズトークをしていた。

 

「やっぱり極東支部の皆と会えるから?」

「そうかも知れない」

「私と言う大親友がいるのに、妬いちゃいます」

「シエルちゃんとそこまでの時間一緒にいない様な……」

「時間なんて関係ないです。あの日、赤い雨の中、君は単身助けに来てくれた。それは紛れのない真実‼」

 

 極東支部との協同戦線を決定してから、数日後ぐらいに『神機兵の無人運用実験の護衛任務』に出ていたブラッド。アルファ部隊とベータ部隊に別れ、それぞれ神機兵の護衛中に『赤い雨』が降り始めた。赤い雨、それは近年発生が確認された赤乱雲から降る雨のことで、これに触れると『黒蛛病』と呼ばれる致死率九十九%の病を発症する危険な雨である。

 

 赤い雨の中、神機兵を護衛していたシエルは一人取り残されて、グレム局長の「いいから、神機兵を守れ」と言う命令を受けて、その場に待機していた。

 誰も上官に逆らうことが出来ない状況の中、雪奈は単身でシエルの救助に向かったのであった。その際、赤い雨に触れたはずの雪奈はメディカルチェックを受けた結果、黒蛛病は発症していなかった。

 

「恋は盲目だよねー」

「同性愛は別にいいと思うけど、私は同性愛者じゃないから」

「愛は常識を越えます‼」

 

 この通りシエルはそれを機に、何かに目覚めたのとブラッド特有の力『血の力』を自力で習得したのであった。

 

「お楽しみのところ悪いが各員集合だ」

 

 ロビーから受付に繋がる階段の上にいるジュリウスに呼ばれ、ブラッド女性陣は受付の前に集まる。

 

 

 

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「極東支部との協同戦線に向け、事前に連携力の向上を上げる為、極東支部より神機使いが来てくれた」

 

 ジュリウスがそう言うと貴族らしい服装の青年がブラッド各員の前に現れる。

 

「僕は栄えある極東支部より来たエミー――」

「エミール、元気だった?」

「ぬぉ、SAMURAIが何故ここに!」

 

 貴族ぽい青年に慣れた態度で話し掛ける雪奈、貴族ぽい青年は『SAMURAIがいる』と大声を上げる。

 

「あれ言ってなかった? 今はここで神機使いをやっているんだよ」

「なんと!? ではSAMURAIの剣術を見ることが出来るのか‼ うぉぉぉぉ! 直ぐにでもミッションに同行したいのだがブラッド隊隊長!?」

 

 興奮が抑えられないエミールによって急遽、ブラッドはミッションに出るのであった。

 

 

 

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 黎明の亡都

 

 

「エミールさん、凄い‼」

「ハハハ、僕の手に掛かればこの程度、造作もないさ」

 

 ナナは同じブーストハンマー使いであるエミールが猿の様な姿の中型種のコンゴウを華麗に倒す姿を見て、エミールとブーストハンマーについて語り合っていた。

 

「前より酷くはないね」

「極東支部に転属した直後、雪奈くんの厳しい鍛練を積めばそうなる……今でもぞっとする」

 

 極東支部転属直後のことを思い出し、顔を青褪めるエミール。

 

「鍛練の内容も気になるけど、雪奈はその頃はラケル博士の護衛をしていたじゃないのか?」

「その頃はフライアの運用が本格化することになって、準備に時間が掛かるから休暇を貰っていたんだよ」

 

 ロミオにそう返す雪奈、そこにギルバートが続けて質問をしてくる。

 

「副隊長は極東支部で教官でもやっていたのか?」

「ううん、ただの非戦闘員」

「ではどうしてエミールさんを鍛えたのですか?」

 

 シエルに言われ、少しだけ考え込む雪奈。

 

「構わない、僕と盟友、そして盟友の妹の話は誇れるものではないが恥じる様なことでもない」

「わかった、実はね」

 

 

 

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 エミールが他の支部から極東支部転属になった頃、エリナって言う神機使いも極東支部所属になったの。その娘はエミールの盟友『エリック』の妹で、昔エリナにエミールは『僕のことを兄だと思ってくれ』と言って、エリナが激情するってことがあったんだ。

 エリナの兄『エリック』は極東支部で随分前に戦死していてね、エリナはそれ以来塞ぎこんでいたんだ。そこにエミールの無神経な言葉でエリナもキレちゃって、そんな二人が同じ部隊に配属になったって部隊隊長に聞いて、私は様子を見に来ていたんだ。

 

 まあそこで『自分にはエリナを支える力がない!』と嘆いているエミールに出会って、一から戦闘術を教えることになった訳。

 

「それにね、エリナちゃんは大事な友達だったし、エリックとも仲が良かったんだ。だからね、エミールがエリックの意志を継いでエリナを守るって聞いたとき嬉しかったんだ」

「改めて聞くと恥ずかしいな、だが! 騎士としてその意志は今も揺るがないと宣言しよう‼」

「それじゃあ、証明して見せてよ」

 

 雪奈は空から飛来する影に向けて、神機を構える。

 

「感応種の反応です。皆さん、注意して下さい」

 

 フランのオペレートも入り、ブラッド各員とエミールも神機を構える。

 飛来した影は中型種のシユウ神属感応種『イェン・ツー』、ブラッドの主な運用理由の一つである感応種。ブラッドの持つP66偏食因子―通称ブラッド因子―は通常の神機使いより強い感応波を持ち、感応種の感応波の影響を受けづらい。故にブラッドの神機は感応波の影響下でも正常に稼働し、感応種に対する唯一の方法であるのだ。

 

「ブラッド各員、戦闘準備だ。エミール、少し下がってもらえるか。副隊長も」

 

 ジュリウスはブラッド因子を持たないエミールと、ブラッド因子の効力が薄い雪奈に下がる様に命じたが、二人はイェン・ツーの前に立つ。

 

「ジュリウスさん、私、ちょっとエミールの全力を見たいから少しだけ時間をもらっていい? と言うよりもらうね」

「そう言うことだ、ブラッドの皆こそ下がって欲しい」

 

 イェン・ツーは戦闘体制を取り、子分であるチョウワンを形成する。が、雪奈とエミールは一目散にイェン・ツーに向かって、鋭いステップで近付き、神機をイェン・ツーの足に叩き付ける。

 イェン・ツーは大きくよろめき、もう一つの能力によって集中攻撃の的となっていたナナから雪奈達にチョウワン達は標的を移した。

 

「こい! 闇の眷属達よ‼ 騎士の名にかけて、貴様らを滅ぼしてくれる‼」

 

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