バトル・ロワイアル The Rebellious Memory 作:原罪
――あそこには『恐怖』があった
――あそこには『怪物』がいた
――あそこには『絶望』があった
逃げる、逃げる、一瞬だけ忘れてはいけない大切な太陽すらも置き去りにしても構わないほどに、だが、そんなことは断じて自分が許さない
だけど、だけど、今だけは、全力で逃げるしか無かった
○ ○ ○
事は数刻前に遡る
「―――」
ビルの一室から、烏丸理都はアンチマテリアルライフルを構え、次なる獲物を求めてただじっと沈黙していた
彼女に課せられた首輪解除条件『参加者が残り30名以下になる』ということ。だが、更にこれに『なお、この条件を第三回放送終了までに達成した場合、天王寺彩夏の首輪を条件を無視して解除する』という内容
もとより天王寺彩夏という太陽を崇拝し、信奉するこの狂信者の行動は早かった。支給品にあったアンチマテリアルライフルを、取扱説明書があったにしろ、初めての使用で一人すでに殺害したのだから
そうそう軽く扱えるはずのないこの武器をいとも容易く扱えたのは、「天王寺彩夏のため」という、一種の狂気じみた執念によるものかもしれない。
(第三回放送まではまだ余裕はあるけど、いつまでもここで待ってるわけにはいかんか)
幸運にも無防備な少女を一人殺害に成功できた以降、いくら待てども人影一つも見かけない
(そろそろ移動時やな)
そう思い始めた矢先である。―――彼女の視線の遠く、漆黒の雷が、轟音を鳴り響かせた
「――何や!?」
あまりの衝撃に一瞬硬直するも、その直後に似たような轟音が鳴り響く
(……どうなっとるんや、一体何なんや……!?)
少し経って落ち着きを取り戻し、スコープ越しに落雷の発生点らしい場所を覗いてみる
スコープに映っているのは、まるで『花園』称するに相応しい一人の少女。ここからでは背中姿しか見えていないが、まるでファンタジーの世界にいるような風貌の、そんな少女。よく見ると左腕に火傷のような痕が残っている
(こっちに気づいてないようやな……)
思考を切り替え、いつでも発砲出来る準備を取る。二度目はない、チャンスは一度のみ。あの時と同じ、引き金を引いて、撃ち殺せばいい。相手は手負いで、この距離で気づける人間はそうそういない。そう、思っていたのだったが
―――少女が、こちら側を振り向いた
「―――――!?」
振り向いた。ただ、振り向いただけなら問題はない。気付かれなければ何も問題はないはず、なのに
その赤い目は、まるでこちらに気付いているかのように、まるでこちらを見据えているかのように
この距離で気づくはずがない、ここからはかなりの距離がある、なのに
気付かれている、という間隔に陥っている。恐怖している。その、獲物を見据える目のような、狩人の目のような
「―――!!!」
気付いた時にはライフルを仕舞い、我武者羅に逃げていた。逃げていた。怖い、殺される、あのままあの場所にいたら殺される、怖い、誰か助けて、誰か、誰か、誰か―――
いや、違う、彩ちゃんが生き残るまで死ぬわけには行かへん。万が一ウチが死ぬ時は彩ちゃんが無事この殺し合いから抜け出した時や―――!
○ ○ ○
「―――ふむ」
例の王女との戦いから数刻ほどが経過。森の音楽家クラムベリーは、エリアC-7の商店街の中を探索していた。
先の戦いでの傷は完治したが、肝心の左腕の火傷はまだ完治とは言い難い。
その場から移動したのは、『音』が聞こえたからだ。あの時烏丸理都がライフルのスコープを向ける時に、床を這う衣擦れの音が聞こえたのだ
クラムベリーは『音』に関して随一とも言うべき魔法少女だ。その聴力は魔法少女の心拍音をも軽々と聞き取れるほど。
ただ、距離の遠さや左腕が完治してなかったこともあり、先ずは移動したほうが良いという判断である。最も相手が恐怖し逃げてしまった事もあって結果オーライであったのだが……
「……此処で中々面白そうな事が起こっていたようですね……少し残念です。」
先ず、目に入ったのは店内の壁や地面に刻まれた傷だ。まるできれいな刃物で切り裂かれたような痕跡。
そして同じく店の部品や瓦礫の残骸にも複数の切り傷が残っている。間違いなくここで何者かが戦った後だ
もし戦いがあったのならば意気揚々と乱入してあげても良かったが、もう終わってしまったようだ、だが
「……おや?」
ふと、足元に赤い血痕があることに気づく。時間が経っているためかだいぶ乾いているが、それは点々と一定の方向に続いている。
「――どうやら、少しは楽しめそうかもしれませんね」
恐らく、あの場所で戦ったどちらかの痕跡だ。商店街の破壊の度合いからみてそれなりに実力のある人物なのだろう。流石に最初に出会った彼女ほどでは無いものの、あの王女かそれに準ずる強さぐらいの相手は期待できるかもしれない。
最も、今の自分も万全とは言いづらい状態故、向かうのはもう少し休んでから。左腕の火傷はまだ完治仕切っていないのだから
(しかし……)
気になるといえば自分を狙っていたであろう人物の事だ。逃げ出した時の音からして相手は素人の類と考えられる。流石に距離からどのような武器で狙おうとしていたのかは不明であるが、恐らくライフルのようなものである可能性が高い
ふと思い出したのはあの王女が言っていた『殺された女の子』の事だ。もしかすれば彼女を殺したのはその人物かもしれない。だとしたら残念だ
クラムベリーとしてはもう少し実力のある人物か、まさかのカラミティ・メアリ本人かと思っていたのだが、残念な意味で予想外である。
(影でコソコソしながら安全な場所で狙い撃ち。あまり好きではありませんね。獲物としては不十分ですが、もし見つけた時は一瞬で殺してあげますよ)
(そして――願わくば、この血痕の先に私を愉しませる事のできる強者がいることを願っておりますよ)
―――『怪物』は嗤う。次に狙うべき獲物への期待を懐いて
【C-7/市街地(商店街・北)/一日目/黎明】
C-7北部商店街エリアは至る所に崩壊の痕跡、そして北方向に三ノ輪銀の血痕が続いています。
【森の音楽家クラムベリー@魔法少女育成計画シリーズ】
[状態]:左腕に火傷(回復中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一色、スマホ、特やくそう×10(残り?個)@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて、不明支給品2つ(本人確認済み)
[状態・思考]
基本方針:強者との闘争
1:例の彼女(アーナス)、マルティナと再び闘いたい。
2:火傷が完治するまで休む。
3:火傷が完治次第、あの血痕に沿って進んで見る
4:首輪解除のために強者を探し、そして殺す。
[備考]
・「首だけの少女」を殺した人間、または道具に心当たりがあるようです。
・左腕の火傷の治療に特やくそうを使っています。何処まで治るか、いくつ使ったかは後続の書き手様に任せます。
・攻撃の音を模倣し爆音の衝撃波としてぶつけることで攻撃と同様のダメージを与える方法を身につけました(例:ジゴスパークの音を衝撃波と共に叩きつけジゴスパークの雷ダメージを与える)。
しかし、脳の錯覚を利用した技であるため、模倣した技の音ダメージを与えるには相手がその技をよく知っている必要があります。
○ ○ ○
「はぁ……はぁ……はぁ…。此処まで逃げられたら、もう安全やろか……」
エリアB-6 小学校近く。
烏丸理都はここまでくれば大丈夫だろうと安堵するが、それでも全身の冷や汗は止まず、あの時のスコープ越しに見えた『眼』にただならぬ悪寒を未だに感じていた
『アレ』は怪物だ。花園に佇む怪物だ。優雅な薔薇の匂いに誘われた子羊を容赦なく食らう怪物だ。
アレは危険だ。あんなのが野放しになっているのなら、彩ちゃんを優勝させる以前の問題だ。
(……どんな手を使ってでもあの怪物を殺さんといけへん。そのために協力者……利用できる『駒』が必要や)
そう、先ず探すべきは協力者……もしくは利用できる『駒』。
元よりアイドルとして演技力には自身がある。もし本性がバレたとしても相手と利害の一致だけでもいい。兎に角協力者が欲しい。あの怪物を殺すための協力者が。
――それと、最悪自分が死ぬことになっても、彩ちゃんが生き残れる確率を増やしておきたい
(今気づいたんやけど、こんな所に小学校があるんやな。)
我武者羅に逃げていて方向なんて気にしていなかったが、結果として隠れ場所としては良い所かもしれない。保健室や理科室で色々と必要なものを手に入れることが出来るかもしれない。
それに運が良ければ協力者か『駒』成り得る参加者と出会えるかもしれない。
(――彩ちゃん。今どうしてるんやろうか)
脳裏に過ぎるのは自らの太陽、命を懸して、どんな手を使ってでも守らなければならない大切なヒト。
そんな心配をしながらも、彼女は小学校の門を潜るのであった
烏丸理都もまた『怪物』だ
自らが奉仕し、崇拝する太陽のため、数多の屍山血河を築こうが、数多の絆を壊そうが
太陽に焦がれ、その心を焼かれた彼女は、自らが焼け落ちるまで
――彼女もまた、どす黒い『怪物』であるのだから
【B-6/小学校近く/一日目/黎明】
【烏丸理都@アイドルデスゲームTV】
[状態]:『怪物(クラムベリー)』に対する危惧感情
[装備]:アンチマテリアルライフル@魔法少女育成計画シリーズ
[道具]:基本支給品一色、スマホ、不明支給品2つ(本人確認済み)
[状態・思考]
基本方針:あやちゃんを優勝させるために、あやちゃん以外の全参加者を殺す
1:まずあやちゃんを探さへんと
2:あの『怪物(クラムベリー)』を殺すための協力者もしくは使える『駒』を探す
3:小学校内で何か使えるモノを探す