ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

遅くなりましたがどうぞ。


第十一話 新たな敵との遭遇

2096年1月15日(日)11:00

 

悠は国立図書館近くの喫茶店で直斗と再び会い、この1週間ほどの出来事を話し、相談していた。

 

「シャドウらしき烏人間……十師族が動き……さらに裏でUSNAスターズまで……きな臭いどころの騒ぎではないですね」

 

「スターズの事はくれぐれも秘密にしてやってほしい」

 

「わかりました。まあ、僕の口から割れずとも、そんなに派手に動き回っているのなら、そのうち日本も気が付きますよ。……気がついても見ないふりをする可能性のほうが高いですが」

 

「頼む」

 

「こちらも、わかったことが幾つかあります。この件について、警察組織は既に動いておりますが、十師族とは別口です。さらに悪い事に、お互い協力するどころか見て見ぬふりをしています。政治的要因での縄張り争いですね」

直斗はスクロール型の情報端末を取り出して、悠に報告する。

 

「既に警察は動いていたのか、美鶴さんの桐条には情報は行ってなかった所を見ると、立場は相当悪いのだろうな」

 

「それと先輩……既に、その関連事件による死者・行方不明者は30人以上にのぼっております」

 

「…そんなにか……それでも足並みを揃えるつもりは無いのか……それで被害場所は?」

 

「現状ではほぼ、東京23区内ですね」

 

「敵の出没パターンとかは読めるか?」

 

「いえ、まだ解析中ですが、今のところランダムにも見えます」

 

「……先輩、無理しないでくださいね。いざとなれば、僕たちは全てをなげうって、先輩を助けに行きますよ」

直斗は悠の目をジッと見つめる。

 

「そうならないようにする」

 

「それと先輩……随分、そのスターズの総隊長に気に入られているのですね……アンジー・シリウスと言えば、世界で認知されている戦略級魔法師13使徒の1人です。凄まじい手練ですよ」

 

「……そんなにか、たしかに戦闘能力は非常に高かった。でも、普段は何処か抜けていて、危なっかしいから、どこかほっとけない」

 

「……先輩はどうしていつもそうなんですか?」

 

「直斗?何を怒っている?」

 

「怒ってません。……先輩が直ぐに女性と仲良くなりすぎるから心配しているだけです」

 

「そんなことはない」

 

「……まあ、先輩らしいと言えば、らしいですけど」

直斗は不貞腐れたような表情をしていた。

 

「しかし状況は良くないな、何処の組織に協力すれば良いのか……リーナ個人とは連携を取る様にするが、情報交換程度だ」

 

「そうですね。USNA軍に協力するのは危険ですね。かと言って十師族も先輩の能力を知れば、取り込みを行ってくるか、そのリーナさんが言うように、実験動物にされるかもしれません。

やはり、桐条が動けるようになるまで待つのが無難でしょうが……」

 

「……その間にも犠牲者が増える」

 

「ですね………先輩が信用できると思った人と組むようにすれば良いと思います。それは組織ではなく、人です。先輩が作る人と人との繋がりはきっと組織を超えるものとなると僕は信じてます」

 

「人との絆か……」

 

「……とりあえず、先輩の端末に、情報データを送りますね。それとちゃんと久慈川さんにも報告すること」

 

「ん?今のりせをこの事件に巻き込むわけには……」

 

「いいえ、先輩の口から久慈川さんに七草の子女や、留学生の子と仲が良くなったことは先に言っておいたほうが無難ですよ」

 

「何故りせに?」

 

「なぜもないですよ。いいですね先輩」

直斗は語気を強めて、有無を言わせない迫力でそう言った。

 

「なるべくそうする」

 

こうして、直斗との打ち合わせは終わりを告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2096年1月15日(日)20:00

 

悠はリーナにスターズのこの3日間のドッペルゲンガー捜索範囲を直接聞いていた。

リーナも悠の推測を元に人通りが少ない学校や公民館などの周囲をスターズを率い捜索するとのことだ。

悠はスターズの捜索範囲場所から離れすぎない距離を保ち、単独で捜索を開始する。

今日は目黒区祐天寺駅から南に向かい、武蔵小山駅までの範囲を捜索した。

 

 

 

 

 

 

2096年1月15日(日)22:05

 

武蔵小山駅手前の小さな公園に差し掛かろうとした時だ。

 

悠の耳に甲高い犬の遠吠えが聞こえてくる。

 

「……遠吠え…犬の遠吠えか?……しかし」

 

悠はそれに違和感を覚える。

この21世紀末では、都会ではペットとして飼われている犬が無駄に遠吠えすることが滅多に無い。習慣がなくなったと言って良いだろう。

ここは駅近く、人通りもそこそこある。

周りの人間もそれに気がつく筈だが、全く気がついていない様子だ。

 

悠のペルソナも遠吠えが聞こえてくるその小さな公園内にあきらかに異質な反応を示す。

 

悠はペルソナ『イザナギ』を憑依させながら、その小さな公園内を外から覗き込むが……特に変わった様子は伺えない。……いや、公園内に全く人が居ない。駅近くの公園だ。誰か居てもおかしくない。ペルソナも依然と公園内に異質な存在の反応を示す。

 

「……入るしか無いか」

 

悠は公園の敷地に踏み込んだ瞬間。霧が目の前に立ち込め、遠吠えが公園内を反響している。

 

「やはりか……どうするか」

悠はクマメガネを掛けながら、一瞬リーナに知らせるべきかを考え、携帯端末を見るが……表示は電波圏外を示す。公園に入る前にこの場所を調査することをメールでは知らせてあったのだが……

 

 

遠吠えが反響する中、若い男性の掛け声も聞こえてくる。

 

「パンツァーー!!オラーーー!!」

 

悠は駆けつけ近づいていくと……

 

ガタイの良い若者が、烏人間と同じ黒ずくめのマントの人間と対峙し、戦っていた。

 

 

悠は更にスピードを上げ、その二人に割って入ろうとしたのだが、悠の上空から巨大な影が暴風とともに襲い掛かってきた。

 

悠は咄嗟に後ろに飛び、回避すると、目の前に4メートルは有ろうかという烏人間が翼を羽ばたかせながら、こちらを睨んでいた。

リーナが倒したハミルトンと呼ばれた烏人間とは躯体大きさが二回り程大きい。

明らかに別の個体だ。

 

「小僧!この攻撃を避けるとはな!……この結界の中にどうやって入ってきた!?」

 

 

『イザナギ!!』

 

悠はイザナギを呼び出し、目の前の烏人間に問答無用に斬りかかる。

 

烏人間は上空に大きく逃れるが、イザナギは更にスピードを上げ追う。

 

「おのれ!話に聞いていたペルソナ使いか!まさか!ハミルトンを殺ったのはお前か!!」

烏人間は迫るイザナギから逃れながら羽を無数に矢の如く放つ。

 

 

悠はイザナギを烏人間に攻撃させながらも、若い男と対峙している黒マントに向かって行こうとするが……不意に左右から大きな何かが飛びかかってきた。悠は姿勢を低くし前に転がりかろうじて回避する。

 

2メートルは有ろうかという2匹の耳の大きな犬、いやオオカミだろうか……回避した悠を更に追撃のため、飛びかかってくる。

 

『ヨシツネ!』

 

悠の突き上げた左手に青白い炎と共に【塔のカード】が顕現するとそれを握りしめる。

するとカードは刀【薄緑】に変化する。

そうペルソナの武器化だ。

悠は真由美を救出し、烏人間と対峙していてから、考えていた。自分にも身を守る武器が必要だと……しかし、ここは現実世界だ。一般人である悠が武器等を所持し、バレれば警察に捕まるのが落ちだ。

そこで、悠はペルソナが所持している武器を自分でも使えないだろうかと試行錯誤を重ねて出した答えがこれだった。ペルソナの武器化である。

悠は自らの力【ワイルド】で、ペルソナの合成が可能な唯一の人間だ。ならば武器も可能なのではないかと……そして今顕現される。

 

 

悠は名刀【薄緑】を構え……

 

『電光石火!!』

 

電撃を帯びた【薄緑】で、襲いかかる二匹の耳の大きな巨大なオオカミを薙ぎ払う。

 

オオカミ達は直撃を喰らい、真っ二つになり、黒い液状に崩れ消滅する。

 

「よくも私のかわいい子達を!!」

更に、別の仮面をした黒ずくめ黒マントが悠の後ろかにいつの間にか現れ、悠を長い槍で突いてきた。

 

悠は【薄緑】でその槍を切り落とす

 

悠と対峙している槍で突いてきた仮面の黒マントのその仮面はリーナが倒したハミルトンの物とは異なり、獣の口をモチーフにしたような形をしていた。そして声は女性だ。

 

その獣仮面の女性の黒マントは、両手を地面に勢い良くつけると、地面が爆発したように飛び散り、その破片が石の礫となり悠に襲いかかる。

 

悠は刀を構えながら、石の礫を防御しつつ、大きく横に飛び退く。

 

しかし、飛び退いた先に、また二匹の耳の大きな巨大なオオカミが何処からとなく現れ、悠に飛び掛かる。

 

 

悠はその二匹も、【電光石火】で薙ぎ払い、消滅させる。

 

「おのれおのれおのれ!!よくも!!」

 

獣仮面の女性の黒マントの身体が膨張し、黒い服とマントは毛に変化し、手足には鋭い爪が生え巨大な耳の大きなオオカミ人間と化した。

 

「ワォーーーーゥ!!」

遠吠えを上げると同時に猛スピードで悠に迫り、鋭い爪を振るい襲い掛かってきた。

 

悠は爪を刀で捌きながら、身体を回転させ、そのまま、オオカミ人間の胴体めがけ刀を袈裟斬りに振るう。

 

オオカミ人間は仰け反って避け、後方に飛び退くが、悠の刀はオオカミ人間を捉え身体に大きな傷を与える。

 

「ぐぅ、これしきのこと!」

しかし、オオカミ人間が胴体に受けた大きな傷は徐々に塞がって行く。

 

再びオオカミ人間は戦闘体勢を取るが、オオカミ人間のすぐ後ろに、大きな影が降ってくる。

 

烏人間がイザナギに吹き飛ばされ、地面に叩きつけられたのだ。

 

そして、イザナギは悠の真後ろに戻ってくる。

 

 

 

『ジオンガ!!』

 

イザナギが右手を夜空に突き上げると、強烈な稲妻が、倒れている烏人間とオオカミ人間に降り注ぐ。

 

しかし、烏人間とオオカミ人間に届く前に稲妻は遮られる。

若い男と対峙していたはずの仮面をしている黒ずくめ黒マントが彼らの後ろまで来て片手を空に掲げ、防御魔法を展開していたのだ。

 

「撤退だ」

 

防御魔法を展開した黒ずくめ黒マントはそう言って、何やら白い紐で巻かれた対峙していたハズの若い男を悠の前に放り投げる。

その黒ずくめ黒マントの仮面にはなにやら幾何学模様のような物が刻まれている。

 

 

「待て!!お前たちは何者なんだ!!」

 

悠は追撃の構えを取ろうとするが、幾何学模様仮面が手を振り上げると、倒れている烏人間とオオカミ人間が何か強い力に引っ張られるようにその場から一瞬で斜め上空へと吹き飛んでいった。

 

幾何学模様仮面も悠を一瞥してから、その場から吹き飛んでいく。

 

そして、霧が晴れていく。

 

 

「くっ!」

悠は追いかけようとしたが、白い紐で巻かれ倒れている若い男のうめき声が聞こえ、諦める。

 

「ふぅ」

悠は息を吐き、イザナギを戻し、若い男に巻かれている白い紐を刀で切る。

すると切れた白い紐は、溶けるように消滅する。

 

「大丈夫か?」

悠は若い男に声をかける。

大きな外傷はなさそうだが、衰弱し生命力がかなり落ちているようだ。

 

「う、あんたが助けてくれたのか……わりいな………俺の先に3人程襲われていた……そいつらを見てやってくれ……流石に疲れたちょっと寝かせてくれ」

若い男が薄目を開けて、少し話すが、直ぐに気を失う。

 

「おい!」

悠は若い男に声をかけるが……若い男から寝息が一定のリズムで聞こえてくる。

取りあえずは大丈夫そうだ。

 

 

 

 

「悠!!」

すると、恐ろしげな仮面の姿の女性、パレード姿のアンジー・シリウスこと、リーナが、空から降ってきたように、悠の前に着地する。

 

「リーナ、なんで来た?」

 

「だって悠から、敵らしき者を見つけたってメール来たから。あのタイミングだとこの辺だと思って」

リーナは対抗魔法パレードを解き、元の姿に戻る。

 

悠はこの公園に入る前に、リーナに予めメールを送っていた。

リーナと悠の間で敵を見つけた時、敵の確認をする時や時間、大凡の場所等を、普通の高校生の会話風のような暗号文を事前に打ち合わせし、連絡するように取り決めていた。

悠はメールで救援要請を出してはいなかったため、リーナがここに来たことを尋ねたのだ。

 

「リーナの部下は?」

 

「適当な事を言って、私だけ来たの」

 

「……そうか、リーナがこちらに近づいて来ていたから、それで奴らは撤退したのかもしれないな」

あのタイミングで烏人間達が撤退したのは悠も疑問に思っていたところだった。

 

「何があったの?この人は」

リーナは悠の前で倒れている若い男と、所々道や公園の設備に破壊の後があるのを見て悠に尋ねる。

 

「大丈夫だ気を失っているだけだ。この若い男が烏人間の仲間に襲われていた所を助けに入った。………リーナが倒した奴とは別の烏人間とそれとオオカミ人間、後もう一人は人間の姿のままの奴と戦闘になり、なんとか撃退した。人間の姿のままだった奴は結構強そうだった」

 

「烏人間にオオカミ人間、ドッペルゲンガー3体を相手に……」

 

「いや、実質、烏人間とオオカミ人間とは俺が戦い、人間の姿のままの奴はこの彼と戦っていた。彼がやられ、三対一になったところで、人間の姿のままの奴が多分リーナが近づいてくるのに気がつき、迅速に撤退していった。三対一だと流石に厳しい。リーナが来てくれて助かった」

 

「そう。それは良かったわ」

リーナは悠にそう言われ嬉しそうだ。

 

「それで、この彼も、どうやら他に襲われている人を見つけて割って入ったようだ。あと3人襲われた人が居るようだが……」

悠はそう言って、その3人を探すために、あたりを見渡し歩き出す。

 

すると、小さな公園のため、倒れている男女二人を直ぐに見つける事ができた。

ふたりとも外傷が無いが著しく生命力が落ちているように感じ、悠は直ぐに救急車を呼ぶ。

 

残りの1人を探すのはリーナも手伝ってくれたが、見つからない。

 

悠はふと公園にあるトイレに入ると、男女別扉前の通路に大きな鏡が壁に取り付けられていた。悠はそれに手を当てると、鏡に吸い込まれるように入っていく。

 

そして、鏡の中に顔を入れ、中を見ると、男性が倒れていた。

 

「悠?それ…どうなってるの?」

 

悠は後ろから驚いたようなリーナの声がするがそのまま鏡に入り、倒れている男性を引っ張り出す。

 

「………悠…本当に鏡の中に入れるのね」

リーナはその後にその鏡に恐る恐る触れるが、何も起こらない。

 

「ああ、そうだな。とりあえずこの人は気絶しているが、外で倒れている人よりも衰弱はひどくない。外で倒れていた人は、放っておくと死に至るレベルだ。これはどういうことだ?鏡の中に入れる人間と、生命力を奪って死に至らしめる人間と何か法則でもあるのか?」

 

「私も……わからない。でも奴ら、USNAでは生命力を奪って殺す行為はしばらく行っていたわ……鏡の中に入れられた人間が居るかどうかは今は調べようがないけど」

 

悠はいそいそと若い男と先に発見した2人をベンチに寝かす。

 

「もう救急車を呼んだ。後は任せよう。速やかに撤退だ」

 

「ええ?」

 

悠はそう言うとリーナの手を引いて、急いで公園を出る。

 

 

「リーナのその格好は怪しすぎるし、俺も色々と聞かれると困る」

悠とリーナは救急車のサイレンが近づくのを聞きながら、この場を離れていく。




遂に魔法科高校のメインの1人が登場

パンツァー!!の人ですね。
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