君の名は、   作:柚子丸

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サブタイトルが意味不明ですが、読んでいただければ言わんとすることがおわかりいただけるかと思います。


もう一人の自分/謎の感覚

「記憶が二つある?」

 

俺は素っ頓狂な声を出す。

 

「うん」

 

今は朝飯を食べ終えた後だ。四葉ちゃんは塾に行くと言ってそそくさと出て行ってしまった。

出際に「お姉ちゃんのことよろしくお願いします」と言われた。

「まだそんなんじゃねっつーの」と言ったが…俺の顔、多分赤かったし…バレバレなんだよなぁ…。

俺はいちいち感情が顔に出やすいのだ。困りものである。

こんなんだから上司にも何考えてるかすぐバレるのだ。

と、そんなことを愚痴りたいんじゃない。

今考えるべきなのは、三葉の爆弾発言についてだ。

 

「記憶が二つあるって…どういうことだよ?」

「そのまんまの意味やよ…私は彗星災害を予知して避難誘導をしてたって言ったよね?」

「あぁ」

「でも、私にはもう一つの記憶があるんよ…寝てたら思い出したんよ」

「もう一つの記憶…?避難誘導をしてる自分以外に、もう一人の自分がいたとでも?」

 

三葉は無言で頷く。

自分でもわけがわからなさそうな表情をしているが、記憶が二つあるってのはどうも確からしい。

どういうことなんだ…?

 

「えっと…そのもう一人の三葉は彗星が落ちる前、どこで何してたんだ?」

 

我ながら変な質問である。

 

「友達と一緒に彗星を見てたんよ…すごいね…きれいやねって言って」

「…?その後どうしたんだ?」

「それが…記憶にないんよ」

 

ますます不可解だ。

三葉は確かに避難誘導をした。

しかしその一方で、美しい彗星を眺めていた自分という記憶もあるということか?

そしてその後の記憶はないときた…。

 

「記憶にないって…そのまま彗星を眺めてたら、そのまま巻き込まれて…想像したくもないが、三葉は今ここにいないはずだろう?」

「うん…だから、自分でもわけがわからんの」

 

本当に、自分でもわけがわからない。

というか、そもそもなぜそれをいきなり思い出したのかすらよくわからない。

もしかしたら、瀧君と出会えて何かしらの変化があって思い出せたのかもしれないけど…。

こんなバカみたいな話をしても信じてもらえないとも思ったけど、瀧君なら信じてくれるはず。瀧君には伝えないとだめだと思ったから伝えた。

 

「記憶が繋がっているのは、避難誘導をしてた自分なんよ」

「うん。でも、その一方で何もせず彗星を眺めてた自分というのも確かな記憶として存在するんだろう?」

「うん…でも、その後の記憶はなくなってて、その後どうしたのかはわからないんよ」

「よくわからないな…。どういうことなんだ?」

「別に今思い出す必要もないんやない?ただ瀧君の耳に入れておきたかったってだけやから…」

 

それもそうか…。

それにしても、俺たちの間には不可解なことが多くて困惑してしまう。

互いの記憶も一向に思い出せる気配もないし…やっぱり二人だけで思い出すのには無理がありそうだ。それこそ、四葉ちゃんとかのように周囲の人にも聞いていかないと埒が開かない。

でも、どんな些細なことでも気づいたことがあれば相手に伝えておくべきなのは確かだ。

ならば俺にも話すべきことがある。

 

「あのさ、俺の話も聞いてくれないか?」

 

俺は、今朝四葉ちゃんと話していたときに感じたことをそのまま話した。

俺が誰かを失ったと感じたのと三葉が誰かを失ったと感じた時とでは年齢こそ同じでも3年の差がある事。

糸守に出かけた後、その感覚がより強くなったこと。

 

「俺は確かに彗星を見た時以来、誰かを失ったような感覚に襲われてたんだけど…友達から心配されるぐらいにおかしくなっちまったのは高2の糸守に出かけた後なんだ」

「それって…どういうこと?」

「わからない。一応、三葉の耳に入れておきたかったんだ」

「…やっぱり二人で話しとっても埒が開かんね…」

「あぁ…この後さ、俺の家に来ないか?昨日話してたけど、まさか酔って忘れたりして無いだろうな?」

「もう言わんといてよ!!あ~!恥ずかしいやん!」

 

三葉が頬を赤くして言う。

俺の前であんな醜態を見せてしまったことがよっぽど恥ずかしいらしい。

あれはあれでよかったぞ。

 

「悪かったって、俺の不注意も原因だからな…で、覚えてるよな?」

「うん。それは覚えとる」

「ならちょうどいい。今日は時間あるんだよな?じゃあ今からでも行こうぜ?」

 

というわけで、俺の家へ出かける(帰る)ことになった。

三葉の顔が終始りんごのように赤くなってたのはなんでなんだろうな?

 

あ~~!酔ってた私は一体何言っとるん!

初対面の男の人に家デートさせてくれなんて~~~!

いや!そりゃもちろん嬉しいんよ?

でも…う~~~!恥ずかしい~~~!

と、そんなことばかり考えていた私は瀧君が不思議に見ているのには気づかなかった。




短いですがここまでです。
この物語は語り部が瀧と三葉でコロコロと入れ替わるので、少し読みにくいかもですが、「君の名は。」の醍醐味といえば瀧視点・三葉視点・三人称視点の入れ替わりにあると思うのでこういう作りにしています。
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