幻の英雄その絆は幻ではない   作:ナカタカナ

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朱と幻の涙の理由

 食堂に入ると・・・・・・・・

 

 「編入、おめでとう」

 

 少女たちの声が聞こえてきた。

 

 「へっ」

 

 辺りを見回すと、ミートパイやサンドウィッチ、キノコのパスタ、チキンソテーにコンソメスープのような物

御馳走が並んでいた。

 

 僕は、混乱しすぎて何が何だか分からなくなっていた。

「これって、まさか」

 

 ルクス君は何か分かったようだ。

 

 僕はビックリしすぎて、まだ頭の中での整理が終わっていない。

 

 「そうだよ、君たちの編入祝いだよ」

 

 シャリス先輩が教えてくれた。

やっと、理解できた。

 

 ルクス君は、一言呟いた。

 

 「もしかして、僕達もために」

 

 「そうだよ、私達で企画したパーティだよ、でも料理はみんなの手作りだから元皇子様の君や

騎士のエル君には、粗末かもしれないがな」

 

 周りのみんなからの言葉で、僕は泣きそうになった。

でも、流石にここで泣くわけには行かない。

 

 何とかこらえた。

 

 『耐えろ、耐えるんだ、ポーカーフェイスだ、頭をクールにするんだ』

 

 「ルクス、エル、此度は大義であったな、今日は思う存分に楽しむがよい」

 

 『リーシャ様、まずい泣きそうなんです。それ以上は止めて』

 

 「YESリーズシャルテ様は『あなた達にお礼とお祝いをしたくて企画しました。少しでも楽しんでくれれば

嬉しいです』と、言いたいようです」

 

 『うん、分かったからそれ以上は言わなくていいよ』

 

 「ち、違うぞ、一年のくせに何勝手に訳しているんだ」

 

 「ありがとうございます。リーシャ様」

 

 「ありがとうございましゅ」

 

 「その、なんだ私も一品作ってみたから後で食べてくれ」

 

 コホンと、咳払いしたリーシャ様は

「乾杯と行こうか」

 

 「「「「「カンパーイ」」」」」

 

 「エル」

 

 「なんですか、リーシャ様」

 

 「その、これ私が作ったんだが、食べてくれ」

 

 「はい、分かりました。いただきます」

 

 渡されたのは、温かいスープだった。

透き通った。金色のスープいかにもおいしそうだ。

 

 そして、僕は口にした。

 

 コクリ、スゥーと、温かいスープが僕ののどに伝った。

 

 『ダメ、もう無理』

 

 「お、おい、エル何故泣いてるんだ。そ、そんなにまずかったか」

 

 「い、いえ、美味、じぃでしゅ。本当に、本当に美味しいです。

ありが、とう、ございます。本当にほんとーに美味しいです。こんなおいしいものは初めて食べました」

 

 「お、大げさだな、でも良かった」

 

 僕の目からはポロリポロリと大粒の涙が頬を伝ってスープの中に落ちていく。

味は分からない。でも美味しい。温かくて、心が、体が、暖かくなる。

味は分からなくても、リーシャ様の、やさしさが、伝わる。

 

 「リージャ様、ありがとうございます」

 

 「喜んでくれてよかったぞ」

 

 「そんだけ、泣いてくれると、私達も、準備した甲斐があったからね」

 

 「私の作った奴も食べて」

 

 そう言って、サンドウィッチを貰った。

 

 一口食べる。

また、ポロリと涙が、落ちる。

二口目を食べる。また大粒の涙が落ちてくる。

 

 「エル君、大丈夫」

 

 「ルクス君、大丈夫だよ、でも止まらない。

涙が止まらないんだ」

 

 「あの、アイリ何故エルさんはあんなに泣いてるんですか」

 

 「エルさんは、昔色々あったんです。それの所為であれだけ泣いてるんでしょう」

 

 「おいしい、美味しい」

 

 僕は渡されたものを全て口に入れる。

 

 『いつまで泣いてんのよ』

 

 『そうです。いつまで泣いてるの、ですか』

 

 『はわわ、泣かないでください』

 

 『大丈夫?』

 

 「あれ、どこから声がするの」

 

 「へっ、誰」

 

 すると、僕の四肢が光り出した。

 

 光が収まると、四人の美少女がいた。

 

 「だ、だって、うれしかった、んだもん」

 

 「はいはい、分かったからもう泣かない」

 

 「良し、良し、です」

 

 「全く、だらしないわね」

 

 「フフフ、そのまま私の胸で泣きなさい」

 

 僕は今、デルの胸に顔を埋まっている。

そして、雪月花が頭を撫でてくる。はぁ、暖かい。

 

 じゃなくて、早く抜け出さないと、って抜け出せない。

「ちょ、し、死ぬ、息が出来な、い」

 

 「フフフ」

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、死ぬかと思った」

 

 「おい、エル」

 

 「は、はい、なんでしょう」

 

 「そいつらは、誰だ」

 

 「え、ええと、僕の仲間です」

 

 「そうか・・・・・・死ねっ」

 

 「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 リーシャ様が、僕を殴ると、僕は意識が飛んだ。

 

 

 

 

 リーシャサイド

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、でお前らはなんだ」

 

 「私達は、エルの仲間よ」

 

 「そうか、ならどうやってここまで来たんだ」

 

 「ええと、私達は機竜だから」

 

 「機竜だと、なぜ人間になっている」

 

 「分からないわ、まあとりあえず言える事」

 

 「なんだ」

 

 「私達は、エルの味方。

そして、エルはあなた達の味方だから、私達もあなたの味方」

 

 「そうか、どうだ、お前たちも食うか」

 

 「良いの、ですか」

 

 「よろしいのですか」

 

 「ありがたくいただくわ」

 

 「フフフ、うれしいわ」

 

 「まあ、良いぞ食え」

 

 「「「「いただきます」」」」

 

 

 

 

 四人は、食べた。

一口食べた。

 

 「良し、食べたな。白状しろ」

 

 「なにをですか」

 

 「こいつはなぜこれだけ泣いたのか」

 

 「ちょ、リーズシャルテ様それは聞いては」

 

 「それは、いえないわ」

 

 「そうか、ならいい」

 

 「言っておくけど言わないわよって、言わなくていい」

 

 「ああ、まあ大体分かるからな」

 

 「そ、そう、まあ強いて言うなら、やさしくしてもらったからですね」

 

 「そ、そうか」

 

 リーシャサイドアウト

 

 

 

 

 

 

 気が付くと、自室のベッドの上にいた。

チュンチュンと、小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 

 昨日の事はあんまり覚えていない。

でもリーシャ様が作ってくれたスープを食べて号泣したのは覚えている。

 

 「はぁ、思い出しただけで恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい・・・死にたい」

 

 ベッドでしばらく悶えてから顔を洗い、歯を磨き、朝食を食べに行った。

廊下を歩いている途中で、ルクス君がまた何かやらかしたみたいだが、まあラッキースケベでも起きたのであろう

いつもの事だから、気にしない。

 

 朝食を食べ終えた僕は、授業を受けに行こうかと思ったが、今日は休日の為授業は休みだ。

そう言えば、昨日、リーシャ様に工房(アトリエ)に来いって言われたからな、向かうとするか。

 

 

 工房(アトリエ)に着くと、先にルクス君がいた。

 

 「あれ、エル君どうしてここに」

 

 「リーシャ様に呼ばれただけだよ」

 

 「そうなんだ、僕もそんなところかな」

 

 「来たか、エル」

 

 「どうして僕を呼んだんですか」

 

 「二人に見てもらいたいものがあったからな」

 

 「「見せたいもの?」」

 

 「見てもらいたいと言う物はこれだ」

 

 リーシャ様が指を指す方を見ると、一機の機竜がいた。

姿は、汎用機竜の《ワイバーン》と《ワイアーム》が混じったような機竜だった。

そう言えば、リーシャ様って機竜の技術者としてもすごいって聞いた。

 

 「まさか、これ」

 

 「そうだ、私が作った。世界にたった一つのオリジナルの機竜だ」

 

 「すごいです」

 

 「流石、お姫様」

 

 「フフフ」

 

 リーシャ様は得意げに二本の機攻殻剣(ソードデバイス)を引き抜いた。

 

 「降誕せよ。天地の対なる楔、穿たれし混沌の竜。《キメラティック・ワイバーン》」

 

 すると、奥の方へ見えていた。機竜がリーシャ様の背後に回っていた。

 

 「どうだ、すごいだろ、幻玉鉄鋼(ミスリルダイト)幻創機核(フォース・コア)を加工できれば

他にも、もっと色々出来そうなんだけどな、それと機体の性能はなかなかの物なんだが、機攻殻剣(ソードデバイス)を二本同時に使わないといけないのがちょっとネックなんだが」

 

 「それでもすごいですよ、エル君もそう思うよね」

 

 「はい、素晴らしいと思いますよ」

 

 「そ、そうか」

 

 「でも、気を付けてくださいよ、後ろの焦げた跡とか失敗した時のでしょ」

 

 「失敗は成功の母だ」

 

 「だからと言って、授業中寝るのは止めてくださいよ、ライグラリィ教官にリーシャ様が寝ているのをばれないようにするのも大変なんですから」

 

 「そうか、だから最近やけにライグラリィ教官が私を叩かなくなっていたんだな」

 

 「それと、ルクスお前の《ワイバーン》も整備班に頼んで修理してもらったからな」

 

 「ありがとうございますって、何でドリルがついてるんですか」

 

 「ドリルは浪漫だろ」

 

 「いやいや、僕はこういう武装が使えないのでちゃんと取り外してください」

 

 「チェ、折角取り付けてやったのに」

 

 「ちゃんと外してくださいよ」

 

 「分かった、分かった、それとエルにルクスお前たちには騎士団(シヴァレス)に入団してもらうからな」

 

 「へええええええ」

 

 

 

 

 そして、午後僕達は、大きな広間に装衣を纏って何人もの生徒たちが集まっていた。

 

 「シーズシャルテ様、本当に彼らを騎士団(シヴァレス)に入団させるのか」

 

 知らない女生徒が僕達を見た後そう言った。

 

 「当たり前だ、実力はこの後見せてやる。その為に機竜を整備したのだからな」

 

 騎士団(シヴァレス)に入団するには中級階層(ミドルクラス)以上であること

メンバーの過半数が実力を認め、入団を許可してもらうの条件がある。

 

 そして今は、三年生はいないが、過半数はここに居るそうだから、こうしてリーシャ様は僕達を入団させようとしているのだそうだ。

 

 僕は神装機竜を持っているため、一人で戦うが、ルクス君は汎用型の《ワイバーン》の為

リーシャ様が《キメラティック・ワイバーン》で一緒に戦うらしい。

 

 戦う相手は僕は騎士団(シヴァレス)三和音(トライアド)と半分のメンバーで、ルクス君は三和音(トライアド)を抜いた半分の人とだそうだ。

ざっと見た所軽く三十人はいるな。

 

 先に戦うのは、ルクス君たちだった。

 

 だけど、結果は勝ったがルクス君は一度も攻撃していない。

ずっと防いだりしていた、その間にリーシャ様が敵を落とす。

そんな感じで、ルクス君の入団は認められなかった。

 

 「ああああ、もう、エル貴様は本気で戦えよ、本気を出さないと怒るからな」

 

 「仰せのままに、お姫様」

 

 「それじゃ、始めよっかエルっち」

 

 「そうですね、僕こそ良いんですか、神装機竜を使っちゃって」

 

 「構わないさ、その分こちらも本気で行くからね」

 

 「おぉ、怖い、それじゃ行こうか

時さえも凍てつけ、汝の白は何者にも染められはしない、我が敵を死の花園へ向かい入れろ《雪月花》」

 

 僕は白い神装機竜を纏うと、瞳の色も白く変化した。

 

 『はあ、今度の相手はあいつら』

 

 「そうだよ、出来るだけ破壊するのは一部だけにしてね」

 

 「試合、開始(バトル・スタート)

 

 女生徒の掛け声とともに、僕は《雪月花》の神装を使った。

 

 「純白の世界(エンド・タイム)

 

 前は、時間を止めたけど、今回は僕の時間を早める。

時間を止めるより負担は軽いから、これくらいなら鼻血が出るだけで済む。

 

 僕だけ加速した世界の中で動く。

近くにいた《ワイバーン》を叩き落とす。

その次は、その横の《ドレイク》次はその横、その後ろ、その下・・・・・・

 

 これで最後、最後はシャリス先輩の《ワイバーン》を落とした。

 

 そして、全部落として神装を解く。

ここまでの時間は三秒だから、僕は千分の一の時間の中で動いていたから、0,003秒でこの戦いは終わる。

 

 「これで良いですか」

 

 「へっ」

 

 「今、何が起こったの」

 

 「はっ」

 

 「えっ、負けたの」

 

 「はや、エルっち、どうやったの」

 

 「リーシャ様、勝ちましたよ」

 

 「良くやった、エル、流石私と母の騎士だ」

 

 「こいつは入団していいと思うよな」

 

 「「「「「「はい」」」」」

 

 「それより、どうやったんだ、っておい、鼻血が出ているぞ」

 

 「だいじょうですよ、これくらい」

 

 「そうか、ならいいんだが」

 

 「ええと、さっきのですよね、あれは僕の神装純白の世界(エンド・タイム)です。

能力は、周りの時間を止めるか、自分の時間を早めるかっていう能力です。

さっきのは、自分の時間を早める方の能力で、千分の一の世界で僕はあなた達を落としました。

三秒くらいだったので、時間としては0,003ですね」

 

 「そ、そんなのチートじゃないか」

 

 「そんなことないですよ、使うと、脳に負担がかかって全身から血が噴き出したりしますし」

 

 「そうか、だからあの幻神獣(アビス)を倒した時血が噴き出たのか」

 

 「ご名答」

 

 「全く、心配させよって」

 

 「それで、僕は合格って事でいいんですよね」

 

 「うむ、これから一緒に頑張るぞ」

 

 「はい、お姫様」

 

 

 

 

 こうして、僕は騎士団(シヴァレス)に入団した。

僕は、次の日、リーシャ様と王都へ買い物に行った。

 

 そのときに、色々とアクシデントがあったが、特に大変だった事は無かった。

そして、今リーシャ様は僕に向かって涙を流している。

 

 僕が泣かせたわけじゃないよ

 

 「私は、人実に捕らえられて、父は私を見捨てた。

確かに、あの時、私を見捨てるのが最善だったのかもしれない。

でも、それでも、私は・・・父に助けて欲しかったよ。

娘のわ私を選んで欲しかったよ」

 

 「私は、だめだな、王女としての資格なんて、無いんだ」

 

 「そんなことないですッ」

 

 僕は無意識に、彼女を抱きよせていた。

 

 「あなたは、あなたは立派な王女様です。

たとえ、誰かがあなたを王女として認めなくても、僕が認めています。

父に助けてもらいたいと思っても良いじゃないですか。

それが普通なんです。あなただって人間です。それも女の子です。か弱い、か弱い女の子なんです」

 

 「エ、ル」

 

 「僕はずっとあなたを助けます。

何があっても、あなたの味方です。騎士ってものは、たとえ全世界を敵に回しても、最後の一瞬まで仕える物なんです」

 

 「それが、騎士ってもんです。だから僕はこの命、血の一滴枯れるまであなたの為に戦います。

だから、そんな、悲しい顔をしないでください。仕える主を泣かせてしまうだなんて騎士失格です」

 

 「そ、うじゃない、うれしい、んだ、でもお前は母の騎士だろ、

もし、私が母と敵対した時、エルはどっちにつくんだ」

 

 「リーシャ様です」

 

 「へっ」

 

 「たとえ、あなたの母君、僕の恩人を敵に回しても、僕はあなたと一緒にいますよ」

 

 「本当か、本当なんだな」

 

 「当たり前です。だから、もう泣かないでください」

 

 「分かった」

 

 「ありがとう」

 

 

 

 

 

 こうして、僕とリーシャ様との買い物は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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