君の名は、   作:柚子丸

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親友たち

「三葉」

「?」

「正直に言いない。男やろ?」

「なわけないやん」

「ちゃうな。あんたがこんなに変わるなんて、男しかあらへん。なぁテッシー」

「お前、まもなく自分もテッシーになること忘れとるやろ」

「結婚してもテッシーはテッシーやろ」

 

ここはとあるカフェ。

有給休暇の消化も兼ねて糸守からの幼馴染であるテッシーとサヤちんと話している。

そして会ってからこの調子である。

 

「お前、三葉。前のLINE見たで。なんやあれは」

「何か変だった?」

「変つーか、気持ち悪かったで」

「せや。あんたあんなに絵文字顔文字使う人やったっけ?」

「…いや、前も結構使っとったと思うんやけど…」

「いーや。あんたはもっとつまらん人間やった」

「むっ…つまらんって何なんよ」

 

普通に考えたら喧嘩にでも発展しそうな会話だが、まぁ許せる。これが親友と言うものだ。

にしても、私はそんなにつまらん人間やったやろうか?

ここ最近が楽しくて充実してて考えもしなかった。

 

「三葉、記憶喪失やなんてぬかすんなら、このメール見てみい」

 

サヤちんが差し出したのはメール画面が表示されたスマホの画面だ。

む…これは確かに…認めるのも癪だけど…。

 

「…確かにつまらん文面やね」

「うん。つまらん。あんた、事務報告みたいなメールしか送って来んかったもん。それがつい前にLINEでやり取りしたときはどーでもいいことを妙に楽し気に書き連ねとって…テッシーと一緒に怖がっとったわ。これが三葉?嘘こけもっと三葉は退屈なやつやったで…って」

「なんか好き勝手言われとる気がする…」

 

ここまでつまらんだの退屈だの言われるとさすがに傷ついてしまう。

それにしても…まさか文面からでさえ男の気配を漂わせてしまうとは…私はどれだけわかりやすい女なのよ。

 

「で、どんなんや。男?」

 

サヤちんが身を乗り出して聞いてくる。

ここで知られていじられるネタにしてしまうのも面倒だし、まだ恋人ってわけでもないので(名目的には)、変な誤解を生んでしまっても困る。

なので、あまり言いたくない。

チラッとテッシーを見てSOSサインを出す。助けて-。

 

「…何や三葉。早よ答えろ」

「テッシー…やからモテんのよ」

「なんかよくわからんけど…余計なお世話や」

 

本当に、女の子の気持ちを察せない男は困る。

鋭い必要はないけど、鈍感なのは困る。女って自分勝手やなぁと考えてて思う。

 

「…言わなかんの?」

「もちろん…というか、その反応がもうすでに「彼氏いる」って言っとるようなもんなんやけどね…」

「あ…」

 

しまった…私ってわかりやすいなぁ…。

いやでも瀧君は割と鈍感な男の子だから、むしろ私が分かりやすい女のほうがうまくいきそうじゃない?

などと考えても仕方がない。

どうやらこの二人から逃げる術は無いようだ。

 

「せやよ…別に彼氏ってわけやないんやけど…まぁ親しい男の子ができたみたいな…」

「よっしゃあ!やったやん三葉!」

「…三葉も遂にかぁ…」

「べっ、別にまだ恋人ってわけやないんやからね!」

「まだってことはいつかは…ってことやね?」

「ハッ…」

 

しまった…私って以下略。

 

「どんな子なん?写真ある写真?」

「せや、三葉に釣り合う男か俺が査定したる」

「あんたそんなに偉かったっけ?というかあんたよりえぇ男に決まっとるやん」

「結婚前にそういうこと言うなや」

「あんたはそのままがえぇんやで」

「サヤちん…」

 

何度目だこのくだり。

小さいころから夫婦漫才を繰り広げていた二人も、今となってはなーんかただのバカップルにしか見えなくなってきた。

いつか私も瀧君とこんなんになるのかなぁ…。

 

「で、どんな男なんや?」

「えっと…これ…」

 

私は前にデートしたときに撮った写真を見せる。

そこには私と瀧君がツーショットで写っている。ちょうど服を新しく買ったのでせっかくだから撮ってみたのだ。

流石に待ち受けにするほど勇気はなかった…。見られたら大変やし。

 

「おぉ…イケメンやね」

「…顔は合格や」

「だからあんたは人の顔を評価できるほどえぇ顔しとるんか?」

「もちろんや」

「む…瀧君はテッシーなんかよりもえぇ男なんやからね!顔も性格も!」

「ひでぇ!三葉!ひどいぞ!なんかとはなんや!サヤちん、慰めて!」

「へぇ…この子、瀧君って言うんやね…瀧…」

「ひどっ…」

 

サヤちんは横で喚くテッシーをほかって何かを考え込んでいる。もしかしたら、瀧という名前に聞き覚えがあるのかもしれない。

そしてテッシーひとしきり喚いた後、「瀧…?」とつぶやいて考え込んだ。

 

「あの…もしかして瀧君のこと知っとるん?」

「…三葉、その瀧っていうのの名字はなんや?」

「えっと…立花やったかな…」

 

あまりにも名前で呼びすぎて名字の方を忘れかけている。

立花瀧…よし。覚えた!もうすぐ私も立花三葉になるかもしれんのやし…いやでも宮水家って女系だから瀧君もお父さんと同じように宮水瀧になるんかな…って何を考えとるの私!

などと考えて私が顔を赤くしてクネクネしてるのに二人は気づかず。揃って考え込んでいる。

 

「立花瀧…いやそんなはずは…」

「?どしたんテッシー」

「いや、三葉。その立花瀧君の勤めとる会社とかわかるか?」

「うん…こういう人やよ」

 

私は会ったときにもらった名刺を差し出す。

そこには勤務先と電話番号が書かれている。

そしてそれを見てテッシーは目を見開いた。

 

「おい三葉。この立花瀧君は建築業界に勤めとるんでえぇよな?」

「うん…なんか、建物のデザインとかに携わってるらしいけど…」

「わかった…ちょっと用事を思い出した。悪いな…」

「あぁ…うん。またね」

 

テッシーは千円札を置いて出て行ってしまった。

サヤちんはそれを見てニヤニヤと笑っている。

 

「ねぇ、テッシーはどうしたん?」

「いや、前にテッシーの家でテッシーが気に入った建築デザイン画を見せてくれてね…その作者が立花瀧って名前やったんよ」

「え…それって…」

 

新たな出会いが始まろうとしている。

 

「絶対、瀧君とテッシーは馬があうと思う」

「はは、彼女が言うなら間違いないな」

「…まだやって」

「まだ…ねぇ」

「あ…」

 

しまった…私って以下略。




ちょっとリアルが忙しくて投稿が遅れ気味になってしまいました…。
次も遅れるかもです。
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