『ゴットイーター2・レイジバースト』~神々の二重奏~   作:平崎

8 / 8
第7話 ブラッドのお茶会、エミールを添えて

 極致化技術開発局 ロビー

 

 

「なーんか最近退屈だよねー」

「そうですね、退屈ですね」

 

 ナナがぼやきシエルが答える。ここ何日間は同じ様な会話が続いていた。

 あのマルドゥークとの一戦からアラガミが大人しく、被害情報も入ってこない。雪奈が言うには『現在のアラガミ達の長であるマルドゥークが何処か消えたから、ここらへんのアラガミも消えた』と言うことらしい。

 理由はどうあれ、神機使い達はアラガミがいなければ無職みたいなものであり、ブラッドとエミールはフライアで無駄に時間を潰していた。

 

「皆、紅茶を入れたのだがどうかな?」

「良いですね、ジュリウス達も呼んできます」

「ねえねえ、美味しいお菓子もある?」

「もちろんあるさ」

「やったー」

 

 エミールの誘いに乗ったシエルはジュリウス達を呼びにエレベーターに駆け込んでいった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

 

 シエルに呼ばれ、集まったブラッド男性陣。シエルは一人いないことに気付く。

 

「雪奈さんがいらっしゃらない様ですね」

「あぁ、副隊長ならラケル博士の部屋にいる。何でも有人神機兵のパイロット募集方法について相談中らしい」

 

 ジュリウスは『後でこのお菓子を持っていこう』と言い、雪奈抜きでお茶会が始まった。

 

 

「しっかし、あれだよな。いくらラケル博士の護衛として呼ばれたからって、ほとんど一緒にいるよな、雪奈って」

 

 ロミオは不思議そうに言う。それに続く形でブラッド各員も『何でだろう?』と考え出す。

 ギルが『何か知っているか?』とエミールに尋ねるが、エミールも『知らない』と答える。

 

「前にラケル博士に雪奈との関係を聞いたがはぐらかされると言うことがあったな。ラケル博士がそんなことを言ったのが珍しかったから、鮮明に覚えている」

 

 ジュリウスが思い出した様に言い出す。そこにエレベーターが上から降りてき、中からラケル博士の姉『レア博士』がロビーにやってきた。

 

「皆集まって、難しい顔してどうしたの?」

「レア先生、質問があります。雪奈さんとラケル先生はどんな関係何ですか?」

「流石に四六時中いる様だと貴方達も気になるわよね。ちょっと長い昔話になるけど良い?」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

 

 ラケル博士、レア博士が学生だった頃、学校の一般募集で旧日本列島の『独自の方法でアラガミに対処する里』に四泊三日の修学旅行にいく機会があった。当初クラウディウス姉妹は研究者になる為に勉強していた二人は、多くの知識を得るため修学旅行に参加した。

 

 里に着いた途端にラケルは普段と違い、活発に活動する様になり、レアが来て良かったと安心していると彼女が行方不明になっていた。

 レアは引率の先生に報告し、一人でラケルを探すことにする。その最中、里の青年に出会い、彼も妹を探していると一緒に行動することになった。

 

 夕方過ぎ、何処を探してもいなかったラケルが青年の妹と一緒にひょっこりと現れ、騒動は終わりを迎えた。

 

 それから青年『時雨冬夜』と妹の『時雨雪奈』の家に下宿することになり、半年間の修学旅行が終わった。

 

 

「つまり、昔からの友達と言う感じですか?」

「まぁ、半年間もいるともう一つの家族って感じね。もちろん貴方も家族よ」

 

 レア博士の発言を聞いたブラッド一同の反応は様々な表情を浮かべ、一通り彼らをからかった彼女は研究室に戻っていった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━

 

 

「レア博士、もっと機敏に動いて!」

「ちょ、少し休憩を……!」

「お姉さまに同意です……喉がもう」

「ラケル博士、そこは気合です!」

 

 研究室でなにやら怪しい活動する三人、レア博士は身体の動きをCGにする装置を身に付け、ラケル博士はマイクの前で倒れ込み、雪奈はパソコンの操作をしていた。

 

 そこにお菓子を差し入れに来たジュリウスが研究室に入ってくる。

 

「…………失礼します」

「待って!」

「ジュリウス、このことは内密にして!」

「はい……わかりました……」

 

 二人の博士に責め立てられたジュリウスはお菓子を置いて、そそくさと研究室を出ていった。

 

 その後しばらく、ジュリウスがよそよそしくなかったのは当然のことだった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。