日本有事に対し『日本帝国海軍』が介入しました 作:休日ぐーたら暇人
東シナ海 先島諸島沖
「播磨、撃て!!」
「天城、砲撃開始!!」
過去の遺物…戦艦の巨大な砲塔から延びる巨大な砲身から巨弾が飛び出す。
この砲撃に晒される者達は当たらない事を願うが、それは無慈悲にも頭上から降ってくる。
時折、駆逐艦やフリゲートから反撃の砲火が煌めくが厚い装甲により、塗装が禿げるか、疵しかつかない。
対艦ミサイルも同様で、大半が到達前に迎撃され、なんとか当たった数発も厚い装甲の前に効果は無いにひとしい。
そして、遂に一弾が護衛のフリゲートに命中した…しかも、前部甲板の対空ミサイルVLSに。
1トン以上の砲弾だけでも過剰な威力、これに自身の対空ミサイルまで加われば…結果は予想通り、大爆発と共に真っ二つに折れて轟沈。
この光景に恐怖にかられたのか、大混乱が発生、ある艦はなりふり構わず主砲を乱射し、ある艦は逃げようと反転、ある艦はフリーズしたかの様に攻撃も操舵も止める。
こんな状況ゆえに衝突する艦や流れ弾を受ける艦も出始め、もはや、パニック状態で収拾がつく様子はなかった。
「敵艦の大半が逃げ出しましたが、どうしますか?」
戦艦播磨の艦橋では副官の問いに福本勇気中将は顎に手をあて…指示を出す。
「攻撃している艦を手早く排除して、追撃する。排他的経済水域を越えるまでは追い回そう」
「わかりました」
『過去の遺物』と思って戦いを挑んで来た阿保共にもお灸が必要だ…そう心中で思いながら勇気は前方に視線を向けた。
「さて、どうするかな、あのデカブツは?」
僅か3隻の護衛艦と共に必死に逃げる空母を見ながら天城の艦橋で陣取っている山城正人少将は呟く。
「艦載機は全滅、自身も護衛もボロボロ…普段なら見逃してもいいのだが…」
隣にいた奥さんのシルヴィア大佐が若干呆れ気味に呟く。
「相手が相手だからね…しかも、共産党と漢民族はデカブツ好きだ。歴史的に見てもね」
苦笑いを浮かべるながら言うと、通信機と睨めっこしつつ、話に聞き耳を立てていた副官がニヤリとしながら言った。
「艦長、首相からです。『構わず面目をぶち壊してやれ』だそうです」
「さすが、伊吹の親父さんだ。海自や日本政府の抗議、報復の弾道弾攻撃やらは気にしない様子らしい」
『伊吹の親父さん』こと、福本伊吹『日本帝国首相』兼元海軍大将からの指示に笑う山城。
「あの親父殿の場合、抗議など『OHNASI』でどうにでもしそうだからな」
「まったくだ。まあ、弾道弾攻撃に関しては別に手を打ってそうだが…まあ、今は置いとくか」
そう言ってニヤリと笑い、制帽を直す。
「目標、支那共産党軍空母。黄海海戦の再演を見せてやろう」
主砲が仰角を修正し始めた。
「距離、方位、準備よし」
「撃ちーかた、始め!」
副長からの報告に艦長は冷静に砲撃命令を出す。
福本伊吹首相…父親からの指示で追撃を天城の山城少将達の艦隊に任せた戦艦播磨の主砲が吼え、目標の…空挺部隊によって占拠された与那国島に向かって砲弾が飛んでいく。
その光景に隣で見ていた勇気の妻、セルべリア少将は呆れ気味に呟く。
「日本政府からの要請とは言っても、なんとも腰砕けな話ね」
「まあ、仕方ないでしょう。起伏の無い狭い島に移動式対艦ミサイル発射機を空輸・配備している敵空挺部隊。しかも、ほぼ街中だ。ピンポイント攻撃で潰すのがベストと言えばベストだ」
「その方法の行き着く先が超接近ピンポイント航空攻撃とはリスクが高くないか?」
「方法が無いからね…ウチと違って」
「それでお義父様の横槍で…皮肉ね」
「まあ、犠牲を極力出さない、って事には賛成だ。この件に関しては」
「レーダーに感! 対艦ミサイル接近! 神波、迎撃します!」
オペレーターの報告通り、護衛の駆逐艦神波のVLSから対空ミサイルが飛び、唯一の反撃を迎撃する。
「向こうからの反撃は?」
「あれ以後は今のところ、ありません。もう一斉射後、離脱・合流点に向かいます」
「うん、わかった」
そう言って勇気は視線を多良間島に向けた。
数時間後 東京 帝国ホテル
「ほう、ほぼ無血解放か…いや、一般人の被害を考えれば、その方がいい…敵空母も沈めたか…後は任せろ、うん、ではな」
帝国ホテルの一室で福本伊吹首相は息子からの専用チャンネル電話を切る。
与那国・多良間両島を占拠し、与那国島駐屯陸自部隊を拘束した敵空挺部隊は播磨の『特殊砲弾』使用の艦砲射撃により、抵抗も出来ずに陸自奪還部隊に降伏した。
また、中華人民共和国海軍空母も天城達の追撃に撃沈したとの事だった。
「さて、日本政府も支那共産党も大慌てだな。まあ、日本政府はどうでもなる。問題は支那共産党だが…フフフ、面白い」
この後におきる駐留中華人民共和国大使を介した交渉に面白そうに笑う伊吹首相。
「まあ、日本側にも少しは自信と反省をしてもらわないとな。特に国防は有限との相談だが、決して、退いても二の足を踏んでもダメだ、とな」
突然の中華人民共和国の与那国・多良間両島電撃空挺と機動部隊の派遣に対し、国内外世論と戦争忌避に二の足を踏み、悪化の深化に陥ろうとした時、福本伊吹首相達(艦隊自体は沖縄・伊吹達は東京)はこの世界に転移した。
特に息子勇気とその先輩山城の合同艦隊は先島諸島近海に転移、進出していた中華人民共和国海軍機動部隊と対峙する結果となった。
皮肉なのは機動部隊側は転移した合同艦隊にこそ驚いたが、艦載機小隊が『過去の遺物』戦艦が2隻いた事(この時点で合同艦隊は集結していなかった)と海自と同様の対処(警告のみ)をした事に合同艦隊を侮り、艦載機小隊に攻撃を許可してしまった事だった。
だが、これが凶と出た。発射されたミサイルをすぐ様迎撃し、返す刀で発射した艦載機を撃墜、残りの小隊機を『後続隊』の76式多目的垂直離着陸戦闘機『強風』小隊が撃墜、これに激怒した中華人民共和国海軍はあらゆる手段…潜水艦や数波の空軍機による攻撃など…をぶつけたが、アッサリと撃破され、更には機動部隊すら壊滅した。
「さてさて、どうするかね、彼方さんは…弾道弾をぶち込んでくるか…まあ、そんな事したら、火傷では済まないんだけどな」
ニヤニヤと笑いながら福本伊吹は呟いた。
数日後、中華人民共和国は正式に日本政府へ謝罪した。
一旦は官製デモ等で盛り上げた世論を背景に日本へ第二砲兵隊を使った弾道弾攻撃をほのめかしていたが、タイミングを合わせたかの様に外野の福本伊吹『日本帝国』首相は佐世保に停泊中の伊400戦略原潜を公開し、『既にこの艦以外の同型艦が人民共和国近海に展開し、指示を待っている』と公表。
実際、それを半端無視する形で第二砲兵隊の一部隊を動かそうとしたが、その部隊の所在地に通常弾道弾を撃ちこんだ。
また、出撃しようとした人民共和国海軍の戦略原潜も魚雷攻撃を受けて引き返した。(魚雷は命中前に自爆)
これに中華人民共和国は日本政府へ抗議したが『直接言ってくれ』と言われ、仕方無く伊吹首相へ直接言ったが『他人の家に土足に踏み込んでボコボコされて追い出されておいて、逆恨みですか?』と言われた挙句、『あと、日本政府には『協力はするが、拒否権もある』と言ってますので』と言われる始末だった。
こうする間に『日本帝国海軍艦隊』は増強が続き、最終的に二個艦隊約100隻が東シナ海に展開した事から、遂に中華人民共和国は日本政府へ謝罪する事となった。
END
ご意見ご感想をお待ちしております。