バトル・ロワイアル The Rebellious Memory 作:原罪
気づいた時には頭が真っ白になっていた―――ある意味理不尽と言い表していても間違いではない
湖面に映るその姿は、月光に輝く小麦色の長髪を持った一人の少女
その表情は困惑と、混乱と―――怒りに満ちていた
「ふっざけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
彼女―――いや”彼”、黒河正規は、月に向け怒りの咆哮を上げていた
○ ○ ○
「……クソっ!」
深夜の森の中で、黒河正規は忌々しげに吐き捨てる
何故こんな場所に巻き込まれたは分からない。が、
あの白黒野郎は殺し合いとかどうとか言っていたが、元より俺はこんなくだらねぇもんに乗るつもりはない
殺す―――結衣を殺したであろうアイツをぶっ殺した上でこのクソくだらねぇゲームもぶっ潰す
だが状況は良くはない。袋の中には基本的なものは揃っていたとは言え武器になりそうなものが少ない
せめて銃ぐらいは欲しいとは思っていたが、いざ手を入れてみると……
まず入っていたのは小さな瓶とその中に入っていた薬剤数粒……毒ならともかく何に使えってんだ
次に入っていたのは、ゴーグルか?
マジカルフォン―――説明書にはそう書かれていた妙な代物が出てきた
「んだぁ?こりゃあ……?」
形状は真っ白い卵のような何か、そしてボタンらしき物が一つ
「押したらなんか武器とか出てくるとかじゃねぇよなぁ……」
そんなわけか、好奇心でこのボタンを押した結果―――
「なっ!?」
黒河は、ボタンから放たれた真っ白な輝きに包まれた。
○ ○ ○ ○ ○
「どう考えてもこの姿……結衣の、だよなぁ……」
そして今、黒河正規は女体化してしまっていた。
仕事で秋葉原に訪れた際によく宣伝パネルで見かけた魔法少女のようなゴスロリな衣装。
それだけでなくよりにもよってその顔が―――死んでしまった荻原結衣そのもの。
元よりファヴなる存在の時点でファンタジーと言うに相応しいものであったが、流石に自分が女性……しかも荻原結衣になってしまうなんて予想外にも程が有る。
「くそが……調子狂うぜ……」
いつもの口調で苛立ちをつぶやくも恐ろしく違和感が隠しきれない。これもこんな体になってしまったからだろうか?
そんな時、例の何かが点滅しており、気になって見てみると……
「こいつぁ……」
『魔法少女名:マジカル☆結衣』
『固有魔法:魔法のステッキから電撃を放てるよ』
「頭が痛くなりそうだ………が、固有魔法とやらは使えそうだな」
でもステッキなんぞどこでだってんだ……と思ったら唐突に手に昔の魔法少女アニメでよく出てくる、先端がハート型な魔法のステッキとやらが出現。
試しにすぐ隣の木々に向かって電撃を撃ってみようとする……もうんともすんとも反応しない。と思いきやマジカルフォンに表示された文字
『心がこもってないぽん。もうちょっと気持ちを込めて』
『セリフがあると尚更いいぽん』
……つまりアレか、魔法少女っぽいセリフで放てってやつか。ふっざけんじゃねぇぞゴラァ!
が……支給品にまともな武器が無かった以上、これに頼る必要がある。
「仕方ねぇ―――」
2・3度ほど深呼吸……そしてなんとなく結衣ならこんな感じでのるだろうなぁ……的なことを思い浮かべながら―――
「―――マ、マジカル☆サンダー」
木々に向けたステッキの先端からバチバチッっという音が纏わり、すぐ直後に先端から黄色い雷撃が木の一本を貫く。雷撃に貫かれた部分は黒い煙を上げ、ちょっとした穴が空いていた
「……一応、使えそうだな」
いちいちあんな恥ずかしくなるセリフを言う必要がなければ、だが。
ここには居ないが、もし真島あたりにこんな光景を見られていたら確実にボコって忘れさせるぐらいにやばい光景である
何はともあれさっさと―――そう思っていた直後
「―――さっきの攻撃は、あなたのものですか?」
その声と共に現れたのが、旗を持った金髪の女性
―――黒河正規の思考は停止した
○ ○ ○ ○ ○
時刻は少し前に遡る
「……ジーク君」
森の中、ルーラーことジャンヌ・ダルクはとあるの少年の名を呟きながら歩いていた。
ジャンヌ・ダルクが憶えている最後の記憶は、大聖杯を破壊するために剣を摂り
第二宝具『
そして目の前が光に包まれ―――そして、あのホールに飛ばされ、今はこの森の中を歩いている
天草四郎の行方、大聖杯はどうなったのか――――考えることは山ほどある、が
彼女が一番心配していたのは―――ホムンクルスの少年、ジークである
すでに令呪を使い切った彼が、いつどこで無理をしているかその保証はない
だが、ここがどこだから分からず、地図が搭載されているというスマホはそもそも使い方がわからない
支給品が入っているとされる袋の中には運良く自分の旗もあった。大きさに関係なく収納できるこの袋には何か魔術的なものが施されているのだろう
あのファヴなる存在は『殺し合い』と言っていた。魔術師や英霊だけでなく、一般人すらも巻き込んだ悪辣の極みのような舞台。このような状況を、
まずはこの森を出て、ジーク君たちを探さないと―――そう思い歩き始めた最中、木を貫通して雷撃のようなものがジャンヌの目の前を通り抜ける
「誰です!?」
旗を構え、音がしたほうへ向かうと―――そこにはゴスロリ衣装を身に纏う小麦髪の少女の姿が―――
○ ○ ○ ○ ○
まずい―――というか完全にまずいというレベルではない。
いくらまともな武器が欲しかったとは言え、いきなり魔法少女化した挙げ句力の使いようを試していたところを妙な女に見られた―――現状、黒河正規の混乱っぷりは尋常ではなかった
「答えなさい―――さっきのは何の意図があってものでしょうか」
ルーラーは目の前の少女―――というか黒河を威嚇したたま旗の先を向けている。
黒河も黒河でルーラーを何かのコスプレ女子かと思っていたが、そんなこと言っている場合ではない
というか「魔法少女になってしまって力の使い方を練習していました」なんて素っ頓狂なことを言って信じてもらえるはずがない。それこそ頭の湧いた馬鹿が言うことだ
だから考えるべきことは一つ―――というか一つしか考えることはなかった――――
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「―――!」
証拠隠滅―――この時の黒河にはルーラーから自分の事を忘れさせることしか考えていなかった
正確には「それしか考えられなかった」のだろう
黒河はルーラーの方に声を荒げ向かおうとする。手に持ったステッキに魔力が溜まっていることはルーラーには一目瞭然、故に―――
「はあっ!」
一瞬―――黒河の脇腹に、旗の鉄柱部分がクリーンヒット
「!!!!!!!!!!!!!?」
―――ふざ、けんじゃ、ねぇ―――なんだ、この、おん―――な―――
そして黒河の意識は闇に落ちた
○ ○ ○ ○ ○
気絶した黒河正規を見下ろすルーラー。すでに黒河の姿はさっきの魔法少女姿からいつもの姿に戻っており、ステッキもいつの間にか消えていた
「魔術か何かで変身をしていたのでしょうか……?」
正直な所分からない―――というのがルーラーの疑問であった。まずこの男、女性の姿になっていたのに魔術の要素があったのはともかく、肝心のこの男に対しては魔力を一切感じられない。そこが不思議であった
「……彼をほっとくわけには行きませんね」
この男が一体何者かは分からない。が、もし殺し合いにのるような人物であれば監視の必要がある。男の隣には支給品袋と妙な卵型の何か―――念の為回収しておくことにした
「―――どうやら、一筋縄では行かなようですね」
聖女は、男を担ぎ再び歩き始めた
【H-7/一日目 深夜】
【黒河正規@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:気絶中
[装備]:なし
[道具]:スマホ、基本支給品、マジカルフォン@魔法少女育成計画シリーズ、伊純白秋の毒薬@追放選挙、7753のゴーグル@魔法少女育成計画シリーズ
[状態・思考]
基本方針:???
[備考]
Cルートからの参戦
【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】
[状態]:正常
[装備]:
[道具]:スマホ、基本支給品、不明支給品2つ(本人未確認)
[状態・思考]
基本方針:この殺し合いを止め、元凶を倒す
1:ジーク君が心配
2:彼(黒河正規)は一体……
3:大聖杯や天草四郎はどうなったのだろうか
[備考]
アニメ24話で『紅蓮の聖女』発動後からの参戦