バトル・ロワイアル The Rebellious Memory 作:原罪
「ああ、愛する人はどこでしょう?」
かいぶつたちの住む森の中に追放された少女は、愛する人をさがすために
森のおくにむかって歩きだしました。
少女の手にはなんでもきれるすばらしい刀がにぎられています。
森の中でかいぶつに出会う度に少女はかいぶつをきりころしました。
かいぶつの血を浴びた少女は赤い色の天使のようです。
「ああ、愛する人はどこでしょう?」
少女は愛する人をさがしてもりをさまよいつづけました。
「ここにもいない。いるのは化け物だけ」
そして少女は紅いかいぶつになっていました。
♢
「何が殺し合えだ!悪趣味にも程がある!」
駅の周囲を探索しながら怒りを露わにする女性の姿があった。
彼女はルーエンハイド・アリアロド。
光の戦士を目指し、妖魔から民衆を守る為に剣を振って戦うルルド教団の騎士である。
虐めを見て見ぬ振りをする事が出来ず、すぐに首を突っ込む程に正義感の強い彼女は
人の命を弄ぶような残虐な処刑に対する嫌悪感を人一倍感じていた。
どうやら駅には他に人の姿が無いようだ。
この殺し合いに巻き込まれた人達を守るべく、ルーエは駅から別の場所へと移動を開始した。
歩き出して10分、20分ほど経った時、ルーエはそれと遭遇した。
「隠れていても無駄だ。出て来い」
姿は見えないが木々の中から強烈な殺気が発せられていた。
それに気づいたルーエが呼ぶと殺意の発した主はすんなりと姿を現した。
「気付かれていましたか」
現れたのは右目に白い花の眼帯を付けた愛らしい容姿の少女だった。
傘を差し東洋の衣装である着物を身に纏っているが元の色が分からない位、血で赤黒く染まっていた。
「その血は……大丈夫なのか!?」
「ご心配無く、これは私の血ではありませんから」
「だったら、その血は」
「それよりも貴女、他に誰かにお会いしましたか?」
「いいや、君が初めてあった相手だ」
「そうですか、それは残念です。ああ、愛する人はどこでしょう?」
少女は悲しげな表情を見せる。
大事な人と別れて辛い気持ちはとてもよく分かる。
ルーエは少女の力になりたかった。
「私も一緒に探すのを手伝おう!」
「本当ですか!?とっても優しい方ですのね……ですけど、それは必要ありませんわ」
「何故だ?」
「この場で見ず知らずの他人を信用するなんて不用心過ぎますわ」
「私はルルド教団の騎士だ。神に誓っても卑劣な行為は絶対にしない!」
「所詮口約束に過ぎませんわ。それに私は貴女に他に叶えて欲しい要求がございますの」
一瞬にして空気が凍り付くように変わった。
少女は傘の持ち手から刀が引き抜いた、ただの傘では無い仕込み刀であった。
「申し遅れました。私の名は蓼宮カーシャ。貴女の首、頂戴いたしますわ」
カーシャの殺意と姿勢の時点で、相手が本気で命を奪いに来るのが直感で理解できた。
ルーエは装備していた剣ですぐさま構えた。
ガキンッとルーエの首元で金属の衝突し合う音が響いた。
(あと一瞬、行動が間に合わなかったら首を斬られていた……)
初速も斬撃もルーエの反応を超えた速度だった。
防御が間に合ったのは妖魔と日々、戦い続けた事による経験からきた無意識での行動による物だった。
「あら?手加減したつもりはありませんでしたが中々お強いのですね」
カーシャは支給品としてほしふる腕輪を装備していた。
その支給品の効果により彼女の速度は圧倒的に上昇し、既に人外の域にまで達している。
「私は騎士として、ここで倒れる訳には行かない!」
「そうですか。それならせいぜい抗ってくださいな」
ルーエは気持ちを入れ替えた。
相手は人間離れした強さを持っている。
妖魔と戦う覚悟で迎え撃つしかないと。
「はぁああああ!!」
「うふふふふふ」
速度はカーシャの方が上だった。
攻撃の手数が多く、一撃一撃が骨を切断する切れ味を維持している。
ルーエも防戦一方では無い。
怪物との戦闘経験はルーエの方が豊富である。
カーシャの攻撃を躱し、防ぎ、一瞬の隙を付いて反撃を放つ。
ルーエの斬撃がカーシャの右肩を切り裂いた。
(浅いか……)
「うふふふっ、もうこの速さでの戦いは慣れました。次はこっちの戦いを試させて貰いますわ」
カーシャの懐から卵のような形をした機械を取り出した。
白い光が発したと思いきやカーシャの姿は別の物へと変化していた。
片翼の白い大きな翼を生やした小さな天使のような容姿。
顔も別人の様に変わっているが右目に付けられた花の眼帯と
見る者をぞっとさせる狂気染みた笑みは本人のそれと変わらなかった。
「変身しただと!?」
「うふふふ……では行きますわよ」
(更に速い……!?)
魔法少女へと変身したカーシャは弾丸の様な速度で斬りかかり
攻撃を受け止めたルーエは弾き飛ばされて木に叩きつけられる。
肺に衝撃を受けて、むせそうになる衝動を抑え
地面に転がる様に回避する事でカーシャの追撃を回避する。
相手はスピードもパワーも圧倒的に強化されており勝ち目は薄い。
だけどそれで諦めるだけ潔い生き方はルーエはしていない。
ルーエは立ち上がり、カーシャを睨みつける。
「うふふふふ!もう降参いたしますか?」
「まだだ!まだ諦めるものかぁあああ!!」
「っ!?」
ルーエの剣が一瞬にして巨大化して、周囲の木々ごとカーシャの翼を切り裂いた。
バランスを崩したカーシャは地面に落ち、続いて大量の木が覆い被さる様に倒れていった。
ルーエの支給品、それはラ・ピュセルの剣であり剣の大きさを自由に変えられる魔法を持っている。
それはルーエにとっての奥の手であった。
まだカーシャは余力を残しているかもしれない。
警戒していたルーエの背後からガサガサっと何かが動く音がした。
ルーエは音のした方を振り向くと仕込み銃を持ったカーシャがそこに立っていた。
(なぜそこにカーシャが!?)
仕込み銃から放たれる弾を剣で受け止めるルーエ。
その時、ルーエは気付いた。
この天使の翼の位置、眼帯の位置、花の色が違う事に。
(こいつはカーシャじゃない!ぐっ)
ルーエは倒れた木々から飛び出す物体に反応し、姿勢を変えた。
その瞬間、首元に刃がすり抜けるように通っていく。
喉に鋭い痛みが走る、そして焼けつくように熱くなった。
「あらあら、動かなければ綺麗に首を刎ねて差し上げたのに」
カーシャの固有魔法、それは『もう一人の自分を作り出すよ』である。
ルーエと同じく奥の手を持っていたカーシャは分身を囮に使い
隙を付いてルーエの首を斬りつけた。
「――――ッ!!」
熱い、熱い、熱い、熱い、喉が焼けるように熱い。
血がドバドバと零れ落ち、意識がどんどん薄れていく。
声帯が切断され、悲鳴も出す事が出来ない。
「あはははは!」
首元に意識が集中してる今のルーエを二人は見逃さない。
分身体が銃を数発撃ち、ルーエの背中を撃ち抜く。
続いてカーシャが駆けて、ルーエの両足を切断した。
「うふふふふ!」
両足を失った事でルーエはバランスを失い崩れ落ちる。
その時、ルーエは未だに剣を手放してはいなかった。
首が半分斬られたら終わりか?否――。
背中に何発も銃弾を受けたら終わりか?否――。
両足を切断されたら終わりか?否――。
(まだ、まだ戦える、戦えるんだ――!!)
目の前で笑い続けるカーシャへ剣先を向けて真っ直ぐ伸ばした。
伸びた剣はザクリとカーシャの顔を突き刺した。
(あとは……あとは、剣を倒すだけ)
「貴女の瞳には闘争の意思がまだ見えていましたから何かやるとは思いましたが……」
ルーエがカーシャにトドメを刺すより速く
カーシャの放った斬撃がルーエの両腕を切断し、剣の形が元に戻ってしまう。
「おかげで奥歯が少し欠けてしまいましたわ」
ラ・ピュセルの剣はカーシャに当たる直前で頭を傾けて、直撃を避けていた。
左の頬がパックリと切れ、口から血がダラダラと溢れている。
「――――ッ!?」
ルーエの両腕を斬った際に、腹部も一緒に切断され、切れ目から腸が顔を出す。
お腹に押し込みたくても両腕は失っており
血だまりに向かって腸がビチャビチャと零れ落ちる。
「…………ッ」
「あら?貴女……まだ諦めませんの?」
手も足も無いなら、喉元に噛み付いてでも戦い続ける。
騎士として諦める事無く抗い続ける。
ルーエは全ての力を振り絞ってカーシャに飛びかかった。
「では、さようなら」
一瞬にして視界が上空へと変わった。
それが首を刎ね飛ばされた事による物だと理解した。
(アル……私は無理だったが、お前には……)
【ルーエンハイド・アリアロド@よるのないくにシリーズ 死亡】
♢
「最初の一人目から随分苦戦していますわね」
「黙りなさい」
分身体がカーシャへからかう様に語り掛ける。
それに目を合わせる事無く、切り取ったルーエの頭部を袋の中へと仕舞い込む。
カーシャの首輪解除条件は『他参加者の頭部を9つ以上所持する』こと。
つまり他に8つの頭部を集めながら首輪を外す事が出来ない。
愛する人の生存率を上げながら自分の首輪も外せるので一石二鳥の条件である。
「お手伝いしたお礼に私にも白秋様と出会わせてくださいまし」
「ここで貴女を斬りますわよ」
「私は構わないけど、私が受けた傷は貴女にもいくらか反映されるからお勧めしませんわよ」
「…………」
自分の魔法で作った分身とはいえ不愉快この上ない存在だ。
寄りによってなんでこの声で、この姿をしているのか。
「まぁ心配せずとも、貴女の魔法によって生み出された私は基本的に貴女の害する行動は取りませんわ」
「……もう消えてください」
目障りな分身を消した後、ルーエの使っていた剣を回収した。
自由に大きさを変えられる剣は色々使い道があるだろう。
首と武器を回収し終わった、すぐにでも出発しよう。
この場には目障りな姉(アーシャ)はいない。
白秋様を守れるのは私だけしかいないのだから。
「それにしても要様も酷い事を言いますわね。白秋様が私の事を忘れるなんて」
【G-2/森/一日目 深夜】
【蓼宮カーシャ@追放選挙】
[状態]:全身に打撲、背中に裂傷、左頬に裂傷、右肩に裂傷
[服装]:いつもの格好(返り血により赤黒く染まっている)
[装備]:仕込み刀@追放選挙、ほしふる腕輪@ドラゴンクエストⅪ
[道具]:基本支給品一色、スマホ、マジカルフォン@魔法少女育成計画シリーズ、ラ・ピュセルの剣@魔法少女育成計画シリーズ、ルーエンハイドの頭部
[思考・行動]
基本方針:白秋様を見つけ出す、違う参加者と出会ったら殺害する。
1:白秋様を捜索する。
2:白秋様と最期まで愛し合う。
3:最期には白秋様を殺して自分も死ぬ。
[備考]
ルーエンハイドの首輪、スマホ及び他支給品は死体の近くに放置されています。