バトル・ロワイアル The Rebellious Memory   作:原罪

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燃え広がる戦禍/黒河正規、ルーラー、絢雷雷神、天河夏彦(アロマオゾン)

いくつもの建造物が並ぶ市街地エリア、その中にある小さな民家を後にして夏彦は北の方角へと歩みを進めた。

初音を退ける事には成功したが彼女は銃を持っている。

再び襲われた時に対処出来る自信はあまり無い。

急いでここから離れないと――。

 

 

それから1時間が経過した頃、夏彦はコンクリートの壁によりかかり身を隠しながら水分を補給していた。

これで2度目の休憩か、怪我と疲労による負担が身体を鉛の様に重くさせ、さながら牛歩のペースでしか進んでいなかった。

疲れは睡魔を呼び寄せる、このままベッドを探してゆっくり眠っていたい衝動が湧く。

このままじゃいけないと夏彦は顔を横に振り、再び立ち上がって歩みを進めた……その瞬間であった。

 

「動くな!!動くと撃つ!!」

 

夏彦の背後から聞こえたその声に体がびくんっと反応する。

景色はまだ暗いが市街地エリアは街灯が点在しており一定の明るさがある。

そのせいで離れた距離でも夏彦の姿を視認する者が現れた。

 

「振り向くなよ!振り向いても撃つ!」

「何か妙な真似をしても撃つ!」

「……これからお前にいくつか指示を出す。その指示に従って行動しろ」

「まずはてめえの荷物を下に置け、スマホも含めてな」

 

声が徐々に近くなる、距離を詰めているのだろう。

BC能力を使って抵抗も考えたがその瞬間に撃たれる可能性も高い。

ここは素直に言われた通りにバッグを下に降ろしスマホもそっと足元に置いた。

 

「そこからゆっくり5歩歩きな、ゆっくりとな」

「……次は地面にうつ伏せになりな。手は伸ばした状態でいろよ」

 

一方的な立場で指示通りに動かされているこの状況に憤りを感じる。

だが逆らえば全身がハチの巣にされかねない。

ここは冷静に辛抱強く我慢して耐えるしかない。

 

「いい子だ。次は俺の質問だけ答えろ」

「まずはお前の名前を名乗れ」

「……天川夏彦」

「じゃあ天川、お前がこの島に来てから誰かに出会ったか?」

「一人出会った。名前は……阿刀田、初音……」

「……どんな容姿だ?」

「茶色の制服を着た金髪の小柄な子だ」

「間違いねえな。んで、その初音は何処へ行った?」

「……どこに行ったかは分からない」

「分からない、だと?庇い建てすると容赦はしないぜ」

「本当だ、彼女といるのは危険だと判断して追い出したんだ」

「ほぉ、初音がこの殺人ゲームに積極的に乗っているのに感づいたのか」

「あんたも知っていたのか!?」

 

(この声……まさか、こいつは)

 

初音の記憶の中にいたフードの男、彼の口調や声質が今、自分の背後にいる男と一致した。

振り返る事が出来ないせいで顔の確認は出来ないが初音を知っている所からして同一人物なのは間違いない。

もしかしたら初音と何か関わりの深い人間なのか?

 

「俺の事はどうだっていい、そうか居場所を知らなきゃ意味ねえな」

「教えてくれ!あんたと初音の間に何があったんだ!?」

「おいおい、お前勘違いしてないか?俺はてめえと情報交換してる訳じゃねえんだ。俺から教える事なんかあるかよ」

「俺はゲームに乗ってない!あんたも本当は殺し合いなんかしたくないんじゃないか?」

「てめえの行動方針なんかどうだっていいんだ。初音の居場所が知らねえならもう用はねえな」

 

夏彦はフードの男に対して一つの希望的観測を持っていた。

それは初音が殺人ゲームに乗った危険人物だからこそ襲い掛かったのではないかと。

だとしたらフードの男はこの殺人ゲームの舞台から脱出するのに協力し合えるかもしれない。

内心でそんな望みを抱いていたが彼の言動からしてそれは断たれた。

 

「じゃあさよならだ。てめえの荷物だけは頂いておくぜ」

 

フードの男が殺し合いに乗っているとしたらこれから僕は射殺される。

とても万全とは言えない身体だがやるしかない。

 

フードの男がバッグを掴んだその瞬間――。

 

≪消えろぉおおおおおおおおおおおお!!!!≫

「なっ!?」

 

夏彦の持つ最大限のパワーを込めてテレパシーをフードの男に送り込む。

圧倒的な音声で脳内に直接叩き込み、フードの男の動きが静止した。

 

「てめえ!何をしやが――」

≪早くッ!!ここからッ!!失せろぉおおおおおおおお!!!!≫

「あがぁっ!」

 

脳内に響き渡る大音量の暴力が次々と嵐の様に巻き起こり、激痛で呻き声が出る。

その隙を見て夏彦は立ち上がった。

それに気付いたフードの男は銃を構え直して夏彦へと向けようとする。

同時に夏彦はフードの男に向かって走り、銃に飛びかかって掴みかかった。

 

「てめえ!離しやがれぇ!」

(誰が離すもんか!こいつを何とかしないとこの島にいる皆が危険に晒されるっ!)

 

僕に残された体力は少ない、この銃から引き剥がされた途端、僕の死は確定する。

もう一度テレパシーでフードの男の脳内に衝撃を与えて武器を奪うしかない。

 

≪その手を離せぇえええええええええ!!!≫

「うるっせぇんだよぉぉ、ちっくしょうがぁああ!!」

 

フードの男は夏彦を振り落とそうと銃を持つ手に力が入る。

そして男の指が引き金を引き、アサルトライフルの銃口が火を噴いた。

 

二人の男の綱引きによって上下左右に振り回された事で銃弾は周囲の建物にデタラメに命中し

壁に銃痕を作り、窓ガラスは割れ、建物に設置されたガスボンベに被弾し。

弾丸から飛び散った火花が漏れたガスに引火、それが大参事を引き起こした。

 

 

 

 

ユグドミレニア城、南東でも一際目立つその巨大な建築物に二人の来訪者が現れる。

一人はルーラー、このデスゲームの打倒を目指し、参加者達を保護するべく行動をしている聖女。

もう一人は黒河正規、彼は以前に巻き込まれたデスゲームにおいて荻原結衣を殺害した人間を追い求める復讐者。

二人は城内を探索してみたが特に誰とも遭遇せず、黒河はため息を付いて不快感を露わにしていた。

 

「ちっ……誰もいねえじゃねえか」

「ですが、先ほどまでこの辺りに人がいたのは間違いありません」

「あ?なんでそんな事が分かるんだよ」

「僅かですが、周囲から魔術らしき力を行使した痕跡が漂っています」

「魔術師、もしくはそれに近い特殊な能力を持った人間がこの城にいたのでしょう」

「あー、そーかよ」

「その反応、私の言葉を信じていませんね」

 

黒河のどうでもいい、と言わんばかりの態度に不機嫌になるルーラー。

そもそも黒河にとっては、ルーラーの話も思考も目的も何一つ共感する部分が無く。

彼にとってはストレス要因でしかない。

 

「そういう話はどうでもいいんだよ、それでお前はこの後どうするんだ?」

「まずはここを拠点として、協力者を集めましょう」

「そうかよ、じゃあお前はここで待機してろよ。誰かがやってくるかもしれねえぜ」

「そう言って貴方は、一人で行動するつもりでしょう。それはいけま……爆発が!」

「あん?爆発だぁ、そんなもん聞こえねえぞ」

 

サーヴァントとして、ルーラーとして、探知能力の高い彼女だからこそ気付いた爆発音。

彼女はすぐさま城のバルコニーへと駆け出した。

外を見ると城から東北にある市街地の一部が炎上していた

 

「やはり……」

「マジかよ、誰かが火でも使ったか」

「黒河、すぐに向かいましょう。誰かが襲われているかもしれません」

「……そうだな。もしかしたら大祐がいるかもしれねえ。先に行ってきな、俺も後から追う」

 

黒河は嘘を付いた。

大祐という男の性根からしてこんな危険人物を呼びかねない場所に残るのはあり得ない。

あいつはもっと姑息な戦い方を選ぶ、仮にあの火事の現場にいたとしてもすぐさま火の手から逃げ出している。

街の外側を見張るならともかく街の中に行くメリットなんざ何もない。

 

むしろここはこの女からおさらばするチャンスだ。

この女が火事の場所に向かっている隙に俺は別の場所に行く。

それで心置きなく復讐に専念できる、と黒河は考えていたが

 

「いえ、黒河を一人置いていく訳にはいけません」

「なに?おわっ!」

 

バレバレである。

黒河一人残したら、彼が好き勝手に行動するのはルーラーも理解していた。

ルーラーは黒河をお姫様だっこの要領で抱えて、バルコニーの手すりに乗ると。

 

「少し衝撃が大きいですが我慢してください」

「てめえ、何考えてやがる!ば、バカな真似はよせ!!」

 

ユグドミレニア城の高さから落ちれば確実に死ぬ。

だというのにルーラーは何の躊躇も無く飛び降りようとしている。

さっきから頭のおかしい女だとは思っていたがこのままでは心中する事になる。

 

「離せ!!さっさと離しやがれっっ!!」

「大人しくしてください!」

 

黒河が逃げ出さない様にルーラーは更に力を込めて黒河を抱き締める。

メキメキと黒河の骨が軋む音を立てながら、勢いよくバルコニーから飛び降りた。

地面に着地すると物凄い速さで市街地へ向けて駆けていく。

 

「オイオイオイオイオイオイ!!ありえねえだろ!これはよぉっ!!」

「黙ってて下さい。舌を噛みますよ」

 

ルーラーの速さは車を超えており、お姫様だっこされている黒河の心情はさながら。

ロープで括られてロケットブースターに張り付けにされた状態に近い物であった。

 

【H-6/一日目 黎明】

【黒河正規@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】

[状態]:正常

[装備]:なし

[道具]:スマホ、基本支給品、マジカルフォン@魔法少女育成計画シリーズ、伊純白秋の毒薬@追放選挙、7753のゴーグル@魔法少女育成計画シリーズ

[首輪解除条件]

アーナス、森の音楽家クラムベリー、魔王パムのうち一人の死亡。もし全員が死亡した場合、シークレットゲーム『Code Revise』において『荻原結衣』を殺した犯人の情報が提示される

[状態・思考]

基本方針:結衣を殺したクソ野郎(伊藤大祐)をぶっ殺す。クソ野郎が犯人じゃなかったらあのガキ(阿刀田初音)を問い詰める

0:離せー!

1:仕方ないのでルーラーと行動をともにする

2:この女(ルーラー)ヤバすぎる……!

[備考]

※Cルート、伊藤大祐を追いかけていった後からの参戦です

 

【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】

[状態]:正常

[装備]:我が神はここにありてリュミノジテ・エテルネッル@Fate/Apocrypha

[道具]:スマホ、基本支給品、不明支給品2つ(本人未確認)

[首輪解除条件]

第五回放送終了まで、「天草四郎時貞」「ウィキッド」「伊藤大祐」「忍頂寺一政」を半径3m以内に侵入させない。なお条件達成失敗と認識された場合、この首輪は爆破される

[状態・思考]

基本方針:この殺し合いを止め、元凶を倒す

1:ジーク君が心配

2:監視も兼ねて黒河と共に行動

3:黒河と共に火事の現場に向かう

4:大聖杯や天草四郎はどうなったのだろうか

[備考]

※アニメ24話、『紅蓮の聖女』発動後からの参戦

 

 

 

 

放たれたアサルトライフルの銃弾がガスボンベに命中し爆発。

爆風と高熱が二人を吹き飛ばした。

 

「ぐっ……クソが!」

 

フードの男、絢雷雷神は阿刀田初音を追って彼女の逃げたであろう方向へと移動して天川夏彦と遭遇した。

彼を脅して情報を聞き出した後、支給品を奪った所までは良かったが

夏彦からの予想だにし得ない攻撃を食らい、思わぬ抵抗を受けた挙句。

無駄に弾数を消費して爆発、火災事故が起こる事態に見舞われた。

幸い、体に大きなケガは見受けられず、正常に動かせるが怒りは収まらない。

 

「野郎、あいつは何処だ……いた」

 

地面に倒れている夏彦の姿を発見した。

背中を見ると爆風で飛んできたのであろう金属片が背中に突き刺さっていた。

 

「死んだか?……いや、呼吸はしているな」

 

アサルトライフルの弾倉を入れ替えて、夏彦へと銃口を向ける。

数秒間ほど狙ってから構えを解いて雷神はこの場から立ち去った。

 

抵抗された怒りは収まらない。

それならなぜ殺すのを躊躇ったか?

理由は気分を晴らすために殺害するよりも特殊機能を使って利用する事を考えたからだ。

 

雷神の特殊機能である『この機能の持ち主と直接出会った事のあるプレイヤー一人を選択して他参加者との接触状況を閲覧できる』を利用すれば。

夏彦は生きたレーダーとして情報を仕入れられる。

もしこれから夏彦と出会った人物が殺し合いに乗っていたら夏彦を殺した危険人物の名前を知る事が出来る。

それとも殺し合いを止めようとするお人好しが夏彦と出会えばそいつの名前を知る事が出来る。

 

俺としては後者がありがたい。

動けない足手まといを保護するようなおめでたい連中なら先手を取って襲撃しやすい。

夏彦に怪我を負わせたおかげでこっちはあと二人を傷付ければ厄介な制限から解放される。

 

それにしても、まさかこいつに渡された特殊機能が『半径10m以内にいる参加者の首輪解除条件を表示する』だったとはな。

真っ先に所持品を封じなければ俺が殺されていたかもしれない。

他に似た機能がある事を想定してさっさと首輪を外さねえと復讐もロクに果たせねえな。

 

「じゃあな、ここで焼け死ぬ前に誰かに発見される事を祈るんだな」

 

徐々に燃え広がっていく街を後にし、雷神はその場を後にした。

 

【G-7 市街地/一日目/黎明】

【絢雷雷神@追放選挙】

[状態]:腹部にダメージ(小)

[装備]:アーミーナイフ@現実、M4A1(30/30)@現実

[道具]:基本支給品一色×2、スマホ(特殊機能付き)×2、M4A1の予備マガジン3個

[状態・思考]

基本方針:迅速に首輪を解除して生き残る。その為なら参加者の殺害もいとわない。

1:一条要への復讐を果たす。

2:蓬茨苺恋とノーリを殺害する。

3:他の参加者を見つける。

4:絶対に首輪解除条件を他人に知られない様にする。

5:天川夏彦を利用して他の参加者を傷付ける。

[備考]

絢雷雷神に支給されたスマホの特殊機能は『この機能の持ち主と直接出会った事のあるプレイヤー一人を選択して他参加者との接触状況を閲覧できる』です。

対象のプレイヤーが死亡するか、使用してから6時間後に閲覧機能は解除され

その後に別のプレイヤーと接触する事によって再び指定する事ができます。

※天川夏彦に特殊機能を使いました。6時間の間、他参加者との接触状況を閲覧する事が出来ます。

 

【天川夏彦@ルートダブル -Before Crime * After Days-】

[状態]:気絶、ダメージ大、背中に裂傷(金属片が刺さっている)、左腕に銃創(処置済み)、脇腹に銃創(処置済み)、右脚に銃創(処置済み)、脇腹に打撲ダメージ(小)、疲労(大)、センシズシンパシー使用による頭痛(中)

[服装]:いつもの服装(ボロボロ)

[装備]:無し

[道具]:無し

[首輪解除条件] 解除条件を満たした参加者のスマホを3台以上保有する

[状態・思考]

基本方針:ましろ、サリュと共に会場から脱出し、悠里を救う

0:――――。

1:夜が明けたら、『天川夏彦の家』まで移動

2:「ラボ」にいた参加者との合流(ましろ、サリュ優先)

3:初音を警戒。次に会ったときは……

4:初音を襲ったフードの男を警戒

※初音に対し、センシズシンパシーを使用し、夏彦と出会う前のゲーム内での記憶を読み取りました。

※主催者側の制限により、センシズシンパシーによる記憶の破壊は不可となっております。また、センシズシンパシー利用による脳への負担が上昇しています。

※参戦時期はDルートにて、風見の悪意を消し去った直後となります。

※会場に連れてこられる前に負っていた傷は、そのままの状態となっております。

※夏彦に支給されたスマホの特殊機能は、『半径10m以内にいる参加者の首輪解除条件を表示する』です。

※支給品一式及びスマホを奪われました。

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