「遅れましたぁ!!!」
「あ、瀧!遅いぞ!!!」
「すいません!すぐに仕事にとりかかります!」
部屋に入った瞬間上司に怒鳴られた。
しかも、俺の顔がやけに清々しいからか、上司はずっとムスッとした表情のまま、俺をにらんでいる。
しかたないじゃん。嬉しいんだもん。懐かしいんだもん。
「たーきっ!」
いきなり手を肩に回された。びっくり。
「なんだ、司かよ」
「なんだとはなんだ」
こいつは藤井司。
高校時代からの俺の親友で、同じく親友の高木真太と共に建築巡りしていた仲だ。
司は内定8社ももらっていたくせになぜか俺のと同じ職場にやってきた。
もっといい職場はなかったのか?
「まさか、お前が遅刻するとはね。あの時以来か?」
「あの時?」
「高校のとき、お前やけに遅刻が多くなった時期があったじゃねぇか」
いまいち記憶がない。
俺が高校を遅刻…?
いや、そういえば高校2年生2学期の通知表に、身に覚えのない遅刻がいくつも書かれていた気がする。
まったく記憶にないんだが…何だったんだろうか?
「あの時のお前、なんか変だったし、もしかしたらまた変になる前兆か?」
ますますよくわからない。俺が変だった?
遅刻が増えただけで「変」と言われるのもおかしいし、俺あの時何してたんだ。
「俺、高2の時何してたんだっけ?」
「おいおい、記憶喪失まであの時と同じかよ」
「記憶喪失?」
「だってお前あの時、通学で迷い、パンケーキの値段を忘れ、バイト先を忘れ、なんか色々やばかったんだぜ?」
「え…なんだそれ?」
そんなことあったっけ?
もしかしたらストレスとかにやられてたのかもな?
高2のときはやけに楽しかった気がするのは、もしかしたら嫌なことをことごとく忘れて楽しいことしか記憶しなかった結果なのかもしれない。
「それに、人格も変わったみたいになってて、なんつーか女みたいな言動が多くなってたぞ?」
「女ぁ?」
「おう、奥寺先輩も瀧君は女子力が超高いとか言ってたぞ?」
なんだそりゃ気持ち悪い。
でも、俺があの彗星災害に興味を持ったのも、いきなり糸守に出かけたのもちょうど高2のときだったから、やっぱり頭が変になってたのかもしれん。
「おい!瀧!司!お前ら新入りの癖にペラペラと話しやがっていい度胸だな!」
「「は、はい!すいませんでした!」」
チッ、さすがに話し過ぎたか、上司に怒られた。
今日だけで俺の評価、だだ下がりだ。
あ、そうだ。
三葉に連絡するって約束してたんだった。今連絡しよう。
そしてニヤニヤしながら送信ボタンを押したら、また上司に怒鳴られた。
「宮水さん、どうしたの?遅刻なんてらしくない…」
同僚が心配して声をかけてくれる。
「いや、ホント、ちょっと体調が悪かっただけだから…」
「大丈夫なの?今日は休む?」
「いやいや、もう大丈夫だから、今日は仕事もたくさんあるし休むわけには…」
「そう?また悪くなったらすぐに言いなさいよ?」
心配そうにしながら周囲を見てくる。
実際に体調が悪いわけではないので、ちょっと申し訳ない。
しかも、仕事はある程度同僚が肩代わりしてくれるって言ってくれたし…助かるけど、心苦しい。
けど、そんなどんよりとした私の心を一気に快晴へと向かわせるメッセージがスマホに届いた。
『会社、間に合った?俺は間に合わなかった(T_T)』
自然と笑みがこぼれる。
間に合ったわけないじゃん。
と、心の中でツッコミを入れる。
『間に合わなかった…。大丈夫?怒られなかった?』
『結構怒られたけど、まぁ大丈夫』
『良かった!』
瀧君…絶対上司からの評価下がってるよ…。大丈夫かな?
でも、さすがにそこまで詮索するのもどうかと思うし、まぁいいや。
『今日、時間ある?』
『割と時間が無いけど…どうしたの?』
『いや、少し話したいなって思って』
ハッ、これは…まさかデートのお誘い…?
いや、瀧君はそんな人ではないのはさっき話した感じでも、このやりとりからでも伝わってくる。
ただ純粋に、私たちの間で昔あったであろう出来事について話したいんだろう。
そう考えると少し残念…。いや、欲張るな三葉!瀧君と私はまだ始まったばかりよ!
『わかった!7時までに終わらせるから!』
『え?大丈夫?』
『大丈夫!新宿アルタに8時に集合でどう?』
『了解(^_^ゞ』
「瀧!何ニヤニヤしてんだっ!!!!!」
怒鳴られた(´・ω・`)。
さて、これからどうやって瀧と三葉が記憶を取り戻していくのか…。
実はまだノープランです。
なのでゆっくりとしたペースで投稿になるかも。
リアルが多忙なのでさらにゆっくりになるかも。
平にご容赦をください…m(__)m。