バトル・ロワイアル The Rebellious Memory 作:原罪
逃げる、逃げる、逃げる―――少女は逃げ続ける
月の光が仄かに差し込み、それでも薄暗く揺れる森の中
少女は、”猛獣”から逃げていた
「まってよましろちゃ~ん、何でオレから逃げるのかなぁ~」
少女、鳥羽ましろはあの見せしめ映像の光景が離れず身を震えさせていた。
何の前触れもなく画面の前で誰かが殺された。その光景に少女は震え上がるしか無かったのが
そして知らぬ内に会場に飛ばされ、わけも分からず彷徨っている際に出会ったのが伊藤大祐という男だ
表面上は優しく接してはいたが、その歪んだ本性を幸か不幸かましろは’聞こえて’しまったのだ
鳥羽ましろは実を言えばただの少女というわけではない。「BC」と呼ばれるテレパシー・シンパシー能力による念話が可能な力を持っている。それが原因で大祐の本性を聞いてしまい、悲鳴を上げ大祐から逃げていたのだ。
そして気づかれた事への証拠隠滅も兼ねて大祐が彼女を追いかけ……今に至る
「はぁ……はぁ……!」
「待ってよねぇましろちゃあ~ん。いきなり俺から逃げ出してさぁ、俺何もするつもり無いって言うのにさぁ~!」
ましろには今の大祐の軽口にもはや恐怖しか感じていない。表面上はああでも、その中身はとてもどす黒い。まるで泥のようにねばりっこく、浸かったモノ引きずり込み、壊す。彼女にはそんな気がしてならなかった。
「いやっ……来ないで! 来ないでください!」
「心外だねぇ……せっかく俺がましろちゃんを守ってあげようって思ったのに、さぁ」
ひたすら森の中を逃げるましろ。そしてそれを追いかける大祐。だが如何せん、ましろの脚力では大祐から逃れることは難しい。徐々に、徐々にその距離が縮まっていく。
息を荒げ、ただひたすら走るましろであったが、不運にも――
「あっ……!」
木の根に足を引っ掛け、転んでしまう。膝に擦り傷ぐらいの怪我だったが、この状況下ではそれだけでも致命的だった
「やっと追いついたぜ……ねぇ、ましろちゃん?」
「ひぃ……ッ!」
真後ろの大木の一つに手を付き、転んだましろをまるで舐め回すかのように目視する大祐。その眼光はまさにましろを弄ぼうとする寸前の、野獣の眼光そのものであった
恐怖に足を動かせないましろに対し、大祐は……
「俺から逃げちゃうんじゃぁ仕方ねぇなぁ……だったら俺からもう逃げられない用にしないといけないよなぁ?」
「だからさましろちゃん……俺とちょっと気持ちいいことしない?」
――まさに、最悪の展開だった。もはやBCを使用しなくても、その意図はわかる。
故にその先は分かっている。わかってしまっているのに、動けなかった。
中にあるドス黒さは笑っていた。あの時バスの中で聞いた『憎しみ』の声よりも、恐ろしく感じるものだった
大祐はましろの服に手をかけようとする。ましろは何とか大祐の手を振りほどこうと抵抗するも
「オラッ!」
「がッ……あ……!」
ましろの腹部に蹴りのようなものが入る。思わず全身の力が抜けてしまう。
「ゲホッ……ガホッ……」
「余計な抵抗はやめてほしいなぁ……安心して? 今から嫌なことなんてすぐ~に、忘れちゃうんだからさ」
―――もう何も出来ない。私はこのままこの真っ黒な男に弄ばれ、嬲られて、壊されるんだ
少女の目には虚ろになり、何もかも諦めたような顔になっている。
走馬灯のように頭に浮かんでいた一人の少年と、二人の少女。手を伸ばそうにもそんな気力すら残っていない
「さぁ~て、さぁ~て、お楽しみたーいむ! 初音ちゃんもよかったけど、このかわいこちゃんも――」
「いい声上げてくれるの、期待してるぜぇ……あっでも、あまり大声出されるのもダメだなぁ、バレたらやべぇもんな。アハハハハ」
―――ごめん夏彦……わたし、もう―――
ましろがそんなことを思っていたその時―――
「グギャアアアアアアアア!?」
男の足に、ナイフのようなものが突き刺さっていた。
直後、その事実に気づいた男は痛みと驚きの声を上げ、そのまま逃げ去っていった
数秒した後にまたさっきの男の叫びのようなものと、何かが爆発したような音が聞こえてきた。その声を最後に男の声は聞こえなくなっていた
目に光を取り戻したましろは、ただ呆然と座り込んでいる。そんな彼女の前に………
フードを身にまとった一人の男が立っていた。
「―――大丈夫か?」
「……え?」
フードの男はましろに手を伸ばす。訳がわからなかったが彼の手を取り起き上がる
ましろは、目の前にいる男が悪い人では無さそうと、なんとなく感じていた
○ ○ ○ ○ ○
「いっづ……! あのフード野郎! たしか山田大樹っつったか……? つーかずりーぞあんな能力!? チートだぞチート! こっちとらただの一般人だっつーのによ!」
最大の楽しみを邪魔され、苛立ちながら足を引きずり森を歩いている大祐。あの後、あの「シャドウナイフ」という人物に追われていたが、起死回生にと袋から放り投げた支給品が閃光手榴弾だったため、なんとか目を晦ませ逃げることに成功した。怪我をした足はとりあえず応急の処置をしたが今でも痛む状態だ
あの時自分は死んだ―――それは大祐にとっても事実だった。だがこうして生きていた。名簿に見知ったメンツがいたが関係ない。それで通りかかった
なお大祐が初対面のはずのシャドウナイフの本名である『山田大樹』を知っているかというと、それは彼に支給されていた『詳細名簿』なる一冊の本によるもの
これはスマホのアプリとして登録されている名簿とは違い、参加者のある程度の内情まで記されている特殊なものである。
「……次あったらただじゃおかねぇぞ。が、俺だけじゃあ残念なことにあのフード野郎相手にゃイチコロ確定だ。」
事実、シャドウナイフの戦闘力に大祐では敵わない。故に彼は、支給品の一つに入っていた”とある短剣”に目をつけていた
「―――ましろちゃんを楽しめなかったのは残念だったけど、これがありゃあ―――どんなやつだって俺の好き勝手できるなんてなぁ……最初っからこれ使えばよかったぜちくしょー!」
その悔し声は、新たなる悪意の笑みを浮かべた―――狂った声であった
そしてそのナイフの説明書には――『プキンの短剣』という文字と、それの説明文がついていた
【B-1/一日目 深夜】
【伊藤大祐@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:疲労(小)、足に刺し傷
[装備]:プキンの短剣@魔法少女育成計画シリーズ
[道具]:支給品一色、スマホ、詳細名簿@オリジナル
[状態・思考]
基本方針:せっかくなのでこのロワで好き勝手やらせてもらう
1:この短剣さえありゃあ、ぐふふ……
2:あのフード野郎(シャドウナイフ)は絶対殺す
[備考]
※参戦時期はAルートで修平に殺された後です
○ ○ ○ ○ ○
(しかし……)
あの後、ちょっとした自己紹介の後に、シャドウナイフは思考を巡らせていた
まずここがメビウスではない何かだということ。名簿を確認した所あの忌まわしき帰宅部の連中も巻き込まれているようだが、それだと他の楽士やメビウスに無関係な人物たちを巻き込む理由がない。
ましろと言う少女は見るからに悪ではなさそうと現状では置いておき、ましろに襲いかかっていた男は『悪』以外の何物でもない。もしもの場合は直接的な手段も視野に入れておいた方がよさそうだ。
次に仲間である他の楽士のことだ。イケPはこの殺し合いに乗るほど愚かではないだろう。ミレイは一旦保留だ。―――そして問題はウィキット
μやソーンのいない今、あの人格破綻者が何をしでかすか分からない。場合によってはやつを『悪』として俺が断罪する必要性が出てくる
……とすれば、まず合流すべきはイケPか
「あ、あの……」
「…どうした?」
ふと、ましろが自分に話しかけていた
「た、助けてくれてありがとうございます」
そして、自分に対しお礼の言葉を告げていた
「――俺は正義として、当然の事をしたまでだ。お前はどうする?」
「え、ええと……私、夏彦って人と三宮さんって人を探しているんですけど、……もしあなたがよかったら」
夏彦、三宮? ……名簿にあった人物。ましろの知り合いか
「……別に構わん。俺も人を探していたからな。イケPという男だ。チャラいやつだが、一応信頼はできる」
人はある程度はいたほうが良い。それに、正義として彼女を放っておく訳にはいかないからな
「あ、ありがとうございます!」
そう礼を言うと彼女と俺はこの森を出口を目指し歩き始めた
【B-2/一日目 深夜】
【鳥羽ましろ@ルートダブル -Before Crime * After Days-】
[状態]:ダメージ(小)
[服装]:いつもの服装
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一色、スマホ、不明支給品3個(本人未確認)
[状態・思考]
基本方針:知り合い(夏彦、サリュ)を探す
1:シャドウナイフとともに行動。そして彼の手伝い
【シャドウナイフ@Caligula -カリギュラ-】
[状態]:正常
[服装]:いつもの服装
[装備]:ブロンズナイフ@ドラクエ11
[道具]:基本支給品一色、スマホ、不明支給品2個(本人未確認)
[状態・思考]
基本方針:正義を成すためにこの殺し合いの打破
1:イケPの捜索。ミレイは保留、ウィキットと帰宅部は警戒
2:ましろの保護及び彼女の探し人の手伝い
[備考]
※参戦時期はシャドウナイフ編前です