いろいろな災害が同時に起き過ぎてビビっている作者でございます。
まあ、前書きはともかく、今回も楽しんでいただけると嬉しいです!!それでは!!
私の名前は矢澤にこ、どこにでもいる小柄な高校三年生。
みんなからはにこにーって呼ばれてるにこっ!!
え?痛いからやめろって?普段はこんなキャラじゃないから大丈夫よ!!
まあ、それはさておき、私が野球に出会ったのは小学二年生、パパがもらってきたプロ野球のチケットで球場に行ったときよ。
広い球場、照明、大きなスコアボード、そんなスタンドにホームランを打ち込むバッターとそれを抑えようとするピッチャーの姿ににこは憧れたの。
にこの父「にこ、野球見るの楽しいか?」
にこ「うん!!でも、にこもあんな風に野球がしたい!!だから、にこがプロ野球選手になったらパパが見に来てくれる?」
にこの父「当たり前だろ。今日からパパは未来のプロ野球選手矢澤にこのファン第一号だ!!」
にこ「パパ!!」
こうして、にこは近所の野球チームに入ったの。
そこそこの運動神経だったにこはすぐに野球に順応して、ショートとピッチャーを始めた。
ショートは自分に合っていたみたいで、広い守備範囲とゴロをさばくのは自分にとって楽しくて仕方なかった。
ピッチャーとしては同年代では普通の球速ながら、カーブとフォークを覚えたおかげで小学六年生の時にはエースナンバーを背負っていた。
え?バッティングは?嫌なこと聞くわね…
正直、パワーがないせいで今までホームランなんて打ったことないわ。
でも、ヒットなら打つことは出来てたって感じね。
私はそのまま、中学でも女子野球部のあった中学に進み、野球を続けた。
一年生ながら、9番ショートでリリーフピッチャーもしていたわ。
先輩達も優しかったし、居心地は良かった。
そして、都大会の準決勝でUDX学園附属中学に負けた。
でも、次は勝つって思いながら練習していたあの春の頃だった。
いつも、応援に来てくれていたパパが交通事故にあって死んでしまったのは。
ママが一生懸命働いてる姿を見て、にこが小さい妹、弟達の面倒を見なければならないって思った……だから………
私、矢澤にこは大好きな野球をやめた。
―――
どうしてこんなことを思い出したんだろう。
それはこの間のことが原因だと思う………
帰ろうとしてグラウンドを通りかかったとき、野球部の練習が目に入った。
まだおぼつかないグラブさばき、バッティングもそんなに出来ている訳でもない。
でも………なんだかあのチームを見ていると自分が野球が好きでたまらなかった時のことを思い出してしまうの。
未練がないとは言えないけど、もう思い出さないと決めていたはずなのに……
この光景を見ていても虚しくなるだけだ。
帰ろうとしたそのときだ。
穂乃果「あの!!練習、いつもネット越しに見てますよね??野球好きなんですか??」
さっき、サードにいた元気のある女の子に声を掛けられてしまった。
にこ「別にそんなことないわ。」
そう言って帰ろうとしたそのときだ。
穂乃果「待ってください!!ゆうくんから話は聞いてるんですよ。野球経験者の矢澤にこ先輩、で合ってますよね??」
ゆうくんって誰だ??と思ったが恐らくバッティングセンターで合った黒原優人のことか。
余計なことを…………
穂乃果「にこ先輩がチームに入ってくれたらこのチームは強くなる、だから……」
にこ「甘いわ。あんな下手っぴで意識の低いチームで優勝なんて狙えない。お断りよ。」
穂乃果「でも……」
にこ「本気度が足りないのに、にこを誘わないで。私はもう野球をやる気は無い。」
本気度が足りない??野球は楽しむべきなのに本気度なんて言うなんて選手として、一野球ファンとしても最低の発言だ。
自分が野球を諦めたからって言いすぎてしまった……私は彼女達に嫉妬したのだ。
穂乃果「……じゃあ、今度の練習試合、見に来てください!!絶対に勝ちますから。あ、言い忘れてました、私、二年の高坂穂乃果って言います!!それじゃ!!」
そう言って彼女は嵐のように去っていったのであった。
―――
見に行く必要なんてない。
そう思いながら例の練習試合の前日を迎えた。
この頃、ずっとモヤモヤしてバイトにも集中出来ないし、家のお皿は割るし、全くいい迷惑よ。
でも…野球を見たい気持ちはある。
バイト終わりに店長に少し頼みごとをした。
にこ「店長、ちょっといいですか?」
竹田「おお、にこちゃん!どうかした?」
にこ「ストラックアウトのゾーンを30分ほど貸して貰えませんか?お金は払うので。」
竹田「いつも頑張ってるにこちゃんからはお代なんて取れないよ。好きなだけ投げなさい。」
にこ「店長……」
竹田「その代わり、終わったら話を少ししないか??3人で。」
にこ「はい!!」
私はこのとき、店長が3人と言っていたことに気づかなかったのである………
―――
竹田「なあ、優人やっぱりいいピッチャーだな、にこちゃんは。そう思わないか?」
優人「はい。変化球の変化量、コントロール。どれを取ってもかなりのレベルだと思います、中学レベルなら間違いなくエースです。」
竹田「やっぱりお前も気づいたか。」
優人「はい。唯一の弱点にして、最大の弱点は球速がそこまで出ていないこと。にこさん自身がそんなに体格が大きくないからという部分もあるでしょう。ただ、次の試合なら十分通用する。」
竹田「ピッチャー、厳しそうなのか?」
優人「正直、球速が物足りない上に変化球を教える時間が無いんですよね。かろうじて1つだけ教えてますけど。」
竹田「…チェンジアップかツーシームか?」
優人「何でもお見通しですね、監督は。チェンジアップで球速の差をつけて抑えるしかないと思ってるんですよ。」
竹田「でもそれじゃあ……」
優人「はい、2巡目か3巡目で捉えられるでしょうね。ただ、ウチも点を取る方法くらいはあるので……」
竹田「厳しいゲームになりそうだな。」
優人「そうなるのは間違いないですね……」
―――
疲れた…久しぶりにピッチングをして、肩が慣れたかなという感じね。
投げ足りないと言えば、投げ足りないけど、キリがないからここで一旦打ち切りよ。
ん?あれは監督と、黒原優人?なぜここに??
優人「やっぱりにこさんはいいピッチングしてますね。」
にこ「何を当たり前のこと言ってるのよ、これくらい余裕よ。余裕。」
優人「そのにこさんの力を次の試合だけでも貸してくれませんか。お願いします!!」
にこ「お断りよ。」
優人「やっぱり野球をするのは辛いですか、一試合だけなら、なんとかならないですか…」
にこ「………」
優人「にこさ…」
にこ「なんとかなるならそうしてるわよ!!でも、まだ小さいきょうだい達は?ママが働いてるのに野球?野球が辛い?辛いわけない。あんなに楽しいスポーツこの世にあるわけないわ!!でもね、出てしまったら戻れない。野球への未練が断ち切れなくなってしまうの。だから、本当にごめん。私はチームに入れない。」
優人「………無神経なこと言ってすみませんでした。」
にこ「いいのよ。次の試合、絶対勝つのよ!!応援くらいはしてあげる。」
優人「ありがとうございます。じゃあ、一つだけ約束してもらっていいですか?」
にこ「内容によるわね。」
優人「一つはお願いで、一つは約束です。」
にこ「それって約束二つじゃないの?」
優人「そんなことないんで、大丈夫です!!」
にこ「全く、いい根性してるわね。何か教えなさい。」
優人「お願いとしては、野球がやりたくなったらいつでも俺に連絡してください。どんな手を使ってでもにこさんが野球を出来る環境を作ります。」
にこ「そんなこと出来るわけ……」
優人「出来ます。絶対に。」
にこ「自信満々ね。まあいいわ。約束は何?」
優人「それは……次の試合勝ったら野球部に入ってくれませんか?」
にこ「………いいわ。その条件なら飲んであげる。」
優人「ありがとうございます。絶対勝つんで覚悟してくださいね!!それじゃ!!あ、監督失礼します。」
竹田「………全く、昔はあんなに騒がしくなかったのになあ……」
にこ「何か、刺激を受けたんじゃないんですか?分からないですけど。」
竹田「ハハハ、そうだな。遅くまで引き留めさせてすまなかったね。」
にこ「いえ、こちらこそ久しぶりのピッチング、楽しかったです。」
竹田「それは良かった。明日の試合、見に行くんだろ?勝つ確率はどれくらいあると思ってる?」
にこ「10%、これが現実ですね。」
竹田「まあ、どうなるか分からないのが野球だけどな。」
にこ「店長の予想はどうなんですか?」
竹田「さあ?俺は神じゃないから分からないな、明日が楽しみだ。」
にこ「そうですか。今日はありがとうございました!!」
竹田「こちらこそ遅くまでありがとうね。気をつけて帰るんだよ。」
にこ「それじゃ、失礼します。」
そう言って私はバッティングセンターを後にした。
私は…野球がやりたいのだろうか。
でも……明日の試合が楽しみな自分は間違いなくいたのであった。
にこちゃんの強キャラ感好きなんですよね…
さあ、次回からついに春風学園戦編突入なので楽しんでいただけると嬉しいです!!
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