君の名は、   作:柚子丸

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再会1

「はぁ~」

 

私はため息をもらす。

ため息の数だけ幸せが逃げていくって言うけど、それはきちんとした検証結果に基づいて言っているのか問いただしてみたい。

今は私の働いている東京の職場から千葉の支店へ移動中。

なんでも千葉の支店は売上がほかの店舗に比べてずば抜けていて、すっごい人が店長をしているらしい。

その店長と言うのが私と同じぐらいの年齢の女性らしい。

あーもう、なんというかね!この感じよ。

学校ヒエラルキーの中でも下位層に属してきた私はそういう「デキる子」が嫌なんだ。

なんであの課長はわざわざ私なんかに「支店長と交渉してこい」なんて言うのかしら?

というか、支店長と交渉って普通に考えて変だ。

支店長って社長より偉いのかな?

まぁ、つまりその支店長は自分が納得したことでないと梃でも動かない固い意志の持ち主ってことなんだろうけど…はぁ…。

尚更、なぜ私に任せたのかしら…?

気づいたら支店の前まで来ていた。

ドアをノックする。

するとドアがガチャリと勢いよく開いた。

 

「あぁ、こんにちは!あなたが宮水三葉さんね!」

「えっと…」

 

何かすごい美人が出てきた。

モデルとか普通にできちゃいそうなほどスタイルもよくって…すごいなぁ…輝いてるなぁ…。

 

「私が支店長の奥寺ミキよ。今日はよろしくね?」

「あ…はい…奥寺…ミキさん」

 

なんだか聞き覚えがある。

顔といい、喋り方といい、名前といい…どこかで会ったかな?

 

「とりあえず入って!」

 

奥寺さんに腕を引かれて応接間へと通された。

店の方はもちろんのこと事務室とかもかなり装飾してあって、売り上げ1位も納得である。

その支店長が…。

 

「ふふ~ん…あなたが…ねぇ」

「…あの…どうしたんですか?」

「いやぁ…ふふ…」

 

なんかすごい不敵な笑みをうかべて私を見てくる。怖い。

 

「あ、それで今日本社の者に渡された資料なんですが…」

「あぁ、いいよ。どうせもう最終確認だけだし」

「はぁ…」

 

とりあえず資料だけ渡す。

奥寺さんはパラパラと資料に目を通して、すぐにまた私に話かける。

 

「今日はあなたに会いたかったのよ」

「え…?私に?」

 

私、何か奥寺さんの耳に入るような重大な失態でもしちゃったのかな?

割とおっちょこちょいなのはよく四葉にも言われるし、自覚もあるから不安だ。

 

「ねぇ、敬語やめよう?どうせ同じ年齢なのよ」

「え?でも、やっぱり奥寺さんは支店長だし…」

「私にとっては本社から来た人は大切な客人なのよ」

 

ならあなたが敬語になればいいじゃない。

とも思ったけど、要するに奥寺さんが言いたいのは「対等な関係で話したい」とそういうことなんだろう。

 

「はぁ…じゃあ、こんな感じでいいかな?」

「そう!それでいいのよ!いや…でもまだなんか足りないわね」

「?」

 

まだ足りない?何がどのように足りないの…?

 

「あなた、どこ出身なのかしら?」

「え…?」

「あぁ、別に県名だけでいいから!」

「岐阜」

 

岐阜って、日本中ではどんなイメージなんだろうか?

やっぱり三重とかといっしょに名古屋と同じように見られているのだろうか?

 

「岐阜かぁ…ねぇ、方言ってあるでしょ?それで喋って?」

「えぇ!?いや、それはいくらなんでもこんな場所で…」

「どうせここには私と宮水さんしかいないんだしいいじゃない!」

「それは…そうやけど…」

「いいね!魅力数割増しに感じるよ!!」

 

瀧君も「三葉は方言のほうがいい」って言ってたし、そういうものなのかな?

でも、それはともかくとして奥寺さんはいったい私と何を話したいのかな?

 

「…恋ってしたことある?」

 

…いきなり来たな。

 

「それは…過去形で?それとも現在進行形で?」

「どっちも」

 

これは正直に答えるべきなんだろうか?

というか、現在進行形の方は…まぁ言わずもがな私は瀧君に恋をしている。

でも、過去形の方…あれ…確かに恋をしてたような気がするんやけど…誰やったっけ?

 

「う~ん…まぁ、しとると言えばしとるんかなぁ…」

「どんな子なの?」

「新卒の社会人で…今は建築業界で働いてるとか…」

「ふふ…あの子も愛されてるわねぇ」

「…?…あの子?」

 

どういうこと?もしかして奥寺さんは瀧君のことを知っているの…?

 

「その子の名前は?」

「えっと…立花瀧っていう子なんやけど…」

「アッハハハハハハハ!やっぱり!ふふっ…」

「ど…どうしたんよ!?いきなり!!」

「いやぁ、瀧君っていったら、前の私のバイト仲間なんだよ!」

「え…?」

「あなたをわざわざここに来させたのは、瀧君について話がしたかったからよ。瀧君にも好きな人がいるって話を聞いてね…調べたらちょうどその子が同じ会社にいるっていうから…」

「え!?瀧君が…私のことを…?」

「よかったじゃない!両想いってやつかしら?」

 

え…えぇ…。

いや、もちろんわかっとったけど…改めて言われると…私が瀧君に恋しとるように、瀧君も私に恋しとるってことで…はわぁ…。

 

「顔、赤いよ?」

「いやぁ…えへへ…」

「駄目ね、こりゃあ…」

 

奥寺さんがあきれているけど、私には特に聞こえてない。

瀧君が私のこと好きなんやって!聞いた?

いや、でも告白とかいつやるんやろなぁ…なんかあの時は私が止めちゃったから…私から言うのがえぇんかなぁ…?

 

三葉さん…超幸せそうね。見てるこっちが恥ずかしくなりそうだわ。

瀧君もなかなかの美人を見つけたわね…菩薩…。

瀧君は遂に探してた人を見つけたってことなのかな?

私はクネクネしている三葉さんの前でLINEで瀧君にメッセージを送る。

 

『おめでとう。やっと探してた人を見つけたんだね。』




次回に続きます
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