捻くれた少年と猫っぽい少女   作:ローリング・ビートル

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もう一つの出会い

 自己紹介を終えたところで、ふと思い出したことを口にした。

 

「……そういや星空。お前、用事のほうは大丈夫なのか?」

「え?……あ~~~~!!!遅刻にゃ!かよちんが待ってるにゃ!」

 

 どうやら友達を待たせていたらしい。驚愕の表情の星空が駆け出そうとするので、小町と共に慌てて制する。

 

「いや、落ち着け。先に連絡した方がいいだろ。足のことも含めて」

「そうだよ、凛ちゃん。油断禁物だよ?」

「あ、うん……わかったにゃ……」

 

 *******

 

 彼女が電話をしてからしばらくすると、ショートヘアの女子が駆け足でやってきた。背丈は星空と同じくらいだが、身に纏う雰囲気は星空と違い、ふわふわしている。

 

「はあ……はあ……り、凛ちゃん……大丈夫!?」

「かよち~ん。もう、大げさにゃ~」

 

 心配そうに星空の脚に触れるかよちんとやらに対し、星空はにぱぁっと笑顔で答える。

 その様子を小町と並んで見ていると、かよちんは立ち上がり、こちらに向かってぺこりと頭を下げた。

 

「あ、あの……凛ちゃんを助けて、いただいて、ありがとう、ございます……」

 

 消え入りそうな声で途切れがちに呟く彼女に、小町が努めてやわらかな笑顔をつくり、落ち着かせる。俺は従者の如く、斜め後ろに控えることにした。

 

「大丈夫ですよ~…………またまた美人さん発見」

 

 何やらぼそぼそ独り言を呟く小町はさておき、目の前のおどおどした少女は、星空とは系統の違う美少女だ。眼鏡越しのくりくりした瞳は、小動物のように庇護欲をそそる何かがある。

 星空はかよちんに抱きつき、ゆるゆりな癒やしのオーラを放ちながら口を開いた。

 

「この子がかよちんだよ!可愛いでしょ~」

「り、凛ちゃん……あ、初めまして。小泉花陽です……」

「初めまして~、比企谷小町です♪こっちは兄の八幡です」

「……あー、どうも」

 

 またもやコミュ力の高さを発揮する小町に続く形で、俺は本日二度目の自己紹介をすませた。

 

 *******

 

「……で、何でファミレス?」

「だってこっちの方が話しやすいでしょ?」

「いや、そういうんじゃなくてだな……二人は用事とかは大丈夫なのか?」

「大丈夫にゃ!二人でぶらぶらするだけですから!ね、かよちん!」

「う、うん……」

「そ、そうか……」

 

 女子3人の勢いに呑まれ、ファミレスまで来てしまったが、この組み合わせで俺ができることといえば、見張りとか、殿を務めるとか、置物になるぐらいしかないのだが……。

 

「ね、ねえ、比企谷さん……」

「?」

「凛達高校生になるから聞きたいんだけど、高校生ってどんな感じですか?」

「……特に中学と変わらん」

「へ~、部活とかは……」

「入ってないからわからん」

「……じゃ、じゃあ、帰りは友達と楽しく……」

「いや、真っ直ぐ家に帰ってる」

「…………」

 

 うん、なんかごめんね?参考にならなくて。

 星空はドン引きというよりは、何か不思議なものを見るような目をこちらに向けていた。

 その視線はどこかくすぐったかった。

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