白猫プロジェクト〜光の祈り〜(未完)   作:ボイスターズ

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今回は戦闘シーンは無しですが、あの白猫とヒロインが登場します。

では、どうぞ。


第2話 白の巫女

OP【Stand Up!(堀江由衣)】

 

 

「ヘレナ姉さん!」

 

「あら、カナタおかえりなさい」

 

村に辿り着いたカナタとカイルは、黒の長髪を緑のリボンで結びポニーテールにして纏め、オフショルダーの服を着た女性を見つけた。

 

彼女の名はヘレナ。この村にある酒場で働く、カナタの姉のような存在だ。

ちょうど買い物を終えた帰りだったのか、右手には買い物袋がある。

 

「(良かった・・村は無事だな)ただいま」

 

「早かったわね。さっきハチミツのパイの材料を買って、酒場で焼こうと思っていたのよ」

 

みると、確かに買い物袋にはパイの材料が入っている。

 

「本当!?それは楽しみだな〜♬」

 

本当の姉弟のように仲良く話す二人に、カイルは笑みを浮かべる。

 

「あら?カナタ、こちらの方は?」

 

ここでヘレナは、カナタの後ろにいるカイルに気付いた。

 

「あ、ごめん。この人はーー」

 

「カイル・ハイトランド、冒険家をやってる」

 

「私はヘレナです。この近くの酒場で働いています」

 

「酒場・・それなら話が早い!《飛行島》、もしくは《古代人》の噂を聞いたことはないか?」

 

多くの客で賑わう酒場ならば、自分の目標に関する情報を持っているのではないかと、カイルは考えたのだ。

 

「《飛行島》・・《古代人》・・?」

 

「(そういえばあの時も・・)」

 

『《飛行島》、今度こそ見つけてみせる』

 

聞き覚えのない言葉に首を傾げるヘレナ。一方カナタは、カイルがアストラ島に着いた際、飛行島という言葉を呟いていたことを思い出した。

 

「約束されし《最果ての地》へと導く天空の船とも言われているんだが・・」

 

「ごめんなさい、この島には長く住んでいるけれど聞いたこともなくて・・。カナタは?」

 

「いや・・俺も初めて聞いたよ」

 

「そうか・・」

 

残念そうに頭を掻くカイル。そこにヘレナが「あっ!」と何か思いついたような声を出した。

 

「バロンさんなら、何か知っているかもしれません」

 

「そうだな、バロンって凄い物知りだし」

 

「その方は、今どちらに?」

 

「村の北にある工房だと思います。カナタ、彼を案内してさしあげたら?」

 

ヘレナの言葉に、シオンは任せろ!とばかりに頷いた。

 

「悪いな・・世話をかける」

 

「お構いなく!早速向かおう!」

 

シオンは、バロンという人物がいるであろう北に走り出す。

 

「ーーあの、カイルさん」

 

後を追おうとするカイルを、ヘレナは呼び止めた。

 

「カナタのこと、よろしくお願いしますね。あの子、昔からずっと冒険家になるんだ!って聞かなくて。きっと、本物の冒険家さんに会えたことが嬉しくてしょうがないんだと思います」

 

「なるほどな」

 

ヘレナの話にカイルは納得した。確かに思ってみれば、初めて会った時やけに嬉しそうな表情だったと。

 

「了解した、任せてくれ!」

 

「カイルー!早く行こうぜ!」

 

「あぁ!」

 

手を振って此方を呼ぶカナタに、カイルは「フッ」と笑いながら向かった。

 

「(あの2人、本当に兄弟みたいね♬)」

 

そんな彼らをヘレナは暖かく見守った。

 

 

 

 

よっ!俺はカナタ。ウェルバ村で暮らしてる剣士で、夢は冒険家になることだ。

俺は今、カイルという槍を扱う冒険家と一緒に、バロンっていう鍛冶屋をやってる獣人のところに向かってる。

 

カイルは、何でも《飛行島》っていうものを探してるみたいだけど、一体何なんだろうな・・。

 

そうそう、途中でカイルに《ルーン》や《ソウル》の使い方も教えてもらったけな。カイルによれば、ソウルはあるゆる命の源。

そして、ルーンは世界のあちこちにあってどれくらいあるのかはわからないらしいけど、とりあえずかなりの数であることは間違いないだろう。

 

「カナタ、あの赤屋根の建物じゃないか?」

 

カイルに呼ばれて見てみると、煙突から煙を出す赤い屋根の建物が見えた。彼処こそ、バロンがいる工房だ。

 

「あれだよ、ヘレナ姉さんが言ってたのは!」

 

そう言って俺は工房へと走り、中にいるであろう彼を呼んだ。

 

「おーいバロンー!」

 

「ん?おー、誰かと思えばカナタか」

 

この虎の姿をした人がバロン。ここの鍛冶屋の主で、右手には何か文字が書かれた金槌を持っている。

 

「それと、見慣れない者もいるな」

 

「冒険家のカイルだ。ヘレナさんから、貴方が村で一番の物知りだと聞いてきた」

 

それを聞いたバロンは、得意げに笑いだした。

 

「ほう、ほう、ほう。いいだろう、何が知りたい?」

 

「実はーー」

 

カイルさんは自分が来た目的を告げ、飛行島と古代人について尋ねた。

 

「ふむ、飛行島か。残念だが、教えられるようなことは何もない」

 

「?」

 

バロンの言葉の意味がわからず、俺は首を傾げた。

 

「(教えられるようなこと・・?)!その金槌に刻まれているのは・・ひょっとして古代文字か?」

 

「読めるのか?」

 

「その形からして、おそらく旧王朝時代の遺物だな。マーケットに出せば、ガレオン一隻は買える値段が付くんじゃないか?」

 

この言葉でバロンの顔がそれまでとは違い真剣なそれになった。

 

「お前さん・・唯の冒険家ではないようだな」

 

「そういう貴方こそ、唯の鍛冶屋じゃなさそうだな」

 

それから少し考え込んだ後、バロンはカイルにこう話した。

 

「ーー島の北端に小さな遺跡がある。お前さんの察しの通り、旧王朝時代の物だ。しかし道中は凶暴な魔獣が住む深い森を越えなければならん。それもあって村の者は誰1人近づかんのだ。」

 

遺跡か・・興味が湧いてきた!せっかくだから俺も行きたいな。

カイルに頼んでみるか。

 

「なぁカイルーー」

 

「なに、冒険に危険は付き物だ。ありがとう、行ってみるよ!」

 

頼もうとしたのもつかの間、カイルは森に歩いて行こうしている。弱ったな・・本当は直ぐに追いたいけど、バロンやヘレナ姉さんが何て言うか・・。

 

「ーーカナタ、お前も行きたいのだろう?」

 

「ゑ?」

 

あー、バロンにはバレてたか・・

 

「なにがえ?だ。表情でバレバレだぞ、全く・・。ついて来い。ちょうどお前の新しい剣が打ち終わるところだ。ついでにウイングエッジも打ち直しておいてやろう」

 

「ーーありがとな、バロン」

 

「あまり気は乗らんが、仕方ない。お前に万が一のことがあれば、ヘレナが可哀想だからな。気をつけるんだぞ」

 

「あぁ!」

 

バロンに新しい剣《フォス・トゥ・イロア》という金色の剣をもらった俺は、急いでカイルさんを追った。

 

 

 

 

森に入って少ししたところで、カナタはカイルと合流し、共に遺跡へ向かうことになった・・までは良かったのだがーー

 

「(それにしても何なんだコレは?)」

 

カナタは懐からある物を取り出す。

それは、上部に円のようなパーツを持ち、側面にはウイングエッジのような翼の意匠に手持ちグリップがある石、そして2枚の白紙のカードが入ったホルダーだ。

 

「(バロンはいずれ役に立つとは言っていたけど・・)」

 

一体何故バロンは自分にこんな物を渡したのか気になるが、今は遺跡へ向かうことを優先しようと思い、それらをしまった。

 

「おかしいな、そろそろ抜けてもいい筈なんだが・・」

 

現在、カナタ達は森から出られずにいた。というのも森が想像以上に深く、いつまで経っても抜けられないのだ。

 

「大丈夫、そんな心配そうな顔をすることないさ。方角はちゃんと合ってるから・・ん?猫?」

 

「あ、本当だ・・でもこんな森にいたっけな?」

 

カナタとカイルの前に、一匹の白猫がチョコンと座って此方を見ていた。

 

「!」

 

すると白猫は走り出したかと思うと、顔だけ此方に向けた。

 

「・・誘っているのか?一体何処へ?」

 

「とにかく、追ってみよう!」

 

2人が来たのを確認し、白猫はまた走り出す。誘っているのは間違いないようだ。

 

 

 

 

「!」

 

暫く走った後、白猫は漸く走るのをやめた。

 

「どうやら、もう逃げる気はないようだな」

 

「ここなのか?俺達を案内したかったのはーー?」

 

辺りを見回しながら尋ねるカナタは、白い服を着た銀髪の美しい少女が仰向けに倒れているのを見つけた。

 

「女の子・・!?おい、大丈夫か!?しっかりしろ!」

 

カナタは少女に呼びかけるが、彼女は中々目を覚まさなかった。

 

「ーーもう、ちょっとアンタ達!早く何とかしてよ!」

 

「「!?」」

 

なんと白猫が人語を使い怒鳴ってきた。カナタとカイルは驚いて白猫を見つめる。

 

「ちょ、なに見てんのよ!?」

 

「いや・・お前、喋れるのか?」

 

「そんなのどうだっていいから、アイリスを早く!」

 

どうやら少女の名はアイリスというらしい。

白猫に急かされ、カイルは少女の手首に指を当てる。

 

「ーー大丈夫だ。脈は問題ない。気を失ってるだけだ」

 

カイルの言葉に、カナタは一安心する。。

 

「キャ・・トラ・・」

 

「「「!」」」

 

その時、眠っていた少女・・アイリスが意識を取り戻した。

 

「アイリス!気がついた!?」

 

「うっ・・この、方々は?」

 

アイリスはカナタ達を見つめながら尋ねる。

 

「アイリスが全然目を覚まさなくて、どうしていいかわからなくなったから、森を歩いてたのよ。そしたら、たまたまこの2人がいたから連れて来たってわけ」

 

カイルが「はぁ!?」と白猫・・キャトラのあんまりな理由に呆れている間、カナタは同じく呆れながらも、アイリスに手を貸して立つのを手伝った。

 

「この子、悪い子ではないのだけれど、少しこういうところもあって。私はアイリス。助けてくれてありがとう」

 

「俺はカイル、こっちはカナタ」

 

「よろしくな!」

 

カイルに紹介され、シオンは笑顔で挨拶した。

 

「ところで、アイリスはここで何をしてたんだ?」

 

「私は・・えぇっと・・」

 

「?」

 

首を傾げるカイルに、アイリスは申し訳なさそうに口を開いた。

 

「ごめんなさい、上手く思い出せなくて・・!そうでした、この森の先にある遺跡へ向かうところだったんです。でも途中で大きな地震が起きて、その拍子に気を失ってしまって」

 

「地震・・?」

 

「そういうのはなかったけど・・(いつの間に起きたんだ?)」

 

自分達がウェルバ村に向かう間は勿論、この森に来るまで地震は一度もなかったため、違和感を感じた。

 

「なによ?信じられないの?」

 

キャトラがジト目で睨んで来たので、カイルは慌てて謝った。

 

「すまない、そういうわけじゃないんだ。実は俺達もその遺跡へ向かってる途中なんだ、よければ一緒に行かないか?」

 

「よろしいのですか・・?」

 

「構わないさ。目的が一緒なら好都合だ」

 

「それに、こんな森の中に君を放っておくわけにはいかないしな」

 

「それでしたらお言葉に甘えて。こう見えても魔法には自信があるので、お役に立てるように頑張りますね!キャトラ、森の先まで案内してくれる?」

 

「オッケー!アンタ達、ちゃんと付いて来なさいよ!」

 

そう言ってキャトラは森の出口へと向かっていく。

 

「はぁ・・可愛げのない猫だな。少しはゆっくり歩いてくれよな」

 

カイルもそれに続いて歩いていくが、アイリスは何故かカナタを見つめていた。

 

「アイリス?どうかした?」

 

「あっ、いえ・・ごめんなさい。何でもないわ(私ったら何をしているの・・そんな筈がないのに・・)。さぁ、私達も行きましょう!」

 

「そうだな」と頷いたカナタは、アイリスと共にカイル達を追いかけた。

 

 

 

 

『やっと起きたか、《白の巫女》。まさかカナタや《器》と一緒とは・・フッ、待ったかいがあったな』

 

遺跡へ向かうカナタ達を、後ろから黒いフードの男が木に隠れて見ていた。その手には、赤黒く光る輪に真っ黒い翼、そして手持ちグリップがある、カナタの持つ石とよく似た物を持っている。

 

『カナタ、早くお前の《光》を目覚めさせろ・・そしてオレを楽しませてくれ』

 

そう呟き、男は霧のように姿を消した。この男は一体何者なのか。そして彼が言っていた《白の巫女》や《器》とは、そしてカナタの《光》とは何なのだろうか?

 

 

ED【Shine Your Orb(ボイジャー)】

 




次回はやっと遺跡に突入です。
白猫プロジェクトはストーリーは面白いですが主人公が喋らないので、どんなセリフを言っているのか考えるのが大変ですw

次回予告

アイリスやキャトラと共に遺跡に突入したシオン達は、謎の壁画を見つける。そこにあった文字に疑問を感じながらも更に進んだ先には、恐るべき魔獣が一行を待ち受けていた・・!

次回、白猫プロジェクト〜光の祈り〜

『光と闇の目覚め』

お楽しみに!
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