バトル・ロワイアル The Rebellious Memory 作:原罪
「―――さて、どうしましょうか」
会場中心部にそびえ立つ巨大な鉄塔。そこで森の音楽家クラムベリーは静かに耽っていた
ファヴによって開かれたこの74名による殺し合い。あの会場で実力者らしい実力者は確認できた
が、まず魔法少女ですらない人物や何の力も持たない人物ですらいるという事実に少し首を傾げていた
自分の知っている人物を確認すると
気が合わないながらも実力がある「カラミティ・メアリ」
『魔王塾』の塾長「魔王パム」
カラミティ・メアリを倒した「リップル」
魔王塾に通っていたと聞く「袋井魔梨華」
自分とファヴが行った試験で生き残った「プフレ」、「アカネ」
それなりに楽しませてもらったが、結局は自分に敗れた「ラ・ピュセル」
そしてあまり信じられないことだが、チャットの時とは完全に違う雰囲気を漂わせていた、「スノーホワイト」
特にスノーホワイトの変貌にはクラムベリー自身も内心少しは驚いている
「あの彼女が……いいえ、この際私の渇きを癒してくれるならなんでも構いませんですよ」
思わず笑みが浮かべる。知り合い以外にも、自分が知らない強者への期待。そしてそれらと戦えるかもしれないという喜び。ファヴも最高に近い舞台を要してくれたものですね。とクラムベリーはつぶやいていた
そうと決まれば、まずは獲物を探すことにしよう。さっきスマホで確認した自分につけられた首輪の解除条件『5人以上の殺害』―――なるほど、ある意味私のための条件ですね。そして殺し合いを円滑に進めさせるためのトリガーでもある
支給品――もとより武器は必要ない。結局武器こそ入っていなかったが便利そうなモノは入っていたため置いておくことにしておきましょう。
そして獲物を求め、鉄塔から降りようとした途端―――
鉄塔を青く照らす大きな月に目立つ、一つの人影が見えた。
銀の髪を靡かせ、青い衣装を身に纏った、赤とエメラルドの瞳を持った―――女性
無意識の内に、音楽家の手は震えている。それが喜びによるものなのか、恐怖によるものか、わからない
そして思う―――目の前の彼女は紛れもない強者。それこそ自分や魔王パムすらも上回る存在
クラムベリーは胸を高まらせていた。眼の前にいる”何か”は、自分が追い求めていた強者にふさわしい風格、威厳―――そしてその強さ
「―――私は、森の音楽家クラムベリー。……あなたの名は?」
「……私は……誰だ…」
目の前の女性はそう呟く。まるで何も見えていないかの如く。
その瞳孔にクラムベリーの姿は映っているにも関わらず、それは虚空を見つめるように
「――――!」
その右手に、背丈ほどの黒く禍々しき剣を手に持ち
「―――いいえ、失礼でしたか。いいですよ、もとよりこっちも―――そのつもりですのでっ!」
月下の鉄塔に、轟音が鳴り響いた
鉄網の大地を駆け、最初に仕掛けたのはクラムベリー。魔力を纏わせた手刀で斬りかかるも女性の大剣によって軽々と防がれる
もとよりこんな一撃で倒れるとは思っていない―――即座に蹴りを加えようとするも軽々と大剣によって防がれる。
防がれたと同時に数歩後退。即座に加速し攻撃を加える。―――またしても防がれる。
「―――退け」
そう呟いた相手は急速に突進し斬りかかる。クラムベリーは受け流すように回避するも、直後に刃が接触した腕部分から血が吹き出す
「―――!」
やはり、私の見込んだ相手ですね―――内心そう喜びながらも何事もなかったかのように再び構える
「邪魔を―――するな―――!」
剣を構えた相手はその刃に魔力らしきものを溜め込み始める、もちろんそれを見逃すクラムベリーではない
「大技を出すならもう少し考えてから出すべきで―――!?」
ただ想定外だったことと言えば―――相手のチャージが早すぎたことだ。本能的に危機を察知したクラムベリーは攻撃を防ぐことを優先し思考を――刹那
膨大な魔力の光が、クラムベリーを鉄塔ごと呑み込み―――
光が収まると、そこには鉄塔だったものの瓦礫がちょっとしたガラクタの山のように乱雑に広がっていた
瓦礫と化した場所を、女性は何事もなかったかのように眺める―――そして、またしても何も無かったかのように立ち去る
彼女の名はアーナス。伝説の半妖、夜の姫君。
かつて守ろうとした少女を失い、ただ幽鬼の如く、何もかもを忘れ彷徨う―――今の彼女はただそれだけである
【E-5/一日目 深夜】
【アーナス@よるのないくにシリーズ】
[状態]:暴走、記憶喪失
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一色、スマホ、不明支給品3つ(本人未確認)
[状態・思考]
基本方針:私は、誰だ……
※鉄塔は崩壊しました
○ ○ ○ ○ ○
アーナスがいなくなった後、瓦礫の山の一部がはじけ飛んだ。
そこから現れたのは傷だらけながらも笑みを浮かべる音楽家
あの直後、ダメージを防ぐために自らの魔法を使用。
「最高です―――まさか私の知らない世界にはあんな強いお方がいるとは思いませんでした」
これは本当にファヴに感謝すべきだ。恐らく彼女以上の相手はそうそう出会えることがない。そう、また会って戦いたい、闘いたい―――殺し合いたい
だが、今のままでは勝てない。首輪とやらで制限されているのは自分も彼女も同じだ。だがお互い首輪をつけている状況であの有様ではそうそう勝ち目はない――故に
自らを更に極めることにした。おそらく彼女ほどではないがそれに匹敵する実力者がこの会場にいるかもしれない。相手の首輪の解除条件も懸念する。そして自分も彼女も『枷』が外れたその時こそ
自分にとって最高の戦いができるだろう―――
この夜はまだまだ
これより奏でることになろう―――死の交響曲を
音楽家は歩き始める―――さらなる高みへの挑戦のため、さらなる強者との闘争のため
―――そして、彼女との全力の闘いのため
【E-5/一日目 深夜】
【森の音楽家クラムベリー@魔法少女育成計画シリーズ】
[状態]ダメージ(中)、腕部分に切り傷
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一色、スマホ、不明支給品3つ(本人確認済み)
[状態・思考]
基本方針:強者との闘争
1:例の彼女(アーナス)と再び闘いたい
2:首輪解除のために強者を探し、そして殺す