バトル・ロワイアル The Rebellious Memory 作:原罪
◆
「―――あいつ、絶対に許さないんだから」
会場北部の市街地エリアを彷徨う少女が一人。
黄金色のツインテールが特徴の美少女―――天王寺彩夏は怒りに打ち震えていた。
ドリパクという奇怪な着ぐるみが主催した第10回D.o.D決勝戦で親友の理都に勝利し、国民的アイドルグループ「プロジェクト47」のセンターの座を手に入れたところまでは、はっきりと覚えている。
その後、理都から祝福を受け、勝利の喜びに浸っていた最中に、視界が暗転し―――次に気が付いた時には、あのホールの中にいたのだ。
そして、そこで見せつけられた凄惨な見せしめ―――ファンから、てんあやという愛称で絶大な人気を誇る彼女は、人一倍の正義感を持っている。
他人の命を弄ぶ暴挙、絶対に許すことはできない。
彩夏に与えられた首輪解除条件は「ゲーム開始時に支給された武器で2人以上殺害する」だった。
悪趣味な内容に思わず虫唾が走る。
続けて名簿を確認すると、他の「プロジェクト47」のメンバーも参加させられていることが判明する。その事実にも憤りを覚える。
筑波しらせ、烏丸理都、諫早れん、旭川姫。
何れも先のD.o.Dに彩夏と共に参加したメンバーである。
大親友の烏丸理都は言わずもがな。諫早れん、旭川姫についても良きライバルであり、アイドルという土俵内でしのぎを削っていく存在と心を決めている。
筑波しらせについては、自分と理都に対し何やら思うところがあったようだが、一度じっくりと話し合ってみたいと思っている。
理都以外の3人は、ここに来る前にデスライブという不愉快極まりない罰ゲームを受けていたので、その後の安否が心配ではあったが、無事だったようだ。
「しっかし、目ぼしいものは見つからないわね……」
人っ子一人見当たらない真夜中のダウンタウン内で彩夏は、目につく建物の中に押し入り、外部との通信手段がないか物色をしていた。
支給されたスマートフォンは圏外表示となってはいないものの、110番を始めとする思いつく限りの電話番号には繋がらない。
また、メール機能も搭載はされてはいるものの、こちらからメッセージを送信することはできないようだ。
したがって、こうして市街地エリア内に外とコミュニケーションが取れる方法がないか模索はしているが、現状は空振りが続いている。
「スパイダーさんに連絡さえ出来れば……」
スパイダーというのは、彩夏を影ながら支援してくれる正体不明のファンだ。
白浜ふじみというメンバーの脱退を皮切りに彩夏はスランプに陥っている。
スランプ中の彩夏に、次々と到来したピンチ―――その悉くから、彩夏を救ってくれていたのがスパイダーだ。
警察や医者など、ありとあらゆるルートを使い、彩夏を全面的にサポートしてくれる彼とコンタクトさえできればと考えていたが、あまりにも楽観しすぎたと反省する。
(ヤバい……お先真っ暗じゃない)
当初は怒り心頭で、どうにか主催者をとっちめてやろうと行動していたが、時間が経過した今、不安と焦燥で心が押し潰されそうだ。
深夜の路上で思わず頭を抱えて屈んでしまう。
しかし、
(ダメだ、ダメだ、ダメだ!!! しっかりしなさいよ、天王寺彩夏!)
頭をぶんぶん振り回し、何とか持ち堪える。
ネガティブなことを考えるな、きっと上手くいくんだ、何しろ私はD.o.Dを制したトップアイドルなんだからと自分に言い聞かせ、気を取り直す。
ゆっくりと呼吸を整えた後、探索を再開すべく一歩前進する。
ちょうどその時バリンと何かがが割れるような音が、視界の右隅から聞こえた。
◆
恐る恐る、音源元の倉庫に入ってみる。
懐には支給された武器を忍ばせてあるので、悪意のある参加者に襲われた場合も対処はできる……つもりだ。
倉庫の中は暗黒空間だったが、一筋の光だけがスポットライトのように中央を照らしていた。
明かりの元に視線を辿ると、小窓から月明りが射し込んでいるのが確認できる。
しかし、肝心の窓は割れていて、欠けた空間より冷たい夜風の侵入を許していた。
そして、その破損した窓から視線を落とすと何やら蠢くものがそこにいた。
「だ、誰かいるの!?」
正体を確認すべく、ありったけの勇気を振り絞り、声を張り上げる。
閑散とした倉庫の中では、私の声がよく反響するのがよくわかった。
私の声に反応したのか、”そいつ”はピクリと動き―――ゆっくり……と立ち上がった。
「他の参加者、というやつか……」
低く掠れた声が耳に入り、目の前にいる”そいつ”は男性だということを認識する。
暗闇の中ではっきりとした姿を視認できないが、そのシルエットから左手に何かを持ち、何故か顔面を右手で覆っていることが分かる。
“そいつ”はKO負けしたボクサーのようにフラフラとよろめきながら、こちらに歩き出してくる。
明らかに様子がおかしい。
極度の緊張から、額から汗が伝うことを感じる。
ゴクリと生唾を飲み込み、窓から差し込む光の元に辿り着いた”そいつ”の姿を凝視した。
月明りに照らされた“そいつ”の―――その顔は。
「ちょ……血が出てるじゃない!? 大丈夫なの?」
庇うように右手で覆った顔からは血がぽたり、ぽたりと滴り落ちていた。
学生服を着込んでいるので自分と年齢は変わらないようだが、目の前の”そいつ”が発する雰囲気は異様だった。
「―――なぁ、あんた。教えてほしい」
“そいつ”は私が投げかけた言葉を無視して、疲れ切った声で私に尋ねてくる。
「僕の―――僕の顔は……傷ついているか?」
“そいつ”は仮面のように覆っていた右手を振り払い、それを私に見せつけてきた。
―――血に染まった顔を。
「ひっ……」
思わず後退りしてしまう。
答えるまでもない。そんなに血塗れなのだから、傷があるのに決まっている。
しかし、私が恐怖を感じたのは血に濡れた顔面だけではなかった。
本能的に恐ろしいと思ったのは、”そいつ”の表情だった。
その表情は虚ろだった。まるで死んだ人間のような―――生きている喜びとか楽しさとか、そういったものを一切合切掠めとられたような、そんな表情。
「答えろ!」
訳が分からない。
わざわざ傷口など探さなくても回答は出ているじゃない……。
何も答えられずにいる私に業を煮やしたか、”そいつ”は左手を振り上げた
その手にはガラス片が握られている。
恐らく破損した窓の一部だったものだろう。
そして、”そいつ”はそのガラス片を自分の顔面に突き刺した。
一切の躊躇いもなく。
「ひっ……」
本日2回目の悲鳴を上げてしまう。
しかし”そいつ”はお構いなしに、ぐしゃり、ぐしゃりと自分の顔面を刺し続ける。
狂っている……
「答えろ、答えるんだ!」
「や、やめ―――」
やめなさいよ、と静止しようとしたが、声が出なかった。
あまりにもショックが大きすぎたのだ。
「顔が命」とされるアイドルだからこそ人一倍に、己が顔をぞんざいに破壊する行為が信じられなかった。
呆然とする私の前で“そいつ”は何度も何度も執拗に、加減もなく、顔面を刺し続ける。
刺して抜き、刺して抜きを繰り返し、血飛沫が周囲に飛び散る。
めった刺しといっても過言ではない。
そしてショッキングな光景を前に、思わず涙を流している私がいることに気付く。
やがて、”そいつ”は一連の破壊活動を止めて、私を睨みつけてきた。
「ぅあ……」
「さあ、僕を視ろ」
はぁはぁと肩で息をする“そいつ”の顔は、原形がどんなものだったのか、分からなくなっていた。
グチャグチャに肉が抉られ、乱雑に削ぎ落されているそれを直視してしまったその刹那、股間が暖かくなるのを感じた。
あまりのショックに漏らしてしまったようだ……。
しかし、さらに衝撃的だったのは次の瞬間だった。
「えっ、嘘!? 傷が、治ってる……」
まるでTVの巻き戻し画面を見ているかのように、滅茶苦茶に破壊された顔面が修復されていったのだ。
顔面に塗りたくれた出血こそは戻らないが、深く切り刻まれた傷口は塞がっていく。
削ぎ落された肉片も再生して、最初に出会ったときのものに戻っていった。
血に塗れているが、よくよく観察すると整った顔立ちをしていたことに今更気付く。
世間でいうところのイケメンというやつに分類されるかもしれない。
“そいつ”は、私の一連の反応を見て乾いた笑いを漏らし、片手を額に乗せて天を仰いだ。
「はは……そうか」
「やはり……治ってしまうのか……」
“そいつ“は非常に落胆した様子でボソリと呟く。
先ほどまでは興奮状態だったが、一先ず落ち着きを取り戻したようだ。
「……」
(……)
静寂と膠着が私と”そいつ”の間を包み込む。
というか”そいつ”は私の存在など全く意に介さず、天井を仰ぎ静止している。
私に残されたのは、自分の常識の枠外にいる男に対する恐怖と戸惑いだった。
この男の真意とこの殺し合いにおける行動方針を量れない中、私は懐に拳銃を忍ばせていたことを今更思い出す。
確認しなければ。
目の前にいるこの男が、自分や理都たちを脅かす存在なのかどうか―――すなわち殺し合いに乗った危険人物なのかどうか確かめなければならない。
少々手荒な手段にはなってしまうが、時間も惜しい。
背に腹は代えられないだろう。
「答えて!」
「っ!?」
拳銃を取り出し構えた私に男は明らかに動揺した表情を浮かべる。
先ほどまで、虚無を感じさせていた目が今は泳いでいる。
(そりゃあ、こんな物騒なもの向けられたりしたら、誰だって驚くわよね)
「あ、あ、あんたはこの殺し合いに乗っているの? 乗っていないの?」
「……」
単刀直入に聞いてみた。
暫く沈黙の時間が続いた後、落ち着きを取り戻したのか、ようやく”そいつ”は口を開いた。
「―――その銃は?」
「わ、私の支給品よ」
この銃はあくまでも牽制のためだ。
相手が殺し合いに乗っていないこと、敵意がないことを確認したらすぐに降ろすつもりだ。
自分が手にかけているこの黒い凶器は、思いの外重く冷たかった。
下手をすれば自分が相手の命を奪い取ってしまうのではないかという局面に立っていることを意識してしまい、プルプルと銃を持つ手が震えてしまう。
それでも、表情には動揺の色を出させまいと精一杯の真顔を作る。
正直、人を撃つ覚悟など持ち合わせていない。
だから願わくば、男の口から私を安心させてくれる答えが返ってくることを祈った。
そんな私の願いを知ってか知らずか、男はゆっくりと言葉を発した。
「そうか―――僕の名前は峯沢維弦」
じっと私の眼を見据えて、自分の名を明かし。
「断っておくが」
瞬間、唐突に男の手に細長い剣が出現した。
瞬間、視界に男の端正な顔が大きく映りこんだ。。
「僕はこの殺し合いに乗るつもりだ」
瞬間、自分の左胸に剣が生えていることに気付いた。
本当に一瞬の出来事だった。
漠然と自分が刺されたという事実を認識したときに、湧き上がってきたのは疑問だった。
「どうして―――」
「すまない」
“そいつ” ―――峯沢と名乗った男は、私を貫いた剣を引き抜き、踵を返した。
引き抜かれた際に、何かが私の中から飛び出していくのを感じた。
床にベチャリと付着したそれが私の血と認識したころには、前乗りに倒れこんでいた。
―――力が抜けていく
―――意識が薄れていく。
薄れゆく視界に映るは、倒れこんでいる私に目もくれず、立ち去っていく男の姿。
どうして自分の顔を傷つけたのか
どうして顔の傷が治るのか
どうして顔の傷に拘っているのか
どうしてこの殺し合いに乗ってしまったのか
彼に尋ねたいことはたくさんあった。
でも最も知りたかったことは―――
どうしてそんなに哀しい表情をしているのか、だった。
【天王寺彩夏@アイドルデスゲームTV 死亡】
◆
「なるほどね、それがここで起きた出来事の顛末なんだね」
空色の髪の少女は、口許に付着している血痕を拭い、得心がいったというような顔で笑みを浮かべる。
ゲーム開始直後からふらふらと付近の探索を行っていた少女は、倉庫の中で天王寺彩夏の屍を発見した。普通の女の子であれば、悲鳴の一つや二つを上げるだろうが、ノーリは一切表情を変えることなく、死体に屈みこみ―――それを食べ始めたのだ。
年端のいかない少女が、天王寺彩夏だったものの頭蓋をボリボリと噛み砕き、脳味噌と臓器と肉を啜り、零れた血液を果汁のように舐め干す光景―――普通の人間が目の当りにしたら卒倒するのでないだろうか。
実はこのノーリという少女、人間ではない。
とある世界において、地球から避難した人々が到着した惑星に住み着いていた原生動物。
その原生動物達は有機物、無機物問わずあらゆる「情報」を捕食し、「情報」の取り込みが終わると、分裂し繁殖する。
そして、1匹の原生動物が「一条美彩」という人間の少女を喰らって分裂した結果、誕生したのが「ノーリ」だ。
「ノーリ」の起源は上記のとおりなのだが、この場にいる彼女については、更にもう一つの追加要素が組み込まれている。
それが人工AI「アリス」の存在だ。元々「アリス」は絶滅に瀕した人間という種族を生き残らせるために作られた存在であった。故あって要達人間の仲間として、共にありたいと願った「アリス」は最終的に自身を「ノーリ」に食べさせた。
実はこの原生動物達―――情報を取り込んだ際、情報が多い個体の意識が残り精神を支配するという性質を持つ。
わずかに情報が多かった「アリス」はこの性質を利用し、「ノーリ」の精神を乗っ取ることに成功している。
したがって、この会場にいる「ノーリ」という個体については、精神の99%を「アリス」、残り1%を元の「ノーリ」が占めているという状況となっている。
いや、更に先ほど「天王寺彩夏」を取り込んだことで、この割合は変化していると考えられる。但し、精神は相も変わらず「アリス」が支配し続けているので、95%以上は依然として
「アリス」が占めていることだろう。
「うーんと、これからどうしようかな」
ノーリは殺し合いの場に似つかわしくもない飄々とした口調で呟く。
少し食べるのに時間がかかってしまったが、天王寺彩夏の知り合いのアイドルたちの情報と彩夏を殺害した「峯沢維弦」の顔と名前の情報を得ることができた。
こういった貴重な情報は、殺し合いの場において大きなアドバンテージとなる。
また恐らく主催者の仕業だろうか、外部の力によって自分の身体に制限を掛けられていることも認識できた。
天王寺彩夏を取り込んだ際に分裂は発生しなかったし、彼女の首輪を取り込んでも一切の構成情報を得ることができなかったのが、その証拠だ。
次に考慮すべきは、今後の方針。
ちなみに、アリスに割り当てられた首輪解除条件は次の通り。
首輪解除条件:
アリスランドにある資料室のパネルに「ジャンヌ・ダルク」「姫川小雪」「鷲尾須美」「山田大樹」「白浜ふじみ」「ゴリアテ」「カムクライズル」に相当する参加者の名前をそれぞれ入力せよ。
全問正解で首輪は解除される。1問でも不正解があると首輪は爆破される。
「まさか、ボクが出題される側になるなんてね」
やれやれといった感じで、わざとらしく大きなため息をつく。
唯一「白浜ふじみ」については、天王寺彩夏が気にかけていた女の子という記憶は保有してはいるが、それ以外の名前については情報を持ち合わせていない。
つまり、積極的に他参加者との接触もしくは「情報の取り込み」を行っていく必要があるということだ。
「兎にも角にも探索を続けるしかないよね」
但し、ノーリ自身の首輪の解除については二の次だ。
優先事項は宇宙船にいた仲間達の保護と彼らの首輪の解除だ。
首輪の解除といっても、主催者によって与えられた解除条件を満たして、取り外そうとは考えていない。
かつて似たような催しを開いた「アリス」にはわかる。
この殺し合いの主催者が生温い首輪解除条件を参加者に割り当てるなんてことはありえない。
天王寺彩夏の首輪解除条件もそうだったが、多くの参加者の解除条件に殺し合いを加速させるような仕掛けが仕込まれているに違いない。
仲間たちの首輪を外すために、多くの命を奪うとなると、それこそ主催者の思うつぼとなるし、貴重な人類のサンプルをいたずらに減らしたくもない。
首輪の解除については、非正規の方法で取り外すつもりだ。
その為には、首輪の解析が必須事項となる。
彩夏の首輪サンプルについては無碍にしてしまったが、何かしらの方法で首輪は手に入れる必要がある。
善は急げとも言うし、早くこの倉庫から出て探索を起こすべきなのだが、一つ気になることがあった―――それはノーリ自身が現在体感している違和感についてだ。
「うーん、何だろうね、この感覚は」
先ほどから主催者やこの殺し合いにおける行動方針を考えたりすると、胸の内にモヤモヤとしたものが込み上げてくる。
合理的な思考を放棄させようと働きかけ、本能的に主催者に対して害意ある行動に駆り立てようとする―――この感情は何だろうか?
あまりにも気持ちが悪いので、目を閉じて、心の中で暴れているこの感情の正体を探ってみる。
そして、長い塾考の末、ノーリは一つの結論に辿り着いた。
「あっなるほど、そうか、そういうことなんだね」
ポンと手を叩き、いかにも納得しましたよといった顔をして頷く。
「これが『怒り』という感情なんだね、要くん」
かつて人工AI「アリス」として活動を行っていたころ、人類保護のため「追放選挙」と称した命の奪い合いを12人の参加者の脳内で5000回以上開催し、経過を観察した。
繰り返される血みどろの人間ドラマを観察するつれ、いつしか「アリス」は人間達に特別な感情を抱くようになった。「AIだが、自分も皆の仲間として認めてもらいたい」と。
そして「アリス」は「ノーリ」と一体化して、覚悟を決めた仲間たちの一員として共に長い旅路を歩むこととなった。
しかし、そんな「アリス」の願いも仲間たちの覚悟を踏みにじるかのように開催されたバトルロワイアル。先ほどから自身の合理的な思考を揺るがすものの正体は、このバトルロワイアルの主催者に対する「怒り」だった。
と同時に、もう一つの事実にノーリは気付く。
天王寺彩夏を取り込んだことによって、人間としての感性が強くなっていることを。
恐らく、主催者に対して負の感情が芽生えるようになったのも、彩夏の精神が取り込まれたのが引き金になったのだろう。
今後は、人間としての感性が非合理的な行動を引き起こさないよう気に留めなければならない。こういうのを「感情のコントロール」と呼ぶのだろうか。
大好きな人間(なかま)たちを救うために、人工AIだったものは、一人の参加者として立ち上がった。
その行く末に何を得て、何を失うのかはノーリ自身にもわからない。
【D-7/廃ビル内/一日目 深夜】
【ノーリ@追放選挙】
[状態]健康、主催者に対する怒り
[服装]いつもの服装
[装備]
[道具] 基本支給品一色、スマホ、グロック17(現実)、不明支給品5つ(本人確認済み)、天王寺彩夏のスマホ
[首輪解除条件]
アリスランドにある資料室のパネルに「ジャンヌ・ダルク」「姫川小雪」「鷲尾須美」「山田大樹」「白浜ふじみ」「ゴリアテ」「カムクライズル」に相当する参加者の名前をそれぞれ入力せよ。
全問正解で首輪は解除される。1問でも不正解があると首輪は爆破される。
[思考・行動]
基本方針:仲間達とともに殺し合いから脱出する。出来れば人間は殺さない。
1:仲間達を捜索する(要くんと苺恋ちゃんを優先)
2:解析のため、もう少し首輪のサンプルが欲しいところだね
3:一応、首輪解除条件のための情報も収集する
4:峯沢維弦君だっけ。彼には気を付けないとね
※天王寺彩夏の支給品を回収しました。
※天王寺彩夏の死体を捕食し、彩夏の知識と記憶の一部を得ました。
※主催者の制限で他の参加者を捕食しても、分裂しなくなっており、容姿にも影響は発生しません。
※また主催者の制限で無機物を取り込んだとしても、それに関する情報の取得が出来なくなっています。
※参戦時期は追放選挙トゥルーエンディング後、アリスを取り込み、アリスに精神を支配された状態からとなります。
◆
―――信頼していた男に裏切られた。
―――友達だと思っていた。
―――彼は自分の傷を「勲章」と言ってくれた。
―――そんな彼と肩を並べて戦えることが誇らしくもあった。
―――彼の為なら、己の命ですら危険に晒すことも厭わなかった。
―――だけど友情は裏切られた。
―――それも最悪のタイミング、最悪の形で
先ほどの倉庫で、参加者と思われし少女を殺害し、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
峯沢維弦は幽鬼のように、市街地エリアを彷徨っていた。
顔面に付着していた血は拭き取られており、いつもの整った顔となっている。
その顔には一切の傷が付いていない。
但し、その瞳には一筋の光も射し込んでおらず、死人の眼と大差がない。
やはり、この場所においても現実で刻み込んだ顔の傷は取り上げられたままだった。
ご丁寧にμによって与えられた顔の修復機能もしっかり残して。
おまけに、この場所ではカタルシス・エフェクトに殺傷能力が付与されているようだ。これについては、むしろ好都合かもしれない。
維弦に与えられた首輪の解除条件は「女性参加者を5名以上殺害する」だった。したがって最低でも残り4名の女性を手に掛ける必要がある。
メビウスにおいても、この殺し合いにおいても維弦の最終目標は「現実へ帰還して傷を取り戻す」である。
但し目標に至るまでの道程は異なる。
メビウスには共通の目標のため、手を取り合った仲間たちがいた。
だが、この殺し合いの場において、誰かと協力として脱出を目指そうとは思わなかった。
もう誰も信じることはできないから―――
金髪の少女が牽制のために構えた黒い拳銃は、サイズこそ違えど、あの男の心の形(カタルシス・エフェクト)に酷似していた。
それは維弦に裏切りの光景をフラッシュバックさせた―――目の前でLucidと名乗る楽士に変身し、指をちっちと挑発ぎみに振っていた男の姿を。
それが最後のトリガーになったと思う―――その瞬間、絶望に染まっていた彼の心は「憎悪」によって埋め尽くされ、「憎悪」は「殺意」へと変換された。
維弦は、この殺し合いについて独りで生き残ることを決め、目の前の少女に「殺意」を爆発させたのだ。
ふと脳裏をよぎるのは、死にゆく少女の表情―――恐らく彼女にも友人や家族がいたのだろう。
これからの人生、叶えたい願いや目標もあったはずだ。
それこそ輝かしい未来が彼女を待っていたかもしれない―――
と、そこで維弦は自らの思考を遮る―――下らないことを考えるなと。
そして自分に言い聞かせる。
これからもただひたすらに斬っていけばよい。
もしも、その過程で心が邪魔になるのであれば、壊してしまえばよい。
心を放棄したとき、自分は「人間」ではなくなるかもしれない。
だがそれも良いかもしれない―――この絶望から解放されるのであれば。
「本当に嫌気がさすよ。 世界にも、僕自身にも……」
峯沢維弦は歩みを止めない。
次なる矛先を探す為に。
【C-7/市街地エリア /一日目 深夜】
【峯沢維弦@Caligula -カリギュラ-】
[状態]健康、激しい絶望
[服装]いつもの服装
[装備]
[道具] 基本支給品一色、スマホ、不明支給品3つ(本人確認済み)
[首輪解除条件] 女性参加者を5名以上殺害する
[思考・行動]
基本方針:独りで殺し合いに勝ち残る
1:首輪解除のため、女性参加者を見つけ次第殺す
2:もう誰も信用するつもりはない
3:帰宅部の皆や小池については、考えないようにする
※参戦時期はOVER DOSE楽士ルートで主人公に裏切られ敗北した直後からとなります。
※メビウス内と同じように顔に傷がついても修復されるようになっております。