今作の主人公は「白猫プロジェクト」の主人公キャラですが、こちらでは普通に喋ります。
また、オーブの登場ももう少し後になりますので、ご了承ください。
OP【Stand Up!(堀江由衣)】
「12・・13・・!」
辺境に浮かぶ小さな島、アストラ島。1人の赤髪の少年が、海岸で鍛錬を行っている。彼の名前はカナタ。この島にある《ウェルバ村》で暮らす、冒険家になることを夢見るこの物語の主人公だ。
彼は毎日、ここで腕立て伏せや腹筋といった鍛錬をしており、先程腕立て伏せを15回、間も無く腹筋も15回に達しようとしている。
「よし!次はーー」
続いて少年は剣の素振りを行う。その手には、『ウイングエッジ』という持ち手が赤く、鍔の部分には鳥の羽の意匠を持つ剣が握られている。
「フッ!フッ!ハァァッ!」
それから暫く、カナタはウイングエッジを振り続ける。
「おりゃあああああっ!」
回転切り、突き・・様々な振りの後、最後に袈裟斬りをして剣を下ろし、一休みしようと近くの木に寄りかかる。
「ふぅ・・今日は本当にいい天気だな・・こういうときはーー」
『♬〜♬』
そう呟くと、懐からハーモニカに似た楽器《オーブニカ》を取り出し演奏を始める。
何処か物悲しくも美しいメロディーを奏でる楽器だが、カナタ曰く『聞いていると不思議と勇気が湧いてくる』曲なのだ。
今海岸には自分1人、メロディーも相まって波の音や鳥の鳴き声、辺りを吹く風が心地よく感じられる。
そのためうっかり眠ってしまいそうだ。
「(ヘレナ姉さんの作るハチミツのパイ・・ここで食べるのも有りかもな)」
自分にとって大切な姉が作る料理を思い浮かべ、笑みがこぼれる。
「(少し休んだらまた頑張らないとな)」
それから暫し、カナタは自然に身を委ねた。
◇
「・・ん?あれは?」
一息ついたカナタが、再び剣の素振りを始めてから少し時間が経った頃、この島に向かって来る一隻の船に気付いた。船には腕に紫の布を巻き、金髪を後ろで結んだ1人の青年が乗っている。
「よっと!」
その青年は船から飛び降りると、担いでいた銀色の3対のランスを下ろして身体を上に伸ばす。
「ふぅ、長い船旅立った・・《飛行島》、今度こそ見つけてみせる。ん?」
どうやら緑髪の青年も、カナタに気付いたようだ。
「なぁそこの赤いの。ひょっとしてこの島の人間か?」
「(観光客、にしては凄い武装だな)はい、そうですけど・・貴方は?」
そう思いながらカナタは剣をホルダーに収めて尋ねた。
「俺はカイル・ハイトランド。冒険家だ」
「!冒険家が、どうしてこんな小さな島に?」
〈冒険家〉・・それを聞いて、カナタは胸が熱くなるのを感じながら再び尋ねる。
「ちょっと、ここの村に用があってな。悪いが案内してくれないか?」
「勿論構わないですよ!俺もそろそろ帰ろうと思っていたところですからっ!」
「そうか、それなら助かるよ。じゃ、行こうかーーっとそうだ、俺のことはカイルでいいよ。肩苦しいのは無しだ」
「あぁ、わかった!(すごいぜ!本物の冒険家に会えるなんて夢みたいだ!)」
思わぬ出来事に興奮しながらも、カナタはカイルを自分の村まで案内することにした。
◇
「ーーそれでおじさん凄いんだよ、この前なんて鯛を3日連続で釣って来たんだ!」
「3日連続!?それは本当に運がいいな・・」
「でしょ!?」
村へ向かいながら、カナタはカイルに村の住人達のことを話している。
因みに彼の性格もあってかカイルとはすっかり打ち解けてしまい、事情を知らない者達から見たら仲の良い兄弟にも見える。
「あ、そろそろ着きますよ!」
「あぁ・・!?」
森に入ってしばらくしたところで、カイルが何かを察知してある方向を見つめた瞬間、驚愕の表情を浮かべる。
「カイル?どうした?」
「カナタ・・アレを見ろ」
「?」
カナタは言われた通り、カイルが指差す方向を見る。
「グアアアアアッ!!」
そこにはライオンのような色の4足歩行の身体、そして5m程の大きさを持つ魔獣《グレイルジャガー》が雄叫びを上げて此方を睨んでいた。
「あれは・・!」
「グレイルジャガーだ・・なんでこんなところにいる!?それに、あんな大きさ見たことがない!」
「グアアアッ!!」
グレイルジャガーは獲物を捕食しようと突っ込んで来る。
「考えてる暇はないか・・!カナタ、手を貸せ!蹴散らすぞ!」
「あぁ!」
シオンはウイングエッジを、カイルは銀色のランス・・エインシェント・ケイオスを構えて、グレイルジャガーに立ち向かっていく。
「グアアアッ!」
グレイルジャガーはカナタとカイルに巨大な爪を振り下ろすが、2人はそれを左右に分かれることで避ける。
「てああっ!」
「うおおおっ!」
飛び上がったシオンとカイルは、グレイルジャガーの横腹を斬りつけてダメージを与える。同時にそれぞれの箇所で火花が散った。
「グアアアッ!」
怒ったグレイルジャガーは2人に向けて尻尾を振るうが、これは後ろに下がることで避けられてしまった。すると、今度は再び爪を振るってくる。しかも勢いは先程よりも上だ。
「くっ・・!あんなのに当たったらひとたまりもないぞ!」
カイルの言う通り、グレイルジャガーの爪は獲物を斬り裂けるように鋭くなっている。人間がそんな物を受ければ、真っ二つになるどころではない。実際、カイルが一瞬いた地面は爪で大きな亀裂が走っている。
「グルルル・・!ガアアアアアッ!!」
「「うわあああ!?」」
今度は口から炎を吐き出して来た。2人は慌てて避けるが、それにより後ろにあった木々が黒こげになってしまった。
「グレイルジャガーにここまで熱い炎を出せる奴がいるなんてな・・!」
カイルは、グレイルジャガーのあまりに高い火力に驚く。
「それでも、やるしかない!はあああああっ!!」
勢いよく飛んだカナタは、ウイングエッジに力を込める。すると、刀身が銀色の光に包まれた。
「フッ!ーーうおりゃああああああっ!!!」
飛び上がり、横に一回転してグレイルジャガーの顔面を斬り裂き大ダメージを与える。
「グアアア・・!」
「やるな・・なら俺も!」
カイルも、グレイルジャガーが怯んで腹を見せている隙にエインシェント・ケイオスの周辺の大気を高速回転させる。すると、先端に巨大な風のドリルが形成された。
「でああああっ!!」
槍から放たれた必殺の《トルネードスピア》は、グレイルジャガーの腹部に命中、その巨体を大地に倒した。
「ふう・・」
「はぁ・・はぁ・・やったのか?」
「あぁ、もう大丈夫だ」
カイルの言葉に、カナタはホッと息をついた。
「全く、手荒い歓迎をされてしまったな」
それにはカナタも苦笑いをするしかない。
「カナタ、お前随分いい腕だが、どこかの剣術所で学んだのか?」
「いや、今まで1人でやってた」
「へぇ、それでよくあそこまで強くなれたな。お前素質あるのかもしれないぞ?」
まさか自力であれ程の力を会得しているとは思わなかったカイルは、カナタにすっかり感心すると同時に、ひょっとして凄い奴に出会ったのではないかと思うのであった。
「これでもまだまださ」
「謙遜することはないぜ。筋も悪くないし、お前ならきっといい冒険家になれるさ・・っと、そろそろ村に行くとするか?」
「そうだな・・被害が出てないか心配だし」
村が心配だったカナタは、カイルの意見に同意し、急ぎウェルバ村に向かった。
ED【Shine Your Orb(ボイジャー)】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
主人公とオーブニカって、意外と組み合わせに違和感がないと思うのは僕だけでしょうかw
次回は酒場で働くあの人や、鍛冶屋の人は勿論、ヒロインと白猫も登場です。
次回予告
ウェルバ村に辿り着いたシオンとカイル。村の無事を確認し一息ついた後、カイルがアストラ島の遺跡に行くことから、シオンも許しを得て同行することになった。
その道中、一匹の白猫と1人の少女と出会う。
次回、白猫プロジェクト〜光の祈り〜
『白の巫女』
お楽しみに!