洋酒と書いてジンと読む
どう読んだらそうなるんだ…
女の子って、こんなに軽いのに何で生きてられるんだろうか?
こんなに小さいのに、しっかりと息をしている。
少しでも触ったら壊れてしまうガラス細工のようだ。
え?お前は何を言っているのかって?
つーかお前は何をしているのかって?
「マジで…どうすっかなー?」
公園で酔いつぶれた三葉を介抱しているところです。
酒に弱いと言ってくれればよかったのに、俺と同じペースで飲むもんだからてっきりいけるものかとばかり…。
酔って色々とネジの外れた状態の三葉も一見の価値はあったが、頼むから人前で「たきく~ん」などと言わないでほしい。
危うく出禁になるところだった。
店員からすごい目でにらまれ、お金だけ払って出てきたんだが…俺、三葉の家知らないし、かといってホテルに連れて行くにしても時間が…。
最終手段として俺の家っていう手もあるが、さすがに三葉をおんぶして乗車する勇気はない。
いよいよ困った…マジでどうすんだよ…これ。
それにしても…と俺はベンチに寝かせた三葉を見る。
どうして俺は出会ったばかりの女性とこんなにも親しい関係になっているんだろうか…?
俺は生まれてこのかた彼女なんてものを作ったためしがない。
デートとかをしたことはあるんだけど、そのたびに決まって相手はこう言うのだ。
「瀧君ってさ、他に好きな人がいるでしょう?」
そのときは俺は否定していたが、今考えればあのときの俺は誰かを探していた。
忘れてしまった誰かを探していた。
その誰かとは…多分、今俺の目の前で寝てるコイツだ。
三葉の頬をつんつんとつつく。
やわらかい。いつまでもつついていたい。
なーんて思ってたらいきなり三葉のスマホが鳴った。
「うおぉっ!!!!」
ビビった!決してやましいことをしてたわけではないけどビビった!
…この電話は出たほうがいいよな?
そう思って三葉のバッグからスマホを取り出す。
画面には『宮水四葉』と表示されている。家族だというのはわかる。
画面をタップして電話に出る。
刹那…
『お姉ちゃん!!!!何しとん!!!!今何時やと思っとるの!!!!!!!!』
大きな怒声が耳にダイレクトに届いた。
鼓膜破れそう…。
「あのー…」
何と言っていいかわからず、なんとなく俺は声を発した。
その俺の声を聞いた瞬間、電話の主は慌てた様子で
『え…?お姉ちゃんじゃない…!?誰…?』
と慌てる。かわいらしい。
「あ、宮水三葉さんの妹さんでいらっしゃいますか?」
『は…はい。あの…どなたですか?』
「私は三葉さんの友人です。レストランで一緒に飲んでたんですが、酔いつぶれてしまわれたみたいで…」
『ご…ごめんなさい!うちの姉がご迷惑をおかけしました!!!』
電話越しに衣擦れの音がする。
頭下げてもわからないよ?
と、俺は苦笑する。
「いやいや、私がちゃんと三葉さんに気を遣っておけばこんなことには…面目ないです」
『あの…今、どこに?』
「新宿です」
『えぇ!?』
四葉ちゃんはなぜか驚く。
俺はなぜ四葉ちゃんが驚いたのかわからなかったが、宮水家の位置を聞いてその理由に納得する。
「遠いなぁ…。しょうがない、タクシーでもひっかけて…」
『す…すいません!お代は払わせてください!』
「いいですよ、それぐらいはさせてください」
『では…お言葉に甘えて…本当にありがとうございます』
「じゃあ、帰るまでには起きててね?」
電話を切る。
この時間だ。タクシー料金は割高だ。
帰れるかね?今日。
少ないですがここまでです。