マイとバッティングセンターに着いた。今日は火曜日、平日なので人の気は少ない。
「よ~し、それじゃあ私は140kmにいくよ!カナはどうするの?」
「もちろん、あんたと同じ140。」
「なら、勝負だね!どちらが多くホームラン打てるか、負けた方は昼ごはん奢りね!。張り切るぞ~。」
私たち二人は一番奥のバッターボックスに立つ。毎回この速度に立つと周りからの視線がすごい。それもそうだ。女子二人が店の一番最速に立ち、なおかつ平気でボールを飛ばすからだ。140kmと言うと高校野球でプロに注目されるレベルである。
「ホッ、ハッ、ホッ、ヨシッ!」
「オリャァァ!デリャァァァ!トリャァァァ!」
静かに、整ったフォームで打つ私。騒がしく、自己流のフォームで打つマイ。対照的ではあったが、両方しっかりとバットの芯に当て、ホームランを量産する。これも毎回ではあるが実際の所、勝負は毎回引き分けだ。
最後の一球が投げられる。両者ともまだ1度もホームラン以外を打ってはいない。来たっ!
カキーン!
音は一つ。私がホームランを打った。ならマイがミスをしたのか。隣のマイに目を向ける。今までドローだったが故に少し気になる。そこには、ボーッとこちらを見るマイがいた。足元にはボールが転がっている。明らかにおかしかった。ホームランではなくライナーならまだ今までに何度かあった。だが、ボールに当たらないことは絶対になかった。声をかける。
「マイ?どうしたの?」
それに反応してマイは、ハッと我に返った。
「ん?あぁ、いやいや何でもないの。しっかし、負けちゃったね~。こりゃ奢らなきゃね。」
いつものような笑顔と声で言ってきた。それに私は安堵する。
「それじゃあ、体を動かした事だし。今度はランチにしよー!」
時間は12時を少し回った頃。町のカフェに私たちは入った。
「いっやー、まさかカナに負けるとはね~。ちょっと油断しちゃったかな?」
「たまたまだよ、たまたま。それじゃあ、何にする?まぁマイの奢りだし?高いもの頼んじゃおっかな~フフッ。」
少し悪戯っぽく言ってみた。案の定マイは慌てて、
「ちょ、カナ、あんまり高いものはやめてよね!私のお小遣いが死んじゃうから!」
「大丈夫、そんなに高いものは頼まないから。」
もぉ~。そう言ってジト目で私を見てくる。マイの反応はいちいち面白い。彼女はちっとも変わってない。もちろんいい意味でだ。天真爛漫の言葉が良く似合う。
「う~ん、私はホットケーキにするけど、カナは決まった?」
「そうだね~、よし、オムライスにする。」
店員を呼ぶ。2人とも頼みたいものを頼み、料理が来るまで雑談に励む。話していると時間が経つのがやはり早い。すぐに目の前に料理が出される。
「う~ん!このホットケーキ美味しい!カナのオムライスどんなの?一口ちょうだい!」
「しょうがないな~、はい、どうぞ。」
「オムライスも美味しいね!じゃあお返しに、私のホットケーキを上げよう。」
そう言って私に、フォークで刺したホットケーキを差し出してくる。それを口にする。
「あ、美味しいねこのホットケーキ。また来ようか。」
そして黙々と食べ始める。マイの顔は笑顔だった。
オムライスが残り三口ぐらいの時、いきなり、ガシャンッ!という音がした。マイがナイフとフォークを落としてしまったのだ。音につられてマイの方へ顔を向ける。彼女の顔は大変青ざめていた。
「そんな…嘘、でしょ…」
彼女の視線は私の右手にある。いや、正確には、私の右手の令呪だ。
「えっと…マイ?どうしたの?」
「そんなはず…さっきのは見間違いのはず…」
聞く耳を持ってはいない。こんなマイの顔は生まれて初めて見た。この世の絶望を見てきたかのようなそれは、彼女に似つかわしくはなかった。
「ん?あ、あぁこれ?これは…。」
「カナ!」
一旦俯いたと思ったら、大声で私を睨んで泣きそうになっている。そして彼女はこう言ってきた。
「あんた!刺青なんて彫って!どうしちゃったの!4ヶ月会ってない間に何があったの!?私は凄く悲しいし、凄く怒ってるんだよ!」
なるほど、確かに令呪を知らない人間が令呪を見れば、刺青に見えるのもうなずける。ならば誤魔化すのは簡単だ。
「いやいや、マイ、誤解だって、これはシール。お店でお、これいいって思ってやってるだけだから。」
だが彼女の怒りは覚めない
「嘘だ!なら証拠として剥がしてよ!」
それは無理だ。ホントに刺青みたいに入ってはいるからそんな剥がれるものではない。
「え~、これこの前買ったばっかなのに~!嫌だよ!」
「う、それなら仕方がないや。でも、あと1週間でそれ、取ってよ。じゃないとホントに怒るから!」
「うぅ、ごめんマイ。」
「分かればよろしい」
初めて彼女に怒鳴られた。まさか令呪がこんな問題を引き起こすとは…今度から簡単な手袋をはめておこう。確か手頃なのがあったはずだ。
そんなこんなで、楽しい時間は過ぎていった。バーサーカーとの約束を忘れずに、夕方にはマイと別れた。
「じゃあね、カナ。また明日。」
「っ…じゃあねマイ、また明日ね。」
懐かしい記憶が蘇る。彼女と遊んでいた毎日。よく言われてはいるが、これがつい昨日のような思い出というやつなのだろう。振り向きざまマイは少し泣いているように見えた。
夕方が終われば、そんな楽しい一日から頭を切り替えなければならない。夜はまた戦争が始まる。
じゃあまずは主人公ちゃん
名前 坂田 金美
ふりがな さかた かなみ
誕生日 8月7日
血液型 A型
髪の色/髪型 黒 ボブカット
特技/趣味 スポーツや体を動かすこと全般 山歩き
サーヴァント バーサーカー
基本的に活発な女の子。服のセンスはロック系の服を好む。
だが家では半袖ダサTである。