バトル・ロワイアル The Rebellious Memory 作:原罪
現在七望館にて、ミレイにこき使われるままドリームコインの探索作業を続けている渡瀬。
本人にとって不満ははち切れない程、募っているが
彼女の傲慢ぶりからしてこっちの負担など気にも留めないだろう。
もし探索中にカラミティ・メアリの様な危険人物が七望館に入って来たら、という不安があったが
特に来訪者が来る事無く、渡瀬は無事に必要なコインの回収を終える事が出来た。
「あった……これで必要枚数は揃えたぞミレイ」
「随分と時間かかったわねぇ。あと一時間しか無いわ。さっさと行くわよ」
お前も手伝えばもっと早く終わったけどな。と言いたくなる気持ちを抑えた。
時間の惜しい二人は早速ドリームコインの交換所へ向かうと筋骨隆々の着ぐるみ男がカウンターに立っていた。
胸には『ミスターD』と名札が付けられている。
「またぶっさいくなのがいるわね」
「おいフランス料理フルコースと水で交換だ」
手持ちの飲料水が尽きていた渡瀬は余った50コインでミネラルウオーターも一緒に注文した。
カウンターに手持ちの3050コインを全て置くとミスターDは無言で受け取り、水を用意した後。
テーブル席へと座るようにジェスチャーを始めた。
どうやらこの男は喋れないようだ。
「安物のテーブルと椅子ね。私が座るんだからもっとゴージャスなのを用意しなさい」
ぶつくさ文句を言うミレイを無視してミスターDは厨房から食事を運んできた。
フルコースの初めは食前酒と共に前菜を出すのが定番である。
その後、スープ、魚料理、肉料理、デザート、コーヒーと順に出されていくのがあるが
現在はバトルロワイアルの真っ最中である。
呑気にミレイの食事を眺めるつもりは無い。
まずやるべき事は手に入れた情報の把握だ。
渡瀬はこれまで新たに回収できた参加者の秘密のメモを読み始めた。
黒のライダーの秘密1
『真名はアストルフォ。シャルルマーシュ十二勇士の一人である』
蓬茨苺恋の秘密2
『彼女は一条要とその妹の一条未彩を庇って自分の父親を殺害している』
伊純白秋の秘密2
『彼はカーシャとアーシャを毒殺しようとして誤って二人の母親を毒殺している』
黒のアサシンの秘密1
『真名はジャック・ザ・リッパー。堕ろされた胎児達の魂の集合体として生まれた悪霊のような存在である』
旭川姫の秘密1
『アイドルである彼女はファンに分け隔たりなく愛を与えた結果、多数の男達が『崇拝者』となり悪質なストーカーへと変貌させている』
スノーホワイトの秘密2
『本名は姫河小雪、彼女は幼い頃から魔法少女に憧れており、ラ・ピュセルとは幼馴染の関係である』
カラミティ・メアリの秘密1
『彼女の魔法は『持ってる武器をパワーアップできるよ』であり、彼女が手にする物はどんな道具だろうと武器として用いるなら強化する事が出来る』
狛枝凪斗の秘密1
『彼の持つ才能は『超高校級の幸運』である』
クリストフォロスの秘密1
『純潔の妖魔であり、複数の人格を持っている。身に着けた仮面によって彼女の人格が変わる』
天王寺彩夏の秘密1
『同じアイドルチームであった白浜ふじみの突然の脱退により彼女は重度のスランプに陥っている』
得られた参加者の情報はこれで全部である。
「いまいちな味だったわね」
ミレイの食事が終わったようだ。出された料理は全て完食している。
これを機に参加者の秘密メモをミレイにも見せたら彼女は激昂し始めた。
「多数の男が崇拝者になってるですって?それなら私を崇拝する男だって星の数ほどいるわ。
どうせ旭川姫という女はブスなんでしょ」
「他にもっと他に見るべき情報があるだろ」
「そうね。あのブス(カラミティ・メアリ)の能力が分かったのは手柄ね。褒めてあげる」
ミレイはメモを一つ一つ目を通していく。
秘密の内容が真実なら複数のアイドルが参加者として呼ばれているのを理解し
「まぁ、私の美貌と比べれば全員ブスでしょうね」と言っていた。
「それと笠鷺、さっき水貰ったわね。それを私に渡しなさい」
「おいおい、それを渡しちまったら俺の飲む分が無くなっちまうだろうが」
「水ならトイレの水でも飲めばいいじゃないの、あと汗臭いからそんなに近寄らないでくれる?」
(ここまで女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ)
確かに渡瀬の身体は発汗でシャツはべったりと滲んでおり
服なんかは埃まみれで汚れている。
だがそれは掃除の行き届いていない七望館を休むことなく探索したからだ。
不満を押し殺して時計を見ると残り滞在時間は20分を切っていた。
「そろそろ移動をする時間か」
「ホテル・エテルナに向かうわよ。ホテルと名の付くぐらいだから少しは睡眠を取るのに向いてるでしょ」
「寝る気なのか?」
「睡眠不足は美容の大敵なの、私の美貌が衰えるのは国にとって、いや世界にとっての損失になるのよ。分かる?
それにホテルなら他にも参加者が来てるかもしれないじゃない、そいつらにここの情報を与えてやれば
秘密のメモもドリームコインも更に手に入ってお得だわ」
「他の参加者が集めたメモとコインを奪う気か?」
「私達が教えなければ、メモ自体集める事が出来ないでしょ?それに情報は私達が集めたのと共有すればいいし
その情報代として私にコインを支払うのは正当な要求よ」
「……ん?」
渡瀬の脳裏に不安がよぎった。
その不安の正体は、一体何なのか。
「どうしたのよ笠鷺」
「いや……情報を皆で共有するんだよな」
「そうよ。他の参加者にもメモを探させた方が効率的じゃないの」
(そうか。秘密のメモを集める事、それは……)
渡瀬の不安の正体が分かった。
それは渡瀬が『Q』と呼ばれるテロリスト組織の一員である事が参加者達に知られるリスクだ。
メモの内容には誰が誰を殺害したか、という罪も記されている。
秘密のメモの中には渡瀬がテロリストであること。ラボの研究員を死なせている事実が書かれている可能性が高かった。
「何をぼーっとしてるの笠鷺」
「……すまない。トイレに行かせてくれ」
「いいけどその前に水を渡しなさい」
「ああ……」
「やけに素直ね。まぁいいけど」
渡瀬は洗面台の前に立つと、汗まみれの顔を水で洗い、鏡を見つめた。
もし俺の正体が知られてしまったら、俺は協力し合えることが出来るのか?
テロ組織の一員と言っても国家転覆を目的として破壊と殺戮を繰り返す連中とは違う。
むしろラボの非人道的かつ危険な人体実験を止めるべくQに協力した。
だが、結果としてラボの中で殺し合いが始まり、死者を出してしまった。
果たしてテロリストの俺は信用されるのか?
疑心暗鬼が起こり、互いに銃口を向け合う事になったら?
俺は……人を殺すのか?
「――ッ!?」
鏡に映る自分の顔が冷酷な殺人鬼に見えた。
「これが……俺の本性か?違う!俺はそんな事は望んでいない!」
俺はテロリストだが、それと同時にレスキュー隊員だ。
目の前で命が失おうとしている人間は決して見捨てない。
自分から人の命を奪うなんてもってのほかだ。
「それに俺はあいつらとだって……争いたくない……」
宇喜多、洵、サリュと出会ったら殺し合いになるかもしれない。
それも渡瀬の心の奥底でずっと引っかかっていた。
「ちょっと笠鷺!いつまで待たせるの!?」
「ああ、今行く」
不安で押し潰されそうになる自分に喝を入れる様に洗面台の水をがぶ飲みした渡瀬はミレイと共に七望館を後にするのだった。
【G-1/七望館近く/一日目 早朝】
【笠鷺渡瀬@ルートダブル】
[状態]健康
[服装]シリウスの団員服
[装備]NZ75@ルートダブル
[道具] 基本支給品一色、スマホ、ウイングシューズ@よるのないくに2、不明支給品1つ(本人確認済み)参加者の秘密メモ15枚
[首輪解除条件]特定のパートナーと24時間以上行動を共にする
[思考・行動]
基本方針:殺し合いからの脱出。なるべく人は殺さない。
0:ミレイに同行して、首輪を解除する
1:ホテル・エテルナに向かう。
2:ミレイが他参加者相手に暴走しないように、上手くコントロールする
3:宇喜多、洵、サリュ、カラミティ・メアリを警戒。夏彦とましろについては保留。
4:地図にある「天川夏彦の家」が気になる
5:秘密のメモによる自分の情報の露呈が不安
※参戦時期はDルート。夏彦のセンシズシンパシーによって本来の記憶を取り戻し、和解した直後からとなります。
※ウイングシューズを着用すると素早さを飛躍的に上昇させます。但し、有効時間は5分間のみで、1度利用するとその後2時間は効力を発揮しません。
【ミレイ@Caligula-カリギュラ-】
[状態] 健康、顔面打撲、ダメージ(小)
[服装]いつもの服装
[装備]なし
[道具] 基本支給品一色、スマホ、不明支給品3つ(本人確認済み)
[首輪解除条件] 解除条件を満たした首輪を2つ以上保持する
[思考・行動]
基本方針:生存優先。まずは首輪の解除。
1:首輪解除のために、使えそうな下僕を集める
2:さっきのブス(メアリ)は絶対に殺す
3:帰宅部の連中とウィキッドを警戒
4:ファヴがμと同等以上の力を持っていると分かれば、優勝も視野に入れる
5:ホテル・エテルナに行き、休息を取る。
6:使えそうな参加者が見つかれば七望館の探索へ向かわせる。
※参戦時期は劇場グラン・ギニョールで帰宅部に敗北した後からです。