読書をしていたら、気がつくと日を跨ぎそうになっていた。
明日から学校なので、そろそろ寝ようかと身体をベッドに投げ出すと、携帯が震えだす。
画面を確認すると星空からだった。
もう一度確認してから、何故か意味もなくシーツを整え、通話ボタンを押すと、彼女の声が聞こえてきた。
「あ、比企谷さん!今大丈夫にゃ?」
「……あ、ああ、まあ大丈夫、だけど」
「あはは、明日入学式だって思ったら落ち着かなくて……かよちんや小町ちゃんはもう寝ちゃったし……」
「それで代わりに俺というわけか……」
「ち、違うにゃ!ただの代わりとかじゃなくて!その……比企谷さんの声が聞きたかった……にゃ」
「……そ、そうか」
いきなりすぎる言葉に、何と反応すればいいかわからずに、手の甲を頬に当ててしまう。
向こうは大して気にしてなさそうに話を続けた。
「比企谷さんはクラス替え気になるにゃ?」
「……教師に忘れられずにどこかのクラスに入れられてればいい」
「何の心配にゃ!?」
「まあ、あれだ。色々あんだよ。お前も気をつけといたほうがいい」
色々思い出しそうになるが、とりあえず記憶の蓋を閉じた。ふぅ、危ねえ。セルフ・マインドクラッシュするとこだったぜ。
「わ、わかったにゃ!」
「てか、忘れ物とか大丈夫なのか?」
「入学式だから大丈夫にゃ!」
「……ああ、そうだよな」
「比企谷先輩こそ大丈夫?何だか心配になってきちゃったにゃ」
「……大丈夫だ。今以上に下になることはない」
「やっぱり心配にゃ!?何か凛にできることはない?」
「い、いや、まあ、大丈夫だから……なんか悪いな。あと…………ありがとな」
「……な、なんか照れるにゃ。あ、そうだ!もう寝なきゃ!比企谷さん、おやすみにゃあ!」
いきなりかかってきた電話はいきなり切れた。
通話を終えると、さっきと同じ静けさが漂い始める。
だが、どこか違う気がして、それが少しくすぐったくて、つい笑みが零れていた。
窓から月を見上げると、はっきりとこちらを照らしていた。
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特に何事もなく新しいクラスに溶け込むと、あっという間に時間が経った。
何度か視線を感じた気がしたが、まあ気のせいだろう。もう勘違いすることは二度とない。
……星空は今頃入学式を終えて、クラスメートと談笑しているのだろうか。
……いや、何で今星空のこと考えた?まあ、別にいいか。大した意味はない。
そんなことを考えていると、春風が頬を撫でていった。
それは少しだけ暖かくなっていた。
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「んくしゅっ」
「凛ちゃん、どうしたの?風邪?」
「ん~、よくわからないにゃ」
はぁ、比企谷さんは大丈夫かにゃあ?
電話してみよっかな。