はじまりと憂鬱
夢、何度も見る夢
それはカイトが時々見る夢
その夢はいつも暗闇から始まる。
今まではこんな暗闇じゃ無かったがいつしかこのような暗闇から始まっていた。
いや、どちらかと言えば何も無い『無』の空間と言えばいいだろう。
本当は何かある空間のはずなのだが夢と言うのもあってこのような曖昧な空間になっているのだろう。
ーやあ、お目覚めかい?ー
声が聞こえる。
実際にカイトは聞こえないが頭の中に文字と声に似た『何か』が聞こえている。
ー早速だけど・・・・・君は死んだんだー
ーでも【君の死はもっと先】だったんだよー
―本当に困ったな・・・・・
カイトはいつものように勝手に話し始めるその声に何も言わずに聞く。
何せカイトは毎回見る夢の中でいくら口を動かしても声が出ない為諦めているからだ。
体も動かそうにも動けない、ただ立っているだけ。
―だから新しい人生を得られるんだ―
―でも君は大きな罪があるんだよね―
―『傲慢の罪』・・・・・・・・・・―
―いや・・・・・―
―君は罪を『――――――』方が正しいかな?―
傲慢の罪・・・・・そんな記憶はない。
いや、そもそもカイトは『以前の記憶が思い出せない』のに分かるはずがない。
だから後半はかなりノイズ音が多く途中で何を言っているのか分からなくても彼には余り気にしない。
毎回同じ内容な為、気にならなくなったのだ。
―この罪は消せそうにないんだよね・・・・・―
ーだからその罪を力に変えようと思うんだー
ーこの罪は君に『何か』を与えるけどー
ーこの罪は君の事を蝕むかもしれないー
カイトの前に三つの台が現れる。
その台にはそれぞれ赤と青と緑の丸い光の玉が置かれている。
―力は君に勇気を与え―
―力は君に破壊を与え―
―理は君に真理を与え―
―理は君に破滅を与え―
―守は君に仲間を与え―
―守は君に臆病を与え―
そこでようやく体が動く。
いつものようにここで選ばされる。
―さて・・・・・この中から欲しいモノを一つ、差し出すモノをひとつ選んでね―
―さあ、迷わずにただ手にすればいい・・・―
―君は何を望み?―
―その為に・・・・・―
―君は何を差し出す?―
カイト「・・・・・・・・」
毎回選んだ。
毎回選び続けた。
他に選択は考えたことは無い。
―・・・・・・・・・・さあ―
―・・・・・君の望みはなんだい?―
目が覚める。
大きな柔らかなベッドの上にいる感覚が伝わる。
カイトの意識が覚醒し、顔のみを横に向けて横にある時計で時刻を確認する。
朝の6時。
普段のカイトは7時まで寝ていたが今日は1時間早く起きた
「(・・・今から二度寝したら起きれないな)」
そう思いカイトは体を起こそうとする。
「・・・ん?」
が起きれない。
腕に強く何かに掴まれた感触を感じる。
「すぅ・・・・・ぅんっ・・・・・すぅ・・・・・」
隣では一人の女性・・・・・はやてがカイトの腕を抱き枕にするように眠りについている。
「・・・・・・・・寝よ・・・・・」ボソッ
そほままカイトは隣に眠る自分の『女王』、八神はやての方を向きながら再度眠りについた。
時刻は12時
カイトとはやては遅い朝食を丁度食べ終えた所。
今の机には二人しかいなく、テレビに流れるニュースの音しかない。
「はあ~・・・さて今日も一日頑張らんとなあ」
「・・・・・・・・他の皆は?」
「学生組はいつも通り学校で、他は書類仕事と肉体労働・・・・・あとは一件討伐依頼が来たからそっちに向かってると思うで」
はやては食器を洗いながら話す。
カイトは洗った食器を拭いて、吹いた皿の上に新しく乗せる。
「・・・そう言えば今日の午後だよね?例のアレ・・・・・」
「うん?・・・ああ、そうや。夕方前辺りに駒王学園ってグレイフィアさんが言うてたよ」
「・・・確か、グレモリー家とフェニックス家のレイティングゲームに対してリアス・グレモリーと眷属達の特訓だっけ?」
カイトがそう訪ねるとはやては頷いて答える。
「グレイフィアさんがなあ・・・どうも両家の親同士が話を進めたらしいんよ・・・・・フェニックス家の方は問題ないんやけど、グレモリー家の方がなあ・・・」
食器を洗い終え、カイトは座布団に座りその対面ではやてがお茶を入れ、カイトに渡す。
「リアスさんが婚約を嫌がるから、それならレイティングゲームで決めようってなってな・・・・・」
「・・・・・・・・何それ?」
「いや私もそれどうなん?っと思ったんやけど、お酒の場での会話とは言え、かなり親同士では良い話と思ったんよ。ほら、グレモリー家ってバアル家とちょっと揉め事あるやろ?」
「・・・えーと、『滅びの力』の事?」
「正解♪」
カイトがお茶を飲みながら答えると、はやては指鳴らしをしながらそう言った
「正確にはバアル家と他上級悪魔家の老人達かな「本来あるべきはずのバアル家に、その力を返済せよ!」・・・って」
「・・・まだあいつらそんな事言ってるんだ・・・・・」
カイトはお茶を飲み干しながら溜息をつく。
「・・・返済って・・・・・ようは返せって事?仮にリアスが嫁入りしたとして子供ができた時にその子供が『滅びの力』を宿すとは限らないのに?」
「それでも可能性があるからなあ・・・・・でももし嫁入りしたらリアスさん、絶対に住みづらいやろう?バアル家の人所か周りも嫌味や嫌がらせがあるだろうって」
「そう思ったグレモリー家はこう言っちゃったんよ・・・「もう家のリアスは他の悪魔の家と結婚が決まっている。だからそちらに嫁入りすることは出来ない」ってな。でもここでまた問題が起きてなあ・・・・・」
今度ははやてが溜息を吐きながらカイトの茶碗を受け取り、お茶を入れる
「バアル家だけならええんやけど問題は他の家も求婚の話があってなあ、口裏合わせられる家が少なくて・・・・・何処も彼処も『滅びの力』を求めてるんよ。結局どうするか悩んでいたグレモリー家は他家の中でそれなりに仲のあり、求婚もしていないフェニックス家と会って・・・」
「・・・で、最初に戻ると?」
「そういう事や。ライザーさんならフェニックス家の三男で割と自由が効くし、それなりに実績もある。加えてフェニックス家自体も『フェニックスの涙』で経済的にも急成長しとる。グレモリー家にとって誤魔化すにはうってつけの相手ってわけや・・・・・・・・・・はいお茶」
「・・・ありがと」
と言いながらはやては入れ直したお茶をカイトに渡す。
「ライザーさんは状況を知っとるから了承したんやけど、リアスさんは嫌々の一点張りって所やなあ・・・・・」
「・・・だからレーティングゲーム・・・・・ん?」
受け取ったお茶をまた飲みながらカイトは呟くようにはやてに言う。
「どうしたん?」
「・・・ねえ、まさかだけどリアス・グレモリーは自分の立場は理解しているの?」
「いや、流石に知ってると思うで。幾ら魔王の妹で周りが甘々やけど・・・それでも上級悪魔として、自分の置かれている状況や立場は少なからず分かっとると思うんよ」
「・・・それでも尚・・・・・か・・・・・」
そう呟くカイトははやて見ると、はやては自身の手についてるモノを見て俯きながら呟くように言う
「恋愛ぐらいは普通にしてみたい気持ちは分かるな~・・・・・私達も・・・本来ならどうなってたか分からんし・・・今でも本当は・・・・・」
「・・・はやて」
はやての手をカイト自身の手を添えるように重ねる。
その手に反応してはやては先程の暗い表情から少し苦笑いをしながら頬をかく。
「あはは・・・・・いや~でも・・・今はこうして一緒にいられるんやから、私は幸せやで」
「・・・・・・・・・・うん」
そう互いに微笑みながら見つめ合う
「・・・・・・さて!それじゃあ支度しようなあ」
「・・・うん」
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「・・・あっそうだ、何でそのいざこざに俺達に話が来たの?はっきり言うと関係ないよね?」
「そうなんやけどなあ・・・レーティングゲームするにも実力の差が歴然なんよ。せめてゲームになってリアスさんにも顔を立て流ようにしないとあかんのよ」
「・・・えーと、一方的にならなければいいの?」
「簡単に言えばそうやな」
「・・・でも、それこそ別に俺達じゃなくてもよ」
「過去に一度ライザーを八百長なしで倒す所かボコボコの完全勝利をしたのは誰や?」
「・・・・・・・・・・」
はやての言葉に無言で視線を逸らすカイト。
それとは別にはやては話を続ける。
「それとな・・・・・この話、どうやら関係なさそうじゃないんよなあ・・・・・」
「・・・?」
「なんかな、リアスさん達の特訓の相手を私らにする時、グレモリー家に推した奴らがおるらしいんよ」
「・・・ああ~・・・・・アイツら?」
「わかっとるみたいやな・・・まあ、いつものように私らを嫌うご老人と純血主義の家、それとバアル家や」
今度はカイトとはやてが同時に溜息を吐く。
顔には「めんどくさい」と書かれているかの表情をしている。
「・・・バアル家はともかく、残り二つは嫌がらせか」
「せや、大方、リアスさんが勝てなかった場合、『私らの失態』にする気なんやろ。言い分ならいくらでも作れるし・・・・・そうやから一眼にも無関係とは言えんそうなんよ。あっ因みにバアル家からは婚約騒動を止めて欲しいそうや、まあ理由としては恐らくフェニックス家に取られたくないって所やろ」
「・・・何かもっと色々とめんどくさい話になってるね・・・・・」
「・・・・・お願いやからそれ言わんでぇ。悲しくなるから」
肩を落とすようにはやては言う
「・・・準備出来た?」
「出来たで~って言うてもそんな荷物いらんから時間掛からんかったな」
「・・・そもそも話すだけだしね」
「そう言うても何が起こるかわからんからなぁ・・・・・『着いた時には一触即発!』ってなっとるかもしれんし」
そんな会話をしながらカイトとはやては準備を進めた。
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はやてとカイトはそれぞれ準備を済ませ、玄関に向かう。
玄関前に着くとそれと同時にドアが開いていくつかの影が現れる。
「結城 友奈!ただいま帰って来ましたー!!」
「同じく立花 響もー!」
「「イエェェェイ!」」
ドアを勢いよく開けて現れたのは赤色の髪と明るい茶色の髪と少女達二人が元気よく帰宅した。
「・・・友奈、響」
「お帰りな~って事は『学生組』は皆帰ってくるんやな」
そう現れた二人・・・・・結城 友奈と立花 響にそう言うとさらに後ろからもう二つの影が現れる。
「ただいま···ってカイト?」
「すみません。少しお邪魔します」
「・・・古城・・・・・それに姫柊」
「古城もおかえり。・・・あっ、雪菜ちゃん!久しぶりや」
「はい、お久しぶりですはやてさん。元気そうで何よりです」
次に現れたのは銀髪の青年と黒髪の少女・・・・・暁 古城と姫柊 雪菜が友奈と響の後ろから顔を出す。
「・・・ってか、お前らどっかに行くのか?」
「・・・今からはやて達と一緒に駒王学園に行ってくる」
「駒王学園・・・・・って?」
「駒王町にある私立の学校ですよ。確か悪魔の、グレモリー家が所有している場所ですよ・・・・・何で先輩は悪魔なのに知らないんですか?」
「い、いやほら。俺は悪魔になったばかりだからさ」
雪菜の言葉に詰まらせながら頬を掻きながら古城は苦笑いする。
「今日は中学も高校はもう終わったん?」
「はい!それでこのあと、四人で近くのショッピングモールに遊びに行こう!って思ったんですけど~・・・・・」
「私と友奈ちゃんが財布を忘れちゃって~てへへ・・・・・」
そう言って頭を掻きながら苦笑いする響と友奈。
それを見てカイトはため息を吐く。
「・・・それで一旦帰ってきたんだ・・・・・古城は?」
「俺はこいつらについて行かなきゃ、姫柊が一緒に遊べねえからな・・・・・あっそうだ。俺今からそっちについて行くか?お前入れば姫柊も自由行動しても問題ないだろ?」
「えっ・・・先輩行かないんですか?」
「ええ~!古城くんも行こうよー!今日こそゲーセンのUFOキャッチャーで勝つ!!」
「あっ私もー!その後カラオケ行きましょうカラオケ!」
「いや、流石に周りに女子しかいない中に俺一人なのは・・・・・」
古城は詰め寄る3人にたじろぐがここではやてが割り込んで口を開く。
「あ~・・・・・来ない方がええよ?退屈になるやろうし」
「おいおい、いくら俺でも多少退屈でも我慢できるぞ?」
「・・・上級悪魔、純血、婚約・・・・・」
古城がはやての言葉とカイトの不穏なセリフに「あっ・・・・・」と察した声を出し、響、友奈、雪菜の3人も察したかのような顔をする。
「そんなに今回の大変なんですか?」
「・・・はっきり言ってめんどくさい」
「ほんま早く帰りたいんやけど、今日は夜に用事が入るしなあ・・・・・あっ、せやから今日の夕食は皆自由に食べてなあ」
そう行って手をヒラヒラしながら家を出るため靴を履くカイトとはやて
「は~い!あっそれじゃあ夜うどん屋で皆で食べるに一票!」
「私はお好み焼き屋に一票!雪菜ちゃんは!?」
「え?ええ〜っと・・・・・せ、先輩どうしますか?」
「いやいやいや、そこで俺に振るなよ・・・・・つかうどんとお好み焼きって・・・・・とりあえず二人でジャンケンしてくれ・・・」
そのような会話が流れる中、靴を履いてカイトとはやてはドアに手をかけて
「・・・じゃあ行ってくる」
「行ってくるな」
「あっはい!カイトさん、はやてさん。お気を付けて!」
「いってらっしゃ~い!」
「気を付けてけよ。後・・・カイトは暴れんじゃねえぞ?」
「・・・・・それ、先輩が言うんですか?」
四人に見送られながらドアを閉めて駒王町に向かう。
と、まあこんな感じでどうですか?
ここから用語説明!
・『無』の空間
そのまんま何も無い暗闇。本来はこのような空間ではないらしい
・『君の死はもっと先』
転生あるあるの本来の寿命と異なる事態ですね。いったい何神様の仕業やら・・・・・
・欲しいものと差し出すもの
謂わば特典。それと代償ですね。
・カイトが望んだ選択
これはその内分かります。内容も決まってるのでしばし待て!(待ってくださいお願いします_○/|_ 土下座
・二度寝
仕方ないね・・・・・はやてさんと睡魔が悪い
・学生組とその他
眷属内での年齢層がバラつくので仕方ないかと・・・・・因みに眷属は決まっています。今後のお楽しみに!
・グレモリー家と悪魔社会
自分の視点から見ると本当にグレモリー家って立ち位置悪すぎですよね
バアル家→「力取られた!ユ ル ザ ン!!」
ご老人悪魔達→「黙れ小僧!!!!」
純血主義→「ソ ノ チ ノ サ ダ メ ェ!」
・フェニックス家
『滅びの力』巻き込まれ被害者第1号。それと見ての通り少しフェニックス家の評価が原作と少し違うかもしれないです。
・ライザー
少し・・・・・いや大分原作とキャラが違うかもしれないです。ご期待!
・カイト・バルバトスとその眷属
『滅びの力』(以下略。それと不穏な流れも今後の展開にお楽しみに!
・『着いた時には一触即発!」
パターン青。フラグです・・・・・
・学生組
現状彼らが学生組の眷属です。但し、違う奴もいるかもしれないです(アテテミロォォォ!
・上級悪魔、純血、婚約
うっ頭が・・・・・
こんなもんでしょ!
次から本格的にフェニックス編スタートです!
誤字の報告や感想、よろしくお願いします_○/|_ 土下座