よろしくお願いします。
「あ~、疲れた~」
「大丈夫か?」
「秋葉原、人多すぎだよ~」
同感だ。パーソナルスペースが広いボッチじゃなくとも、あの人混みは辛い。今は抜け出したが、正直もうクタクタだ。
小町の提案で、残り少ない春休みの一日を使い、東京観光を試みたが、慣れないことはするもんじゃない。
まあ、妹との外出なら悪くはない。疲れるけど。物凄く疲れるけど。
「ん?何だろ、あれ」
小町は何かに興味を惹かれたようで、てててっと駆け出した。
もう体力回復しちゃってんのかよ。
小町が向かった先には人だかりができていて、皆一様にビルに取り付けられた大きなスクリーンを見上げていた。
「どうしたんだよ、いきなり……ん?」
大画面に映っていたのは三人の少女。華麗なステップで舞い、美しい歌声で言葉を紡ぎ、観衆を魅了していた。小町も「ほえー」と口を開け、魅入っている。
新人アイドルの宣伝か何かだろうか。
すると、画面には煌びやかな文字が表示された。
「スクールアイドル……アライズ?」
彼女達のグループ名はA-RISEというらしい。
つーか、スクールアイドルってなんだ?
ぼーっと画面を見つめていたせいか、背中に何かがぶつかってきた。
「にゃにゃ!?」
「っ!す、すいません……」
猫っぽい驚き声に反応して、振り返りながら謝ると、そこには茶色っぽいショートカットが印象的な女子がいた。
「「…………」」
意外と近くにあった顔を、ついまじまじと見てしまう。
ぱっちりと大きな目に、小さくすらりとした鼻。淡い桜色の唇にきめ細やかな肌。間違いなく美少女にカテゴライズされる顔立ちに、はっと息を呑んだ。
彼女もしばらくこっちをじっと見ていたが、急に慌てて頭を下げてきた。
「こ、こちらこそごめんなさい!凛もぼーっとしてて……」
凛というのは恐らく自分の名前なのだろう、知らない人に自分の名前を安易に教えちゃいけません!と言いたいところだ。
「…………」
「…………」
しばらくお互いキョロキョロしながら、たまに目が合う気まずい時間が続く。
雑踏の賑やかさが少し遠く感じられ、青空の透き通る青さがやけに眩しく思えた。
「あ~、ごめんなさい。うちの兄が」
気まずさが頂点に達しようとしたところで、さっきまでスクリーンに釘付けになっていた小町が割って入ってきた。
「お姉さんが可愛いから見とれていただけで、悪意とかはないんで」
こいつ、フォローする気あんのか……。
しかし、目の前の女子は意外なリアクションで返した。
「……り、凛は……可愛くなんか……」
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