荒い作りですが、ご容赦願います
聖メアリー女学院
オーストラリア系の女学院で、そこそこ大きな学園艦だ。
以前はお嬢様学校として有名だったが、ある日を境に不良が急増し一気に不良校になってしまった。
今こそは落ち着いているものの、やはり若干数の不良が目立ってしまっているのが現状である。
有島 芽衣
私はそんな元お嬢様学校に通う単なる一生徒。
の筈なのだが、クラスや学園内では少々浮いている。理由はこの片方が黒いレンズで覆われた眼鏡のせいかもしれない。お洒落で付けているわけじゃないけど、どんな理由があってもその理由を知らなければ人は不気味がったりするものだ。ましてやその理由を話す必要もなく、多少距離を置かれる程度に落ち着いている。
その日の昼休みはぼぅっと、自分のクラスの自分の机で、昼休みに惰眠を貪ろうとしていた。しかし、それは友人の馬鹿でかい声によって阻止されてしまった……。
「お願い!どうかうちの戦車道チームに入って!」
そう土下座する様な勢いで頭を下げてきたのは、私の友人の藤野 京子。この学校では珍しく私に絡んでくる唯一の友人?だ。中学時代から戦車道をしている。
「いや、前も言ったけどそれは無理……」
「お願い!このとーり!じゃないと廃部になっちゃうの!!」
両手を合わせて拝むようにしてくる。
廃部 この学校は戦車道に力を入れているのだが、戦車道はあまり強くない。どの程度かというと県大会の地区予選で初戦敗退する程度には弱い。そのせいか、最近は選手の殆どが転校し、戦車道経験者の新入生も他校にどんどん取られて行く始末。
お陰で今年は戦車一両の人員しかおらず、学院長も廃部を検討しているという。それを阻止するために、なんとか成果を上げたいので私に入部してほしいらしいのだが。
「無理なものは無理、どうしても入ってほしいのなら明日までに戦車五両とその分のメンバー確保してから。そしたら考えるよ」
今更戦車道なんて出来るわけない。
「そんな……」
「それじゃ、私眠いから」
もう戦車道とは縁を切った身だ。連れてこられた階段下から去ろうとすると、後から叫ばれた。
「観たよ!芽衣の中学校時代の試合の動画!凄かった!」
脚が止まる。
「かっこよかった!砲撃も百発百中で!」
冷や汗が首筋や背筋を伝う、身体中に悪寒が走る。
『まだ、他の道があるはずだ』
昔の、中学時代の隊長の言葉が蘇る。
『もうありません、私に出来ることは』
私は戦車道から逃げ出した。
「なんで辞めちゃったか知らないけど、またうちで砲手として……」
「やめて!!」
思わず大声を上げてしまった、周りにいた生徒や教師がぎょっとした様子でこちらを見る。
「もう、やめたの……じゃあね」
その場を足速に去った。
結局、その日は録に寝れなかった。
次の日の授業は地獄だった。睡魔と戦い、時折思い出す封印していた昔の記憶、昨日の藤野の言葉、凄くイライラする。授業も録に受けれなかった。
そのせいで昼休みに入るまでに先生に五回は注意されてしまった。
そして昼休み
簡単な昼食を済ませると、顔を伏せて惰眠を貪る。ことは出来なかった。
また来た。
「揃えたよ!戦車とメンバー!!」
藤野がツカツカと私の席まで歩いて来て、さあ行こうと手を伸ばす。
「……やらないっていったでしょ、行かないから……」
なるだけ不機嫌そうな顔で、無愛想に言い放ち、顔を伏せて寝る体勢に入ろうとするともう1人の声がそれを遮った。
「いや、来てもらうよ。これは命令だ!」
何事かと顔を上げると、そこには子供がいた。
「…………小学生?」
「ちがーう!生徒会長だ!生徒会長の宮野 三鈴!!」
ちっこいのは耳元で大声で叫んでくる。やめて、鼓膜が。
そしていつの間にやら後ろにいた連中に合図をすると、大柄な女子二人が私の脇を抱えてきた。強制連行である。
「や、やめろ!おろしてー!!」
教室には私の悲しい叫びがこだましていた。
連行先は戦車倉庫だった。
やっとの事開放されると、そこには私たち含め二十人程の生徒と作業服の人が10人ほど。それに背後には六両の戦車があった。
三式中戦車
二式砲戦車
クロムウェル
センチネル
クルセイダー対空戦車
そして
五式中戦車 チリ
私の、昔乗っていた戦車だ。
「どお!ちゃんと六両にそのメンバー!集めたよ!!」
藤野がドヤ顔で言ってくる。その後にいるのは五つに別れた集団、こちらをジロジロ見てくる人、それに加え昨日の叫んでた人じゃないー?とひそひそ話をするグループ。色々あったがどれも私を奇異の眼で見ているのには変わりはなかった。
「さあ、条件は果たしたよ!砲手としてうちのチームに」
「無理だから」
冷たく言い放つ。藤野と、元々の戦車道チームに所属していたらしい三人が固まった。
「な、なんで?人数と戦車集めたら砲手としてチームに入ってくれるって……」
明らかに狼狽する藤野。後ろの宮野会長達も何やら話している。
「もう砲手はできないから、これが証拠」
眼鏡を外すと、その場にいた全員がどよめく。私の潰れた右眼とその傷跡を見て。
「分かったでしょ。だからもう無理、できないって言ったの」
「でも……」
藤野が尚も食い下がってくる。
「でも、何!?もう砲手はできないの!戦車の事故で右目が潰れて、残った目も録に見えなくて!私もやりたくなくて戦車道を避けてるんじゃないの!できないからっ……」
「それは、砲手としてじゃないかい?」
会長が横槍を入れてきた。
「確かに目が見えなきゃ砲手はできない、でも車長なら?」
それは…昔の隊長に言われた事だ。
「そうだよ、観たんだよ!芽衣が一度だけ副隊長として指揮してるところ!」
どれだけ調べたんだろう、それはマニアの間でも中々知られていないほどマイナーなものなのに。
「でもその試合は負けて……」
「それでも見事な指揮だった、新聞やネットでも絶賛していた」
会長が私の前に立つ。
「私はね、この学校から戦車道を無くしたくないんだ。そのために、砲手としてじゃなく……」
握手を求めるように、手を差し出してくる。
「隊長として、ね?」
私は、しばらく逡巡した後……差し伸べられたその手を掴んだ。
「それでは、有島くんの隊長就任を記念してー」
「「かんぱーい!!!」」
いつの間にやら、戦車道チームの講堂で歓迎パーティーが開かれていた。もっとも他のメンバーの歓迎も兼ねてなのだが。
私の周りには、藤野とその仲間らしいメンバーがいた。
隊長車は五式中戦車、つまり私はその車長で、周りの人は五式中戦車の乗員らしい。
「紹介するね!この子が有島芽衣!」
「知ってる」「知ってるー」「さっき聞きましたわ」
総ツッコミを食らう藤野。
「私は砲手の
短髪のイケメン風の人だった。
「あたしは副砲手の
「わたくしは操縦手の
「そして私が元車長、そして装填手の
幡生さんはどこかのんびりしたような雰囲気、八重島さんはお嬢様だ。
「藤野は知ってるよ……えっと、西園寺さん、幡生さん、八重島さん、これからよろしくお願いします……?」
「堅苦しいですわよ、芽衣さん」
「そうだよ、私達のことは名前で呼んでほしいな?」
「そーそー、だってあたしら今日から仲間なんだからさー?」
「そうだよー芽衣!」
いきなりだ、藤野ならともかく。今日初対面の人達を名前で呼ぶのは中々勇気がいる。でも、これから仲間としていくのだから。
「わ、わかった、恵子さん、奏さん、椿さん……京子」
「おうおーう、京子だけ呼び捨てかよオォーイ」
奏さんから茶々が入る。
その日は簡単な自己紹介なんかで終わった。
帰り道、その日は五式中戦車のメンバー五人で帰った。世間話や自己紹介なんかをしながら。
そして、明日また会う約束をして。
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