ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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第十九話 リーナ対深雪、そして達也の秘密

1月28日(土)21:40

 

 

 

『リーナ!どうしたの?戦闘でもあった?ちょっと怪我してるみたいだけど』

 

「!?り……(りせ!?)」

リーナはりせの声が突然頭に響き、思わず口に出しそうになるがなんとか抑えることが出来た様だ。

 

『丁度、今、羽田空港に降りて、コソッとエネミーサーチ掛けたんだけど……近くにリーナを感じて、怪我大丈夫?』

 

(だ、大丈夫よこれくらい。……これはりせや悠たちとは関係が無いの。USNAスターズのアンジー・シリウスとしての問題なの)

 

『どういう事?』

リーナの頭に響くりせの声は不安そうだ。

 

(だから大丈夫)

 

『でも……』

 

(悠たちの方はどう?)

 

『悠先輩は探査範囲外よ』

 

(そう)

 

『でも…リーナの周りの人、すごく強い。すぐ近くの人、九重八雲マスタークラスの実力者……、弱点らしい弱点はないわ。少し離れた所にいる人達、リーナと同じ学校の子……司波達也、司波深雪……この子達もかなりの魔法師……どういう事なのリーナ………リーナさっきまで、司波達也って子と戦ってたでしょう?それで負けてる。リーナ……私には隠し事が出来ないっていったでしょ?』

りせはリーナの周りの人間にアナライズ(探査)を掛けた様だ。

そして、リーナの戦闘履歴を確認したのだ。

 

(そんな事まで……まいったわ………私は勝負をして敗れたの……そして、これからもう一勝負行うところよ。…………お互い納得して、勝負をしているの)

 

『リーナの部下の人は捕まっていて、リーナ一人じゃない……』

 

(それは私の自業自得なの)

 

『何があったの?』

 

(りせ、あなた達には迷惑はかけないわ……それと、もう日本には居られない……悠に謝っておいて)

 

 

 

 

 

『どういう事リーナ!?ねえ、リーナ!?リーナってば』

 

(…………………)

 

りせはリーナの頭の中に声を何度も掛けるが、返事が返ってこない。

リーナは呼びかけるりせの声が聞こえてきているが、思考をシャットアウトし応対しないようにしているようだ。

 

 

 

 

「もう、埒があかない!」

りせは情報端末を取り出し、ヒミコを介し電話をする。

こうすることで、りせの通話は誰にも邪魔することや盗み聞きすることができない。

ジャミングやハッキングを受け付けなくなるのだ。

 

「悠先輩!今何処!?……リーナが……うん……うん、わかった。任せて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月28日(土)22:10

 

 

 

若干の休憩の後。

リーナと深雪は対峙する。

 

「リーナ……魔法勝負ということでどうかしら?」

 

「私の方はそれでいいわ。体術には自信がないのかしら深雪」

 

「いいえ、先程お兄様に魔法勝負ではなかったのかと聞いておりましたが……魔法勝負を挑んだとしても貴方はお兄様には勝てない。私にも勝てないのだから……」

深雪は鋭い視線をリーナに送る。どうやら先程のリーナの達也に対しての発言が気に食わなかったようだ。

 

「言ってくれるじゃない深雪」

 

こうして黒髪の美少女と金髪碧眼の美少女、二人の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

1月28日(土)22:10同時刻

 

 

エリカ達から逃げるように、自宅マンション近くまで戻ってきていた悠と真由美は、りせの連絡を受け、リーナが戦っている多摩川の河川敷へと向かっている。

 

『悠先輩!リーナと司波深雪って子の戦闘が始まっちゃった!』

 

「急ぐぞ、七草スピードを上げても大丈夫か?」

悠は加速魔法で飛ぶように並走している真由美に声を掛ける。

 

「まだ、いけるわ」

 

「司波深雪には一度会っている。リーナと仲良さそうには見えたが……七草、司波達也と深雪兄妹はどういう生徒なんだ?」

 

「え?深雪さんと会ったこと有るの?」

 

「ああ、リーナと一緒に買い物をしている所に会った」

 

「……深雪さんはリーナさんのサポート役…いえ、お目付け役」

 

「お目付け役?どういう事だ?」

 

「USNAからの海外留学生は、公然のスパイと思われても仕方がないの」

 

「前に言っていた。あれか……そういう事か」

悠はリーナと真由美との協力体制を取る前に真由美から聞いていた。

リーナがUSNAの留学生として第一高校に来ているのは魔法技術などのスパイ活動をするためだと……

生徒会として、リーナの第一高校でのサポート役として、深雪達が選ばれているが、実際のところ不審行動がないかの監視役なのだ。

 

しかし、この二人はまだ知らない。

USNAスターズであるリーナの第一高校留学の目的が、【灼熱のハロウィン】の容疑者である司波兄妹の監視、調査である事を……

深雪がリーナに近づいたのは、そんなリーナの目的を知り、リーナの動向を探る為だった事を…………

 

「何故戦いを…勝負することになったのか?」

 

『わからないけどリーナはお互い納得の上での勝負って言ってた!』

 

「それは達也くんね。多分リーナさんは達也くんの何らかの罠にハマったのよ」

 

「罠?」

 

「司波達也くん。策謀を巡らせたりするのが得意なの………私も何度もやられたわ、ほんと悪魔のような話術だわ。きっと、勝負せざるを得ないように持っていかれたのよ」

真由美は思い出したかのように、ムカムカと怒りがこみ上げてくる。

真由美の場合は自業自得であることが多いが、学校生活の些細な事でも言いくるめられてしまうのだ。重要な局面では達也は必ずと言っていいほど、自分の意向を通す策謀を巡らせ、実行に移す。

このあたりは四葉現当主とよく似ているところだ。良くも悪くも四葉家本家筋の血縁である。

 

「司波兄妹の目的は?」

 

「……それはわからない。達也くんもゴースト事件を追っていたから、スターズとリーナさんの関係に気がついて……情報を聞き出そうとしているのかもしれない」

 

『それでなんで戦いや勝負なの?話せばいいじゃない!』

 

「それは………りせさんの言う通りね。なんでも力で解決しようとしてしまうのは魔法師の性なのかもしれない…………だから、リーナさんも勝負を受けたのかも」

確かに真由美の言う通り、第一高校において、模擬戦と称して、戦闘勝負を行うことが往々にしてまかり通っている。

魔法の力が全てである魔法師の社会では、それが当たり前なのだろう。

 

「そうか…彼らと行動を共にしている九重八雲は知っているか?」

 

「有名な魔法師よ。達也くんの武術の師匠らしいのだけど、詳しいことは知らないわ」

 

『悠先輩!その人かなり強い!弱点らしい弱点がないの。魔法や魔法以外の術もたくさん持ってる!』

 

「そうか、厄介だな……しかも、リーナの部下も拘束されているのか……だから勝負を受けざるを得ない……しかし、そんな有名な魔法師がなぜ手荒な真似を?」

 

「わからないわ。でも、酷いことをするようには思えないけど」

 

『でも、リーナ、怪我してた!女の子に怪我させるなんて!そんなの許せない!悠先輩!リーナを助けてあげないと!』

りせの言い分は世間一般では普通なのだが、魔法師の世界では男女の差は無い。特に勝負ごとでは…………ここでも、りせ(一般人)と真由美(魔法師)の常識のズレが生じている。

 

「状況を見て、リーナを奪還する」

 

『うん!流石悠先輩!』

 

「その司波兄妹も強いのか?」

 

「深雪さんは、学年で一番……私よりも上かもしれない。リーナさんに匹敵するかも」

 

「そんなにか」

 

「達也くんはかなり強いのは事実。……でもわからない。一応学校では二科生だけど、私が見る限り、未知の魔法を持っている」

真由美がこういうのも無理もない。達也は自分のBS魔法【分解魔法】を隠しながらも、数々の戦闘行為を勝利してきている。

さらに横浜事変の際、真由美だけが達也の発動した魔法を見ているが、それが何なのかが理解出来なかったのだ。

 

『真由美さんが言ったとおり、深雪って子かなり魔法力が高い!リーナと同等みたい!魔法も強力な物を沢山持っている……でも、達也って子の方が危ない。ヒミコも警告してるの』

 

「あの子がリーナに匹敵か……兄の達也はそれ以上なのか?」

悠は大人しそうな雰囲気の深雪の姿を思い出す。

 

『うん……【分解・再成魔法】を持ってる。かなり危険な魔法!』

 

「な!?……………ど、どういう事……………………まさか……………………」

真由美はりせのその言葉を聞いて、加速魔法を解いて、立ち止まってしまった。

 

「七草どうした?」

悠はそれに気が付き、真由美に駆け寄る。

 

「分解魔法……………そんな………達也くんが………あれは…分解魔法だったの?しかもあんな長距離で…………」

真由美は呆然と立ち尽くしていた。

達也が世界で8人しか使用できない超高難易度の分解魔法の使い手で、さらに実用レベルで行使出来ているのだ。

真由美が横浜事変で見た達也の魔法…………、それは建物越しに見えないはずの向こう側の大型トラックを一瞬で消し去るものだったのだ。

再成魔法だけでも、凄まじい能力なのに、分解魔法までも持っていた事実を知ってしまった。

 

「七草!」

 

「ご、ごめんなさい。あまりにも衝撃すぎて………」

真由美は意気消沈する。

 

『あと……それだけじゃない。なんかスッゴイ魔法をもってるの。マテリアル・バースト………なにこれ……街が一つ壊滅出来る威力………射程120km』

 

 

「街を壊滅……射程120kmだと……まさか…………昨年の報復攻撃か」

悠はその事実に驚くと共にあるニュースを思い出す。

横浜事変の報復攻撃で日本が、戦略兵器で朝鮮半島の鎮海軍港を壊滅させたと報道がなされていた事を……それがこの魔法ではないかと……

 

「うそ…そんな……達也くんが………そんな魔法聞いたことがない!!どういう事!!街を壊滅!?戦略級魔法!?そんな高威力な魔法聞いた事も無い!!なんなの!!何なのよ!!」

真由美はかなり取り乱す。

それは致し方がない事なのだろう。分解・再成魔法だけでも、規格外の存在だ。その上に戦略級魔法、しかもかなり射程が長く高威力の魔法を放つ事が出来る存在が……何時も接している司波達也だったのだから……

 

「落ち着け、七草」

悠は真由美の両肩を掴み落ち着かせようとする。

 

「でも!……誰も、達也くんに勝てない!」

真由美は震えていた。

未知への恐れなのか………

 

「彼らに勝つことが目的じゃない。リーナを助けることが目的だ」

悠は真由美を見つめ優しく語りかける。

 

「………でも…でも」

 

『真由美さん大丈夫!悠先輩が何とかしてくれる!私も居るし!逃げるのとか得意なんだからね』

りせにはまだ心の余裕がある。以前、世界を破滅させようとした神と対峙したことが有るからだ。それに比べればまだ、なんとかなるレベルだと。

 

「………取り乱して…ごめんなさい……」

真由美は悠を見上げ、微笑みかける悠を見て落ち着きが戻ってくる。

 

「いや、大丈夫だ………急ぐぞ」

 

「うん……」

 

そして、再びリーナがいる河川敷へと足を進めていく。

 

 

 

 

 

 

 

1月28日(土)22:30

 

 

数々の魔法が放つ輝きが交差する。

リーナと深雪の勝負は一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

「やるわね深雪」

 

「その程度ではお兄様には勝てないわリーナ」

 

「次で決める」

 

「させない」

 

「「勝負よ!」」

リーナと深雪は掛け声とともに魔法を展開。

 

雷光から灼熱へと誘い、まるで空間が沸騰したかのような圧倒的な熱量。

空気が燃え上がる灼熱の世界【ムスペルヘイム】

 

急激な場の氷結で空気すら凍り、月光で煌めきを起こす圧倒的な静寂。

空間が止まったかのような氷雪の世界【ニブルヘイム】

 

二人の圧倒的な領域魔法がぶつかり合い。

その熱量差と隔絶空間が二人の上空にオーロラを形成し、幻想的な世界を作り上げる。

しかし、当の本人たちの間では炎雷と氷結がせめぎ合いを起こし、直ぐ隣には死が存在する。

 

「うーん不味いね」

八雲は頭をかきながらそんな感想を漏らす。

このままだと二人の何方かが力尽き、このあたり一帯が焼け野原か、凍結してしまうだろう。

 

「俺が止めます」

達也は術式解散【グラム・ディスパージョン】行使のタイミングを図る。

二人の力の拮抗を見極め、術式を解散するタイミングをあわせなければ。すでに放たれた熱量の余波でこのあたりが灼熱と化するか全てが凍てつく。2人共傷つき、最悪死に至る可能性があるからだ。

 

 

 

しかし、

 

二人の圧倒的な力がぶつかる領域の中心に突如として巨大な人影が現れたのだ。

 

その人影は青色の肌に4本の腕を持つ。そして2本の腕を灼熱と氷結の2つの領域にふれると…………

吸い込まれるようにその灼熱と氷結の領域が消えていった。

 

「「!?」」

リーナと深雪は自分の魔法が跡形もなく消され、その存在に構えたまま驚きの顔を向ける。

 

「な…なんだあれは!?」

達也は急に現れた存在に驚きの声を上げる。

 

「……不動明王!!…………達也くん!深雪くんを連れて今直ぐにこの場を引く!!」

九重八雲の切れ長の目が大きく見開かれ、一瞬驚愕の表情となるが、達也に大声で指示を出す。

 

「師匠!?」

 

「早くだ!!」

珍しく声を荒げる八雲。

 

深雪はその存在を見た瞬間、身動きが取れなくなった。

まるで蛇に睨まれた蛙のように……

その存在は………ただ、そこにいるだけだと言うのに、圧倒的な存在感と威圧感放ち、深雪を動けなくしていたのだ。

 

八雲は戦闘体勢を取りながら、その存在の前に出、達也が動けなくなった深雪を抱き上げ、すばやく退却する。

二人の退却を横目で見ながら、八雲もジリジリとその存在の間合いから離れ、一気に撤退。

 

 

 

リーナもその存在のとてつもない威圧感を感じていたが…………何故か恐怖が湧き上がらなかった。

 

『リーナ!悠先輩のペルソナよ!だから大丈夫』

 

この圧倒的な威圧感を周囲に撒き散らす存在は悠のペルソナ【シヴァ】……九重八雲が不動明王と言った存在と同じものだ。……破壊を司る神の化身

 

【シヴァ】はリーナと深雪が紡ぎ出した強力な魔法を一瞬で吸収したのだ。

 

 

(りせ……悠………)

 

『リーナ?大丈夫?』

 

リーナはりせの声を聞いて、ホッとしたのかその場に倒れる。

達也と深雪と二連戦だ。しかも最大級の領域魔法を使い、気力も体力も限界だったのだ。

 

 

悠は駆けつけ倒れたリーナを背負う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、撤退した司波兄妹と九重八雲は九重寺に戻っていた。

「師匠……あれは何だったんですか?……リーナは……」

達也は八雲に質問をする。

 

「僕たちが逃げるのに精一杯だった。彼女には悪いけどね…………あれは不動明王…破壊神シヴァ……とてつもない存在感だった。あれは式神とかいうレベルではなかったね。降神術……いや、式神に神を降ろしたのか………もしくは……」

何時もの飄々とした感じではなく、真顔で達也に語るが、最後はニヤリと口を歪ませていた。

 

「師匠、降神術とは…………神が存在するのですか?」

 

「…………達也くん……この件は手を引く事をお勧めするよ。深雪くんのためにもね」

八雲はそう言って、それ以上この件について達也に語らなかった。

 




このシヴァには炎吸収がついてます。
めちゃご都合ですが…………さらにレベル99です。
雷反射がついてますが…………まあ、なんとなく行けるでしょう。きっと…………


マテリアル・バーストの射程を若干変更しています。

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