入学してから一週間。凛は陸上部の体験入部に参加していた。
やっぱり体を動かすのは大好き!
久しぶりにグラウンドを走る感触が気持ちよく、いつまでも走れそうだ。
「星空さん、すごいね!こりゃエース候補かも……」
「てかバネだけなら、既に部内一だよね」
こっちからはよく聞こえないけど、先輩達が仲良さそうだし、ここなら楽しくやれそうにゃ!
だけど、少し気になることがあった。
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翌日。
帰りのホームルームが終わると、すぐにかよちんの元へ向かった。
「かよちん。まだ部活決めてないの?」
「うん。もうちょっとだけ……」
かよちんはまだ部活を決められないでいた。最初は一緒に陸上部に入ろうって誘っていたんだけど……。
「スクールアイドル部が気になってるの?」
「えっ?あ……えっと……」
やっぱりだ。ちっちゃい頃からアイドルに憧れているかよちんは、スクールアイドルをやろうとしている2年生の先輩達を見て、自分もやってみたいと思ってるんだ。
……よし、ここは凛が背中を押してあげなくちゃ!
「ねえねえ、先輩達に会いに行かない?」
「凛ちゃん?」
「かよちん、スクールアイドル部入りたいんでしょ?」
「あ、ち、違うよ……ただ、どんなライブするのかなって……」
「……そう、にゃ?」
多分ウソだと思う。そんな顔だ。
でも、それ以上は何も言えなかった。
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家に帰って、何となくテレビを見ていると、かわいい衣装を着たアイドルが映っていた。
……かわいい。
かよちんなら絶対にあんな風になれるのに。
そんなことを考えていたら、その隣に同じ衣装を着た自分が登場してきたので、慌てて起き上がる。
「凛には似合わないよ……」
つい呟いた言葉は、自分でもよく聞いている言葉だった。
嫌な考えが頭を埋め尽くしそうだったので、頭を振ると、あの人のことを思い出した。
そういえば、比企谷さんって部活入ってるのかなぁ?
何となくメッセージを送ると、五分くらいしてから返事が返ってきた。
『帰宅部だったが、今日奉仕部に入部させられた』
「にゃ?ほーし部?」
どんな部活だろう?よくわからないにゃ……。
『どんな部活なんですか?』
『俺もよくわからん』
どういうことかにゃ?
あと入部させられたって……。
『どうして比企谷さんは入部させられたんですか?』
『まあ、あれだ。色々あったんだよ……』
そっかぁ。色々あったんだぁ。比企谷さんも大変にゃ。
気がつくと、心が軽くなって、少しお腹が空いてきた。