バトル・ロワイアル The Rebellious Memory   作:原罪

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Phantom/峯沢維弦、三ノ輪銀(パンドラボックス)

黎明は照らす、その柳のように揺らめき、彷徨う青年を

 

黎明は照らす、その亡霊のごとく彷徨う、その青年を

 

青年は彷徨う、自分自身(きずあと)を取り戻すために。

 

 

○ ○ ○

 

 

エリアC-7 市街地エリアの一角にて

 

「……こんな状況でもなかったら、須美や園子と一緒に買物でも楽しんでたんだけどな」

 

人こそ居ないものの、呉服店他様々な雑貨、食品等の店が並ぶまるで商店街のような場所を、三ノ輪銀はシャル……もとい従魔シャルフと共に歩いていた

 

念のために服装は勇者装束に変身している、例え誰かに会えたとしてもそれが『いい人』だとは限らないからだ

……と、警戒してみたものの、かれこれ歩いて数時間、誰とも出会えていない

強いて言うなら何度かシャルの欠伸が虚しくも響き渡っていたぐらい

 

 

「お~い、誰か、誰かいない~?」

 

呼びかけるも帰ってこない。ただ自分の声がエコーして向こう側へと消えていく

常人なら若干虚しくなる状況でもあるが、彼女はそんなことお構いなしお構いなしとばかりに歩みを止めない

 

 

「……もしかしたら、駅で待ってたら誰か来るかな?」

 

マップを確認し、近くにある『駅』に目を留めた。駅のダイヤ等は支給品やスマホの中には載っておらず、電車がいつ来るかとかは分からないものの、移動手段を探して誰かがこの駅を訪れるかもしれない。

 

幸いにも駅の場所は自分がいまいる場所の近くであり、歩いてもすぐ着く距離

今すぐでも駆け出して向かおうと思った……そんな時であった

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 

その、亡霊のような、青年が三ノ輪銀の視界に映ったのは

三ノ輪銀の存在に気づいていないのか、その青年は彼女の目の前を通り過ぎようとする。ただ呆然と歩く姿は、まるで夜風に吹かれる柳のようで、その目には一切の光も灯っていない

 

まるで死んでいるような、生気を感じられない―――そんな顔。

 

「おーい!」

 

 

故に、三ノ輪銀は青年を放っておく事ができなかった。

 

あんなフラフラと無防備に歩いている青年を、何よりそんな死んだ目をしている彼を、思わず心配し、声を掛けて’しまった’

 

 

「………」

 

銀の声に反応し、青年は彼女の方に顔を振り向く。そして、無言のまま彼女の方に近づいてゆく。

 

三ノ輪銀からすれば青年への第一印象は「なんだか寂しそう」であり、何があったのがは知らないが、声を掛けて事情を聞いてみよう、という考えで

 

 

 

「あたし、三ノ輪銀。突然話しかけてごめんだけど……ってシャル?」

 

ふと横に目を向けると、シャルフが眼の前の近づいてくる青年に対し、今にも飛びかかりそうな形相のまま警戒している。

確かに青年の雰囲気は不気味とも言えるが、だからと言ってほうっておく訳には行かない。だが、シャルの警戒……というよりも青年に対しての『敵意』は銀にもはっきり分かるレベルであった

 

「ちょっ、落ち着けシャルっ! 確かに怪しい感じなのは分かるけど、だからっていきなり警戒心剥き出しは……」

 

 

 

 

 

 

「いや、その犬の判断は正しい」

 

 

 

 

――故に、青年が瞬時にシャルに切りかかり、それを銀が防ぐまでの時間は、一瞬のことであった

 

 

○ ○ ○

 

「……っ!」

 

意識を切りかえ、数歩ほど下がる。結果としてシャルが警戒してくれたおかげで防ぐことが出来たが、あの速さは人離れ……たとえ勇者でもそう簡単に出せる瞬発速度ではない。

眼の前の青年が顔に、割れた仮面のような黒い『何か』、青年の黒い手が持つレイピア。まるで青年を貫くように咲いた花

特に眼が行ったのは仮面のような黒い何か。三ノ輪銀からすればそれが意味することはなんなのかはわからない。ただ、何か心の奥底に深く『黒い』何かを感じたのは確かだ。

 

「おとなしく話を聞いて……って訳にはいかないか」

 

二丁の斧を構え、相手の攻撃にいつでも対応できるように身構える。

 

だが、『人』との戦いは、本当に初めてだ。なるべくなら誰かを怪我させる真似はしたくない。だけど

 

 

 

「―――」

 

目の前の男は、ただ黙ったまま、静寂でありながら殺意であるような目線をこちらに向けたまま。シャルは男に対して唸り声を上げ、警戒をやめない。

私はシャルをその場から下がらせ、袋の中に入れておいた。袋の中身が謎空間らしく、シャルも特に不満なく入ってくれたのはまさに幸いだった。

 

 

「一つ聞いていいか、なんでお前は――」

 

「それを聞いてどうする? お前に何も関係ない」

 

仄かな可能性を信じて、説得してみようと試みるもご覧の有様で一刀両断だ。園子ならもうちょっとうまくやってくれたかもしれない、いまさらそんな事考えてたって仕方がない。

 

「そうかよ。じゃあ――――容赦しねぇからな!」

 

 

 

 

まずは何とか黙らせる――そっからは後だ!

 

 

○ ○ ○

 

 

響き渡る轟音、壁や地面には傷が残り、散乱している瓦礫や店の備品等が、戦いの壮絶さが伺える。

 

 

「でぇぇりゃあっ!」

 

「………!」

 

 

斧による大振りの一撃、それを回避しスキを見ての刺突、だがそれも斧によって防がれる

 

斧の少女――三ノ輪銀には多少の傷があるも、特に支障が出ているわけではない

 

黒い剣の男――峯沢維弦の方は、冷静に攻撃を捌きながらもその額には汗が流れている

 

 

 

三ノ輪銀の耐久力と根性故に、攻撃よりも速さに優を置く峯沢の攻撃は致命的にはなりえない。何度か傷は与えているもののほとんど糠に釘とも言うべき。実際与えているダメージはかすり傷程度。このまま似たような状態の繰り返しが続けば、体力が持たないのはこちら側の方、だからこそ峯沢は内心焦りに満ちていた

 

だが、本来三ノ輪銀はその気であれば峯沢維弦の身体を力任せに吹き飛ばせるはずなのだが、それをしないのは彼女なりに相手を気遣っている

 

そもそも『勇者』という存在は、対バーテックスが殆どであり、『対人戦』という事を行った例は殆ど無い。故にバーテックスを相手にしているよりはある意味やりづらいのだ、それも殺さないでという事になれば話は別になる

 

だから、攻めきれないのだ。無自覚に力にブレーキを入れている。力を入れれば確実に勝てそうだが、バーテックスと同じような感覚で攻めようものなら、相手が無事ですまない可能性が高い。

ある意味、焦っているのは三ノ輪銀も同じであった。このままでは逃げられてしまう、と。だが―

 

(……やるっきゃねぇか)

 

(……このままだと埒が明かない。相手が近づいてきた時が)

 

 

この刹那、戦況は大きく動こうとする。三ノ輪銀が加速をつけて峯沢に対し猛接近を試みる。

 

だが、峯沢維弦も無策というわけではない、銀と峯沢の感覚が数歩ほどで近づける距離になった瞬間

 

 

「――!」

 

地面に、剣を突き立てた。『陰影闇夜』――地面に剣を突き立てる行動をトリガーとし、敵の足元に影の刃を現出させる技

 

 

そのまま突っ込んできた銀にそれを避ける手段はあるわけもなく

 

「――ガァッ?」

 

彼女の足を、腕を、腹を、影より現出した刃が切り刻み、突き刺さる

峯沢が狙っていたのはこれだ、相手が空中から突っ込んできたのならそのまま別の技を繋げて連撃を加えられたのだが、今はそこまでコンボを繋げたいわけじゃない。

重要なのは彼女の動きを少しでも止めること。あのタフさに対しては確実に思い一撃を叩き込まなければ意味がない。少しでもスキが出来れば――だが

 

 

「はあああああああああああああああ!」

 

「――何っ!」

 

 

三ノ輪銀が、『刃で引き裂かれながら』そのままのスピードで突っ込んできた。肉を抉る音がするも、そのままお構いなし。そのまま峯沢の顔面に近づいて――

 

 

 

「うおおおりゃああ!!」

 

「―――ッッッ!?!?」

 

以外ッ! それは、頭突き!

 

 

予想外の方法での一撃を頭に喰らうも、何とか離れる峯沢。

まさかの頭突きだ、あのまま斧で切り裂かれると思った峯沢にとっては想定外。

 

(――一体どうして頭突きなんだ、なぜあの女は)

 

最初に彼女に見つけられた際、峯沢は真っ先に彼女をどう殺そうか考えていた、無表情故に近寄りづらい感じだったにもかかわらず彼女に声を掛けられ、いつにまにかいなくなっている犬には警戒心を向けられたため、突拍子にやるしかなかった。ただ、峯沢として相手の強さはかなりのものだった、それこそ自分を簡単に吹き飛ばせるほどと思える程に、だが、彼女はそうしない。ただのバカなのか、何か考えが会ってのことなのかとは思っていたが、先程の頭突きで少しばかり訳がわからなくなっている。自分を捕まえようとしている? 見ず知らずの、殺そうと襲いかかってきた奴を?

 

だが、そんな事を考えている暇はない。さっきの『陰影闇夜』の刃を無理やり突破してきたタフネスを見ては、『今のまま』では無理だ。故にこの状況で取るべきは……!

 

「……ふんっ!」

 

「…! おい、待ちやがっ……っ! 待ちやがれ……!」

 

峯沢維弦は身を翻し、銀がダメージでひるんでいるスキを見計らいその場から逃げ出す。銀もすぐさま追いかけようとしたが、さっきまで受けた傷が響き、すぐには追いかけることが出来ず、逃してしまった

 

「……ッ……くそ、ちょっと無理しすぎたか、こりゃ……」

 

強がってはみるものの、少々傷を負いすぎていた。

影の刃を無理やり突破した代償としてそこら中に飛び散った血飛沫が所々に残っており、彼女自身からも血が吹き出している。

厄介なことに、自分の支給品には怪我を治療できるような代物はまったくない。このままでは志半ばで倒れてしまう。

 

幸運なことに、ぼやけた視界には大きな建物らしき物体が見える

 

「誰か、いりゃ、いいんだけど……」

 

フラフラとしながらも足を進める。建物の中にその手の物資があればいいと思っていての行動、ただ今の彼女に深く考えるほどの余裕はない。

足を進めながらも思い出すのは先程の男性だ。急に襲いかかってきたため仕方がなく身を護るために戦ったのだが、男のまるで亡霊のような生気のない顔が、というよりもそんな態度が――ひどく気になった

 

もし、もう一度機会があるのなら、どうしてそんな顔をしているのか、聞いてみたいと思った。

何故そんな顔をするのか、何か悩みを抱えているのなら、三ノ輪銀として放っておけないと

 

そんな彼女は血を流しながらも足を進める。その行路に何が待ち受けているかを知らずに

 

 

【B7/一日目 黎明】

【三ノ輪銀@鷲尾須美は勇者である】

[状態]:重症(出血あり)、意識朦朧(小)

[服装]:勇者装束

[道具]:基本支給品一色、スマホ(支給品として勇者システムのアプリ入り)、不明支給品1つ(本人確認済み)

[状態・思考]

基本方針:この殺し合いを止める

1:傷の治療のため、眼の前に見える建物へ向かう

2:あの男性(峯沢維弦)が、なんであんな顔をしているのか気になる

[補足]

※死亡後からの参戦です

 

 

【シャルフ@よるのないくにシリーズ ※支給品】

[状態]:支給品袋の中

[状態・思考]

基本方針:???

 

 

 

 

 

○ ○ ○

 

 

「……ッ」

 

頭が痛む、傷がつくほど……いや、この傷がつくことのないこの顔。たださっきの娘の特攻じみた頭突きによる痛みはまだ続いている

 

真っ直ぐした目だ。確か、『裏切った』前のアイツも、あんな真摯な目で自分に向き合っていたような、そんな気がする。気に入らない。眩しい、喧しい、目障りだ。あの女は次に合ったら必ず殺す

 

いつか、俺は俺を取り戻す。失われた傷を取り戻す。そのためなら数多の屍山血河を築こうが構わない。もとより誰も信用しないし誰も信用できない。

 

―――たとえかつての仲間であろうと、誰であろうと、邪魔するなら切り捨てるだけだ

 

 

 

 

 

 

 

傷を求める亡霊は、ただひたすらに得物を求むる。

 

だが亡霊は知るよしもない。彼が今近付こうとしているこの『廃村』に、彼の知り合いの一人がいることに

 

それを知ってか知らないか、頭の痛みは亡霊に囁くがごとく、疼いていた

 

 

【B-8/一日目 黎明】

【峯沢維弦@Caligula -カリギュラ-】

[状態]頭痛(小)、激しい絶望

[服装]いつもの服装

[装備]

[道具] 基本支給品一色、スマホ、不明支給品3つ(本人確認済み)

[首輪解除条件] 女性参加者を5名以上殺害する

[思考・行動]

基本方針:独りで殺し合いに勝ち残る

1:首輪解除のため、女性参加者を見つけ次第殺す

2:もう誰も信用するつもりはない

3:帰宅部の皆や小池については、考えないようにする

4:あの女(三ノ輪銀)は見つけ次第、確実に殺す

※参戦時期はOVER DOSE楽士ルートで主人公に裏切られ敗北した直後からとなります。

※メビウス内と同じように顔に傷がついても修復されるようになっております。

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