日本有事に対し『日本帝国海軍』が介入しました   作:休日ぐーたら暇人

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その身、例え異国に預けようとも、矜持は変わらず。
ただ、身を鍛え、『精鋭』を目指さん。


2 防空駆逐艦『鶴月』

鶴月(つるつき)型防空駆逐艦『鶴月』。

元韓国海軍忠武公李舜臣型駆逐艦六番艦『崔瑩(チェヨウ)』。

かつて、彼女を含んで転移した韓国艦隊は日本帝国艦隊と交戦、敗北し、彼女を最上級艦(非戦闘艦ならば独島が上級)として、残存艦は撤退、その後、独島ら残存艦と共に鹵獲された。

そして、鹵獲艦の中では貴重な近代(現代型)防空艦であった為にいち早く戦力化(不具合等々を改修)され、皮肉にも彼女と交戦した艦隊に配属・一員となった。

その後、艦隊の拡大と共に彼女も古参ゆえに重要な艦艇の一隻となった。

そして………

 

 

 

東シナ海 海上 鶴月艦橋

 

 

 

「艦長入室!」

 

 

「いい、作業続け。天城と連絡が取れたそうだな?」

 

鶴月艦長、長月勇(ながつきいさむ)少佐は副長から天城からの通信文を受け取り、一読した。

 

 

「…やれやれ、また、戦闘経歴に記録がつくのか」

 

 

「それはいいとしまして、どうしますか?」

 

 

「もちろん、合流する。但し、既にここは戦闘海域だ。総員戦闘配置」

 

長月の指示に鶴月艦内は素早く戦闘配置を終える。

 

 

「副長、マイクを…こちら、艦長の長月だ。現在、総旗艦天城は播磨と共に支那共産党海軍の攻撃を受け、対峙中である。これより、本艦は天城・播磨と合流する。だが、既に戦端は開かれており、いつ、戦闘になるかわからない。よって、総員はいつでも対応出来る様にしてくれ、以上だ」

 

艦内放送で現状を伝え、マイクを副長に返す。

 

 

「航海長、合流までは?」

 

 

「およそ2時間前後、と言ったところです」

 

 

「2時間…か」

 

海図を見ながら呟いた。

海図には…不穏な空気が見えないながらも流れていた。

 

 

 

1時間後 鶴月艦橋

 

 

 

「潜水艦が2隻…追尾しているの確実なんだな?」

 

 

「ウチの音測手です。間違いありません」

 

そう言ってベテランの古参中尉である船務長が言った。

 

 

「うむ…どう考える、みんな?」

 

集まっている鶴月の幹部達…副長、船務長、砲雷長、航海長、機関長と言った面々…に長月は訊いた。

 

 

「既に奴さんは総旗艦と播磨の位置を掴んでいる筈です。わざわざ我々を追尾するのは…別の意図かと」

 

船務長と同期で古参の機関長が言った。

 

 

「まさか、我々を辿れば別部隊に行き着くと考えているのでは?」

 

 

「いやいやいや、幾ら支那の奴らが海に素人でも、方向ぐらいはわかるだろう。それでは船も動かせんよ」

 

長月と同期の砲雷長と航海長が言った。

 

 

「艦長は何か別の考えがあると?」

 

 

「あぁ…多分、この艦を撃沈する気なんだろう」

 

これまた同期の副長の言葉に長月はストレートに自らの意見を言った。

 

 

「本艦をですか? 確かに駆逐艦に合流されると潜水艦には厄介でしょうが…」

 

 

「いや、そんな戦術・戦略の類な考えで無く、ただ単に面子的にスコア逆転を狙ったんだろう」

 

砲雷長な言葉に長月は苦笑いを浮かべながら言った。

 

 

「敵は天城や播磨によって戦闘機4機とパイロット4人を失った。つまり、先制点を入れられた訳だ。そして、これを逆転するなら、駆逐艦を撃沈しよう…と言ったところさ」

 

 

「…なるほど」

 

そう呟いた副長と聞いていた砲術長、航海長は俄然やる気になった。

『第零艦隊』の中でも決して只の護衛の駆逐艦では無く、天城などの主力とタメを張れると言うプライドに対し、『只の的』程度に扱われた事に火がついたのだ。

 

 

「と言う事だから、砲術長は早めにCICに戻ってくれ。多分、そろそろ仕掛けてくるからな」

 

 

『こちらソナー室! 追尾している2隻に反応あり! 微音ですが、発射管開放音も探知!」

 

 

「対空・対潜、並びに対魚雷戦用意。くるぞ」

 

制帽を被り直した長月は冷静に言った。

 

 

 

 

2隻の元級通常潜水艦の艦長にとって、油断している駆逐艦を仕留める

など造作もない事だった。

なぜなら、戦端を開いているにも関わらず、目標は対潜ヘリも飛ばさずに呑気に航行している。

しかも、2隻ならば時間差攻撃を掛ければ片方に対応している間にもう片方が仕留めれる…更に海自は戦端を開いてもギリギリまで反撃をしない、と言うジレンマの存在も認識していた。

よって、2隻は気兼ね無く先制攻撃を行った……全てが罠と知らずに。

片方は魚雷と対艦ミサイル、片方は魚雷のみ、これを時間差で行うのまではよかった…だが、狙われた鶴月にしてみれば罠に嵌った獲物の無駄な抵抗でしかなかった。

魚雷にはアンチデコイ、対艦ミサイルには対空ミサイルと艦砲・自動稼働機関銃で対応し、これらの発射に合わせて反撃の対潜ミサイルと魚雷を発射、2隻の元級は対潜ミサイルと魚雷の迎撃を知ると同時に逃れられない『刺客』への捕捉を数秒遅れさす事が限界だった。

 

 

 

暫くして 天城艦橋

 

 

 

「とりあえず、戦果は潜水艦2隻の追加か」

 

山城の呟きに報告へ来た副官であり長月の同期である佐野裕太郎中佐は頷いてから言った。

 

 

「それにしても、支那共産党海軍の行動は稚拙です。確かに2対1だったとは言え、潜水艦が駆逐艦に喧嘩を売ると言うのはどうかと」

 

 

「うむ、対潜ヘリを飛ばしていなかった…と言うのもあるだろうけど、多分、向こうは『鶴月からの反撃まで時間がある』と思ったのかもしれないな」

 

 

「と、言いますと?」

 

 

「この世界の日本海軍…海上自衛隊はいざと言う時の『反撃にタイムラグ』が生じる、と向こうが認識していたとすればな……まあ、今は解らんがね」

 

 

そう言って山城はこの話をやめた。

 

 

 

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