幻の英雄その絆は幻ではない   作:ナカタカナ

5 / 6
暴れ惑わす、暴竜と幻想竜

 リーシャ様とのお出かけを終えた次の日

僕は、朝からいつもの倍以上に特訓をしていた。

 

 『今日は起きた時からずっと嫌な予感がする』

 

 「はっ、あぁっ、かっ」

 

 掛け声とともに、拳を振りぬく。

右、左、右、右、右から回し蹴り、上体をひねってそこから、左フック、左足のかかと落とし。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 トレーニングをして、気を紛らわせると汗をかいた僕に向かって、さわやかな風が吹く。

 

 「腹、減った」

 

 僕は汗だくのままは気持ちが悪いので、部屋に戻って水浴びをした。

水浴びをしてさっぱりした後は、食堂で美味しい朝食を美味しくいただいた。

 

 その後は部屋に戻って、機攻殻剣(ソードデバイス)の手入れをしていた。

最初は最近よく使う《雪月花》から磨き始めた。

 

 磨き始めて少しすると、四人の美少女が僕の目の前に立っていた。

 

 「どうしたの、人間の状態になるなんて」

 

 「別に、少し歩きたいと思っただけなんだからね」

 

 「はいはい」

 

 「私は、久しぶりにご主人さまとイチャイチャしたかった」

 

 「うーん、甘えるのは後でにしてもらえるかな」

 

 「むぅ、分かった」

 

 「・・・で、二人はどうしたの」

 

 「別に、何か用がないと人間になっちゃいけないの?」

 

 「そ、そんな事は無いけど」

 

 「あぁ、もう、何でいつもデルさんとばかり仲良さそうにするんですか」

 

 「そんな事は無いよ、僕はみんな平等になるようにしてるつもりだけどな」

 

 「そ、そうなのですか、じゃなくて私もイチャイチャしたいですぅ」

 

 「はいはい、ニルも後でね」

 

 今ここに居る少女たちは僕の神装機竜たちだ。

綺麗な絹のような銀髪の少女は《雪月花》僕は雪と呼んでいる。

そして、フードを被って僕の夢に出てきた少女はデルこと《デルピュネー》

青い髪を持ち、頭部にうさ耳のような形をした角を持っているのは《ファーブニル》のニルだ。

最後にツンデレ口調の赤い髪に、紅い瞳を持つ少女は《サラマンドラ》のサラだ。

 

 「とにかく、みんなの機攻殻剣(ソードデバイス)を綺麗にしたら、なでなでしてあげるから」

 

 「「「「分かった」」」」

 

 そして、みんなの分の機攻殻剣(ソードデバイス)を磨き終わったら鐘がゴーンとなった。

 

 『確か、この音は幻神獣(アビス)の出現を知らせる鐘の音だったはずだ』

 

 「みんな、悪いけど、甘えるのは後にしてもらえるかな」

 

 「えぇ、さっき甘えて言いって言った」

 

 「ごめん、でも今は幻神獣(アビス)を倒しに行かないといけないから」

 

 「良いわよ、その代わり・・・」

 

 「その代わり・・・」

 

 「帰ってきたら、何でも言う事を一つ全員分聞くこと」

 

 「分かった、ありがと」

 

 僕はこういう時に集まる場所は確か、第四機竜格納庫だったと思う。

僕は急いで、装衣を纏って向かうともうすでに装衣を纏った少女たちがいた。

 

 「では、全員揃ったところで、通達する」

 

 「大型の幻神獣(アビス)が現れた。

今は、砦にいる者たちが討伐に向かっている。だが敵は大型だ、王都へ向かわれないように我々も遊撃部隊を

派遣して、討伐へ向かう各自指令が来るまで準備をしていろ」

 

 

 

 僕は、準備は終わってるから、何か手伝いをしようかと思ったが騎士団(シヴァレス)のメンバーは

扉の方へ向かっていた。

 

 「皆さん、どこへ行くんですか」

 

 「我々は騎士団(シヴァレス)だからね、こういう時は率先して討伐へ向かわないといけないからね」

 

 「僕も行きます」

 

 「そうしてくれると助かるが、今回はここに残っていてくれ」

 

 「なんでですか」

 

 「まだ君は入隊して間もない、今回は大型の幻神獣(アビス)だ。

その為今回は連携攻撃を主体とし、戦う」

 

 「なるほど、分かりました。気を付けてくださいね」

 

 「ああ、任せておけ」

 

 「リーシャ様」

 

 「なんだ、エル」

 

 「気を付けてください」

 

 「ああ、お前こそ、今回は同行できなくて残念だ」

 

 

 

 

 それから数分後騎士団(シヴァレス)のメンバーはいなくなった。

ここに残っているのは、ルクス君とクルルシファーさんと僕だけだった。

 

 「あれ、クルルシファーさんは騎士団(シヴァレス)なのに討伐へ向かわないんですか」

 

 「えぇ、私はエミル教国からの留学生だから、こういう時手伝うと国から色々言われるのよ」

 

 「なるほど、エル君はなんで」

 

 「今回は、連携攻撃などを主体とするって言われて入団して間もない僕はここに残ってるってわけ」

 

 「そうなんだ」

 

 そこへ、ルクス君の妹のアイリさんが来た。

 

 「だめですよ、兄さん、ただの《ワイバーン》だけで今回は無理です。

もう一本の機攻殻剣(ソードデバイス)も使えない兄さんは何も出来ないんですよ」

 

 「私は、少し気になるから、ちょっと遠くから様子を見てくるわ」

 

 「はい、気を付けてください」

 

 そして、その後ルクス君は幼馴染のフィルフィさんが「笛の音がする」って聞くと

目の色が変わった。

 

 「ごめん、やっぱり僕も行くよ」

 

 「ちょ、僕も行くよ」

 

 僕も、《雪月花》を纏ってルクスの後をついて行った。

 

 

 

 

 

 

 騎士団(シヴァレス)サイド

 

 リーシャは《キメラティック・ワイバーン》を纏って眼前の幻神獣(アビス)に向かって砲撃した。

 

 だが、幻神獣(アビス)は自分の核を爆発させた。

 

 何とか防いだがそこへ竜声が届いた。

 

 『随分と王女ヅラが板についてきたじゃないかリーズシャルテよ』

 

 枯れた声が聞こえてくると一人の男性が現れた。

 

 『だが貴様にはそのような資格はない』

 

 するとリーシャの元へ一筋の閃光が襲った。

 

 『私は、ベルベット・バルトが来たのは王都からではなく帝都からでございます』

 

 『貴様、裏切ったのか』

 

 『何を言うんですか、私は正道に戻ったと言うべきでしょう』

 

 『不意打ちごときで私に勝てると思うのか』

 

 ベルベットは角笛を吹くと幻神獣(アビス)の中から幻神獣(アビス)が生まれた。

 

 「ウソ、私二体以上の幻神獣(アビス)と戦っとことなんてないのに」

 

 生まれたガーゴイルの数は三十

戦力にして、約百二十機の機竜がいるということになる。

 

 リーシャは、《キメラティック・ワイバーン》を解除しもう一方の機攻殻剣(ソードデバイス)

鞘から抜いた。

 

 「目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍をなす神々の王竜よ。《ティアマト》」

 

 『リーシャ様、この戦力差では無理です。

撤退しましょう』

 

 『私が時間を稼ぐ、その間に学園に戻ってこのことを伝えろ』

 

 『YES,了解しました』

 

 こうして、ノクトは学園に戻った。

 

 その会話を聞いていたクルルシファーはライグラリィ教官に伝えた。

 

 『協力に感謝するクルルシファー』

 

 それを聞いたルクスは

 

 「リーシャ様を助けに行く」

 

 「兄さんの気持ちは分かります。でもこの世界には出来ない事だってあるんです。

兄さんだって知ってるはずです。

だから、兄さんに出来る事なんて無いんです」

 

 「僕は、あの日から、目標は変わっていない。

帝都を滅ぼすために、僕は大切な物を護るためにあの敵を倒す」

 

 「手伝うよ、ルクス君」

 

 僕は震えるルクスの肩に手をかけながらそう言った。

 

 「大丈夫だよアイリ、君を一人にはしない」

 

 「そうだよ、アイリちゃん。僕が君のお兄さんを助けるから」

 

 「分かりました、でも機竜の調整は保証できません」

 

 「ありがとう」

 

 「クルルシファーさんも来て、援護ではなくリーシャ様を助けるために」

 

 

 

 

 

 その頃リーシャは《ティアマト》の特殊武装をフルに使いガーゴイルを倒していた。

 

 残るガーゴイルは十数体

 

 『すまない、私達は先に撤退する。

機竜の損害がひどすぎる』

 

 『分かった』

 

 

 そしてリーシャは笛を持つベルベットに向かって攻撃した。

 

 ベルベットを追い詰めていくリーシャだが体力の消費が半端ない。

それに加えベルベットは消費していない。

勢いが減っていくリーシャに対してベルベットは反撃している。

 

 「その命、散らすがいい、偽りの姫よ」

 

 それを

 

何とか防ぎ反撃したリーシャだったが、ベルベットは帝国に伝わる扇の一つ

神速制御(クイックドロウ)を使ってリーシャを攻撃し、リーシャは力月その場に倒れた。

 

 そして、倒れているリーシャの前にベルベットは剣を振り下ろす。

 

 だが、その刀身は弾かれた。

 

「エ、ル」

 

 「なんですか、リーシャ様」

 

 そこへ現れたのは《雪月花》を纏ったエルだった。

 

 「フン、貴様はその奴隷を助けるのか」

 

 「こいつには、腹の下に帝国の紋章が刻まれている。

私が、刻んだ紋章がな」

 

 「もういい、お前は黙れ」

 

 「はっ、貴様はどうするつもりだ、百機の機竜に合わせ、十数体のガーゴイル」

 

 「リーシャ様、僕も秘密があるんで見ててくれますか」

 

 僕は《雪月花》を解除し、右腕を天に掲げ唱える。

 

 「気高き誇りを持つ者よ、汝の見せる幻で、我が敵を翻弄せよ《デルピュネー》」

 

 僕は薄紫色の神装機竜を纏った。

 

 「エル、これは」

 

 「たった一機で何ができる」

 

 「一機じゃない」

 

 「増殖する幻想(ファンタズム・パーティー)

 

 すると、僕がさらに三人増えた。

 

 「な、なんだと」

 

 三人は《デルピュネー》を解除し詠唱府(パスコード)を唱えた。

 

 「時さえも凍てつけ、汝の白は何者にも染められはしない、我が敵を死の花園へ迎え入れろ」

 

 「我が身はすべてを呑み込むもの、我が身をけなす者に、我は慈悲など甘い事はしない眼前の敵を呑み込め」

 

 「我が身を喰らえ、血肉に飢えた災厄、飢えよ、飢えよ、飢えよ、我が血肉を糧とし、現世に顕現せよ」

 

 「「「《雪月花》《ファーブニル》《サラマンドラ》」」」

 

 そこへ現れたのは、白い神装機竜に、青い神装機竜、紅い神装機竜最後に薄紫色の神装機竜の四機だ。

 

 「四機の神装機竜だと、まさか貴様は」

 

 すると後ろから、幻神獣(アビス)がやられていく音がし見ると漆黒の神装機竜がいた。

 

 「漆黒の神装機竜、あいつもまさか」

 

 「さぁ、あの日の続きを始めよう。

帝国を滅ぼした五年前の戦いを、五年の時を経て最後にしようか、なぁベルベット・バルト」

 

 

 

 

 

 

 四人に増えた僕が一斉にベルベットに向かって、言い切った。

 

 最弱と幻想、最強と偽り、その二つが交差した時だった。

 

 そして、紅い機竜《サラマンドラ》を纏った僕が神装を使った。

 

 「喰らいつくす者(ブラッド・ブラッド)

 

 この神装は、自分の任意で相手の機竜からエネルギーなどを奪い自分の力にすることが出来る。

それだけではなく、更に自分の任意の機竜に力を譲渡することも出来る。

 

 百機の機竜から奪ったエネルギーを他の自分と、ルクス君に譲渡した。

 

 「なっ、エネルギーが奪い取られた」

 

 ベルベットの顔が歪んだ。

 

 「どうした、クソみたいな面がさらにクソみたいになったぞ」

 

 「き、貴様ッ、だ、だが流石にこの数を相手できると思うなよ」

 

 「はぁ、全くなんであなたの頭はそんなに残念なんだ」

 

 「仕方ないよね、女を侍らせることしか脳にない、クズ男なんだから」

 

 「まぁ、それでも帝国に伝わる奥義の一つ神速制御(クイックドロウ)を使えるようになるまで特訓したのは

評価できると思うけどね」

 

 「そうだね、でも無駄なのに」

 

 「「「「僕達も使えるよ神速制御(クイックドロウ)」」」」

 

 その直後、四本の紅い、白い、蒼い、薄紫色の閃光がベルベットの後ろ、百機の機竜たちの方へと向かった。

 

 その直後、後ろにたたずんでいた百機もの機竜はまさに神速と言える速さで破壊されていった。

 

 そして時間にして約六秒、百機あった機竜はベルベットの機竜を残し、無残に破壊されたのであった。

 

 「な、何故だッ」

 

 「ベルベット、僕の顔に見覚えは無いか」

 

 後ろから、《バハムート》を纏ったルクス君が竜声を使いベルベットに問いかけた。

 

 「これは、これは第七皇子様、知らなかったとはいえ、様々な無礼をお許しください」

 

 「やめてください」

 

 「それで、皇子様はなぜそちらにいるのでしょう」

 

 「それより、ベルベット、こいつらを連れて撤退しろ」

 

 「それは出来ませんね」

 

 「そうか、なら・・・死ね」

 

 《サラマンドラ》をまあ取った僕はベルベットに向かって接近して一閃した。

それを受けたベルベットの機竜は破壊され、地面に落ちた。

 

 「もういいよね、ルクス君」

 

 「そうだね、エル君お疲れ」

 

 僕達は地上に降りてリーシャ様の前まで行った。

 

 「終わりましたよ、お姫様」

 

 そこで僕の意識は闇に呑み込まれていった。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。